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日銀が2024/03/19にマイナス金利解除を決めましたが、ドル円相場は円安が止まりません。
円安が止まらないことを受け、マスメディアの一部や、SNSなどの投稿などでは、円安が止まらないことで物価高が続くという論調で、アベノミクスの大規模金融緩和政策そのものに対する批判の声があります。
私は、この批判は全くの的外れであると思っておりまして、今日はこのことについて触れたく「紐は引っ張ることは可能だが、紐を押すことは不可能だ!」と題して論説します。
2022/02/24のロシアによるウクライナ侵攻以降、原油相場の値上がりから、ドル円の為替相場が円安ドル高トレンドとなり、今日まで円安ドル高トレンドのままドル円相場が推移しています。
最近の物価上昇の要因の一つに、輸入物価の上昇というのがありますが、輸入物価の上昇の要因は金利差が主因であるとする見立てがあります。
教科書的には、日米の金利差が拡大すると、高金利で運用したいとの思惑から、米ドルが買われて円安ドル高となり、金利差が縮小すると、より安全な日本国債にお金が流れるとして、円高ドル安になるといわれます。
そのため、今日継続している円安ドル高によって、輸入物価が上昇し、国民が苦しんでいるから、円高ドル安にするために、日米の金利差を縮小するべきであると考え、米国金利との差を縮小すべく、植田日銀総裁が日本のマイナス金利を解除したわけですが、結果は円高になりませんでした。
円高にならなかった為替相場を踏まえ、エコノミストの論説やSNSの投稿内容を見ていると、利上げではなくマイナス金利を解除したに過ぎないなど、更なる利上げをして金利のある世界に戻らなければならないとする言説も見受けられます。
私はこうした論説に対して2点反論したく思います。
1点目は、まず円安が問題であるというのであれば、それは為替介入によって円高に導くか、もしくは円安に苦しむ企業に対して政府が補助金を出したり、国民に給付するなどするべきであるということ。
理由は日銀は物価の安定のために金融政策を行うのであって、為替相場の安定は誰がやるのか?といえば、財務省の役割だからです。
さらに憲法第13条の国民の幸福権の追求という観点からいえば、貧困に喘ぐ日本国民に対して財政支出するというのが筋であり、金融政策ではなく財政政策こそ、本丸でやるべきことであるというのが理由です。
2つ目は「紐は引っ張ることは可能だが、紐を押すことは不可能だ!」ということです。
金融政策は大きく3つありまして、公定歩合の上げ下げ、公開市場操作(買いオペレーション、売りオペレーション)、法廷預金準備率操作が存在します。
いずれの金融政策も共通しているのは、「紐は引っ張ることは可能だが、紐を押すことは不可能だ!」ということ。
紐は引っ張ることが可能というのは、金融引締め政策というのは、加熱した景気を抑制するために行うものであり、かつ金融引締め策は過熱した景気を抑制することが可能です。
例えばディマンドプルインフレの状況でインフレ率が10%となった場合、金融引締め策は有効で、インフレ率は低下していきます。
インフレ率が思惑通り低下しない場合は、3つの金融政策の組み合わせを実施するほか、インフレ率が予定通り下がるまで、財政支出を抑制して財政赤字縮小することで、インフレ率を押し下げるのです。
一方で紐を押すことは不可能だというのは、金融緩和政策だけではインフレ率を押し上げることは不可能であり、デフレ脱却も不可能だということです。
安倍−黒田コンビが、ゼロ金利政策を続け、さらにマイナス金利まで金融緩和策を進めた理由は、デフレ脱却に他なりません。
アベノミクスの金融緩和の批判は、そもそもゼロ金利、マイナス金利が、悪手であるとか、”異次元の”という言葉を使って、あたかもそれ自体が正しくないことをやっているかのような印象を与える論調が多いです。
しかしながら政府の存在が憲法第13条の国民の幸福権追求のため、経世済民(世を経め、民を済う=よをおさめ、たみをすくう)を実現するためであれば、政府が子会社の日銀とアコードし、ゼロ金利、マイナス金利とすることは、何ら悪いことではありません。
むしろ批判しなければならないのは、公共事業を始めとした政府支出が不足しているということ、財政赤字拡大幅が不足しているという2点です。
<政府支出と公共事業の推移>
(出典:財務省)
上記は、政府最終消費支出と公的固定資本形成について2013年以降、四半期の数値を折れ線グラフ化したものです。
青色が政府最終消費支出で、右肩上がりに推移していますが、これは医療費や介護費用が増えているというのが主な要因です。
赤色が公的固定資本形成で、財政法第4条に基づく4条公債、即ち建設国債を発行し、それを財源に公共事業を発注した支出額で、道路や橋脚やトンネルなどのインフラ整備に使われた支出額になります。
公的固定資本形成のグラフは、2013年度は、毎四半期右肩上がりとなっていますが、アベノミクスの国土強靭化でインフラに財政支出したことが読み取れます。
2014年度以降は、右肩上がりとはなっておらず、岸田政権期の2022年、2023年では、安倍政権の2013年度の支出額を上回っていません。
これには人手不足などが理由で公共事業の入札が不調だったとする論説があります。
しかしながら、これも一般競争入札や安値発注をするからであり、財政赤字拡大を躊躇せず、高値発注をすれば利益が出やすい案件となって、入札不調ということは回避できたことでしょう。
入札不調という結果は、緊縮財政で一般競争入札して、安くインフラ整備をしようとした間違った思想に基づくものです。
デフレであればこそ、高値で発注することで、名目の需要が増え、インフレギャップを創出するのです。
このように、どれだけ金融緩和をやっても、政府支出を拡大する、財政赤字を拡大する、政府がたくさんのお金を支出する、こうしたことがない限り、インフレ率を引き上げたり、デフレ脱却することはできないのです。
まさに「紐は引っ張ることは可能だが、紐を押すことは不可能」であり、紐を押すには財政赤字拡大を伴った財政支出が必要だということ。
要するに国債発行による財政支出の不足こそ、批判されるべきであって、ゼロ金利、マイナス金利といった金融政策そのものを批判したり、貶める論説は、間違っているのです。
というわけで今日は「紐は引っ張ることは可能だが、紐を押すことは不可能だ!」と題して論説しました。
円安を食い止める方法は、金融政策ではありません。
為替相場の安定は財務省の仕事であり、外貨準備高を取り崩して為替介入すればよいだけのことであって、アベノミクスの金融政策は決して悪手でも何でもなく、批判されるべきは財政赤字拡大をやってこなかったことです。
今からでも遅くありませんので、増税を始めとする緊縮財政ではなく、国債発行とセットにした財政支出拡大、即ち財政赤字拡大こそ、円安を食い止める最善の方法であると私は主張したいです。
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◆交易条件の悪化は資源高の要因のウェイトが大きく日米金利差縮小のために利上げしても効果は限定的なのでは?
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今日は「内閣府の再エネタスクフォースのプレゼン資料に中国国営企業”国家電網公司”の透かし」と題して、
1.産経新聞が報じた中国企業の透かしが入ったとの記事
2.安定電源(ベースロード電源)と不安定電源
3.問題の中国国営企業”国家電網公司”の透かしの原因は自然エネルギー財団の大林事務局長
4.日本の安全保障弱体化につながるアジアスーパーグリッド構想
論説します。
1.産経新聞が報じた中国企業の透かしが入ったとの記事
産経新聞の記事をご紹介します。
『産経新聞 2024/03/24 14:50 内閣府の再エネタスクフォース資料に中国企業の透かし 河野太郎氏「チェック体制の不備」
再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料の一部に、中国企業の透かしが入っていたことが分かった。内閣府規制改革推進室が23日、X(旧ツイッター)の公式アカウントで認めた。
資料は22日と昨年12月25日などに開かれた「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」で出されたもので、タスクフォースの民間構成員が提出した。中国の電力会社「国家電網公司」の企業名やロゴが確認できるという。
推進室が確認したところ、この民間構成員が事務局を務める財団法人「自然エネルギー財団」(東京都港区)が過去に行ったシンポジウムで、財団の関係者が登壇した際の資料をタスクフォースで使ったところ、ロゴが残っていたという。
推進室はXで「自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はないとのこと。内閣府でも確認を行う」と説明した。
これを受け、河野太郎規制改革担当相は同日、Xで「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していく」と書き込んだ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は23日にXで、「わが国の再エネ政策が中国の影響が及んでいる疑惑であり、見過ごすことはできない。背景を徹底調査すべきだ」と投稿。「審議会などのメンバー選定にも、ある種の(経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る)セキュリティー・クリアランスが必要ではないか」と指摘した。
一連の問題は言論サイトを運営するアゴラ研究所の池田信夫所長らが指摘していた。』
上記の産経新聞の記事は、内閣府の再エネタスクフォースの資料に、中国の国家電網公司のロゴが入っていたことについて報じたものです。
皆さんもご存じの再エネ、これは脱炭素の取り組みとも関連していますが、3.11の東日本大震災で原発事故が発生して以降、菅直人政権のときに再エネ特措法が施行され、日本で本格的な再エネの取り組みが始まりました。
それまでも太陽光発電、風力発電は存在していましたが、再エネ特措法によって政府として取り組みが推進され、電気料金は再エネ賦課金という形で、国民が負担するというトンデモナイ制度であり、私は当初からこの仕組みに反対しています。
仕組みもさることながら電力供給サービスのクオリティ、品質というのは何か?といえば、安定電源であり、それは火力発電、原子力発電しかありえず、火力発電と原子力発電以外は、全て不安定電源となります。
2.安定電源(ベースロード電源)と不安定電源
電力サービスについて、火力、原子力、水力、太陽光、風力の5つを、安定電源(ベースロード電源)と不安定電源というカテゴリーに分け、その特徴を整理しますと下記の通りです。
<安定電源(ベースロード電源)>
●火力発電
・安定電源として品質が高く、エネルギー安全保障強化に資する
・Co2を排出するなどと言われているが、2002年以降リプレイスされた火力発電所は、NOx(窒素酸化物)が▲92%、Sox(硫黄酸化物)が▲83%、PMが▲90%と、温室効果ガスが80%〜90%削減されている
・原油、LNGガスを必要とするが、日本ではほとんど採掘ができず、中東諸国を中心に輸入に頼っている状況がある
・ウクライナ戦争以前は、ロシアから原油、LNGガスも輸入していたが、岸田首相が2022/04/08、外交に関するウィーン条約第9条、領事に関するウィーン条約第23条に基づくペル・ソナ・ノングラータで8人の外交官を追放したことで、ロシアから報復で輸入がストップし、原油とLNGガスの中東諸国への輸入依存度が、80%→95%に上昇してしまっている
●原子力発電
・安定電源として品質が高く、エネルギー安全保障強化に資する
・BWRとPWRの2種類があり、PWRの方が安全である(参照「原子力発電所の炉型の違い(BWRとPWR)と東芝問題」)
・Co2を排出しない点ではクリーンである
・廃棄物は使用済み核燃料は、東京電力が持つ日本最大の柏崎刈羽原発で考えた場合、柏崎刈羽原発が1984年11月に運転開始してから現在まで出た使用済み核燃料の量は、およそ1,000㎥(=1,000立方メートル=10m×10m×10m)程度に留まる
・原子炉が爆発してしまうと甚大な被害を及ぼす(チェルノブイリ原発事故がその事例)
●水力発電
・Co2を出さないクリーンな電源といえる
・電力会社(発電会社)にとって最もコストが安く、電気事業法第36条の渇水準備引当金により、水力発電で得た利益は無税で引当金として積み立てることが可能である
・脊梁山脈が横たわっている日本列島の地形ではダムを造りやすく、水源の確保と合わせると、一石二鳥といえる
・ダムに水が溜まらないと発電できない
・大雨で洪水のときには、水を落とすと洪水被害が拡大するため、発電できない
<不安定電源>
●太陽光発電
