日産自動車の検査偽装は常態化か?

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     今日は日産自動車(証券コード7201)でニュースになった完成品検査での偽装検査について取り上げます。

     

     このニュースについて、まず私が第一報で見たのは、9月29日付配信のロイター通信の記事でした。下記がロイター通信の記事です。

    『[東京 29日 ロイター]日産自、無資格者が完成車検査の一部に従事 新車6万台登録停止

     日産自動車<7201.T>は29日、新車出荷前に行う完成車検査工程の一部の項目で資格のない者が検査をしていたと発表した。国土交通省の立ち入り調査で判明した。
     対象は、今月18日以前に国内5工場で生産された、軽自動車を除く全21車種。不具合が見過ごされている可能性があるため、同社は未出荷分約6万台の登録を一時停止した。販売店にある在庫車も再検査が終了するまで登録を一時とりやめる。
     いつから検査に不備があったかは不明で、日産は第三者を含むチームで原因などを調査するとしている。』

     

     

     上記のニュースを皮切りに、この問題が大きくクローズアップされました。資格を持たない者が、書類上は資格を持っているように装って国の検査を偽る行為を行っていたとし、石井国交相は制度の根幹を揺るがすものであるとして罰金2億円を課すとしました。リコール費用については250億円との発表も出ています。

     

     日産自動車の無資格者が資格を持っているように装って国の検査を偽るという行為が常態化していたのでは?との疑いも持たれています。通常、自動車メーカー各社は、車の完成段階で国の手続きを代行する形で完成検査に当たります。各社で認めた検査員というが対応するのがルールです。ところが、日産自動車では、資格を与えた完成検査員だけでなく、現場でサポートする立場の資格のない補助審査員に完成検査の一部を担当させていたということで、コスト削減で利益を競うあまり、安全確保の認識が甘くなっていた可能性が指摘されています。

     

     当然ですが、例えば完成検査員(=資格保有者)は、補助検査員より人件費は高いわけです。もともと検査自体がそれほど付加価値を生むわけではないため、コストコストコストとやりすぎて、完成検査員が足りないからといって、完成検査員を育成するのではなく、補助検査員にやらせるという発想があったのではないでしょうか?

     

     今回の事件、私は長期に渡って日本がデフレを放置してきたことのツケであると考えておりまして、デフレで物価が下がり、物・サービスが値段を下げないと売れないという経済環境の中で利益を出そうとするあまり、「コストです!価格です!」というのをやりすぎた結果、品質が低下していくというケースのわかりやすい事例ともいえるでしょう。

     

     

     

    1.日産自動車の特徴とトヨタ自動車との比較

     

     そもそも、日産自動車といえば、どんな会社か?いろんな角度で企業を見ることができますが、敢えて株式市況の目線で見た場合ということで、下記をあげたいと思います。

     

    ●配当利回りが高い(5%弱)

    ●役員報酬でカルロスゴーンが10億円もらっている

    ●直近では三菱自動車を買収した

    ●EV(電気自動車)に力を入れようとしている

    ●ルノー(フランスの自動車メーカー)が大株主

     

     私が気になるのは、「配当利回りが高い」ことと「カルロスゴーンの役員報酬が高い」という点です。配当にしても役員報酬にしても、剰余金から払うわけですが、本来は将来のための研究開発費をもっと増やしたり、人材育成費用として能力開発費を増やしたり、生産性向上のための設備更新など、剰余金の使い方としてあったわけです。

     

     ここでトヨタ自動車との比較をしてみたいと思います。下記は、日産自動車(証券コード:7201)とトヨタ自動車(証券コード:7203)の業績です。

     

    <日産自動車(証券コード:7201)の業績>

     

    <トヨタ自動車(証券コード:7203)の業績>

     

     

     上記業績の一部と合わせ、注目しておきたい数値は下記の通りです。

     

    <日産自動車(証券コード:7201)>

    2017年3月期

    売上高 11兆7200億円

    営業利益   7422億円

    当期利益   6635億円

    一株当り利益 165.9円

    設備投資   4693億円(対売上高比率4.00%)

    研究開発   4904億円(対売上高比率4.19%)

    年間配当     48円

    配当性向    28.9%

     

    2018年3月期四季報予想

    売上高  12兆0000億円

    営業利益    7200億円

    当期利益    5740億円

    一株当り利益   146.8円

    年間配当   53円〜59円

    配当性向     36.1%(配当下限値で試算)

    配当利回り    4.86%(株価10/6終値1,091.5円、予想配当下限値で試算)

     

     

    <トヨタ自動車(証券コード:7203)>

    2017年3月期

    売上高   27兆5972億円

    営業利益  1兆9944億円

    当期利益  1兆8311億円

    一株当り利益   605.5円

    設備投資  1兆2118億円(対売上高比率4.39%)

    研究開発  1兆0375億円(対売上高比率3.76%)

    年間配当      210円

    配当性向     34.6%

     

    2018年3月期四季報予想

    売上高   28兆5000億円

    営業利益  1兆8500億円

    当期利益  1兆7500億円

    一株当り利益   579.1円

    年間配当  200円〜210円

    配当性向     34.5%(配当下限値で試算)

    配当利回り    2.90%(株価10/6終値6,889円、予想配当下限値で試算)

     

     

     

    2.配当利回りで上位に位置され、投資家からの注目を集める日産自動車

     

     配当だけで見た場合、特に配当性向はトヨタ自動車も同水準といえます。設備投資や研究開発費が売上高に占める割合についても、設備投資と研究開発費の合算値で8%前後で同水準です。

     配当利回りは、トヨタ自動車の方が人気があることもあり、10/6の終値でみた場合、日産の方が利回りが高くなっています。もともと高配当銘柄の上位に、日産自動車は顔を出し続けておりまして、株主還元には積極的ですが、株価がそれほど上昇せず、結果的に配当利回りが高くなっていました。

     配当性向から見れば、決して無理な配当はしておらず、たこ足配当のイメージはありません。その意味では、私も購入タイミングを狙っていた銘柄の一つです。

     

    <配当利回りランキング>

    (出典:ヤフーファイナンス)

     

     

     上記は、2017/10/9時点(2017/10/6時点終値)の配当利回り銘柄ランキングで、上位1位〜20位を表示させたものです。日産自動車は4位にランキングされています。

     他の銘柄でAIやIoT関連や、業績絶好調の半導体関連で、暴騰している銘柄が数多い中で、自動車関連株は出遅れていることもあって、特に日産自動車は配当利回りが高くなっているのです。

     

     

     

    3.カルロスゴーンと豊田章男社長との役員報酬差は7億円

     

     あえてネガティブなイメージ、特に今回の検査偽装に紐付けていえば、役員報酬の高さをあげられると思います。下記は2017年3月期の有価証券報告書の抜粋です。

     

    <日産自動車の有価証券報告書P47の抜粋>

     

     

    <トヨタ自動車の有価証券報告書P85の抜粋>

     

     

     注目いただきたいのは、赤枠の数値でして、トヨタ自動車の豊田章男社長の役員報酬総額(基本報酬と賞与)は322百万円であるのに対し、カルロスゴーン氏は1,098百万円も得ているということです。

     

     このような事件が勃発したから言うわけではありませんが、役員報酬をトヨタ自動車の豊田社長並みに抑えれば7億円強。株式配当もトヨタ並みにせず、配当性向で20%程度にとどめたとすれば、配当流出額1828億円のうち、600億円程度。合計607億円程度の資金がねん出できたかもしれません。

     

     役員報酬を抑えた程度では7億しかねん出できませんが、当期利益は販管費を差し引くため、コストを削減すれば当期利益は増えます。株式会社なので利益追求は当たり前なのですが、利益を出すためにコスト削減に力を入れ過ぎて、コストコストコストとなりますと、結果的に当期利益が増えて配当可能利益が増えて配当もたくさん払えて役員報酬も多く払えるとはいえ、犠牲になるものが出てくるでしょ?と思うわけです。

     

     品質という付加価値は目に見えにくいため、捻出した費用を品質向上に充てたとして、必ず不祥事が発生しないとは言い切れないのも悩ましいところです。とはいえ、コストを掛けず原資が少なければ、品質は劣化するというのは、安かろう悪かろう、高かろう良かろうということになることが多いと私は思っています。

     

     したがって、特にコスト削減を中心にして利益を出すような会社は要注意です。「品質を疎かにするはずがない」といくら宣言してみたところで、それはわかりません。人件費を抑える会社であれば、給料が増えず働く人のモチベーションも下がりますでしょうし、雇用条件が派遣社員や契約社員などの非正規雇用が多いような会社の場合は、人材はコストとして考え、人財とはならず、中長期的にノウハウ技術の継承や生産性の向上の低下につながることは容易に想像ができます。

     

     日産自動車の場合、コスト削減に成功したのはカルロスゴーンの手腕であり、高額報酬をもらうのは問題がなく、配当を多く出すことは問題がないとして、日産自動車の経営手腕を称賛する声もありました。いつだったか?数年前ニュースのテレビ番組で、日産自動車が業績回復したということで、日産自動車の株主総会終了後に、日産自動車の株主(高齢の男性の方)がインタビューされ、カルロスゴーンの高額役員報酬は業績回復の功績で問題がない旨の回答をされていました。

     

     もちろんそういう見方を否定するつもりはありません。たこ足配当ではありませんし、株式投資先として高配当銘柄で取り上げられることについても、否定するつもりはありません。

     

     とはいえ、今回の不祥事がいつから行われたか?という点が気になりますが、今まで業績回復時から今日まで何も起きなかったからこそ、高配当が実現できたわけです。私は日産自動車の今後の配当政策に興味があり、日産自動車が今回の事件の再発防止にどう動くか?見守りたいと思っております。

     

     

     というわけで、今日は日産自動車の検査偽装について取り上げました。株価の今後の見通しでいえば、課徴金の2億円は、日産自動車の売上高、営業利益、当期利益の水準から見ればゴミみたいなもんで、痛くもかゆくもないでしょう。またリコール費用の250億円についても、当期利益で5%に満たない水準ですし、それほど影響が大きいとは思いません。

     ですが、この不祥事をソフトランディングさせて早期収拾がつかなければ、風評被害で売上不振となって、リコール費用250億円の決算インパクトが大きくなることもあり得るかもしれないため、配当利回り狙いで日産自動車株の購入を検討される方は、引き続き事態の行く末を注視する必要があるものと考えます。


    デフレ長期化による日本国民の総愚民化(無駄削減は自分たちの首を絞めることを知らない愚者の存在)

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       今日は「デフレ長期化による日本国民の総愚民化」と題し、多くの人々が間違いやすい論説に陥っている現状について、マクロ経済的に私見を述べさせていただきます。

       

       私たち日本人は、人類歴史上空前の長さのデフレーション環境に身を置いています。デフレの国では、物価が下がります。反対側から見れば、「お金の価値が上がっていく」ということです。

       

       物価下落で、保有する現金紙幣や預金で買える物・サービスの量は増えるかもしれません。その結果、人はお金を貯め込み、反対側で「別の人」が生産する物・サービスが売れず、人々の所得は減少していきます。即ち、国民総貧困化の道を歩んでいるというのが、日本の現状の姿です。

       

       このような環境では、多くの人々が節約に努め、お金を使うことが「間違った行為」であると思うわけです。何しろお金の価値が上がっていくので、お金を使うことはもったいない、貯めなければならない・・・・となるわけです。

       

       例えば、デフレ対策のために政府が、

      ●物を高い金額で買う=名目GDPの成長に寄与

      ●物をたくさんの量を買う=実質GDPの成長に寄与

      ●サービスに対してたくさんの金額を払う=名目GDPの成長に寄与

      ●サービスの回数を多く受ける=実質GDPの成長に寄与

      という正しい対策をしようと思い、お金の支出(=政府支出)を増やそうと思っても、

      「政府は無駄なお金を使うな!支出を切り詰めろ!」

      となるわけです。

       

       本ブログの読者でも、上述のような意見を持たれている方、いませんでしょうか?