・Co2を出さないということになっているが、太陽光発電のモジュールを生産する際、原料のポリシリコンが必要で、ポリシリコンは世界シェアの8割が中国で生産され、そのうちの5割(世界の40%近く)がウイグル自治区で作られている
・中国国内でポリシリコンを作る際、中国で石炭を使った火力発電所で電力を使うため、サプライチェーン全般で見るとCo2削減になっていない
・ウイグル自治区で作られるポリシリコンは、ウイグル人に無賃で強制労働させて作らせており、無賃強制労働は国際法違反であることに加え、ESG投資のS=Socialで人権擁護という観点からも、極めて問題がある
・天気が悪いと発電量が少なくなり、天気が良い場合は発電量が増えるが、電力は同時同量サービスであるため、電力需要<電力供給となっても停電することから、不安定な電源だといえ、停電リスクが高まる
・九州電力で電力買取拒否事件というのがあったが、これは再エネ特措法第5条2項で定められている電力供給が多すぎて停電する可能性があると判断した場合に電力会社が買い取りを拒否できるようにしたものであり、九州電力は全く悪くない
・太陽光発電が山の木を伐採して作られると、山が保水力を失い、土砂災害が発生しやすくなるリスクがある
・太陽光のパネルが破損しても、太陽光に当たると発電し続けるため、火が消えにくく、都市部で大洪水が発生した場合、パネルの破片が水に入っていると感電する可能性がある
・ソーラーパネルを処分する際、人体に有害な鉛やカドミウムが含まれているため、業者が勝手に処分することがないように法規制が必要である
●風力発電
・Co2は出さない
・風が強すぎる場合はプロペラが損傷するので稼働停止にしなければならない
・風が弱すぎる場合は十分な発電量を確保できない
・自衛隊のレーダーの運用に影響するため、設置場所によっては防衛安全保障を脅かす存在となり得る
以上のようにまとめてみましたが、不安定電源の太陽光発電は、正直なところデメリットが多く、メリットといえば、石油やLNGガスの備蓄の減少に貢献するぐらいでしょうか?ほとんどメリットが存在しないと私は思います。
むしろデメリットが目立ち、国家としてエネルギー安全保障弱体化につながる他、企業にとってもこうしたデメリットが詳らかになって、日本国民に十分に周知された場合、風評被害のリスクや、経営リソースを注力しすぎることで後戻りができず、企業経営を揺るがすことになりかねない状況に陥ることもあり得ます。
3.問題の中国国営企業”国家電網公司”の透かしの原因は自然エネルギー財団の大林事務局長
冒頭にご紹介した産経新聞の記事で指摘されている中国国営企業”国家電網公司”の透かしについて、事実を確認してみましょう。
白背景に白いロゴの画像なので確かに枠だけに見えるんですが、後ろに色つけると見えます
— くも (@qmore) March 23, 2024
なお念の為、データはWarpから再度取得したもので撮り直していますhttps://t.co/hJGicZ8BQ3 pic.twitter.com/UF0r3LKJbS
上記の動画の通りですが、パワーポイント資料の「先進国の新規電源容量導入動向」という題名のページの右上部分に、”国家電網公司”の透かし文字がプリントされていることが確認できるかと思います。
このパワーポイント資料は、題名が「構成員提言の参考資料集」と呼ばれるもので、全18ページありまして、上記の動画は、その6ページ目です。
透かしは、全18ページ中17ページで確認されているとのこと。パワーポイント資料のPDFファイルのリンク先をご紹介しますので、気になる方はご参照ください。
リンク先→「231225energy06.pdf (ndl.go.jp)」
この資料は、『金融庁の2021/03/25「サスティナブルファイナンス有識者会議」(第5回)』と、『経済産業省の2024/02/27第70回総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会、電力・ガス基本政策小委員会』で利用された実績があり、現在、金融庁のホームページ、経済産業省のホームページでは、今回の報道を受けて、問題の資料が削除されています。
金融庁、経済産業省のそれぞれのホームページでは差し替える予定とのことですが、透かしが入った原因についての追求が国会でも質疑があったため、修正したものを再掲載するのには、時間がかかるかもしれません。
資料に中国国営企業”国家電網公司”の透かしが入った背景としては、自然エネルギー財団の大林ミカ事務局長の出自や活動に起因することが指摘されています。
というのも、この資料は、自然エネルギー財団の大林ミカ事務局長が提出した資料だからです。
これについて内閣府の説明では、内閣府再エネタスクフォースの民間構成員である大林ミカ氏によって提出された資料であり、大林氏が事務局長(以下、大林事務局長)を務める自然エネルギー財団の数年前のシンポジウムに中国の当該企業関係者が登壇した際の資料の一部を使用し、テンプレートのロゴが残ってしまったとのこと。
自然エネルギー財団と中国政府・企業とは、人的・資本的な関係はないとのことで内閣府でも確認を行うとしています。
しかしながら、その説明はウソ・デタラメではないでしょうか?
というのも、私は先ほど、当該資料については『金融庁の2021/03/25「サスティナブルファイナンス有識者会議」(第5回)』と、『経済産業省の2024/02/27第70回総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会、電力・ガス基本政策小委員会』で利用された実績があることを申し上げました。
つまり自然エネルギー財団の大林事務局長は、内閣府の再エネタスクフォースの構成員のみならず、金融庁と経済産業省の会議体にも出席しており、それらの会議に提出している資料においても、中国国営企業”国家電網公司”の透かしが入っていることが確認されています。
そのため、内閣府の説明の「財団が過去に行ったシンポジウムで関係者が登壇した際の資料をタスクフォースで使った・・・」というのは正確ではなく、それ以前の会議体でも大林事務局長は”国家電網公司”の透かしが入ったパワポ資料を使っていたということに他ならず、政府の説明はウソ・デタラメだと言いたい。
私が思うところ、単に昔のスライドをコピーしたのではなく、国家電網公司の何者かが国家電網公司のテンプレートで資料を作成したのでは?という疑義が極めて濃厚です。
なぜならば、国家電網公司側でプレゼン資料を作成する際、この透かしが入ったテンプレートを使い、万一部外秘の情報が流出しても、それが後で把握できるようにしたかったのでは?という動機があったものと考えられます。
そもそもなぜ、大林事務局長は、その資料を金融庁、経済産業省、内閣府の会議体で使ったのでしょうか?
資料の内容は記載の通り、世界の再エネデータを大量に集めたものであって、大林事務局長が単独で作成したとは思えません。
透かしのロゴは18ページのうち17ページ、位置が異なる形で透かしが入っていて、1枚や2枚程度であればともかく、全てのスライドにロゴが入るはずはないのではないでしょうか?
大林事務局長は、1964年生まれで小倉市(現在の福岡県北九州市)の高校を卒業したあと、反原発団体の原子力資料情報室に入り、社民党などと一緒に反原発運動を一緒に活動している活動家の一人であって、エネルギー問題の専門家ではありません。
あくまでも反原発という目的を果たすために再エネを推進し、そのためには中国企業と手を組んででも、目的を果たすということが、骨身に染み付いた人物だといえます。
4.日本の安全保障弱体化につながるアジアスーパーグリッド構想
そもそも18ページにわたる世界の再エネデータの資料は、誰が作成したのでしょうか?
それが中国国営企業の”国家電網公司”なのではないか?というのが、今回の事件で明らかになったことだと私は思います。
自然エネルギー財団は、アジアスーパーグリッドという構想をぶち上げていますが、これは中国と日本の電力網を一体化する計画を、中国国営企業の”国家電網公司”と一緒に推進しています。
<アジアスーパーグリッド構想>
(出典:自然エネルギー財団のホームページ)
上記が自然エネルギー財団のホームページで謳われているアジアスーパーグリッド構想です。
このアジアスーパーグリッド構想は、国家電網公司の劉振亜会長、ソフトバンク(証券コード:9984)の孫正義社長が推進していまして、上図の通り、東アジアの電力網を結ぶ大規模計画となっています。
この構想が実現した場合、ロシアのノルドストリームパイプラインにウクライナやポーランド、ドイツなどの欧州諸国が依存するのと同様に、日本の電力網を中国に依存することになります。
日本の電力網を中国に依存した状態となった環境下で、日中で有事が発生した場合、日本はウクライナ戦争のドイツと同じ立場となってしまうことになります。
例えば台湾有事が発生した際、中国が電力供給を停止して、日本列島を停電させることができます。
そのために日本に不安定な再エネを増やし、安定電源の火力発電や原子力発電を廃止に追い込んで、海外からの電力輸入に依存する状態にすることは、中国の国益に資することになります。
私は大林事務局長という人物が、我が国のエネルギー安全保障に関わる会議に出席して、国家機密に触れることが自由にできているという状況が、国家として極めてハイリスクであり、大林事務局長の身元調査と行うべきであろうと思います。
というわけで今日は「内閣府の再エネタスクフォースのプレゼン資料に中国国営企業”国家電網公司”の透かし」と題して論説しました。
自民党議員で岸田政権で閣僚の一人、経済安全保障大臣の高市早苗氏は、セキュリティクリアランス制度の導入を目指しています。
企業の国家機密に触れる人が、大林事務局長のような人物であると、日本の安全保障が崩壊してしまうでしょう。大林事務局長の行為は、日本に対して武力行使を誘発させる可能性を秘めていまして、これは外患誘致罪に該当するので?という議論もあろうかと思います。
外患誘致罪とは、国と共謀し、日本に対して武力行使を誘発させる犯罪で、死刑が適用される重罪です。
今回の中国国営企業”国家電網公司”の透かしが、なぜ大きくメディアでも報じられていることは結構なことだと思いますし、再エネ推進という政府の方針についても、改めて見直していただきたいものと私は思っております。
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昨日の記事で、コロナワクチンを接種した人の血液を輸血で使えるか?ということをご説明しました。
そのとき日本の研究者が論文を出していることをご紹介しましたが、今日はその論文の中で指摘しているIgG4関連疾患についてお話ししたく、「IgG4関連疾患の罹患リスクに晒されるコロナワクチン接種者」と題して論説します。
IgG4関連疾患という言葉は、初めて耳にする言葉かもしれません。
IgG4関連疾患は、病気の名前です。
杉っ子の独り言では、医療介護をテーマとした記事で、コロナワクチンのmRNAについて危険であることを書いてきましたが、まさにmRNAワクチンの問題が叫ばれるようになって以来、IgG4という言葉は有名になりました。
もともとIgG4関連疾患は、珍しい病気であり、mRNAワクチンが出てくる前から存在している病気で、日本では1万人程度しか患者がいないと言われていました。
IgG4関連疾患のIgGとは何か?と言いますと、免疫グロブリンで抗体のことを指します。
抗体は体内に異物が入ってきた場合に、それを異物と認識してやっつけてくれるもので、免疫機能のことを指します。
これがIgG、即ち免疫グロブリンです。
抗体にはIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類あり、IgGはそのうちの一つですが、IgGには、IgG1〜IgG4までの4種類のサブクラスがあり、IgG4は、その4種類のうちの一つとなります。
IgGは抗体であり、体内の異物をやっつけてくれる武器といえます。
その武器たる抗体が、異物をやっつけてくれればありがたい話なのですが、自分の身体自体を異物と認識してしまい、自分の体を攻撃してしまうことがあります。
例えば肺や腎臓や胆管、膵臓の他、下垂体、涙腺、唾液腺、下垂体、リンパ節、前立腺腎臓などを異物だと思って攻撃してしまうことがあり、その結果として炎症が発生します。
もし肺が攻撃されて炎症が発生しますと、IgG4関連呼吸器疾患という病名になります。
また下垂体が攻撃されて炎症が発生しますと、IgG4関連下垂体炎という病名になります。
こうした炎症のことを総称して、IgG4関連疾患と呼んでいます。
先述の通り、IgG4関連疾患は珍しい病気であり、難病情報センターによれば、IgG4関連疾患の患者数は、2009年で約10,000人〜20,000人程度だったのですが、今後は多発する可能性があります。
というのも血液の輸血を通して感染してしまう可能性があるからです。
日本政府は無策でこれを放置しているため、被害実態は現時点では不明です。
そのため、こうしたリスクを回避するためにも、まずはワクチン接種を中止し、被害の評価実施を私は強く要望したいです。
なぜならば血液の輸血は、いつ必要になるのか?わかりません。
そんな中で、その血液は、ワクチン接種者のものなのか?非接種者のものなのか?医療の現場で見分けが付いているのか否か?全く分かりません。
米国の赤十字社では分別できていないことが明言されていましたが、日本でも未確認ですが分別できていないかと私は思います。
このようにmRNAワクチンの問題は、極めて深刻な状況に既に陥っていると考えらえるのですが、政府は調査もせず、見向きもしません。
こうした厚労省、岸田政権の怠慢によって、コロナワクチン接種によって、もしくは輸血によって、あらゆる日本国民がIgG4関連疾患に罹患するかもしれないリスクに晒されていることを、私たちは改めて認識する必要があるものと思います。
というわけで今日は「IIgG4関連疾患の罹患リスクに晒されるコロナワクチン接種者」と題して論説しました。
我が国では、この期に及んで、WHOでパンデミック条約の締結、IHR(国際保健規則)第59条の改正というものを、国会で審議することなく厚労省と外務省が日本政府として締結しようとしています。
一部の日本の国会議員が超党派で、立憲民主党の原口一博議員が中心となり、新党大地の鈴木宗男議員、参政党の神谷宗幣議員、自民党の平沢勝栄議員ら、この問題を取り上げて国会でも質問していますが、厚労省や上川外務大臣らの答弁は全く納得できるものになっていません。
またメディアもこうした問題を報ずることなく、相変わらず政治資金の裏金問題のどうでもよい部分ばかりを報じていまして、全くジャーナリズムの機能が不全の状態になっています。
コロナワクチンについては、読者の皆様におかれましても、くれぐれも接種はしないように、今後の医療情報にもアンテナを張り、医療事故の被害者にならないようにしていただきたいと切に願っております。
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今日は「ワクチン接種者の血液は輸血で使えず、ワクチン接種者の輸血を差別せざるを得ない」と題して論説します。
ワクチン接種者の血液・・・という題名になっていますが、ここでいうワクチン接種者というのは、コロナワクチン接種者のことです。
そしてコロナワクチンに用いられているmRNAワクチンは、世界中で深刻な健康被害が発生していまして、日本も例外ではありません。
その中でも、今この瞬間にも起きている重要な問題があります。
そのうちの1つ、コロナワクチン接種の血液を、輸血で使うことの可否についてです。
コロナパンデミック当時、mRNAワクチンは、ワクチンを接種した人と、ワクチンを接種しなかった人の2種類が存在し、とりわけワクチン接種が始まった頃は、ワクチンを接種しない人に対する激しい差別がありました。
米国では、ワクチンを接種しない人に対して、隔離すべきであるとか、刑務所に入れるべきだなど、米国の国内の有力者、セレブ、政治家らが主張していまして、ワクチン接種しなかった航空関係者らが解雇されたりするなど、社会で非情な差別をされた時期がありました。
当時、ワクチン接種をしなかった人に対する厳しい差別は一転し、血液の輸血という問題では、ワクチン接種した人を差別せざるを得ない状況になっています。
2022年、米国のワシントン州で、ちょっとした事件がありまして、この場で共有したいツイートがあります。
6. Shortly after the transfusion, Baby Alex developed a large blood clot. The blood clot ran from his knee all the way up to his heart. The hospital changed their tune saying babies get blood clots all the time and this was normal. pic.twitter.com/a2GytFb87h
— Defeat The Mandates (@dchomecoming) December 14, 2022
4. However, when it came time for the hospital to initiate the transfusion the doctors and nurses claimed they were unable to locate the unvaccinated donors blood the parents had procured. So without the parents consent they took blood from the hospitals general stockpile. pic.twitter.com/wEX7Vest51
— Defeat The Mandates (@dchomecoming) December 14, 2022
1. A newborn baby boy named Alex was born in Washington state with a 95% survivable congenital heart defect and was also anemic and needed a blood transfusion. pic.twitter.com/rOZ5DsQheH
— Defeat The Mandates (@dchomecoming) December 14, 2022
上記ツイッターは、米国のワシントン州で、新生児のアレックスという赤ちゃんが、生後45日後に、血栓で死亡してしまいまったことについてツイートされたものです。
亡くなってしまったアレックス君は、95%生存可能な先天性心疾患を患い、輸血が必要な状態でした。
このアレックス君の死亡事故の1年前の2021年、アレックス君のご両親の家族の親しい友人が、Covid-19ワクチンを接種した直後に心臓発作で亡くなってしましいました。
誰が見ても、その友人は健康であったのですが、その友人のワクチン接種後の心臓発作の死によって、mRNAワクチンの安全性にについて疑問が生じたアレックス君の両親は、ワクチン未接種者の血液を使いたいと考えていました。
アレックス君の両親は、運よくアレックス君の血液に適合するドナーを見つけることができたため、ご両親はそのドナーの血液を輸血できるように適切な手続きを取った上で、お金も支払いました。
ところが、いざ病院が輸血を始めようとしたところ、医師と看護師が両親が調達したワクチン未接種者のドナーの血液が見つからないと言い出しました。
そして医師と看護師は、アレックス君の両親の同意を得ることなく、一般備蓄品から、ワクチン接種者から採血されたか不明な血液を取り出し、その血液をアレックス君に輸血しました。
当初、医師、看護師は、赤ちゃんに血栓ができることなどめったにないから大丈夫だと告げたとのこと。
輸血後まもなく、アレックス君の身体に大きな血栓ができて、血栓は膝から心臓まで続いていた。
病院では赤ちゃんはいつも血栓ができるものであり、全く問題なく正常なことだとしたのですが、アレックス君はその後、抗凝血剤を投与したものの血栓が消えることはありませんでした。
それからわずか12日後、アレックス君は大きな血栓のために亡くなってしまったのです。
これが2022年、米国のワシントン州で起きた事件でした。
この事件は、決して日本でも他人事とは言えないのでは?と私は思います。
というのも、私たちはいつ?何らかの形で、輸血が必要となるのか?わかりません。
そのときの輸血は、コロナワクチン接種者のものなのか?コロナワクチン非接種者のものなのか?という悩ましい選択をする場面にぶち当たります。
この問題について、2024/03/15、「遺伝子ワクチン接種者由来血液製剤の輸血に関する懸念と具体的対策の提案」という名前の論文が出ています。
論文の掲載先のリンク先→「遺伝子ワクチン接種者由来血液製剤の輸血に関する懸念と具体的対策の提案[v1] |Preprints.org」
執筆した方として、上田 淳、本橋 宏明、平井 泰彦、山本 和彦、村上 泰彦、福島 雅之、藤澤 敦らの名前が出ています。
名前が出ている人の中の一人、福島雅之氏は、京都大学の名誉教授であり、この杉っ子の独り言でも、2023/02/12付の記事で、「京都大学の福島雅典教授が2023/02/02付で厚労省に対してコロナワクチン接種者の致死率等重要な情報の開示請求へ!」という記事にてご紹介したことがあります。
先述のリンク先の「遺伝子ワクチン接種者由来血液製剤の輸血に関する懸念と具体的対策の提案」は、医学論文です。
プレプリントで査読前のものではありますが、今月15日、日本の研究者らによって論文が公開されています。
内容的には輸血をテーマとしていて、ワクチン接種者の血液を輸血してしまうと、コロナワクチンに含まれる毒に感染されてしまうことについて言及し、警鐘を鳴らすとともに、解決策についても触れています。
コロナワクチンの毒とは何か?
コロナワクチンを接種することによって、血液にスパイクタンパクの汚染が残った状態になります。
コロナワクチンの危険性は、まさにmRNAワクチンの技術そのものが危険なのです。
というのも、コロナワクチンを接種しますと、スパイクタンパクを作る設計図に相当するmRNAが体内に入り込み、体内でスパイクタンパクを作る効果を持ちます。
このmRNAが体内に入り込みことによって作られたスパイクタンパクが免疫となり、コロナウイルスに感染することを防ぐことになっています。
ところが、mRNAで作られたスパイクタンパクは、消えることなく残り続け、血液はmRNAによって作られたスパイクタンパクで汚れた状態になります。
その血液を輸血する場合、スパイクタンパクそのものを除去しなければならないと、この論文では述べられています。
また別の角度から脂質ナノ粒子(LNP:Lpid Nano Particle)の問題点についても触れられています。
具体的には、コロナワクチンによって、脂質ナノ粒子(LNP)が血液に残存します。
脂質ナノ粒子は、mRNAを入れて、それを脂の膜で囲い、それを体内に注射によって入れるのですが、このLNPも体内に注射された後、消えることなく血液の中に残存します。
このLNPは単なる脂の膜ではなく、炎症性が高いもので、炎症を引き起こし、それ自体に血栓を形成する性質を持ちます。
このようにmRNAは、人体にとって”毒”そのものです。
こうしたものを接種してしまった血液に、スパイクタンパクやLNPが残っているとするならば、そのスパイクタンパクやLNPで汚染されている血液を輸血することになってしまいます。
その結果が、先述のワシントン州で起きた悲しい事件、アレックス君の死亡です。
血栓を作るということを踏まえれば、こうしたリスクは輸血だけではなく、臓器移植でも起こり得ます。
臓器移植も全く同じです。
このようにワクチン接種者による血液は、ワクチン未接種者と区別し、スパイクタンパクやLNPを除去するという対応をしなければ、それを使ったことで健康だった人が血栓ができて死亡してしまうというリスクがあるのです。
今、日本ではこのリスクが放置されています。
厚労省がやるべきことは、ワクチン接種者の血液を、ワクチン未接種者と区別して、輸血を希望する人に対して選択の自由が与えられるようにすることも検討して欲しいですし、ワクチン接種者の血液は、スパイクタンパクとLNPの除去をしたものを使うことを徹底しなければ、安心と安全が担保されないであろうと私は思います。
というわけで今日は「ワクチン接種者の血液は輸血で使えず、ワクチン接種者の輸血を差別せざるを得ない」と題して論説しました。
杉っ子こと、私はコロナワクチンを接種していません。いわゆるワクチン未接種者になります。
今後、ワクチン未接種者の血液は、高く売れるようになるかもしれません。
実は私は、B型肝炎ウイルスキャリア(セロコンバージョンの無症状型)であるため、輸血で使うことができません。
読者の皆様方の中で、ワクチン未接種の方、居られましたら、今後も医療情報について留意されればと思います。
特に直近では、明治ホールディングス(証券コード:2269)の傘下にあるMeiji Seika ファルマ株式会社が、レプリコンワクチンというものを開発し、日本の厚労省が承認しています。
レプリコンワクチンもまたmRNAを作り続けて分身を作るという機能を持っていまして、なぜ日本の厚労省は、健康に害するこうしたものを承認してしまうのであろうか?と極めて強い憤りを私は感じておりまして、今後も引き続きワクチン関連についての情報発信を継続していきたいと思っています。
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今日は香港で2024/03/19に制定された国家安全条例について取り上げ、「香港で国家安全条例が制定されることによって高まるビジネスリスク」と題して論説します。
産経新聞の記事をご紹介します。