       

       政府は”経世済民”を目的に存在している利益追求が不要のNPO法人です。”経世済民”とは、経済の語源で、中国の古典から出てきたものですが、「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」ことを意味し、国民を救うために様々な公的対策を行おうとすることが「経済」であるとされています。

       

       政府支出削減(=無駄削減)はインフレ対策、政府支出増加はデフレ対策であります。個々人の家計や、企業経営では、節約に努め、蓄財を増やす、内部留保を増やすをすることは、勝手にやればいいわけです。ましてやデフレ環境ではお金の価値が上がっていきますので、節約や蓄財を増やすことや内部留保を増やすことは、合理的です。

       

       とはいえ、デフレ(そもそもデフレを正しく理解している国民が圧倒的に少ないことも問題ですが・・・)に苦しむ日本国において、経世済民のために政府が政府支出を増加させることは全く問題がなく、マクロ経済理論的にも正しい政策です。

       

       ところが、自分たちがお金を最重要視し、節約と蓄財に努めている状況が続きますと「政府は無駄な金を使うな!支出を切り詰めろ!」と声を上げ、結果いつまで経っても「お金の支出が足りない」というデフレーションから脱却できないという悪循環が続くのです。

       

       それどころか人々は、小池都知事が「自らの給料を半減します!」と宣言すれば、「なんて立派な人だ!」と拍手喝采します。そのうえ「都知事だけでなく、東京都議会議員や東京都庁の職員も全員給料を引き下げろ!身を切る改革をしろ!」なんて始まるわけです。

       

       小池都知事の給料を半額にして、都議会議員と都庁職員の給料を引き下げた場合、その額がすべて支出減となってデフレ化を促進させます。100歩譲ってデフレ化を回避するためには、毎年支出するはずの都知事の給料と都議会議員と都職員の給料分の全額を、毎年東京都のために公共事業に支出するということを実施しない限り、デフレ化していくことになります。

       

       長期間デフレ環境に置かれた国民が「無駄を削減しろ!」と叫んで、国家や地方自治体が実際に政府支出減をした場合、さらに国民が首を絞めて総貧困化していくことになるのです。そういう意味では、私はこの無駄削減を称賛してやまないこの状況について辟易としておりまして、総愚民化しないか?危惧しております。

       

       総選挙をするようですが、残念ながら安倍政権は消費税増税を主張しています。理由は幼児教育無償化に充当するためと報道されています。私は、幼児教育無償化に反対するつもりはありませんが、政府支出で普通に財源は国債発行でやれば問題ありません。国債不足も解消し、デフレ脱却に資します。

       にもかかわらず、「財源は増税で行う」というように、国家運営を家計簿の発想、企業経営の発想で行うという間違った政策でやろうとしているため、私は安倍政権の政策に批判の立場なのです。

       

       なぜならば、デフレ化における増税は、国民が物・サービスを買う行為において、安さを求めることで名目GDPが減少し、物・サービスの個数・稼働回数を減らすことで実質GDPが減少します。その結果、間接税で税収が確保できていると思いきや、下手すれば増税分である2%(8%→10%)以上、物・サービスの購入個数、サービス稼働回数が減少してしまえば、間接税で減少します。そして何よりも直接税が減少し、税収全体で”減少することすら”あります。

       

       ”減少することすら”と書いたのは、日本は少子高齢化により、医療・介護費用の政府支出増が多く、このことがデフレを食い止めています。結果、税収全体が減少しせず、横ばいを続けていることができるのです。

       にもかかわらず、安倍政権は医療・介護費用を削減しようとしています。というよりも、日本国民ですら、無駄を削減するためには医療・介護費用削減は仕方ないと我慢します。そのことが、デフレ脱却を難しくしているということに気付いていないのです。

       

       

       というわけで、日本国民が総愚民化しないようにするためには、私たち自身が知見を高め、マスコミの記事やら、経済学者の論説を見極められるようにする必要があります。そして、そうした人々を少しずつでも増やしていくことが、日本を再び強国に導き、将来世代に強国日本を引き継げるものと、私は思うのであります。


      ハイパーインフレの定義について

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         今日は「ハイパーインフレ」について述べます。

         

         よく、私はデフレが続く日本においては、「政府支出増」と「国債増刷」を早く実行しろ!という主旨の論説をここで述べることが多いです。2つのうち、「国債増刷」を主張しますと、中には「そんなことしたら、ハイパーインフレになる!」という人が、一般人はもちろんですが、大学教授やエコノミスト、アナリスト、国会議員らでさえ、こうした意見を述べられる方、多数います。

         

         下記はハイパーインフレについて、ウィキペディアが説明しております。

        『最低でも国際会計基準の定める3年間で累積100%(年率約26%)の物価上昇[1]フィリップ・ケーガン(英語版)による定義では月率50%[2](年率13,000%[2][3])を超える物価上昇を『ハイパーインフレーション』と呼んでいる[4]。但し具体的なインフレーション率の値によるのではなく、単に「猛烈な勢いで進行するインフレーション」のイメージを強調する際に用いるマスメディアも多い。

        ハイパーインフレの発生は、通貨を媒介とした交換経済を麻痺させることや、不確実性の高まり[5]によって、生産活動や投資への意欲を喪失させることで、国民経済に重大な影響をもたらす。

        ハイパーインフレは主に、経済の提供可能な水準を超えて政府がシニョリッジの獲得を図る時に発生する。この時、貨幣供給量が中央銀行にとって外生的に決まってしまい、もはや中央銀行は物価を抑えこむことが出来なくなる。シニョリッジ獲得のために貨幣を刷って名目貨幣残高を増やした場合、インフレーションを伴うのでシニョリッジは実質で見ると目減りすることになる。

        貨幣を刷るほどに、インフレによるこの目減りが加速度的に増加するため、政府が獲得可能な実質のシニョリッジには上限が存在する。この上限に達した状況から、政府がさらなるシニョリッジを求めて貨幣を刷った場合、インフレが一層昂進して政府は目的としたシニョリッジを確保することができない。それで、ますます貨幣を刷ってシニョリッジを獲得しようとすると、その結果インフレがさらに昂進して…、という悪循環に陥ることになる。これがハイパーインフレである。この種類のハイパーインフレは、政府の政策が変更されるという予測が、人々に形成されるまで継続する可能性がある[6]

        実際に、ハイパーインフレが起こるのは、敗戦や革命といった時期であることが多く、フランス革命の時に起こった、アッシニア紙幣の増刷によるインフレーションを、歴史上最初のハイパーインフレとする説もある[7][8]

        金塊や銀塊の地金に、通貨価値を固定する本位制では基本的にハイパーインフレは発生しないのであるが、開戦などにより本位制は停止されることが多く、この際に、管理通貨制度に移行し戦時財政が野放図になってしまったり、敗戦により多額の賠償が発生する(惧れがある)場合、通貨信用は喪失され急激で一時的なハイパーインフレが発生する。

        敗戦や革命以外においても、ある国の経済市場が信認を失うことでハイパーインフレが発生することがある。これは中南米などラテン諸国やロシア東欧諸国で発生した性質のもので、領域経済の成長を期待した域外諸国市場による投資が長年にわたり行われたものの、その成果が十分でなく投資に対する不信感・不安感が醸成された結果として、当該国通貨が暴落し購買力を急速に失うという現象である。(後略)』

         

         

         上述の説明において、言葉の定義としてフィリップ・ケーガンにより、年率13000%のインフレと定義されています。 また、国際会計基準審議会(IASB)によれば、「3年間のインフレ率が100%以上」と定義したりもしています。

         このように言葉の定義が不明で、結果「猛烈な物価上昇」というイメージが、人々の頭の中に植え付けられることになるわけです。

         

         ウィキペディアでいう年率13000%のインフレとは、どんなイメージでしょうか?

         これは、下記の数式で算出されます。

        1.50の12乗=1.50( 法1.50(◆法1.50()・・・・・・×1.50()=12974.63379≒13000

         (上記をぜひ、電卓でやってみてください。)

         

         この「1.50の12乗」をどう考えるか?

         毎月50%の物価上昇が12か月続くとすれば、上記数式となり、めでたくハイパーインフレ13000%達成となります。毎月50%の物価上昇とは、今日100円の缶コーヒーが、1か月後150円、2か月後225円、3か月後337.5円・・・12か月後12,974円 と説明すれば、皆さんもイメージできるでしょうか?今日100円の缶コーヒーが、1年後に約13,000円になるというのがハイパーインフレのイメージであり、言葉の定義としては、年率13000%の物価上昇となります。

         

         私が思いますに、ハイパーインフレという言葉を口にする人は、こうした言葉の定義をわかって言っているのでしょうか?それともわからないで言っているのでしょうか?

         

         それだけではありません。おそらくインフレという言葉の意味が、インフレギャップが発生している状態、逆にデフレーションは、デフレギャップが発生している状態、即ちインフレ・デフレは、需要の過不足現象なのですが、そのように理解した上で、ハイパーインフレーションという言葉を使っているでしょうか?

         

         私には到底、そう思いません。つまり大学教授にせよ、エコノミスト、アナリスト、新聞記者、国会議員、いずれもなんとなくお金を刷るとインフレになると思い込み、紙幣をたくさん刷れば刷るほど高インフレ、ハイパーインフレになると思い込んでいる人がほとんどではないでしょうか?