『産経新聞 2024/03/19 21:12 香港国家安全条例「あいまい」「厳罰化」特徴 制定でさらに萎縮広がる恐れ
香港政府にとって20年以上にわたる懸案だった「国家安全条例」が19日成立した。同条例は罪を構成する要件があいまいで、報道やビジネス活動に支障をきたす可能性が指摘されている。また、従来の法律に比べ厳罰化の傾向にあり、今後、香港社会でさらに萎縮ムードが広がりかねない。
立法会(議会)周辺ではこの日、対テロ部隊が動員されるなど厳戒態勢が敷かれ、不測の事態に備えた。香港政府はこれまで同条例の早期制定を目指してきたものの、2003年に約50万人の反対デモが起き、制定を断念した経緯がある。
成立した国家安全条例には、国家秘密の窃取やスパイ活動、反逆、扇動、海外勢力による干渉などの罪が規定された。
立法会の審議などで指摘されたのは、条文などの定義のあいまいさだ。
たとえば「海外勢力」について外国政府や地方当局、政党、政治組織、国際組織などと規定されているが、国際組織には非政府組織(NGO)などさまざまな団体を含めることが可能。海外勢力干渉罪では、こうした勢力が中国・香港の政策や立法、司法に影響を与えたり、選挙に干渉したりすることを禁じている。
「国家秘密」もあいまいだ。中国や香港の重大決定、科学技術、中国国防・外交・国家安全の秘密に加え、中国や香港の経済・社会発展に関する秘密と規定されている。経済・社会発展の秘密とは何を意味するのか判然としない。さらに、国家秘密か否かを認定するのは香港トップの行政長官と定められている。
当局による恣意(しい)的な運用が懸念される中、メディアの取材活動やビジネス活動に規制がかかる可能性がある。香港メディアは、米政府系のラジオ自由アジア(RFA)が今月中に香港から撤退すると報じている。
また同条例では、扇動罪として中国・香港当局への憎悪、蔑視をあおる行為を禁じているが、現行法では最高刑が禁錮2年なのに対し、同条例では同7年、さらに海外勢力が関与していれば同10年と刑が重くなる。
香港国家安全維持法(国安法)違反の罪で起訴された香港紙、蘋果(ひんか)日報の紙面を所持しているだけで、扇動刊行物所有の罪とみなされ、現行法より重い3年以下の禁錮刑が科せられる可能性もある。』
上記記事の通り、香港議会で2024/03/19、国家の安全を脅かす行為を取り締まる国家安全条例案を、全会一致で可決しました。
今回可決した国家安全条例案は、中国政府が主導し、施行された香港国家安全維持法を補完する位置づけになっていて、国家機密を盗むこと、スパイ行為、外国勢力による干渉など、こうしたことを国家の安全を脅かす行為として、厳しく取り締まる中身になっています。
産経新聞の記事でも冒頭で言及していますが、21年前の2003年、香港政府が同様の条例の制定を目指したものの、50万人規模の抗議デモが起きるなど、香港市民の強い反対で撤回に追い込まれ、以降は制定が先送りされていました。
今回は、2020年に国家安全維持法が制定・施行され、デモに対する取り締まりが強化されたこともあり、条例制定に抗議する市民の動きは広がらず、香港政府が今月2024/03/08に条例案を提出し、わずか11日の審議という異例のスピードで可決しました。
この条例制定によって、香港が遂に完全に中国化されてしまったということになります。
条例の内容について、表面的には、国家機密を盗む、スパイ行為を取り締まる、これはもっともだといえますが、本当に表面的な文章通りの運用をするのか?というのが問題です。
あくまでも文章通りの運用ならば問題ありませんが、条例を拡大解釈し、中国共産党政府に都合の悪いことを言った人は、全員スパイであるという話になる可能性が極めて高いといえるでしょう。
そのため、事実上、香港は中国状態になったといえます。
産経新聞の記事では、中段で懸念の指摘がなされている通り、国家機密の定義について、社会、経済、科学技術に関する内容が含まれ、外国政府、政党、国際組織による香港の行政や選挙の干渉も禁止され、香港の人権状況に関心を持つ外国組織の活動を委縮させかねない内容といえます。
はっきり明言できることは、「昔の香港ではなくなった!」ということです。
香港民主化運動の女神と称された周庭(アグネス・チョウ)氏によれば、2024/03/13、自身のツイッターで、次のように述べています。
『(前略)基本法23条によれば、扇動の意図がある行為をすると、最高で7年の懲役刑となります。暴力行為と関係あるかどうかとは全く関係なく、中国政府や香港政府、議会への「軽蔑」、または中国の地域間での「憎しみ」を扇動すると、犯罪となります。
これは元々香港にある罪で、近年、多くの活動家やメディア関係者が扇動罪で逮捕されました。今回の法案によって、最高刑罰が2年から7年に増やされます。
また、扇動の意図がある出版物やものを持っていると、最高で3年の懲役刑です。
国家秘密の暴露や窃取をすると、最高で7年〜10年の懲役刑となります。
しかし、国家秘密の定義が非常に幅広く、軍事や外交に関する秘密だけでなく、科学技術、社会や経済に関することも含まれています。何が国家秘密なのかを判断できないまま犯罪になる可能性があり、メディア、ビジネス活動にも影響が出るかもしれません。
外国勢力による干渉やスパイ活動は、最高で10年、または20年の懲役刑です。しかし、「外国勢力」の定義がまた幅広く、外国政府や政党、政治組織、国際組織なども含まれています。国家安全に危害を与える意図で、外国勢力に用途のある資料、文書、ものなどを持っていると、犯罪となります。
「国家安全」の範囲も広いです。主権だけでなく、経済、社会、福祉なども含まれています。犯罪かどうかは法廷が決めますが、国家安全に関する案件を担当する裁判官は、すべて香港政府に選ばれた「指定法官」です。
国家安全に関わる罪で逮捕されると、最長拘留期間は本来の2日間から16日間に増やされます。
さらに、最初の48時間で、法廷は被疑者と弁護士との面会を禁止できます。つまり、23条が可決されたら、市民は弁護士に会う権利すらなくなります。
以上が法案の内容の一部ですが、これから修正案もあるので、最終的に細かい部分がちょっと変わる可能性もあります。
形は変わらないと思いますので、日本のみなさんはこれを読んで、これからの香港のことをもっと知っていただければと思います。
(この長文を読んでいただき、ありがとうございました!)』
以上は、周庭氏が法案審議中の2024/03/13にツイートしたものです。
周庭氏の条例の解説を読む限り、中国共産党政府に対する悪口は一つも言わせないというような条例であることがよくわかります。
これをお読みの読者の方は、中国共産党のネガティブなことを言わなければ大丈夫なのでは?と思う方、いるかもしれません。
しかしながら、何がネガティブで、何がポジティブなのか?恣意的な運用ができてしまう点が、この条例案の重要なポイントです。
例えばモノを盗んだとして、盗んでいる映像が証拠として存在し、明らかに盗んだということであれば、窃盗罪で罰せられたとしても、それはそれで納得ができるでしょう。
ところが、中国共産党政府に対して、何か意見をしたとして、その内容に扇動の意図があるのかないのか?その有無の判断は属人的になる可能性が極めて高いです。
例えば、”杉っ子の独り言”の今日の記事そのものが、事実を述べているだけであったとしても、その内容が中国共産党政府の国家転覆を扇動しているとして、私が捕まるという可能性がありますし、この記事をフェイスブックやツイッターなどの他のSNSで拡散する行為や、紙でプリントアウトして配るだけでも、扇動を疑われるということがあり得ます。
中国共産党政府にとって、気に入らない人がいれば、「あなたはスパイだ!」として逮捕し、言論の場から消すことが可能です。
もし中国でビジネスをしていた場合、ビジネスで大儲けしたとして、妬み、嫉み、やっかみを持った現地中国人に、ウソの内容で密告され、当局に逮捕されることもあるかもしれません。
国家機密には社会、経済に関することも含まれるため、政治的な発言でなかったとしても、ビジネスでちょっとしたことが理由で拘束されることは十分にあり得ます。
周庭氏も指摘していますが、何が国家機密なのか?を判断できないまま犯罪認定される恐れがあり、しかも弁護士との接見も最初の48時間はできません。
メディアに出る人は「中国は素晴らしい!」とか「香港は素晴らしい!」としかいえず、北朝鮮と同様、もしくは北朝鮮以上に言論統制が厳しく、「中国には闇がある」という主旨の発言をした瞬間にパージされることも想定されます。
私たち日本国民にとって、今後、軽々しく香港に旅行に行くのは極めて危険です。
周庭氏は現在、国家転覆を扇動した罪という容疑で、香港警察によって指名手配をされています。
カナダに亡命した形になっていますが、周庭氏が香港に戻ることは2度とないでしょう。
何しろ彼女は、香港民主化運動で、黄之鋒(ジョシュワ・ウォン)氏、黎智英(ジミー・ライ)氏らと一緒に、先頭に立って活動していました。
そのため、「お前はスパイだ!」と拘束されるリスクがある中で、香港に戻るわけがありません。
国際手配している追手がカナダに迫っているか?は別にして、指名手配されているのは作り話ではなく、事実です。
海外に逃げたとしても逃げた先の国で、完全に守られているわけではなく、周庭氏の亡命は、まさに命がけだといえるでしょう。
ビジネスという側面では、既に外国人投資家を中心に香港からは逃げており、このまま香港が廃れていくのでは?という声が経済界から漏れ聞こえているようです。
しかしながらもっと私たち日本国民が認識しなければならないことがあると私は指摘したい。
それは2020年の国家安全維持法の施行と、今年2024年3月の国家安全条例の制定によって、香港が極めて危ない状況になっているということは、中国はもっとそうしたリスクが高いということではないでしょうか。
にもかかわらず、日本の経営者は中国は人口が13億人いるからといって、未だに中国進出の相談会が行われていたりします。
中国でビジネスをすれば、巨大な市場を取り込めると鼻息荒く思っている経営者は、幻想を見ているに過ぎません。
目先、売上高を伸ばすことは可能かもしれませんが、冷静にみれば、中国に駐在員を置く日本国籍を持つ社員は、何らかの理由で日本に帰国できなくなったり、人質的な扱いを受ける可能性があります。
リスクマネジメントという側面から、これを放置してみて見ぬフリをしたまま中国でビジネスを継続してよいのでしょうか?
労働安全衛生法や労働契約法第5条で謳われる安全配慮義務といった側面から、私は極めて問題があると思っております。
香港における国家安全条例でこれだけ騒がれているのに、今もなお中国でビジネスを続けている日本企業の経営者は、リスクマネジメントについて”脇が甘い”のでは?と、思うのです。
中国リスクについて熟知している人は、中国に旅行で行くことですら躊躇します。
そんな中国に従業員を住まわせ、中国国内でビジネスを行うことの危険性を、日本企業の経営者は、改めて認識するべきであると私は思います。
というわけで今日は「香港で国家安全条例が制定されることによって高まるビジネスリスク」と題して論説しました。
読者の皆様もご記憶があるか?否か?わかりませんが、2023/03/20、日中友好に尽力されたアステラス製薬(証券コード:4503)のベテラン幹部社員が、駐在を終えて日本に帰国しようとしたところ、中国共産党政府によって拘束され、今もなお解放されていません。
一説にはアステラス製薬は中国国内で麻酔薬を販売し、拘束された社員は麻酔薬が中国のどの地域でどれだけ販売していたか?というデータを持っていた可能性があり、それが例えばウイグル自治区で多く販売が伸びていたとなれば、臓器移植に麻酔薬が大量に使われているのでは?などと、職務上知り得る情報を知っているがために、スパイ行為として拘束された可能性があるとの見立てがあります。
いずれにしても、1年経過した今もなお、拘束されているにもかかわらず、日本政府は何も動いていません。
こうした岸田政権の在り方もまた私は極めて大きな問題があると思っております。
〜関連記事(中国のビジネスリスク)〜
◆拘束されたアステラス製薬の社員がスパイ活動とは無縁だが職務上知り得た臓器移植の薬剤を取り扱っていたことが原因で拘束されたか?
◆倒産するという概念が存在しない中国企業を相手に中国でビジネスを継続すべきか?撤退すべきか?
◆アームの上場に浮かれるソフトバンクグループが抱えるアーム・チャイナのリスクの本質に迫る
◆反スパイ法第64条と国防動員法第63条の中身を知ると中国進出企業の現地法人の企業価値・事業価値をゼロになるリスクがあることが理解できます!
◆中国のVIE(Variable Interest Entity=変動持ち分事業体)スキームのリスクについて
〜関連記事(中国共産党による臓器摘出)〜
◆日本のマスコミが報じない中国共産党政府の死体ビジネス・臓器狩り
〜関連記事(中国による人権弾圧)〜
◆奈良先端科学技術大学院大学でバイオエンジニアリングを学んでいたウイグル人女性のミルフレさんが中国に帰国後に死亡
◆中国の習近平ではなく台湾の蔡英文総統を国賓として招聘すべきでは?
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◆中国共産党によって人権と民主主義が脅かされている香港を支援する米国と何もしない日本
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私は鉄道が好きなこともありますが、国家の国益の観点から鉄道をみますと、新幹線事業は極めて重要なプロジェクトといえます。
1973年に新幹線整備計画というのが策定されましたが、計画策定以降、未だ工事に着手していない新幹線がたくさんありまして、その理由が大蔵省、財務省ら、財源を理由にしています。
そこで今日は、マクロ経済について無知な官僚らに対して改めて批判を論じたく、「国債発行を財源にして、日本中に新幹線インフラを全国に張り巡らす意義」と題して論説します。
そもそも、新幹線事業を立ち上げるには、土地の買収から始まって開業までに多くの時間と費用を費やします。
この費用を一民間企業に捻出させるというのは、本来は間違っていまして、鉄道インフラというのは国家としての生産性向上、自然災害対策から国民の一致団結といったナショナリズム醸成という効果もあり、利益追求組織ではないNPO法人の日本政府が国債を発行して率先して行うべきことです。
そう考えますと、JR各社は本来国鉄組織に戻した方がよいのでは?という議論がありまして、私はJRの再国有化に賛成している立場です。
というのも、民間会社ですと、どうしても利益確保のためにキャッシュフローの中で事業が回せるか?と事業経営を考えなければならず、そのことが開業を躊躇させたて、より開業まで時間を費やすことになったり、工事などを安値発注させることで、地場のゼネコンや運営に関わる業者らへの経済効果が小さくなってしまうことが考えられるからです。
マクロ経済のGDP3面等価の原則「生産面のGDP=支出面のGDP=分配面のGDP」で、支出面のGDPという側面で見た場合、JR西日本が支出しようとも、政府の一機関となる国鉄が支出しようとも、生産と所得に変わりはありません。
前者は株式会社で利益追求組織なのでなるべく安い業者に発注しようと考える一方、国鉄の場合は利益追求組織でないので、地域経済貢献のために高値で発注したとしても何ら問題はないのです。
このとき、議論になるのは財源です。
財源は、どうやって作るのでしょうか?
新幹線事業は、普通に財政法第4条、即ち4条公債(建設国債)を発行すればよいだけです。
北陸新幹線延伸事業においては、敦賀駅〜新大阪間は、2兆円〜3兆円かかるといわれています。
その他、山陰新幹線、四国新幹線、紀伊新幹線などの新幹線網を整備することこそ、少子高齢化の切り札といっても過言ではありません。
なぜ東京一極集中が起きるのか?
それはインフラが東京に集中しているからです。
地方で生活して事業をしたいと思っても、東京の方が首都圏で高速鉄道の終着・発着駅であり、かつ地下鉄などの鉄道網が整備され、仕事を効率よくできるので賃金UPの原資が生み出されやすく、給料も高くなりがちです。
ミクロでみればそうなりますが、マクロで考えますと、東京一極集中が進み、地方の人口が増えないという帰結に至ります。
かつて日本では、農業を始めとした一次産業に従事していた人が多く、米を作り、野菜を作り、果物などの農産物を作っていました。
人口の8割が1次産業に従事し、米作り、野菜作りを通じて、それぞれの地域で先祖から預かってきた土地を守り、食糧を作ってきたので、食糧自給率も100%近かったのですが、現在の食料自給率は20%台で危機的な状況になっています。
ところがこうした状況が、改革という名のもとで集約化されて、関税引下げと共に海外からの輸入品を受け入れることを進めたため、1次産業は衰退の一途を辿りました。
この衰退を食い止める方法の1つとして、インフラを日本中に張り巡らせるというのが効果的であり、1日も早く完成させることが国益につながります。
静岡県の川勝知事が、リニア新幹線計画に反対していることで、どれだけの国益が失われているか?川勝知事のリニア新幹線計画への対応は問題外だとして、自民党の参議院議員の西田昌司氏によれば、新幹線整備に限っていえば、費用は50兆円〜60兆円で完成できるとのこと。
全国の新幹線整備を行っても、たったの50兆円〜60兆円です。
”たったの”というのは、日本のデフレギャップが50兆円といわれているため、新幹線整備を全国に張り巡らせてもまだ、デフレ脱却ができない可能性もあると思うと、”たったの50兆円”、”わずか50兆円”と言えるかと思います。
コロナパンデミックでは、2020/04/27に制定された2020年度第1次補正予算を皮切りに、一律10万円給付、労働基準法第26条に伴う休業補償の雇用調整助成金などのため、100兆円使っています。
そう考えますと、50兆円で新幹線整備ができるというのは、安すぎると私は思うのです。
日本政府はなぜそれをやらないのでしょうか?
まさに財務省が財政を間違った方向にミスリードしている根本といえます。
コロナで人命のために使うお金も必要ですが、将来世代の若者に未来を託すべく、次世代に残す財産として新幹線整備にお金を使うことを躊躇する理由など存在するのでしょうか?
新幹線に限らず、地下鉄も同様で、100年は使えるインフラです。
50兆円程度でできる新幹線整備を、躊躇する理由など、どこにもありません。
それを財政再建という欺瞞によって、国債発行を止めてきました。
この発想を正さなければなりません。
その例として新幹線整備計画は、政府が先頭になって対応すべきで、北陸新幹線の敦賀駅〜新大阪駅間は、たかだか3兆円です。
ただし3兆円国債発行しても、すぐできません。
建設サービスを供給するための人材、資材が必要です。
1年で3兆円出すから1年で作れといっても、完成できないのです。
しかしながら「3兆円出すので10年で完成させてください!」といえば、可能ではないでしょうか?
期間の長い長期的な計画・プロジェクトを政府が打ち出し、国債発行による信用創造でゼロから財源を捻出して、通貨供給することを政府が発表すれば、鉄道工事業者、ゼネコンは、必ずその工事を受注するために、正社員を雇用し、設備投資を行います。
それがまた他の第三者の所得を創出する効果もあるでしょう。
とりわけ北陸新幹線の場合、トンネル技術が必須であり、トンネルを掘削する機械を購入し、工事の発注を待つ状態にすれば、10年や20年で完成することは可能でしょう。
また完成年度も不明にせず、明確に完成年度を政府が示すことも重要で、そのためには財源を惜しまないというメッセージも合わせて必要であり、それらを適切に講ずれば、新幹線は完成します。
もう1つ課題があるとすれば、整備新幹線は国が2/3、地方が1/3を拠出します。
北陸新幹線の敦賀駅〜新大阪間の延伸に3兆円かかるとなれば、政府が2兆円、地方自治体が1兆円、それぞれ負担することになり、この場合、京都府が大部分を負担することになるでしょう。
京都府が1兆円を負担しなければならないとなった場合、10年後の完成を目指すとして、1兆円÷10年=1,000億円を毎年京都府が拠出するというのは、絶対に不可能です。
これを解決する方法としては、日本政府が1兆円を負担する方法もありですし、もう1つは京都府の場合、京都市営地下鉄で実施した償却期間の延長という方法があります。
具体的には、新幹線が100年使える資産であれば、100年分割でもよいわけです。
つまり1兆円を100年分割にすれば、京都府の負担は年間100億円で済みます。
これは維新の会が主張する財源をカットする話ではないため、誰の懐も痛みません。
マクロ経済を理解し、信用創造を理解し、企業会計の減価償却を理解すれば、維新の会が主張する身を切る改革は無用です。
そして将来世代に借金を残してよいのか?という財務省側の言説に対しては、国債の償還は借換債で行っており、新たな国債を発行することで、国債発行残高は増え続けますが、それで何ら問題がありません。
税金を徴収して国債を償還すれば、日本国民は大貧困化します。
国債を償還するということは、国民側にあるお金(マネーストック)を回収して消滅させることを意味するからです。
資本主義というのは、政府が負債を減らすと貧困化し、政府が負債を増やすと国家は繁栄する仕組みなのです。
というわけで今日は「国債発行を財源にして、日本中に新幹線インフラを全国に張り巡らす意義」と題して論説しました。
日本では、過去に税金を徴収して、国債発行残高を減らした史実があります。
それは1946年の新円切替のときで、1946/02/18時点の国債発行残高618億円を、1946/03/12 同日時点の日銀券発行高152億円に返済して国債発行残高を466億円借金を返済し、マネーストックを▲75.4%減少させた史実がありますが、これはGHQが指令を出したものです。
さらに1946/03/03には預金封鎖(緊急金融措置の発動)が行われ、95%の財産課税がかけられ、日本は大貧困化しました。
戦争中よりもGHQ占領後の方が、極端に日本国民が貧しくなったのは、こうしたGHQの大貧困化政策が原因です。
では、その貧困化政策をGHQが指示したとして、それを日本では誰が指揮を執ったのか?
それが大蔵省であり、今の財務省です。
維新の会が主張する”身を切る改革”では、日本を発展させるどころか、むしろ貧困化を加速させるだけです。
こうした事実を踏まえ、私は財務省の人事給与制度において、緊縮財政を行った人は、事務次官になれず、処遇も冷遇されるという制度改定が必要であり、これこそが再び日本が発展するための真の改革になるのではないか?と、私は思うのです。
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◆日銀がほぼ半分を保有する日本政府の負債は税金で返済しておらず、借金ではないことを認めた鈴木財務大臣
◆安倍元総理の”日銀は政府の子会社だ”との発言を否定・批判する経済記者・エコノミストは全員白痴者です!
◆国債マーケットにおいて負債を増やすだけで原資を生み出せる日銀に勝てる投資家は存在しない!