         

         

         実際は、安倍政権は猛烈な勢いで通貨発行をしています。具体的には日銀が国債を銀行から買い取り、日銀当座預金を増やす形で通貨発行をしております。ところが、どうでしょうか?物価上昇は果たせるどころか、GDPデフレータはマイナスを続けており、ハイパーどころか、インフレにすらなっておりません。

         

         ウィキペディアの文章の中に「実際に、ハイパーインフレが起こるのは、敗戦や革命といった時期であることが多く、フランス革命の時に起こった、アッシニア紙幣の増刷によるインフレーションを、歴史上最初のハイパーインフレとする説もある[。」とあります。敗戦や革命後は、フィリップ・ケーガンの定義の13000%だったかどうかはともかく、ハイパーインフレが発生する可能性はあります。

         

         なぜならば、インフレは需要の過不足説であると私は申し上げました。戦争状態では、国内の供給力が破壊されたり、安心して設備投資や人材育成への投資をすることができず、結果的に需要に対して、供給が不足し、需要>供給 となることから、物価上昇するということは普通にあり得ます。

         ところが、ウィキペディアの説明では、「紙幣の増刷が歴史上最初のハイパーインフレとする説もある」と述べていまして、これは間違っており、こうした論説が人々に誤解を生むものと思うわけです。

         

         紙幣をどれだけたくさん増刷しても、物価が上昇しないことは、日本を見ればわかるはず。金融緩和をどれだけ継続したとしても、それだけで物価上昇するわけがありません。何しろ物価とは、物・サービスが値段を高く多く買われれば価格上昇し、値段を安く少なく買われれば価格下落するという事象のことをいいます。

         

         わかりやすく例えれば、日銀が1000兆円追加で借金をしたとして、私が焼き芋を食べるために1000兆円の紙幣を燃やしてしまったとして、物価には影響が全くないわけです。金融緩和だけをやっても、需要創出をしない限り、ハイパーどころか、インフレになりようがないのです。

         

         

         というわけで、今日はハイパーインフレについて述べました。通貨発行すれば・・・お金をたくさん刷れば・・・、インフレになるというのは、まったくの大うそ・デタラメだということを、皆さんにご理解いただきたく思います。それには、インフレ・デフレが、貨幣量の増減ではなく、需要の過不足現象であるということの理解も必要です。

         ぜひ、私たちが知見を高め、識者(エコノミスト、アナリスト、経済学者など)と呼ばれる人が間違った情報発信をしていることを、知っていただきたいと思います。

         

         

         


        2017年2QのGDPデフレータが前年同期比▲0.4%だから日本はデフレです!

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           今日は内閣府が8/13に発表した2017年4月〜6月のGDP速報について取り上げます。

           

           物価変動を除く季節調整値で、前年比1%UP 年率換算4%UPで、個人消費・設備投資が堅調との報道です。

           

           上記の通り、GDPデフレータは、前期比▲0.80→▲0.40ですが、前年同期比では▲0.40ということなので、マイナスに沈んだままです。

           GDPデフレータが、対前年同期比で2008年1Q以降、プラスに浮上しているのは、下記の期間です。

          ●リーマンショックで輸入が激減したとき(2008年4Q〜2009年1Q)

          ●安倍政権誕生で国土強靭化計画により政府支出増に転じた2013年4Qから消費増税(5%→8%)を挟んで2016年2Qまで

           

           またグラフに記載がありませんが、GDPデフレータが対前期比で2008年1Q(1月〜3月)以降、プラスになったのは、2回です。

          ●リーマンショックで輸入が激減した2008年4Q(10月〜12月)のプラス1.2

          ●消費増税(5%→8%)以降の2014年2Q(4月〜6月)のプラス2.0

           

           前期比で見る場合、プラスになるケースとして、リーマンショック等世界経済が悪くなって世界中が不景気になって輸入が激減するため、GDPデフレータは前期比でプラスになります。また、消費増税も名目の物価を引き上げるため、プラスになります。

           これは、GDPデフレータ=名目GDP÷実質GDPで算出されるため、当たり前なのです。これで、プラスだからといって、デフレ脱却なんてことはあり得えないのです。(参照:「GDPデフレータと実質GDPに騙される政治家」)

           

           今回、名目GDPも実質GDPもプラスになったのは、確かにいい数字ですが、前年同期比でGDPがマイナスに沈んでいる以上、日本はデフレだといえます。なぜならば、前年同月比で物価が下落しているということを示すからです。

           

           安倍政権は、2012年にデフレ脱却を標榜してできた内閣です。

           既に4年半経過していますがGDPデフレータでマイナス。物価上昇率でいえば、コアCPI(生鮮食品価格変動を除く消費者物価指数)で見て、プラス0.1%〜0.2%程度で、2%の物価上昇率は達成できておりません。

           

           理由は何故か?

           それは、2014年以降の緊縮財政が原因です。デフレの国で、プライマリーバランス黒字化をやっているため、懸命に日銀が通貨発行しても、企業・家計は投資が減るに決まっていますし、その政府自体が緊縮財政をやっています。ある意味で、デフレになっているというこの結果は必然です。

           

           茂木経済産業大臣は、今回の2017年4月〜6月のGDP速報値を見て、いい数字であるとし、現段階で具体的な経済対策はそうえちしていないと述べています。要は実質GDPだけがプラス化して、5期・6期プラスになったから経済対策は不要といっているわけです。

           そもそも、2017年4月〜6月のGDP速報値がプラスになった原因は、昨年2次補正予算で公共工事を増やしたという要因が大きいです。それも、やっと重い腰を上げて補正予算をやったという状況。今手を打たないとすれば、株式市場がすぐに株価変動することはありませんが、経済は普通にデフレ化します。

           実質賃金・実質消費・GDPデフレータの3つがマイナスであるにもかかわらず、経済対策はやらないということなので、再デフレ化することは確実といえます。

           

           

           というわけで、今日は8/18発表の内閣府のGDP速報について触れ、GDPデフレータについて取り上げて、未だデフレである旨を意見させていただきました。

           

           


          ビットコインが将来、実物紙幣(日本円)を駆逐することはありません!

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            JUGEMテーマ:ビットコイン

             

             今日はビットコインについて取り上げます。

             皆様は、次のようなフレーズを耳にしたことありませんでしょうか?「将来、ビットコインが日本円を駆逐して主流通貨になる!」なんて話、聞いたことありませんでしょうか?そのことがあり得ないことを、ご説明したいと思います。

             

             

             

            1.意外と高い海外送金手数料

             

             ビットコインが流行った理由は、海外決済で使えるからです。私は、海外送金の経験があります。ケーススタディとして取り上げます。

             

            <ケーススタディ 筺

            杉っ子名義のシティバンク銀行(現SMBC信託銀行)の円預金口座→杉っ子名義のベトナム投資開発銀行のドル預金口座へ 5000ドルを送金する

             

            シティバンクの海外送金の手数料の概要は下記の通りです。

            ●口座を持っている人(窓口):4,000円(手数料2,000円 電信料2,000円)

            ●口座を持っている人(PCオンライン):3,500円(手数料1,500円 電信料2,000円)

            ●口座を持っている人で預金残高100万円以上(PCオンライン):2,000円(手数料無料 電信料2,000円)

            ●口座を持っている人で預金残高1000万円以上(窓口・PCオンライン):無料(手数料も電信料も無料)

             

            預金残高が1000万円以上の場合、海外送金手数料は無料で、シティバンク銀行に払うものはありません。

            預金残高が100万円以上で適用される海外送金手数料2,000円もまた、他の銀行と比べると安いです。

             

            とはいえ、中継手数料(コルレスチャージ)と、受取手数料(リフティングチャージ)は無料になりません。

            また、中継手数料と受取手数料がいくらか?は、送金時にはわかりません。

            おおよそですが5%くらいは、かかっていたと記憶しています。

            50万円をベトナム投資開発銀行の杉っ子名義のドル預金口座に送金するのに、7500円程度かかっていたかと記憶しています。

             

            シティバンク銀行の場合、必ずCitybank−USAを経由して、Citybank−USAが中継手数料を徴収します。

            また受取手数料はベトナム投資開発銀行が徴収します。

            7500円程度の手数料は、Citybank-USAとベトナム投資開発銀行に支払ったことになります。

             

             

            <ケーススタディ◆

            杉っ子名義のSMBC信託銀行の円預金口座→旅行代理店会社名義のBank-of-China(中国銀行)のドル預金口座へ 800ドル送金する

             

            シティバンク銀行はリテール部門をSMBCフィナンシャルグループに売却し、SMBC信託銀行という社名に変わりました。ですが、海外送金業務についてはCitybankに業務委託しているため、ドルに換えるためにCitybank-USAを中継することは、今も変わりません。

             

            というわけで、中継手数料はCitybank-USAが徴収し、受取手数料はBank-of-Chinaが徴収します。

             

             

             

            2.ドル建ての口座に送金する場合は、必ず米国国内の銀行を中継する!

             

             上述のように、ドル建ての口座に送金する場合は、必ず米国国内の銀行を中継し、中継手数料が徴収されます。

             この「ドル建ての口座」というのがポイントです。なぜならば、例えば英国国内のRBS(ロイヤル・バンクオブ・スコットランド)やHSBC(香港上海銀行)で、「ドル建ての口座」となれば、米国国内の銀行を必ず中継します。

             もし、「ユーロ建ての口座」となれば、米国国内の銀行を経由することはありません。例えば私が、RBSの英国国内の支店にユーロ建ての口座を持っていたとします。この場合は、欧州域内の銀行を経由します。

             

            杉っ子名義のSMBC信託銀行の円預金口座→杉っ子名義のRBS銀行のユーロ預金口座へ 100€送金する

             

             このときは、英国国内のCitybankの銀行を経由しますので、Citybank−London?が中継手数料を徴収し、RBS銀行が受取手数料を徴収します。

             

            ※余談ですが、直近では、先述の通り私は中国国内の旅行代理店に800ドルを送金しています。旅行代理店からの指示では、人民元口座の指定もありました。ところがSMBC信託銀行は、取扱対象通貨に、人民元がないため、円預金口座から人民元預金口座へ送金することができません。Citybank銀行だったときも、人民元の取扱はありませんでした。

             

             

             

            3.ビットコインが急騰している理由

             

             ビットコインは、各通貨とレートが変動します。下記はビットコインと日本円のチャートです。

             

             

             上記の通り、2015年くらいまで、ビットコインは1BTC=3万〜4万で取引されていましたが、直近では40万円超で取引されています。この1〜2年で10倍にまでなったため、注目を浴びているのです。

             

             なぜここまで上昇しているか?