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今日は「輸入品の価格上昇は円安が原因なのではなく海外は日本の物価以上にインフレが起きているということ」と題して論説します。
巷のニュースでは、輸入品価格が上昇したのは、円安のせいであり、これを放置する日銀は”けしからん”とする言説が蔓延しています。
多くの人が誤解していると思うのは、円安要因が金融緩和にあると考えていることです。
先日、日銀がマイナス金利解除を行いましたが、日銀はマイナス金利を解除し、金利がある世界にすべきであって、利上げすべきであるという言説の裏には、輸入品価格上昇を抑制する解決策として、金融緩和をやめるべきであるとする言説があります。
この言説、この認識は大きく間違っています。
輸入品価格が上昇する理由は何か?といえば、他国では財政赤字拡大を伴った財政支出増によって、日本以上に他国では景気が良く、リベンジ消費ならぬリベンジ需要によって、ディマンドプルインフレが起きているというのが、その理由です。
<日米の四半期GDP(年率換算)の推移>
(出典:米国商務省、日本内閣府)
上記グラフをご覧いただきたいのですが、米国商務省と日本の内閣府がそれぞれ公表する四半期GDPを、2019年第3四半期(7月〜9月)以降で推移を折れ線グラフにしたグラフになっています。
指標について総括しますと以下の通りです。
<米国>
●コロナパンデミックで2020年第2四半期GDPは▲28.0%の大幅下落
●2020年第3四半期GDPは34.8%と大幅に伸長
●2020年第3四半期以降は、2022年第1四半期▲2.0%、2022年第2四半期の▲0.6%を除き、全てプラス成長
<日本>
●2019年第4四半期GDPは消費増税のダメ―ジを受けて▲10.7%と大きくマイナス
●2020年第1四半期GDPは、わずか2%だけ回復後、コロナパンデミックで▲27.6%の大幅なマイナス
●2020年第3四半期GDPで24.1%の大幅に回復したものの、以後は一進一退で直近の数値も▲3.2%、+0.4%と弱い数値が継続
以上が総括ですが、敢えて日本についてもう1点、付け加えますと、2023年第2四半期は4.2%のプラスですが、個人消費はマイナスし、輸入が大幅マイナスして純輸出8兆円が貢献しているに過ぎず、実質的にはマイナス成長といえます。
つまり日本の経済は、まだ弱いというのが現状です。
今年の春闘では大企業を中心に、大幅な賃上げと満額回答となっていても、その原資は決して景気が良くて満額回答をしているのではありません。
輸出企業を中心に円安による為替差益を今まで還元していなかったものを還元し、同様に輸出戻し税の還付もまた同様に還元したものに過ぎないと私は思っております。
輸出の恩恵を受けられない企業や、国内中小企業は、全く関係がないといえます。
ところが日銀が、”金融緩和=悪”という論調を吹聴し、電気料金やガス料金を含めて輸入品の価格が上昇しているのは、円安に起因するという空気を醸成し、今年の賃上げが大幅高となったことを理由に、マイナス金利解除という判断をしてしまいました。
連日メディアがマイナス金利解除を報じることで、そうした空気が醸成され、SNSでもマイナス金利解除が正しいというような言論・言説が当然のように蔓延していました。
これは結論からいえば、間違っています。
輸入品の価格が上昇しているのは、その品物を輸出する国で日本以上の物価上昇が起きているのです。
ご紹介したグラフでは、米国のGDPの推移をお見せしていますが、米国は普通に好景気です。
もちろん資源高によるコストプッシュの要因もありますが、財政赤字拡大をしっかりと行っているため、ディマンドプルの要因が大きく占め、普通に高い経済成長が実現されているのです。
その結果、需要増大が続き、人件費の増大など、価格に織り込まれます。
これは一次産業の農産品も同様に価格転嫁されていきます。
そうした物品が、海外から日本が輸入する際、船舶や航空機の貨物で運ばれることになりますが、これらの物流コストもまた上昇しているため、販売価格に転嫁されます。
さらに関税や輸入会社の手数料の他、国内運送費、倉庫保管料、小売店へ販売手数料など、おまけに為替レートによる円安変動分のコスト上昇と、これらがすべて転嫁されて最終小売価格が形成されます。
円安が全く影響がないとまでは言い切るつもりはありませんが、円安は物価上昇の要因の一部に過ぎず、その占める割合は僅かです。
つまり金融緩和を解除、マイナス金利解除をやったとして、円高になったとしても、物価上昇を和らげる力は弱いのです。
しかしながらついに日銀はマイナス金利解除をやってしまいました。
国債の買い入れ額は維持するとはいえ、植田日銀総裁は将来的には買い入れ額を減らすと述べています。
経済が全く好景気という状況から程遠いのに、金融引き締め策を行うという愚策が行われてしまったといえるでしょう。
というわけで今日は「輸入品の価格上昇は円安が原因なのではなく海外は日本の物価以上にインフレが起きているということ」と題して論説しました。
マイナス金利解除は、日本国民を貧困に突き落とす入り口の序章に過ぎません。
おそらくデフレ脱却していないのに”デフレ脱却宣言”が行われ、財政支出を抑制して緊縮財政が行われる最悪のシナリオを私は想定しています。
そしてプライマリーバランス黒字化目標のために、消費増税をするなど、日本を衰退させる政策が打たれ続けることになるであろうと思いますと、将来世代にツケを残す愚かな岸田・植田コンビ=岸田政権に対しては、一刻も早く退陣していただきたいと、私は思うのです。
〜関連記事〜
◆交易条件の悪化は資源高の要因のウェイトが大きく日米金利差縮小のために利上げしても効果は限定的なのでは?
◆資源価格の他にも米国産牛肉の卸売価格を見れば金融緩和維持の黒田日銀総裁に落ち度はないことがわかる
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日銀は、ついに日銀金融政策決定会合において、マイナス金利を解除しました。
植田日銀総裁は、前総裁の黒田・安倍路線を継承して、マクロ経済を理解し、経済指標を理解した上で、金融政策を行っている聡明な方だと思っておりましたが、完全に裏切られたというのが私の思いです。
そこで今日は、その理由について触れたく「マイナス金利解除で景気の先行き一段と不透明に!」と題して論説します。
時事通信の記事をご紹介します。
『時事通信 2024/03/19 20:35 日銀、マイナス金利解除 植田総裁「2%実現見通せた」―YCC撤廃、金融政策正常化へ
日銀は19日、前日に続き金融政策決定会合を開き、大規模金融緩和の一環として実施してきたマイナス金利政策の解除を決めた。会合後に記者会見した植田和男総裁は、2%物価上昇目標の持続的・安定的な達成について「実現が見通せる状況になったと判断した」と強調。2013年4月から11年続いた異例の大規模緩和は「役割を果たした」とし、金融政策正常化へ大きく踏み出した。
日銀による利上げは07年2月以来、17年ぶり。長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作(YCC、イールドカーブコントロール)の撤廃も決定した。植田氏は「短期金利を主たる政策手段とする普通の金融政策に戻る」と説明した。
一方、今後の金融政策運営に関しては「緩和的な金融環境が継続する」と指摘。急速な利上げは想定しておらず、「(短期金利の)急激な上昇という経路は避けられる」との認識を示した。
マイナス金利は16年2月に導入。金融機関が日銀に預け入れる当座預金の一部に、マイナス0.1%の金利を適用してきた。今回の修正で、この金利を0.1%に引き上げ、短期金利(無担保コール翌日物レート)を「0〜0.1%程度」に誘導する。
YCCは撤廃するが、企業の設備投資などに影響を与える長期金利の急騰(債券価格の急落)を避けるため、大量の国債買い入れは当面継続。規模は現在と同様の月間6兆円程度とする。ただ、植田氏は市場の金利形成機能回復のため「将来どこかの時点で買い入れ額を減らしていくことも考えたい」と述べた。
事実上、株価を下支えしてきた上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の新規買い入れも終了する。社債などの購入は段階的に減らし、1年後をめどに終える。
日銀が政策修正を見極める上で重要視した24年春闘では、大企業の満額回答が続出。連合が15日公表した経営側からの回答の第1回集計結果は賃上げ率が平均5.28%と、33年ぶりの高水準となった。植田氏は「判断の大きな材料にした」と述べ、結果を受けて賃金と物価がともに上昇する好循環の達成に自信を深めたことを明らかにした。』
上記の時事通信の記事の通りですが、2024/03/19、日銀の金融政策決定会合において、マイナス金利を解除することが決定されました。
日銀の植田総裁は記者会見を行い、2%物価上昇目標の持続的・安定的な達成が実現できる見通しとなったとし、記事では金融政策正常化に向けて大きく動き出したと報じています。
また植田総裁は、YCC(イールド・カーブ・コントロール)を撤廃するものの、大量の国債買い入れについて月間6兆円程度の購入を継続するものの、今後は金利形成機能回復のために、どこかの時点で将来買い入れ額を減らしていくことも考えたいと述べたことも報じられています。
私の意見としましては、マイナス金利解除については、拙速であり、やってはいけないという立場であり、今、利上げをすべきタイミングではありません。
まず第一に、消費や設備投資を含む民間需要の力は、コロナ前の消費税率10%引き上げ直前の2019年第3四半期末(7月〜9月)の数値を下回っています。
<民間最終消費支出と民間企業設備の実額の推移(単位:兆円)>
(出典:内閣府)
上記グラフの通り、民間最終消費支出は、2023年10月〜12月期が296.17兆円で、2019年7月〜9月期の304.81兆円と比べて、▲8兆円(▲2.9%)となっています。
折れ線グラフの推移を見ても、明らかに民間最終消費支出の伸びは弱いです。
同様に民間企業設備、即ち企業の設備投資についても、2023年10月〜12月期が91.44兆円で、2019年7月〜9月期の93.77兆円と比べて、▲2兆円(▲2.5%)となっておりまして、設備投資も消費増税10%直前の水準に及んでいません。
にもかかわらず、なぜ植田総裁はマイナス金利を解除したのでしょうか?
時事通信の記事の最後に記載がありますが、大企業における今年の春闘の満額回答の結果を受け、平均賃上げ率5.28%という数値が33年ぶりの高水準だったことを理由に挙げています。
日銀と政府の関係は、資本金1億円のうち、5,500万円相当の55%分を日本政府が保有しているので、会社法第2条3項の子会社の定義、会社法第2条4項の親会社の定義により、両社は親子関係にあります。
一方で、日銀法第3条1項で金融政策の独立性、日銀法第5条2項で業務の独立性があります。
とはいえ、日銀は政府の経済政策の方針と整合できる運営をすることが求められていますので、マイナス金利解除に慎重だったはずです。
ところが、日銀職員の中には、イデオロギー的あるいはドグマといってもよいと思いますが、利上げをしたいと思っている人がたくさん存在しているものと考えられます。
今回は、事前にメディアを使ってのマイナス金利解除検討のリークがひどく、日銀職員らが、マーケットにマイナス金利解除を織り込ませたうえで、植田総裁に対して「マーケットは完全にマイナス金利解除を織り込んだので決断してください!」と、迫ったのかもしれません。
今年の春闘の賃上げ要求の水準と、企業側の回答水準は、高い水準で妥結した事実があります。
しかしながらそれは、景気が良いという理由ではなく、多くの要因は、輸出企業を中心に、円安と消費税の輸出戻し税という2つの大きな利益上昇要因があり、かつこれまで内部留保を防衛的にため込んできたわけで、昨今のコストプッシュインフレで物価上昇に苦しむ労働者に対して、少し緩和させなければと考えて、内部留保に回るものの一部を、労働者に分配しているに過ぎないと私は思います。
端的にいえば、決して景気が良くなって賃上げをしているわけではないということです。
無論、半導体産業や、EVでずっこけた世界の自動車産業を横目にハイブリッド車で輸出が好調なトヨタ自動車(証券コード:7203)、そのサプライヤーの日本製鉄(証券コード:5401)のような企業は、景気が良いかもしれません。
それとてトヨタ自動車や日本製鉄は、円安と輸出戻し税の恩恵が多く、下請け業者は円安と輸出戻し税の恩恵を受けることができません。
ゆえに春闘の賃上げが高額回答で妥結されているので、利上げをするというのは、完全に間違っています。
日銀の今回の対応は、全くダメな対応であると私は思います。
マイナス金利を解除するタイミングは、いつであるべきか?