             

             1つ目は、先ほどの送金手数料がかからないという点です。

             日本から欧州の銀行にドルを送金する場合、米国の銀行を経由してから欧州の銀行に送金されます。この時にかかる中継手数料と受取手数料と、日本の銀行に払う海外送金手数料が無料になります。

             ビットコインと日本円のレートは変動しますので、時間をかけて送金をした場合は、価格変動による損得が発生しますが、10分程度でやっていれば、基本的に価格変動損益は発生しません。

             

             2つ目は、ビットコインが好きな人たちがいます。特に中国人。なぜならば、中国共産党政府は、人民元の送金制限をしたり、外貨に換えることを制限しています。即ち資本移動の制限をしているのです。理由は人民元対他国通貨安を食い止めるためです。

            (参考ブログ:「中国人の爆買い需要を狙った三越の失敗(日本人客を大事せず中国人向けシフトにしたツケと百貨店の苦境)」「打つ手なしの中国経済(爆買い規制と供給力過剰問題)」「中国の外貨準備高3兆ドル割れ」「中国人民銀行が人民元の海外流出額を制限!」)

             

             ところが、人民元とビットコインの変換は、今のところ規制がありません。そのため、中国人の富裕層が外貨を手に入れようとした場合、人民元売り外貨買いが規制で制限されているということで、ビットコインを買って、ビットコインを外貨に変換するということをやっているのです。

             例えば、人民元を大量に売ってビットコインを買い、買ったビットコインを売って日本円を買うということをするわけです。

             

             

             

            4.ビットコインが世界の基軸通貨になることはできません!

             

             私たちは、なぜ日本円という紙幣を買い物に使っているのでしょうか?意識していないと思いますが、納税が可能だからだと言えます。

             ドル紙幣で買い物をしないのは、なぜでしょうか?世界の基軸通貨なのに、なぜ日本の商店では、代金をドル紙幣で受け取ってくれないのでしょうか?

             理由は、ドルで納税することはできないからです。納税は必ず日本円で納税する必要があります。日本円で納税する必要がある以上、ドルで持っていた場合は、ドル円レートが変動し、円ベースで見た納税額が不足してしまうことがあり得ます。

             

             人間は個人で生きることはできません。道路などのインフラは必要ですし、公的なサービスも必要です。他人と揉めたら公に解決する司法というサービスのシステムも必要です。さらにいえば、安全のために警察や消防や軍隊も必要です。

             

             こうした公的サービス、社会全体が供給するサービスは、国内で生きていくのに必要なものばかり。無政府状態になった北アフリカのリビアで、いくら大金を持っていたとしても、そのお金持ちの方はビジネスをすることは難しいでしょう。無政府状態となれば、自由に取引できますが、何しろインフラが整っていないリビアで、購買力も低いリビア国民を相手に、ビジネスができる可能性は極めて低いわけです。

             

             リビアの悲惨な状況を見れば、公的サービスは人間には必要であると理解できます。その公的サービスは、私たちが税金を納めて、政府が支出するというシステムになっています。その税金は何で払うでしょうか?米ドルでしょうか?欧州ユーロでしょうか?はたまたビットコインでしょうか?

             日本円で払うしかありません。ビットコインで納税することはできません。

             

             例えば1ビットコインが今40万円以上しています。ビットコインで納税した場合、ビットコイン自体が価格変動が激しいですから、対日本円で大幅に下落することもあり得ます。だから絶対に日本円での支払いしか認められないでしょう。

             裁判官や警察官や消防員や自衛隊の給料は、日本円で支払われます。納税が認められないビットコインでもらうことはあり得ません。

             

             ビットコインと日本円のチャートでいえば、ビットコインが投機で買われて高騰しているだけです。ビットコインが日本円紙幣を駆逐するということは、納税が認められない限りあり得ず、政府が給料を円で払う以上、納税にビットコインでの支払いを認めることもできません。

             結局、円紙幣をビットコインが駆逐することはあり得ないということです。

             

             

             というわけで、今日はビットコインについて取り上げました。私が取引している某メガバンクで、仕方なく投資信託の購入をお付き合いしていますが、その窓口の方もビットコインへの投資についての話題が出ていました。銀行員であっても、日本政府が通貨発行権を持つことや、ビットコインが納税として認められない背景や、バンクとノンバンクの違い(参照:国民の金融資産を政府の負債が超えると破綻する!」は本当か?」の2.準備預金制度の意味とバンク・ノンバンクの違いなど、知らない人は多いと思います。

             一般人であれば、なおのこと知らない人が多いでしょう。結果的に政策が間違えやすい。よくあるデフレ対策で、お金を現金紙幣を増やせばインフレになるという人がいます。

             もし、「日本のお金が紙幣しかない」「預金することは禁止」「給料をもらったら絶対に使わなければならない」という3条件が揃っていれば、現金紙幣を増やすことで、インフレにするということは可能です。

             実際は、お金は紙幣だけではなく、預金があり、貯金もありますし、稼いだ所得を使わないという選択肢もあります。預金や貯金など、お金を使わないという行動は、他の人の所得を生み出しませんので、経済成長に貢献しません。それが理解できれば、政府までもがお金を使わないという緊縮財政をやればデフレになるのは当たり前ということも理解できるでしょう。

             紙幣を貯めることが国力強化に繋がるわけではない。にもかかわらず、紙幣を貯めるこそ豊かさと思うから、ビットコインを貯める、価値が高騰するビットコインを貯めるという発想が出てくるのでしょう。

             ですが、紙幣にもビットコインにも、それ自体には価値がありません。紙幣自体は、印刷代を考えて1万円札なんて100円もかからないで印刷できると思います。紙幣やビットコイン自体に価値はないのです。

             だから、ビットコインで儲けようと思われている方がおられたとすれば、金地金やプラチナ地金と同じで、金地金相場やプラチナ地金相場で投機をしているのと同じであるといえるのです。

             

             


            運送業界における生産性向上と宅配BOX

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              JUGEMテーマ:運送業界について

               

               今回「生産性向上と宅配BOX」と題し、運送業界について意見したいと思います。

               

               運送業界における生産性向上としては、次のような解決策があります。

              ●トラックを大型化する(企業が主体)

              ●2台連結、3台連結などの隊列走行をできるようにする(企業が主体だが規制や環境整備で国も関与する)

              ●荷下ろしがスムーズに行えるようパワーアシストスーツを購入する(企業が主体)

              ●宅配BOX設置を義務付け、再配達業務の軽減させる(企業が主体だが法整備・環境整備で国も関与する)

              ●高速道路がないところに高速道路を作る(国が主体)

              ●高速道路や一般道路の車線幅を広げる(国が主体)

               

               今日は上記のうち、宅配BOX設置について意見いたします。

               

               

               

              1.運送業界のドライバー不足と宅配BOX設置

               

               運送業界はドライバー不足という人手不足状態となっています。日本は一軒家になぜ宅配BOXがないのでしょう?マンションには宅配BOXがありますが、郵便受けに荷物は入りません。

               

               おそらく過去に「宅配BOX置きましょう!」と提案した企業はあったかもしれません。とはいえ、再配達がどれだけ無駄で非効率で生産性が低いか?ということが社会的に認知されていなかったと思うのです。

               さらに言えば、運送会社も人が足らないのであれば、デフレで人余りであるがゆえに人を雇えばいいのでは?という風潮があったとも思います。

               

               でも今の人手不足の状況下で、「”人を雇えばいい”というわけにはいきません!」となり、ようやく一軒家の宅配BOXが注目されるようになったのでしょう。

               宅配BOXについて、皆様にイメージしていただきたく、イメージは下記の通りです。

               

               

              (出典:パナソニックのホームページ)

               

               

               宅急便の最大手のヤマト運輸が、料金値上げを発表しましたが、その背景は再配達です。

               改めて、その大変さがクローズアップされました。

               宅配会社の人、ドライバーの人、運送会社の人にとっての付加価値(生産活動)は、荷物を運ぶことです。

               運送サービスを生産しているわけですが、再配達は運送サービスの生産にならず、ものすごい無駄です。

               何度も何度も不在通知を入れたり、〇〇に電話してくださいとか、届けることができない限り生産にならないのです。

               

               

               

              2.パナソニックによる宅配BOX設置の実証実験(福井県あわら市における実証実験)結果

               

               最近、宅配BOXの話題は増えており、その一つがパナソニックが福井県あわら市内の共稼ぎの一戸建て用に宅配BOXを設置した実証実験を行いました。

               結果が出ておりまして、再配達率は宅配BOX設置前と設置後で、49%→8%に減少したとの実証結果が出ています。

               

              <資料1:パナソニックによる福井県あわら市内の宅配BOXの実証実験結果>

               

              (出典:パナソニックのホームページ)

               

               

               上記表の通り、49%→8%という数字は、生産性で言えば、40%上昇したということになります。0%にならない理由としては、

              ●荷物が大きすぎて宅配BOXに入らなかった

              ●冷凍冷蔵品で宅配BOXに入れておくことができない物だった

              ●ドライバーが宅配BOXの場所がわからなかった

              というのが主な理由で、再配達になってしまったのもあります。

               

               とはいえ、49%→8%という数値改善は、今まで2回行かなければ荷物を届けられなかったのが、1回で届けられることが格段に増えたということであり、宅配会社にとっては、まさに生産性の向上ということになります。

               ドライバーさん一人当たりの運送宅配サービスの生産量が上がったというわけです。

               別にドライバーさんの労働時間が増えたわけではありません。むしろ逆に労働時間は減っています。

               

               

               

              3.デフレを起因とする過剰サービス横行と団塊世代ドライバー引退とネットショップの激増

               

               デフレの時は生産性がなかなか上がりません。宅配便サービスは、その最たる例と言えましょう。競争に勝ち残るために、サービスの一つとして再配達を当たり前のようにやってきたわけです。

               失われた20年間の日本における究極的な問題は、過剰サービスを低価格で提供せざるを得なかったということであり、貧困化やデフレに陥った経緯のポイントでもあります。

               

               なぜならば?と言えば、もし過剰サービスをしない場合、「客に逃げられるじゃないか!」という話になるからです。

               日本の宅配サービスは文句なしで世界一ですが、これはある意味でデフレに起因するとも言えるわけです。

               

               では、今後はどうすべきでしょうか?

               同じ高品質のサービスを維持したいということであれば、生産者即ち宅配業界でいえば、ドライバーさん一人当たりの宅配サービスの生産量を増やさなければ、どうにもなりません。政府と企業が協力して、宅配BOX設置の投資をすることで再配達を減らすということは、生産性向上のわかりやすいケーススタディです。

               

               宅配便の取扱数は着実に増加しています。インターネットの普及によりネットショップの激増で取扱数が増えているのです。

               国交省によれば、航空便を含めて2016年は40億個超になったという数値が発表されています。1億3000万人の日本の人口からすれば、20歳以上で見て約40個程度はネットショップで物を買っているということになるでしょう。

               

               ネットショップによる運送需要が増えていくのはイイことですが、その一方でドライバー不足という人手不足が重なっています。特に団塊世代のドライバーの引退が増えたところに、ネットショップ激増が重なり、宅配業界だけでなく運送業界が一気に人手不足となったのです。

               

               

               

              4.生産性向上の方法は4つしかない!

               

               誰もが景気が良くなって欲しいと思うでしょう。景気が良くなっていけばデフレ脱却し、人手不足を解消すべく、さらなる生産性向上をしていかなければなりません。その生産性向上のために必要なことは何でしょうか?生産性向上の方法は4つしかありません。

               

              (1)設備投資

              (2)人材投資

              (3)公共投資

              (4)技術投資

               

              1つ目の設備投資についていえば、宅配BOX設置は、ある意味で設備投資です。設備を設置することで生産性を高める。これは宅配会社が設置するのではなく、一般家庭で設置をするわけなので、宅配BOXを供給する会社と、政府が法を定めて義務付けるといった環境整備も必要です。製造業でいえば、工場の建設や設備設置やライン大量生産を指します。

               

              2つ目は人材投資ですが、ど素人よりも、その仕事に慣れた人の方が絶対的に生産性は高いです。

               

              3つ目は公共投資です。交通インフラなしに、どうやって生産性を上げるのでしょうか?一般道路だけだったら、これは絶対に無理です。端的に言えば高速道路をもっと作りましょう!という話です。

               

              最後は技術投資になります。運送会社でいえば隊列走行という技術があります。(下方のイメージを参照)

              1台のトラックで複数のトラックを連ねて走行するという技術ですが、2018年1月から実験が開始されます。

               

              <隊列走行のイメージ>

              (出典:国交省)

               

               隊列走行が実用化されて、例えば1台のトラックで後続で3台連ねて走行することができるようになったとします。するとドライバーさんは一気に4倍の荷物を運ぶことができるようになるわけで、生産性は4倍に向上します。極端な話、GDP3面等価の原則でいえば、ドライバーさんは4倍の給料をもらっていいのです。これが生産性向上による実質賃金の上昇なのです。

               現実には、運送会社と従業員ドライバーで労働分配率で4倍もらえませんが、運送料金を値下げせず4倍の荷物を運べば、実質賃金上昇の原資は最大4倍まで増えるのです。

               

               

               というわけで、今日は「運送業界における生産性向上と宅配BOX」と題し、運送業界における生産性向上と実質賃金上昇のためのヒントをご説明しました。生産性を高めない限り、実質賃金は上がりようがないのです。

               生産性を高める投資を促進させること、それこそが政府の役割だと思うのですが、逆に安い賃金の外国人労働者の受入促進をしてしまえば、「生産性を高める投資なんて面倒だから、外国人労働者を採用すればいいじゃん!」という話になり、生産性が高まらず実質賃金も上昇せず、デフレからいつまで経っても脱却できないという話になります。

               改めて生産性向上の意味について、本ブログでご理解が深まれば幸いです。

               

               

               

               


              生産性向上という言葉の定義とGDP

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                JUGEMテーマ:人手不足

                 

                 今日は「生産性向上という言葉の定義とGDP」と題し、人手不足について意見したいと思います。

                 

                 皆さんは、「生産性向上」といえば、どういうことだと思いますでしょうか?

                 また、「効率がいい」といえば、どういうことだと思いますでしょうか?

                 読者の皆さんの中には、「生産性向上=効率がよくなること」で「効率がよくなること=生産性向上」とループしたりしませんでしょうか?

                 

                 この問題に限りませんが、私は議論する際、言葉の定義をしっかりしなければダメだと思います。例えば経済成長=GDP成長と定義しています。同様に「生産性向上」や「効率が良くなること」の「効率」という言葉について、定義する必要があると思うのです。

                 

                 生産性=物・サービスの生産量のことであり、金額で言えば粗利益、マクロ的に言えばGDPです。

                 

                 日本は生産性が低い低いと言う人多いと思いますが、デフレでGDPが伸びていないので当たり前です。

                 1998年から500兆円で変わっていません。今年530兆円になりますが、30兆円増えるのは、単に算定方法が変わり、今まで加算していなかった研究開発費を参入するようになったから。いわば算定方法を変えただけなのです。(参考:2016年12月から改定されたGDPの算定方法 )つまり1998年から530兆円だったと言ってもよいでしょう。30兆円増えたというのは生産性が向上した結果ではないということを私たちは理解する必要があります。

                 

                 ミクロ面で言えば、企業単体とか個人の話で言えば、需要がたくさんある、仕事がいっぱいあるという環境になった場合、自分の生産能力にはある程度の限界があります。

                 例えば、畑仕事とか田んぼの稲作仕事とかで言えば、体を鍛えて筋力トレーニングするとか。ですが、筋肉トレーニングをしたところで、一人当たりがこなせる仕事の限界が、劇的に増えるまでには至らないでしょう。

                 

                 ところが、産業革命により資本主義が始まってからは、資本を投じることで、劇的に一人当たり生産性を向上させることができるようになりました。産業革命前までは、土地がなくなれば他国を侵略して土地を奪うか、筋肉トレーニングくらいしか、生産性向上は果たせませんでした。

                 

                 その意味で、産業革命というのは、他国の土地を奪わなくても、資本を投じて設備投資することで、劇的に一人当たり生産性が向上し、人一人がこなせる仕事を増やすことができるようになったという意味においても、革命だったと言えます。そして、それこそが生産性の向上であり、GDPを飛躍的に増やせるようになったというわけです。

                 

                 ところがデフレになると、設備投資は伸び悩みます。理由は簡単で、物・サービスの値段を下げなければ売れにくい(名目GDPが減少トレンドにある)、物・サービスの個数が今までより少なく買われる(実質GDPが減少トレンドにある)、という場外では、企業は儲かりにくいから。例えば銀行からお金を借り入れて設備投資をしたとしても、製品・サービスが高く買われ、個数を多く買われるという環境でなければ、銀行から借りたお金を返済できなくなる可能性があるから、設備投資が伸び悩むのです。

                 

                 金利がどれだけ安かろうと、経営者は需要(名目需要・実質需要)が無ければ、設備投資はしません。需要がないのに設備投資をしたら、経営者失格です。

                 上記はデフレギャップと図にしたものです。デフレギャップの正体とは、上記の通りであり、これがデフレです。

                 デフレ期は、人が余っています。下手すれば、工場や設備も余っています。

                 人が余っている、工場設備が余っている、となれば、生産性を高める必要はありません。

                 

                 

                 もし、仕事がたくさんあって人が足りないとというインフレギャップの状態(下図を参照)になれば、誰か人を雇えばよい!という話も出るでしょう。人を雇った場合は、当然一人当たりの生産性の向上はしません。何しろ、「インフレギャップを人の採用で埋めた=供給能力を増やした」ということは、一人当たり生産性の向上によって需要を埋めたという話ではないのです。

                 

                 

                例えば、人を採用せず、

                ●既存の人材の能力開発にお金を投じる人材投資を行う

                ●設備投資を行う

                ということで、一人当たりがこなせる仕事が増えるようになる形で、供給能力を増やして需要を埋めれば、一人当たりの生産性が向上して需要を満たした、ということになります。これこそが、一人当たりの生産性が向上したという話になるわけです。

                 

                 

                 少し話変わりますが、上述の話で、デフレ期は人が余っていると申しました。ところが、人が不足している業界があります。

                 

                 例えば運送業界やタクシー業界といったドライバーの運賃が安すぎる業界。介護業界も賃金が安すぎて、労働者の成り手が他業種と比較して少ない業界。また高齢者が増えるという需要増加に人手が追いつかないという点では医療業界が想像てきますが、賃金安の介護業界も需要が増えている業界です。

                 

                 こうした業界は、「誰か人を雇ってこい!」という話だとしても、もうできません。人手不足だからです。

                 今この瞬間、出生率が増加に転じても、20年は生産年齢人口が増加に転ずることはありません。

                 もし人材採用(新卒採用・転職者採用)で供給力を増強しようとするのであれば、賃金を上げて他業界から人を奪うしかないでしょう。

                 

                 人を安く使えばいいというのは、今まで人が余っていたからです。

                 しかしながら、本来はおかしな話で、日本の高度経済成長期は、人が高い国と言われていました。読者の皆さんに問いたいのですが、「人が高い」って何か問題があったでしょうか?

                 

                 デフレが続き、GDPが伸び悩んだ日本は、世界各国と相対的に比較して、人件費が安い国になりました。世界各国はGDPが増えているのに、日本は1998年からGDPが増えていないからです。

                 

                 例えば、マッサージをする人の給料は、東南アジアの都会人の給料以下、それが現実です。

                 日本の地方の工場の派遣で働かせられている工員の給料も東南アジアクラス。そこまで日本の実質賃金が下がったということです。

                 

                 「安く人を使えばいい!」「人を安く使い倒しましょう!」なんてやって、みんな貧乏になったというのが20年間の日本です。ただこれはデフレで人が余っていたからできたことですが、今は人手不足なのでできないのです。だからこそ、生産性の向上が必要なのです。人材への能力開発投資は生産性向上につながりますが、人材採用は生産性の向上ではありません。

                 

                 とはいえ、限界があります。劇的に生産性向上を果たすためには、設備投資が必要となるわけです。

                運送業界での設備投資の例は下記の通りです。

                 

                ●トラックを大型化する(企業が主体)

                ●2台連結、3台連結などの隊列走行をできるようにする(企業が主体だが規制や環境整備で国も関与する)

                ●荷下ろしがスムーズに行えるようパワーアシストスーツを購入する(企業が主体)

                ●宅配BOX設置を義務付け、再配達業務の軽減させる(企業が主体だが法整備・環境整備で国も関与する)

                ●高速道路がないところに高速道路を作る(国が主体)

                ●高速道路や一般道路の車線幅を広げる(国が主体)

                 

                GDP=個人消費+設備投資+政府支出+純輸出ですので、上記は、いずれも一人当たり生産性の向上を果たすとともに、GDPの成長に寄与します。

                 

                 

                 というわけで、今日は生産性向上とGDPについて意見させていただきました。人手不足は、この瞬間出生率増加に転じたとしても、生産年齢人口増加とはなりません。ある意味、需要>供給という状態が、最低20年続くというのが、日本の真の姿です。デフレギャップ、インフレギャップが理解すれば、これから日本は高度経済成長できる環境が来るということがご理解できるかと思います。