それは民間最終消費支出の伸びが高く推移し、将来も伸びが見込めると同時に、設備投資意欲が実需、金額(名目需要)いずれも高水準で伸びが見込めるときです。
こうした状態になれば、デフレ脱却→ディマンドプルインフレが見込めるため、マイナス金利解除し、政策金利を引き上げても問題はありません。
「金融政策を正常化したい」という考えをベースに、今年の春闘の結果だけで金融引き締め策に転じるというのは、本当に愚かなことではないでしょうか。
このように考えますと、少なくても経済指標が弱い状況下、せっかくデフレ脱却の芽が出始めた状況だといえると思いますが、その芽をつぶしかねないのが、今回のマイナス金利解除になるであろうと、私は思うのです。
というわけで今日は「マイナス金利解除で景気の先行き一段と不透明に!」と題して論説しました。
一昨日2024/03/19の日経平均株価は、終値で40,003円60銭となり、263円16銭高でした。
しかしながら中期的な株価の見通しは、マイナス金利解除は、一株当たり利益の伸びを抑制する方向に働きます。
一部の銘柄で、キャッシュリッチな企業は金利収入が増えるというごくわずかなケースを除けば、中小零細企業が倒産廃業して、その倒産廃業した企業の市場を吸収する形で利益を確保することで、株価の理論値が上昇することで、人気化する銘柄が買われるということはあるかもしれません。
とはいえ、全体としては今後株価が一本調子で上昇していくことはないのでは?と私は思います。
そうした中で、政府がNISAやIdecoを推進している現状は極めて危うく、国民に大損させて貧困に突き落とす愚策になるのでは?と私は危惧しておりまして、岸田政権は本当にロクなことをやっていない内閣であると批判したいです。
〜関連記事〜
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北陸新幹線の北陸新幹線の金沢〜敦賀間が延伸開業を各メディアによって報じられました。
日本国内では、国益を失う売国行為を続ける政治家、官僚らによって、暗いニュースが続く中、明るいニュースの一つだと思います。
とはいえ、能登半島地震の被災者支援では、岸田首相は予備費の増額で対応し、補正予算は組まない方針が見受けられます。
大震災で補正予算を組まない一方で、歴史の縁もゆかりもない遠い国のウクライナ支援に鼻息荒く注力する愚かな岸田政権に対して憤りを強く感じざるを得ません。
国益とは何か?という論点で考えますと、高速鉄道整備は、人口減少する日本だからこそ必要なものであり、少子高齢化の切り札たりえます。
そこで今日は、改めて高速鉄道インフラの意義について論じたく、「北陸新幹線の金沢駅〜敦賀駅延伸ルートの開業」と題して論説します。
産経新聞の記事をご紹介します。
『産経新聞 2024/03/16 17:05 北陸新幹線延伸開業 経済効果は石川・福井で計588億円も 人流維持が今後の課題
北陸新幹線が16日、金沢―敦賀間で延伸開業した。東京都から福井県までが新幹線で結ばれることとなり、経済効果に大きな期待が寄せられている。日本政策投資銀行は福井県に年間309億円、石川県に同279億円の計588億円の経済波及効果があると試算。大都市圏からの人流を途絶えさせないため、現地の交通網や宿泊施設などの適切な整備が行えるかが今後の課題となる。
延伸により、東京―敦賀間の移動は特急などを使った同じルートでの移動と比べ約50分短縮され料金も安くなり、沿線をビジネスや観光目的で訪れる人が増えることが予想される。
実際に金沢市は平成27年3月に長野―金沢間が延伸開業して以降、観光での誘客はもちろん企業誘致でも一定の成功を収め、金沢駅周辺の地価が延伸前の約2倍となるなど好景気に沸いており、福井県内でも同様の効果が期待される。
今回は政府の北陸応援割や、鉄道各社や旅行会社などが打ち出す割引キャンペーンも追い風となる。実際の経済効果は政投銀の試算から上積みされることが濃厚だ。
一方、今後の課題は、延伸や各種キャンペーンによる「特需」後の活力維持だ。計画されている敦賀−新大阪間の延伸が実現すれば人流のさらなる増加も予想される。新幹線駅から先の交通網の強化に加え、飲食店や宿泊施設、観光体験の充実などが不可欠となる。
福井県の杉本達治知事は2月の記者会見で「新幹線が来たら終わりではなく、福井ブームというものをつくっていくことが大事だと思っている」と力を込めた。』
上記の通り、2024/03/16、北陸新幹線の金沢〜敦賀間が延伸開業いたしました。
記事によれば、延伸によって東京と敦賀の間の移動は、同じルートで特急を使った場合と比較して約50分も短縮された上に、料金も安くなるということで、これは極めて素晴らしいニュースです。
なぜ素晴らしいことなのか?といえば、新幹線が国益につながるという点を踏まえてメリットを上げますと以下の通りです。
●人の移動のスピードを早くするという生産性向上効果をもたらし、日本国民が安価に利用できること
●太平洋ベルト地帯ならぬ日本海ベルト地帯を作ることで、日本海側への投資がしやすくなること
●南海トラフ地震で東海道新幹線が使えなくなっても、バックアップとして北陸新幹線で関西方面に行けること
などなど、以上のメリットを通じて、生産性向上を通じて、北陸地方の地域経済衰退の抑制、相対的に北陸地方のプレゼンスの向上によって、東京一極集中が緩和され、自然災害大国の我が国で太平洋側での大災害(首都直下型地震、南海トラフ地震を想定)発生時のバックアップルートの確保という点で、大きなメリットがあります。
一部のメディアでは、大阪駅〜福井駅の間は、特急サンダーバード一本ではなく、敦賀どまりで乗り換えが発生して3分しか短縮しないなどといった事実を報じています。
そういうデメリットはあるかもしれませんが、日本全体でマクロでものを見た場合、先述の大きなメリットがあり、自然災害は今もこの瞬間に発生する可能性があるわけで、大阪〜福井は不便になったということを、ことさら強調するものではないかと思います。
何しろ北陸新幹線は敦賀で止まったわけではありません。敦賀駅〜新大阪駅の間も、今後延伸していきます。
大阪駅〜福井駅の間では、3分しか短縮しなかったとしても、今回の敦賀駅までの延伸によって、小松駅〜加賀温泉駅〜芦原温泉駅〜福井駅〜越前たけふ駅〜敦賀駅と、6つの駅が開業し、最速便に乗車した場合、大阪駅〜金沢駅間で22分、名古屋駅〜金沢駅間で16分、時間が短縮されるというのは大きく、しかも料金が安くなるという点も素晴らしいです。
延伸ルートの地図と各駅の構内の概要は、下記の通りです。
<金沢駅以降、白山総合車両所〜小松駅〜敦賀駅までのルートと各駅の構内>
(出典:鉄道・運輸機構「地域に愛される駅を目指して」から品用)
先ほど私は料金が安くなっている点が素晴らしいと申し上げましたが、今回、北陸新幹線の延伸に伴い、在来線がどうなるのか?は気になる点です。
というのも北陸新幹線の金沢駅〜敦賀駅の間は、JR西日本(証券コード:9021)の営業路線です。
JR西日本は株式会社であるため、利益追求組織であるがゆえに、在来線を縮小させるのではないか?という点を危惧しております。
もし、JR西日本のみならず、JR各社が昭和時代の国鉄に戻った場合、国鉄は利益追求組織ではないので、在来線を縮小させる必要が無くなります。
仮にも日本海ベルト地帯を作る構想があるとすれば、日本海側の港湾整備を含め、在来線縮小をしないようにしていただきたい。
具体的には、政府がJR西日本に資金支援し、その財源をベースにして北陸新幹線が安価に利用できるようにするとなれば、これは高速鉄道インフラを日本国民が安価に利用できるということになり、国益に資するものといえます。
一時的に開業効果で乗車率が高くなったとして、開業以降、仮に乗車率が下がったとしても「平時の余裕は非常時のバッファー」であり、繰り返しますが大災害の時のバッファーとして活用することができる点でメリットが大きいのです。
というわけで今日は「北陸新幹線の金沢駅〜敦賀駅延伸ルートの開業」と題して論説しました。
JR西日本では、中国地方で芸備線を廃止する動きがありまして、私は地方路線の廃止は大反対です。
芸備線を廃止する理由が、JR西日本の経営上の選択と集中ということであることがその理由だと思いますが、本来、鉄道インフラは利益追求するものではありません。
日本国民の賃金が上昇するための生産性向上に貢献したり、可住面積が少ない日本列島における地域間での繋がりといった目に見えない国民帰属意識の高まりなど、メリットと利益は語り尽くせないほど存在します。
そのため、JR西日本において北陸新幹線が十分に利益化できたとしても、他のローカル路線を廃止しないように、政府が資金を補助するというのは、再エネ事業に補助したり、石油卸売業者に補助するよりも、数倍・数百倍も意義があるものであると私は思うのです。
〜関連記事(新幹線の経済効果)〜
◆北陸新幹線の新大阪延伸は米原ルートよりも小浜ルートであるべき理由
◆地方創生にはインフラ整備が必要です!(JR四国・JR北海道の再国有化)
◆日本の運命を決定する長崎新幹線車両(「フル規格」に賛成!「FGT」は反対!)
◆祝!JR九州、JR西日本の反対により、フリーゲージトレイン計画が崩壊!
〜関連記事(鉄道と地方都市)〜
◆”無駄削減”や”身を切る改革”ではなく減価償却費の償却期間延長による財政の立て直しに取り組む京都市
◆栃木県の宇都宮市に新設するLRT(ライトレールトランジット)について
◆JR北海道は再国有化してもよいのでは?(進行している日本の発展途上国化の縮図か?)
〜関連記事(公共事業)〜
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ロシアの大統領選挙では、プーチンが圧勝して当選しました。
しかしながら少し前に発生したナリヌワイ死亡について、西側メディアではプーチンが殺害したと報じています。
今日は、この問題について言及したく「ナリヌワイ死亡をプーチン殺害と主張するのは2018年に英国南部の町で発生したソールズベリー事件の再来では?」と題して論説します。
朝日新聞の記事と時事通信の記事をご紹介したく、まずは朝日新聞の記事です。
『朝日新聞 2024/02/16 21:14 ナワリヌイ氏が獄中で死亡、ロシア反政権派リーダー 「死因調査中」
ロシア当局は16日、ロシアの反政権派指導者で刑務所に収監されていたアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が同日に死亡したと発表した。ナワリヌイ氏はプーチン政権批判で頭角を現したが、2020年に毒殺未遂事件で一時意識不明に。その後、ドイツで治療を受け帰国した際に拘束され、刑務所に収監されていた。
ナワリヌイ氏は昨年12月、モスクワに近い刑務所から北極圏にあるヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に移されていた。
当局は発表で、「散歩後に気分が悪くなり、意識を失った。必要な措置は施したが、救急医が死亡を確認した。死因は調査中だ」としている。ロシア国営テレビは情報元を示さず「血栓が原因だ」と伝えた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は、ナワリヌイ氏の死亡は、プーチン大統領に報告されたと、報道陣に明らかにした。(後略)』
続きまして、時事通信の記事です。
『時事通信 2024/02/26 19:35 ウクライナ高官「ナワリヌイ氏は自然死」=側近ら「偽情報」と一蹴
ウクライナ国防省情報総局のブダノフ長官は25日、獄死したロシア反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の死因について「血栓症による自然死」だったと自国メディアに発言した。ただ、情報をどう入手・確認したかは不明で、ロシア国内外のナワリヌイ氏の側近や支持者らは「偽情報」と一蹴している。
血栓症という見方は、プロパガンダ色が強いロシア国営テレビRTが主張。「拷問を受けていた」と訴える側近らは、プーチン政権が病死で幕引きを図ろうとしていると警戒している。』
上記の記事はいずれも、アレクセイ・ナワリヌイ氏(以下、ナワリヌイ氏)の死亡についての記事ですが、どちらの記事もナワリヌイ氏が死亡した死因について、プーチン大統領による暗殺ではないかという見立ての論調で報じています。
私は、ナワリヌイ氏が死亡したニュースが流れた際、バイデン氏がナワリヌイ氏の妻と面会したりしたほか、米国の大統領選挙の共和党における予備選挙の対立候補のニッキー・ヘイリー氏ら、プーチン大統領が殺害したと主張しました。
こうした発言を西側諸国のメディアが取り上げ、一斉にプーチンが殺害したという記事を、日本のメディアもまた垂れ流していたため、私の周りでも、ナワリヌイ氏がプーチンによって殺害されたと思っている人がほとんどです。
しかしながら、まがりなりにもプーチンは、ロシアの大統領です。
バイデン大統領の「プーチン大統領が殺害した!」という主張は、ロシアの大統領に向かって人殺し呼ばわりしているのと同じです。
というのも、事実は不明でウクライナ政府は血栓症で死んだと発表しています。
ウクライナ政府の内部にも混乱があり、端的にいえば、ゼレンスキー大統領を支持する人と、政府内部に指示しない人らもいるのでは?と考えられます。
そしてバイデン大統領の「プーチン大統領がナリヌワイ氏を殺害したのだ!」という言動は、情報機関が背後にいるのではなかろうか?と、私には思えます。
というのも、6年前の2018年にも同じような事件が発生しています。
それは2018/03/04に英国の南部の町、ソールズベリーという町で起きた毒殺未遂事件です。
この事件は、ソールズベリー事件と言われています。
このときは、ロシアの情報機関員のセルゲイ・スクリパリ氏(以下、スクリパリ氏)が、英国の南部のソールズベリーのショッピングセンター前のベンチで、娘と一緒に倒れているのが発見して、意識不明の重体になったとしています。
2018/05/18に、入院していた病院から退院して、一命は取り留めましたが、この事件では、毒薬のノビチョクがドアノブに吹き付けられ、そのノビチョクに触れたことで、意識不明の重体になったとしています。
ノビチョクは、ソビエト連邦、ロシアが開発した神経剤の一種で、VXよりも5倍〜8倍の致死性があるとされています。
化学式では「C2H3CI2FNO3P」で、ロシアが開発した目的として、NATOの化学物質検出装置で検出されないこと、化学兵器禁止条約の規制リストを回避できる物質で作られていること、安全に取り扱えること、NATOの化学防護服などの装備を突破できること、以上4つの目的をすべて達成したとしています。
日本では、1995/01/04に、オウム真理教被害者の会の会長が、VXガスを吹き付けられて襲撃されるという事件が発生しましたが、そのVXガスよりも5倍〜8倍の致死性があるのがノビチョクです。
VXガスは、オウム真理教被害者の会の会長襲撃事件のほか、2017年に北朝鮮の金正恩氏が、マレーシア滞在中に空港でVXガスを吹き付けられて殺害された事件がありました。
そのVXガスよりも数倍以上の致死性が高いのがノビチョクです。
この事件は2018/03/04に発生しましたが、この2018年というのは、ロシアの大統領選挙があった年度であり、投票日は2018/03/18です。
同様に今年2024年はロシアの大統領選挙の年であり、昨日2024/03/16投票日、2024/03/17開票日で、プーチン大統領が得票率87%を獲得して当選しましたが、ナリヌワイの死亡は2024/02/16です。
2018年の選挙でも、プーチン大統領は、圧倒的な得票率77%で当選していまして、スクリパリ氏を殺害する必要があったのか?不明です。
同様にナリヌワイ氏は、確かに反プーチンの政治家でしたが、今年の2024年の大統領選挙の結果を脅かすほどの存在か?と言われれば、急にメディアで取り上げられた印象が強く思います。
結局のところ、反プーチン大統領キャンペーンを目的に、大統領選挙の直前を狙って、利用されたのでは?と私見ながら勘ぐってしまいます。
スクリパリ氏のときは、英国のメイ首相がロシア外交官を追放いたしました。
メイ首相がロシア外交官を追放するという立ち振る舞いは、スクリパリ氏をノビチョクで殺害しようとしたのが、まるでプーチン大統領がやったかのような印象を与えます。
このとき米国も追随してロシア外交官を追放しました。
日本は安倍政権でしたが、この情報の共有の相手に入っていませんでした。
これは安倍政権が共有から免れたのか?入れてもらえなかったのか?真相は不明ですが、西側諸国は201/03/04のソールズベリー事件をきっかけとして、ロシアの外交官を追放したという事例があります。
ところがソールズベリー事件は未遂事件であり、プーチンがやったと主張することで、反プーチンキャンペーンが独り歩きしました。
この空気の醸成が、今回のナワヌリイ氏事件と似ていると私は思うのです。
米国の共和党のニッキー・ヘイリー氏は、共和党所属ですが、この人はリズ・チェイニー氏らと同じ、俗にいうRINO(Republican In Name Only=名ばかり民主党)で、ニッキー・ヘイリー氏もプーチン大統領が殺害したと主張しました。
とはいえ、プーチン大統領がナワヌリイ氏を殺害するには2つの疑問があります。
一つ目は、プーチン大統領が自分にとって不利になるタイミングで、ナリヌワイ氏の殺害を実行するでしょうか?