                 そうした意味で「人口が減る日本は経済成長できない」といった論説に対して、私はチープすぎてかつウソ出鱈目だと厳しく反論したくなるのです。

                 


                もやし価格から考える日本の総ブラック企業化と独占禁止法の問題点

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                  JUGEMテーマ:経済全般

                   

                   今日は家計を助けるもやしの値段について意見いたします。

                   

                   

                   

                  1.困窮するもやし生産者

                   

                   スーパーに行ったとき、一番安いのが「もやし」です。その値段が安すぎるとして、もやしを作る団体がスーパーなどに値上げを求めています。理由は生産している人が大変な苦労をしているからです。

                   

                   これ、とんでもない話です。まず原料(緑豆価格)が高騰しています。にもかかわらず、もやし生産者がそれを値段に乗せられません。基本的に赤字です。

                   下表は、もやし生産者協会からの抜粋資料ですが、緑豆価格が2005年の約3倍にまで上昇しているのに、小売価格は2005年比で約10%下落しています。

                   

                   当然、もやし生産者は値上げできなければ基本的に赤字になります。赤字が続けば当たり前ですが、儲からないので廃業します。もともと500社くらいしかなかったもやし生産業者が、もう100社消えました。

                   本来は、もやし生産者が利益を乗せて売るのが正しいです。ところが、今一袋15円で売られている。これは不当廉売と言わざるを得ません。

                   

                   小売店のスーパーが客寄せのために「もやし15円です!」と主婦に訴え、赤字で売ります。スーパーとしては「もやしで赤字を出しても、他の商品で黒字になるからそれで問題なし!」という考え方で営業していると思われますが、これ不当廉売で独占禁止法違反です。

                   

                   15円でスーパーで売られるということは、スーパーは、もやしの生産者に圧力を掛けます。もやしの生産者は「本来そんな要求を受けていないが、取引先を失うよりはいいでしょう!」ということで赤字でも売る。結果、スーパーが貧乏になってもやし生産者も貧乏になります。

                   

                   

                   

                  2.つながっている国民経済

                   

                   スーパーで買う側は安いからいいかもしれませんが、忘れてはいけないこと、それは買う側も生産者なのです。皆さんがもやしを買う時に使うお金はどこから出てきたでしょうか?それは、本人や家族が稼いだ所得になります。

                   その所得は、所得=販売価格×販売数量で決まります。もやし生産者やスーパーにもやしを安く売らせて、「私は得した!」と思っても、ご主人の所得が減ることになりませんでしょうか?

                   もっとわかりやすく言えば、もやし生産者が、赤字で売らされて所得がないのに、そういう貧乏なもやし生産者がスーパーに行ったらどうでしょうか?絶対にスーパーで他の物を安く買う、値下げしたものしか買わない、今までよりも個数を減らして買う、ってことにならないでしょうか?廃業して所得が無くなってしまえば、絶対に物を買わないですね。

                   

                   私たちは、国民経済がつながっているということを知るべきです。私たちは消費者でもありますが、生産者でもあるのです。生産者=消費者ですし、GDP3面等価の原則でも、生産の合計=消費(=支出)の合計=所得の合計です。

                   よく生産者と消費者を分けようとしますが、国民経済の概念では分けてはいけません。同じです。もし、安く売れば消費者利益になるかもしれませんが、同時に生産者の損になります。

                   

                   

                   「不当に安く売る」は、不当廉売で独占禁止法に違反します。本来は、もやし生産者の皆さんは、スーパーマーケットでもやしが15円で売っているのを見かけたら、公正取引委員会に訴えるべきです。ところが、そういうことをやると取引を切られるのでは?ということで、生き残るために我慢をする。だからダメなのです。

                   本来は、もやし生産者の方々は、カルテルを結んで一斉に値上げをするべきです。500社程度しかないので、簡単にできそうな気がします。とはいえ、こうした動きも独占禁止法違反になります。

                   

                   

                   

                  3.独占禁止法の問題点

                   

                   日本の独占禁止法は、第一条が、
                  「私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」

                  となっています。

                   

                   しかしながら、現実には「一般消費者の利益を確保する」ということに、やたらと重点が置かれています。「価格を引き下げることが善」というコンセプトになっているのです。

                   スーパーのような大手流通業(イオンなど)の事業支配力が強くなりすぎて、納入業者や運送業者はコストが上がっている(もやし生産者で言えば緑豆価格高騰・人件費上昇、運送業者で言えば石油価格上昇のサーチャージ・人手不足による人件費高騰)にも関わらず、サービス価格、卸売価格に転嫁できていません。

                   

                   デフレの国にとっての独占禁止法は、「一般消費者の利益を確保すること」より「雇用や国民の実質所得の水準を高めること」に重点を置くべきだと思うのです。例えば、スーパーがもやし生産者に事業支配力を活用し、価格引き上げを認めない場合、「独占禁止法違反」とする必要があるのです。

                   

                   ところで、本ブログ読者の皆さんの中には、「なぜもやしだけが?」と思われる方も居られるかもしれません。

                   もやしは、非常に特殊な商品で、天候に関係なく、緑豆を買って工場の中で生産できる唯一の野菜です。そのため、他の野菜と異なり、安定供給ができます。結果、値下げ圧力があります。天候不順だからとか日照不足だからとか、ないのです。

                   厳密には、冬は暖房コストが上がるから、その分はコストを上げないといけないのですが、実際は転嫁できていないという状況です。その上、緑豆価格の上昇が価格反映できないとなれば、もやし生産者は全滅してしまうでしょう。

                   

                   私たち消費者である買う側もいろいろ考える必要があります。

                   デフレだから所得がない、所得が伸び悩む、だから安いもやしを歓迎する人は多いでしょう。ところが、その分巡り巡って自分もダメージを受けるのがデフレです。よく家電メーカーのCMで「いいものを安く!」というセリフがありますが、これがダメなのです。適正ないい製品には、適正な価格を払うということをしなければ、デフレは解消しません。

                   

                   本のオンライン販売で言えば、本を買う際、当日配送をしたとします。そのサービスはとても便利です。でもちゃんと当日配送という便利なサービスの料金を取るべきです。そして運送会社の従業員に還元すべきです。

                   でも競争が厳しいから、競争に生き残るために見えない形で、タダで当日配送をやっているというのが現状です。

                   こうした過剰サービスを過剰に安く売るのが当たり前となっていて、これは日本の総ブラック企業化に拍車をかけるだけです。懸命に働いても安い所得にしかならないわけですから。

                   

                   直近では運送会社の最大手のヤマト運輸が値上げしましたが、これは素晴らしい決断です。「値上げを認めなければ取引しません!」という姿勢、これでいいのです。なぜならば人手不足になっているわけですから。

                   そして、ヤマト運輸が値上げしたら、他の運送会社も便乗して値上げしましたが、これも正しいです。

                   

                   本来は運送会社もカルテルを結べばよく、すべての運送業が一斉に値上げすればいいわけですが、それ自体が独占禁止法違反になってしまうため、ヤマト運輸がきっかけで、横目を見ながら値上げに追随するという方法しかないかもしれません。

                   ともあれ、運送業界は値上げしました。他の苦しい業界、もやし生産者も値上げをすればよいと思います。なぜならば、運送会社が値上げをするということは、当然コストが上がります。もやし生産者は、運送コスト上昇を理由に値上げをしなければなりません。そうしたらスーパーだって単価が上がったということで小売価格を上げなければなりません。

                   

                   

                   

                  4.政府がすべき2つのこと

                   

                   とはいえ、読者の皆様の中には、そうやって高い値段でもやしを買うようになっても、国民経済がつながっているといっても、自分のところにその分帰ってくるのか?という不安もあるでしょう。気持ちはよくわかります。

                   

                   この解決策として、政府は次の2つをやるべきです。

                   

                   一つ目は価格統制を認めることです。カルテルを認め、独占禁止法を緩めて、政府が買う時に高く物を買うのです。ところが安倍政権は逆をやって、医療サービス・介護サービス・公共事業など、支出削減をしています。

                   安倍政権には「削ってどうするの?」と問いただしたい。介護の現場なんてひどい職場です。何しろ虐待暴力が当たり前になっていて、理由は介護報酬を引き下げているからです。介護業界で働く人は、「一生貧困でいろ!」と言っているようなもんで、政府はとんでもないことをやっています。

                   かつて介護は成長産業などと言っていましたが、介護報酬を削減しているのでは名目需要が減るわけで、需要を削っておいて成長産業とか言われても、名目需要が削られては、所得も削られるわけで、好き好んで就職する人は少なく、就業しても離職率が高くなるに決まっています。

                   アナリストやエコノミストも、成長産業とは、実質需要も名目需要もどちらの需要も、需要>供給となっている分野が成長産業だということを理解していないのでは?と思うことがあります。

                   

                   二つ目は政府がお金を使うことです。とにかく簡単なのは「お金を使うことです!」「高く買うことがいいことです!」というマインド転換をやらなければいけないのですが、国民や企業にとってデフレ環境では、物・サービスを安く買い、床屋に行く回数を減らす、国内旅行行くの減らすなどの節約をして貯金を増やすことが合理的なので、無理なわけです。

                   このような「合成の誤謬」の状態を打破できるのは、政府だけであり、政府自らが「お金を使う」ことを率先してやる必要があります。単なる財政出動なので、難しい話ではありません。お金をどれだけ発行したって政府は問題ありません。にもかかわらず、その圧倒的に強い政府が緊縮・節約をやっているわけで、これでは日本が総ブラック企業化するに決まっているのです。

                   

                   

                   というわけで、もやし生産者が困窮していること、独占禁止法の問題点を指摘させていただき、政府がとるべき2つのことを最後に示しました。安倍政権は長期政権となり、強い政権ですので、本来ならば財政出動をやろうと思えばやれます。にもかかわらず、骨太方針で閣議決定にプライマリーバランス黒字化目標が残ってしまいました。これでは追加的な支出をする際に、他の予算を削るか増税するということになり、”行って来い”になってしまうのです。プライマリーバランス黒字化目標が残っている以上、追加的財政出動は難しいと思われます。私の相場観としては、まだまだデフレ脱却から遠い。少しでも多くの国民が正しい真実を知り、正しい解決策を知るということがなければ、日本はひたすらデフレが続き、発展途上国に落ちぶれていくでしょう。そうしたことこそ、将来世代にツケを残すことになるのではないでしょうかと、改めて申し添えたいと思います。

                   


                  「成熟国の経済成長率は低迷し、新興国は経済成長する」のウソ

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                    JUGEMテーマ:経済全般

                     

                     今日は、よく言われること、「成熟国の経済成長率は低迷し、新興国は経済成長する」のウソと題して意見します。

                     

                     かくいう私も、このウソを信じ、株式投資やマクロ経済的に間違った認識を持っていました。株式投資でいえば、2002年に初めて香港株の江蘇省高速道路有限公司(証券コード:0177)を購入し、2006年にはベトナム株に参入。その後、2013年にはミャンマー株ということで、シンガポール証券取引所に上場しているヨマ・ストラテジックホールディングス(売却済み)を買いました。

                     

                     まさに私でさえ、日本は経済成長せず、新興国がこれから経済成長して日本に追いついていくと真剣に思っていたわけで、コロっと騙されていたわけです。

                     

                     言葉の定義ですが、毎度のことながら、経済成長=GDP成長です。そして経済成長とは、需要が供給能力を上回るインフレギャップ状態において、各種の投資が行われ、生産者一人当たりの生産量が拡大する生産性向上以外では起こり得ません。

                     

                     

                     生産性向上とは実質賃金の上昇そのものも意味します。実質賃金が上昇すれば、国民は消費や投資という需要を拡大します。そうするとまたもや供給能力が不足するインフレギャップ状態に陥り、再び生産性向上が求められます。すると、豊かになった国民が消費や投資という需要を拡大し、インフレギャップ状態が発生します。

                     こうした循環が継続することこそ、経済成長です。逆に言えば、供給能力が需要を上回るデフレギャップを抱えた国が経済成長することは、少なくても中長期的にはありえません。

                     

                     

                     ところが、日本では「デフレであるがゆえに経済成長していない」という単純な事実が否定され、日本が経済成長しない理由として様々なレトリックが考案されました。

                     

                     その一つが、表題の「成熟国の成長率は低迷し、新興国は経済成長する」という実に抽象的なレトリックです。

                     日本が既に先進国であり、経済が成長しきったために成長余力が乏しいと勝手に決めつけているのです。

                     

                     欧米の先進国は1997年以降であっても普通に経済成長(=GDP成長)を続けています。唯一1997年以降、日本だけが、まったく経済成長しない状況に置かれているのです。

                     

                     これは、日本の経済の成熟度は、欧米先進国よりも進んでいて経済成長できないということなのでしょうか?ある意味では正しいかもしれませんが、日本が経済成長していない理由は、単に1997年の橋本内閣の緊縮財政で経済がデフレ化したからです。

                     

                     改めて申し上げますが、デフレの国において経済成長することはできません。

                     

                     そもそもドイツとギリシャの例を見る限り、成熟国が非成熟国(新興国)よりも経済成長しないとは限りません。ギリシャのGDPが減り続けているのは、別にギリシャが成熟国だからではありません。単にギリシャ経済がデフレに陥っているからです。

                     

                     成熟国だろうが非成熟国(新興国)だろうが、デフレに陥った国は経済成長することができません。この基本的な事実を、日本国民は改めて認識する必要があります。

                     

                     少し話題変わりますが、ドイツという国は、経済のデフレ化でEU・ユーロ加盟国の経済成長率が低迷しても、ドイツだけは経済を拡大することが可能という点で、実に秀逸な国家だと言えます。失業率を見ても、ユーロ圏でどこの国が勝ち組か?明々白々です。

                     

                     

                     

                     上記のグラフの通り、2005年時点でユーロ主要国の中で最も失業率が高かったのは、ドイツだったのです。

                     ところが、米国のサブプライムローンによるバブル崩壊、リーマンショック、ユーロ圏の不動産バブル崩壊、ユーロ危機勃発と、世界的に金融危機、経済危機が深刻化していくなかにおいて、ドイツの失業率は改善していきました。

                     

                     グラフにはありませんが、2013年以降は、恒常的に雇用が安定しているオーストラリアまでも下回り、ドイツの失業率はユーロ圏で最低を続けています。反対側でギリシャやスペインの雇用環境は悪化し、名目GDPが激減するデフレ環境下において、EUやECBやドイツから緊縮財政を強要されました。

                     ユーロ圏の負け組の国家の失業率が上昇するのは、至極当然の話であると言えるでしょう。

                     

                     デフレ化で緊縮財政を強行すれば失業率が上昇するのは当然と言えば当然ですが、日本だけは、そうならないのです。それは何故でしょうか?

                     生産年齢人口の減少による少子高齢化が原因なのです。

                     

                     「日本のような成熟国は人口が伸びず、人口が減少をするがゆえに日本は経済成長できない」は全くのウソです。

                     日本人の総人口の減少は毎年20万人程度であり、1億3000万人という数字から見れば、0.2%弱に過ぎません。日本の真の人口問題は、生産年齢人口の減少です。即ち、総人口の減少よりも、生産年齢人口の減少の幅が大きいことが問題です。

                     とはいえ、総人口=需要、生産年齢人口=供給力、なので、総人口の減少幅<生産年齢人口の減少幅、となれば、需要>供給となってインフレギャップが発生します。

                     

                     まさに高齢化社会は日本の黄金期が訪れるチャンスと言えます。需要>供給のインフレギャップを、AIやドローンを活用して一人当たり生産性の向上をすればよいわけです。

                     

                     

                     

                     皆さん、上記の図をよく見かけませんでしょうか?年金財政が破たんするということで、一人当たりの支える人が少なくなって年金をカットするか、年金保険料を引き上げるか?なんて報道がよくされています。

                     一番右の1.8人で支えている人二人は、重すぎて支えきれないという表情をしています。

                     敢えて言いますが、この絵、とりわけ一番右の1.8人の絵で、二人の男女がサイバーダインのパワーアシストスーツを着たらどうでしょうか?ラクラク支えることができませんでしょうか?

                     あるいは、ドローンを使って自分の分身に別のお年寄りを支えることができたらどうでしょうか?

                     

                     ここでいうパワーアシストスーツやらドローンとやらで生産性向上することが、経済成長でありGDP成長になります。

                     パワーアシストスーツを買う、ドローンを買う=生産性向上のための投資=GDPです。

                     GDP3面等価の原則により、パワーアシストスーツを着てしかもドローンを使って分身で支えることができれば、支え手の働き手の1.8人の人々は、一人当たりの賃金が上昇します。賃金が上昇して豊かになった人々は消費を増やします。そうすると需要が増えて供給<需要となり、インフレギャップが発生するのです。

                     

                     何が言いたいかと言えば、経済成長は人口の増減と関係がないのです。人口が減少しても投資を増やせば、普通に経済成長します。これは成熟度が高かろうと低かろうと関係ありません。人口が増えていても投資をせず、デフレに陥っている状態であれば経済成長しないのです。

                     

                     

                     というわけで、今日は「成熟国の経済成長率は低迷し、新興国は経済成長する」のウソと題し、意見いたしました。「人口が増える新興国はこれから経済成長をする」と見込んでも、その新興国が投資をしない、もしくはデフレで消費を減らすということをすれば、経済成長できないのです。GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出だから、人口の増減は直接的には関係しないのです。

                     皆さんも「人口減少する日本は経済成長できない」「新興国は先進国より経済成長する」という論説をする人を見かけましたら、間違いなく「この人、インフレギャップとかデフレギャップとか、GDPがどうやって算出されるか?何もわかっていない人だな!」と嘲笑してあげましょう。


                    デフレの正体とは?(デフレギャップとインフレギャップ)

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                      JUGEMテーマ:経済全般

                       

                       今日は、デフレギャップとインフレギャップについて取り上げます。

                       

                       そもそもデフレは貨幣現象ではありません。バブル崩壊後、国民が借金返済や銀行預金を増やし、企業も借金返済と内部留保積上げを推進しました。この借金返済や銀行預金や内部留保積上げはGDPにカウントされません。端的に言えば、借金返済と銀行預金と内部留保を増やす行為自体、物・サービスとお金との対価に該当しません。家計や企業は、バブル崩壊後にそれらをやるのは大いに結構なのですが、ここに利益追求する必要がないNPO法人である政府までもが、緊縮財政(増税、政府支出削減)を強行すると、「需要不足」というデフレに陥ります。

                       

                       また、家計や企業など、デフレ環境下において、借金返済と銀行預金と内部留保を増やすことは合理的なのですが、合理的と思ってもみんなが同じことをすると不都合なことが起きる現象のことを「合成の誤謬(ごびゅう)」と言います。

                       

                      <デフレギャップのイメージ>

                       

                      <インフレギャップのイメージ>

                       

                       上記のイメージの通り、借金返済や内部留保積上げや個人が預金を増やすことは、GDPに貢献せず、需要拡大=経済成長に貢献しないのです。また人口減少も関係ありません。人口減少していたとしても、政府支出や設備投資や純輸出が増えれば、もしくは個人の賃金がUPして購買力が上がって、一人当たりの消費額が増えれば、人口が減少したとしても、インフレギャップは生じ得るのです。

                       

                       イメージ図でみれば一目で理解できると思いますが、需要不足であり、供給能力の過剰とも言えます。

                      この過剰供給能力と、不足する総需要(名目GDP)とのかい離、つまりデフレギャップこそ、デフレの正体です。

                       

                       ではデフレから脱却するためには、どうしたらよいか?答えは簡単、誰かが「消費や投資という需要」を追加的に拡大しなければなりません。ところが、デフレの国では、民間の家計は消費しないことが合理的です。

                       

                       デフレで雇用が不安定化し、実質賃金が下がり続ける国で、消費を増やす国民は、まずいません。

                       

                       さらにデフレの国では、企業経営者が設備投資という需要拡大に二の足を踏むことになります。何しろ、物・サービスが値下げしないと売れない、買ってもらっても個数・回数が少なく買われるという状況では、儲かりにくく投資しても損する可能性があるからです。要はデフレで需要が不足して儲からないということです。

                       

                       需要の不足は、「仕事が足りない」とイコールであり、仕事がなければ儲からないということでもあります。そしてこの世に、儲からない環境で設備投資を拡大する経営者はいません。もしいたとすれば、経営者失格です。

                       

                       というわけで、今日は「デフレの正体とは?」ということで、デフレギャップとインフレギャップについてイメージ図を提供しながらご説明しました。この「デフレギャップ」というデフレの真因を解決できる存在は、政府しかありません。政府は非合理的に支出を拡大することが可能な存在です。デフレ対策は、デフレギャップが解消するまで政府が財政支出を拡大し、需要を創出していくことの他には存在しないのです。以前「合成の誤謬」を打破するのは政府しかいないというテーマで記事を書きましたが、まさに政府しか、デフレ脱却を解決できる存在はあり得ないのです。

                       

                       


                      デフレが貨幣現象であるとする「貨幣」って、「マネタリーベース」OR「マネーストック」どっち?

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                        JUGEMテーマ:経済全般

                         

                         今日は、デフレが貨幣現象であると主張する人々が、貨幣=マネタリーベースなのか?マネーストックなのか?どちらを差しているか不明ということで、改めてデフレについて意見したいと思います。

                         

                         私は、デフレ・インフレは需要過不足説であると言い続けています。ところが経済学者や内閣府などの政治家、あるいは岩田日銀副総裁を含む日銀職員、エコノミスト・アナリスト、そうした人々の多くは、デフレ・インフレが貨幣現象説であると思っているのです。

                         

                         デフレは貨幣現象ではありません。そもそも、この貨幣現象の貨幣というのは、マネタリーベースなのか?マネーストックなのか?果たしでどちらを差しているのでしょうか?

                         私は今まで、デフレは貨幣現象であると主張している人の中で、定義を明確にして発言をしている人を見たことがありませんし、論説も見たことがありません。

                         ただなんとなく、お金を発行すればインフレになる、お金の発行量が少ないからデフレになっていると思い込み、発言をしているように思えます。

                         マネーストックとマネタリーベースとマネーストックの違いは、端的に言えば下記の通りです。

                         

                        <マネーストック>

                        預金・当座預金・普通預金・定期預金・貸付金など、世に出回っているお金

                         

                        <マネタリーベース>

                        上記に加え、日銀当座預金を含めたお金

                         

                        そして、マネーストック÷マネタリーベース=マネーストック/マネタリーベース=貨幣乗数です。

                         

                         

                         日銀当座預金は、銀行などの金融機関しか開設ができない口座です。一般人や企業は日銀当座預金の口座開設をすることはできません。銀行の場合は法定準備預金制度の下、銀行間決済口座として日銀が定める法定準備率にしたがって、日銀当座預金への預け入れが義務付けられています。

                         

                         さて、アベノミクスの第一の矢の日銀の金融緩和は、日銀当座預金を増やす形で、即ちデジタル的に日銀当座預金の残高を増やし、代わりに国債を買い取るという方法で、通貨発行をしているという方法です。日銀当座預金の残高がどれだけ増えても、民間がデフレで物・サービスの値段を下げなければ儲かりにくい、雇用が不安定で住宅ローン・自動車ローンが組めないとなれば、銀行の貸付が増えることはありません。

                         

                         「日銀当座預金が増えても、銀行の貸出が増えない」という事象は、マネタリーベースは増えるが、マネーストックは増えないということになります。また「日銀当座預金が増えて、銀行の貸出が増えた」という事象は、マネタリーベースが増え、マネーストックが増えたとなります。

                         

                         

                        下記は、マネーストック、マネタリーベース、貨幣乗数をグラフにしたものです。

                         

                         先日のリフレ理論もそうですが、日銀の岩田規久男副総裁は、「マネタリーベースを増やせば、マネーストックが増える」と主張されていました。とはいえ、そもそもマネタリーベースを増やしたからと言って、現実的には貸し出しは増えていないのです。

                         理由は、デフレは貨幣現象ではなく、需要不足現象であるため、需要不足である以上、物・サービスを供給したとしても、「値下げしなければ売れない」「個数・回数を少なく買われる」が同時進行するため、儲かりにくい環境であるということでお金を借りてまでして投資をしようと思わないのです。

                         結果、マネタリーベースを増やしたとしても、インフレ状態(需要が供給よりも超過している現象)でなければ、マネーストックが増えるはずがありません。「マネタリーベースを増やせば、マネーストックが増える」の発言の根底は、デフレ・インフレについて正しく理解していない、即ち貨幣現象であるという主張は間違いなのです。

                         

                         というわけで、デフレが貨幣現象であるということを支持する論説者の人には、そもそも貨幣現象の貨幣が、マネーストックを指すのか?マネタリーベースを指すのか?説明してもらいたいものです。私は、このブログで何回も主張していますが、デフレ・インフレは貨幣現象ではありません。お金をいくら増やしても、増やしたお金を川原で燃やしてしまえば、物・サービスとお金の交換にならないため、物価に影響しないのです。改めて国民もデフレ・インフレに対する正しい知識を持つ必要があるものと思っております。そうすることで、政治家も正しい知識を持つこととなり、正しい政策が打たれるようになると思うのであります。

                         


                        娘の大塚家具(証券コード:8186)と父親の匠大塚、どちらが勝つか?

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                          JUGEMテーマ:経済全般

                           

                           今日は、大塚家具と匠大塚の争いについて、デフレビジネスと過剰サービスという観点で、私見を述べたいと思います。

                           

                           大塚家具は、家具を小売りする東証一部上場企業です。大塚久美子(現:代表取締役)が、父親の大塚勝久(現:「匠大塚」社長)氏と経営権を争い、大塚勝久氏と追い出す形で、親子対決を制したことになっています。その後大塚勝久氏は、従来の高級路線をコンセプトに「匠大塚」を立ち上げました。「匠大塚」は非上場のため、企業情報の詳細が分かりませんが、大塚家具(証券コード:8186)は上場していますので、どんな会社か見てみましょう!

                           

                           

                           

                          1.大塚家具(証券コード:8186)の概要

                           

                           

                           私が注目した財務指標は次の通りです。

                          2016年12月期

                           ̄超搬纂此Б4,597百万円

                          営業キャッシュフロー:269百万円→▲5,770百万円と大幅悪化

                          8酋癲10,971百万円→3,853百万円と大幅減少

                           

                           有利子負債0百万円で、利益剰余金は21,550百万円、自己資本比率69.1%ですので、無借金経営で利益剰余金も多く積み立てられているとはいえ、大塚久美子社長体制になってからの苦戦ぶりがうかがえます。営業キャッシュフローの大幅悪化は、売上減少幅が大きく、単価の安い家具を売って客単価を引き下げ、単価を維持できるほど客数をUPさせることができなかったからでは?と思います。

                           結局、誰でも入りやすく敷居を下げる大塚久美子社長の戦略は、うまくいっていないと言えます。

                           

                           

                           

                          2.個人株主の声と元従業員の声

                           

                           以下は、ヤフーの知恵袋に投稿されていた個人株主の方と思われる方が掲載した文章です。

                          『2016/5/5 勝久元会長は社員を信頼し誇りに思っており、親分肌だった。
                          多少の赤字が出ても気にしていなかった(有利子負債ゼロの優良企業)し、これまで大塚を育ててくれた顧客を捨てない(儲からなくなったから販売の対象をチェンジ、みたいなことは考えず)。
                          一方、久美子社長は、経営のためには社員の監視(カメラなど)や切り捨てもする合理主義者。
                          現在自主的に50人が匠大塚に移籍。更に増える見込み。
                          最高級の接客と知識を持った社員が減り、若い社員ばかり(そのうちアルバイトや契約社員も?)になれば、更にニトリやイケアに勝てるわけがない。

                          私は個人株主だが、昨年の感謝セールでショールームに行って社員に聞いたら「正直、お客様の層が変わりました(品質の良さより低価格しか興味ない客が多く来る)。忙しくなりました(安いものを多く売る→社員は疲れてる)」。
                          で、現在、感謝セール連発で通常期に買わなくなり赤字に転落。
                          父親の時代の貯金が残ってるから持ちこたえているだけと思う。
                          先行き、かなり危ない。
                          もう勝久元会長が復帰しない大塚家具、いつ株を手放すか考え中です。

                          匠大塚は、春日部の一般客向けの店舗(2016年7月オープン)を見るまでは、読めないと思いますが、閉塞状態の大塚家具よりは、まだ可能性は大だと思います。』

                           

                           さて、家具と言えば、今はインテリアにお金をかけなくなったと言われ、ニトリなどの安い家具が売れています。結局、デフレが長引く中、安いものを買おうとする日本人が増えて、ニトリがデフレビジネスの流れに乗ったということでしょう。高品質の家具を買いたくても買えないということもあるかと。

                           

                           安倍政権の2014年から2年連続でGDPはマイナス。エンゲル係数も上昇となれば、安いものを買おうとするのは必然と思います。とはいえ、安いものを売っても、売上は伸ばせず、利益も伸び悩み、過剰サービスとなって社員が疲れるだけです。高級家具店を売りに成長を続けてきた父親が社長の大塚家具時代は、百貨店などと同様に、接客が鬱陶しいというネガティブな意見もあったようです。接客が鬱陶しいというのは、消費者サイドに高いものを買う余裕がなく、声を掛けられても買えないから。消費者サイドに金銭的に余裕があって来店すれば、そうした接客が鬱陶しいと思うことなく、楽しくなるような気がしますが、いかがでしょうか?

                           

                           元社員の証言として次のような証言もあります。

                          『昨年2月に新宿ショールームをリニューアルして、来店客数は増えたのですが、初日の売り上げは前年の半分以下でした。久美子社長は「入りやすい店にして、お客様が増えて大成功」と思ったそうですが、客層が変わってしまいました。

                           それまではソファセットが20〜40万円で売れていましたが、リニューアル後は8万円のセットを買うようなお客様が増えたのです。8万円の商品を買おうとしているお客様に、20万円への単価アップはできません。それで8万円の会計を済ませると、「俺って、一体何してるの?」と。そんな思いが重なって辞めた社員もいます。』

                           

                           結局、安売りしなければならない客は、客層としては単価UPが期待しにくい。従業員は過剰サービスとなり、更に単価を下げないと入店者数が減るという、まさにデフレスパイラルにハマっていくことになるのです。

                           

                           

                           

                          3.安売りビジネスが称賛されるのはデフレのせい!

                           

                           大塚家具の苦戦は明らかであるとはいえ、ニトリのビジネスモデルが優れているとは思いません。ユニクロのファーストリテイリング同様、所詮安売りの薄利多売のビジネスモデルであり、ファナックやサイバーダインや信越化学などといった高付加価値製品を製造販売する会社と比較にならない中身のないビジネスモデルです。

                           安売りビジネスの特徴は、人を安く使う、輸入品を使う、逆輸入することが特徴です。ユニクロのファーストリテイリングがまさに該当します。

                           大塚家具の親子対決について、私の気持ちとしては、父親の「匠大塚」が勝って欲しいと思うとともに、安売りビジネスで従業員に過剰サービスを強いるような会社は、早くつぶれて欲しい。そのためにも、デフレ脱却することで、いい製品が高い値段でも売れる環境を政府に作っていただきたい。

                           それには、政府自らが緊縮財政(医療・介護費削減、公共投資削減)するのではなく、積極財政に転ずるべきなのです。


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