むしろプーチンがやったと騒いでいる連中の方こそ、怪しいとみるべきです。
2022/09/26に発生したノルドストリーム爆破事件では、プーチンが爆破したなどとバイデン政権は主張していましたが、爆破したのはバイデン政権です。(参照記事:◆【24】天然ガスパイプラインのノルド・ストリームを破壊したのは誰か? | 杉っ子の独り言 (chiba-jp.work) ◆ノルドストリーム爆破で利益を得る国はロシアではなく米国とスウェーデンだ! ◆天然ガスパイプライン ”ノルドストリーム2” 爆破の真犯人はバイデン大統領であるという疑義 )
ナワリヌイ氏は、メディアが持ち上げられるような民主主義の騎手ではなく、「ユダヤ人らを排斥せよ!」というどちらかといえば、ネオナチに近い人物です。
ネオナチに近い人物という点では、ゼレンスキー大統領も似ています。
ゼレンスキー大統領が自由と民主主義の守護人であるはずがありません。
先にご紹介した朝日新聞、時事通信の両メディアの記事では、後段に死因は血栓症と発表したことも報じられていまして、確かにウクライナの諜報機関のブダノフ情報総局長は、血栓症で死んだ発表しています。
この発表は、むしろニセハタ作戦でウクライナがやっているわけではないという潔白を証明するために、ナワリヌイ氏の映像を流し、血栓症で死んだと発表したのでは?と私は思います。
こうした推察を踏まえますと、ウクライナ政府内に混乱が生じていて分裂が起きているのでは?ということも考えられるかと思います。
これはバイデン政権の内部で、西側諸国として同盟国のドイツを困らせることになるノルドストリーム爆破事件に反対する人物が、ピューリッツァー賞を受賞した伝説のジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏に、ノルドストリーム爆破の真相の情報をリークしているのと同じ構図があるのでは?と私は思うのです。
というわけで今日は「ナリヌワイ死亡をプーチン殺害と主張するのは2018年に英国南部の町で発生したソールズベリー事件の再来では?」と題して論説しました。
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今日は「政府がインフレギャップ環境を創出することが持続可能な賃金UPの原資を生み出す王道だ」と題して論説します。
賃金UPの原資というのは、一体どこから生み出されるのか?という問いに対して、「持続的可能な・・・」ということを踏まえますと、デフレ環境下(コストプッシュインフレ環境下を含む)では政府による国債発行をセットにした財政支出増を条件として、ディマンドプルインフレの環境を創出し、かつ企業におけるゴーイング・コンサーンが必要になります。
日本政府は利益追求しないNPO法人であればこそ、通貨発行権を行使により国債を発行と同時に日銀当座預金をゼロから創出することが可能であり、これを信用創造といいまして、銀行のビジネスモデルと同様に、日本政府もまた中央銀行を通じてゼロからお金を創出することができるのです。
そしてその信用創造でゼロから創出したお金を財源として、公共事業を行うのですが、こうしたプロセスは他国に日本が侵略されて蹂躙されない限り、これは持続的に可能なことです。
こうして政府が財政支出をし続けさえすれば、企業は賃金UPは持続的に行うことが可能です。
ここまでを理解した上で、果たして賃金UPの原資というのは、どこから生み出されるものなのか?を理解するために、インフレギャップという概念を理解する必要があります。
<インフレギャップをどうやって埋めるか?>
上図の左側の図では、インフレギャップが発生していることを表しています。
右側の図では、ギャップを生産性向上もしくは外国人労働者を受け入れることで、ギャップが埋められて解消された状態を表しています。
インフレギャップというのは、「需要>供給」の状態のことを表します。
ここでいうインフレとはディマンドプルインフレ、即ち需要を自国が拡大し、その需要(=Demand)に対して供給力を引っ張る(Pull=引っ張る)形で引き上げることを意味し、その結果発生したインフレギャップを解消させれば、経済成長できます。
逆に「需要<供給」の状態はデフレギャップであり、政府が無策でデフレギャップを放置しますと、企業は耐えきれず、供給が過剰な部分についてリストラ(工場稼働抑制、工場閉鎖、人員削減など)します。
デフレギャップでは賃金UPの原資は生み出されず、インフレギャップのときこそ、賃金UPの原資が生み出されます。
つまり上図の右側のように、生産性向上でインフレギャップを解消させたときに賃金UPの原資が生み出されるのです。
よく生産性向上という言葉が使われます。
生産性向上とは何か?といえば、新しい設備投資をすることで、一人が何倍もの製品を製造ができるようになったり、人材育成投資をすることで、従業員一人あたりで生産できる製品・サービスが拡大できるようになったりすることが生産性向上です。
生産性向上も方法はたくさんありますが、農業で例えるならば、筋トレなど体を鍛えることで、鍬を多く振りかざしたり、田植えを急いでできるようになったりすることはあるでしょう。
しかしながらコンバイン、トラクター、田植え機といった機械を使うことの方がはるかに生産性を高めることが可能です。
稲作で考えますと、筋トレで腕立て伏せなどやっても、せいぜい1人が2人分〜3人分の生産ができるようになるのが精いっぱいではないでしょうか?
コンバイン、トラクター、田植え機などの農業機械を使った場合、老若男女問わず、100人分でも1000人分でも生産性を向上させることが可能です。
程度差はあれ、インフレギャップをこうした形で埋めますと、その売上増加分は賃金UPの原資となります。
逆に外国人労働者を入れてしまった場合、従業員一人あたりの生産高を増やすことにつながりません。
安い外国人労働者を入れようとも、高い外国人労働者を入れようとも、従業員一人あたりの生産性は高まらないのです。
これは事業会社で、正社員をカットしたり、人員を抑制して、派遣社員に置き換えるというのも同じです。
安い人員と高い人員を入れ替えるというのは、損益分岐点を左下にシフトするだけであって、もちろんその部分は賃金UPの原資となり得ます。
しかしながらそれは持続可能か?と問われれば、継続的に正社員を減らして契約社員にしたり、さらに契約社員をアルバイトにしたりするなど、雇用の質を悪くすることになりますし、継続して続けることは不可能です。
こうしたことが理解できますと、持続的可能な賃金UPの増加のために津幼なことと言えば、需要が伸び続けるようにするために、政府が常にインフレギャップの状態を作る必要があります。
例えば景気が悪い場合は、政府が公共事業で、価格競争をさせずに、談合で随意契約することによって高値発注するなどで支援を続け、インフレギャップを創出すれば、賃金UPの原資が生まれます。
何が言いたいか?といえば、業種的に先行きが厳しい業種であっても、政府が公共事業として高値で発注したりするなど、需要を創出することで賃金UPの原資を生み出すことが可能なのです。
業種が比較的需要が好調な場合であっても、切磋琢磨することでより品質の高い製品・サービスを開発するために、やはり政府が公共事業を高値で発注することも普通にあり得る話です。
こうしてインフレギャップを作り続けることこそ、賃金UPの原資が持続的可能な形で実現します。
今年の春闘では、円安で儲かった部分だけを分配しているとまでは言いませんが、円安で輸出が伸びることで、外貨建ての売上高相当を、円に転換することで売上が増加するほか、輸出戻し税による還付も、賃金UPの原資になっていると考えられます。
しかしながら、こうした為替差益は持続可能なものではないですし、輸出戻し税も輸出が伸び続けることができるのか?海外情勢頼みであって不安定なものです。
加えて下請け企業は輸出戻し税の恩恵を受けられず、大企業と下請け企業との間で格差が拡大するという問題を抱えます。
いずれにしましても、景気が良ければインフレギャップ創出に政府が関与する度合いは少なくなり、景気が悪ければインフレギャップ創出に政府が積極的に関与することで、持続的な賃金UPの原資は生み出され続けるのです。
ただ、賃金UPの原資が生み出されたとしても、労働分配率の問題があります。
昭和時代は、高額所得者により多くの税率をかける累進がきつい課税でしたが、平成、令和と税制改正によって、累進課税が緩やかになっており、役員報酬をたくさんとっても、所得税は昭和時代と比較して課税されなくなっています。
加えて法人税も、世界的な税率引き下げ競争が行われたことで、実効税率は下がり、ソフトバンクのように連結決算、連結納税によって法人税を納めないといった企業も現れました。
投資会社というのは、モノを作らず、企業に間接投資をするビジネスモデルであり、このような投資会社の投資が増えても、ほとんど経済成長に貢献しません。
例えばある上場企業に対して、TOBで100億円分のM&Aを実施したとして、100億円分がGDP成長するわけではなく、M&Aの仲介会社が数%手数料を取り、その手数料相当がサービス業として、GDPにカウントされる、即ち分配面(所得面)のGDPにカウントに過ぎないからです。
少し話を戻しまして、労働分配率を引き上げるのであれば、日本政府がインフレギャップの環境創出を継続的に行いつつ、所得税の累進課税を強化し、法人税を引き上げる税制改正をすることが必要であると考えます。
そうすれば、経営者も役員報酬を取っても税金を多く払う羽目になる、あるいは内部留保しても法人税で持っていかれてしまうとなれば、むしろ設備投資を積極的に行ったり、人材育成の能力開発費や、そもそも人材確保のために賃金を上げようという動機付けにもなります。
このように企業がインフレギャップを生産性向上によって埋めれば、売上高も利益も確保しやすくなり、企業は利益を内部留保せずに新たな直接投資をしたりします。
そうすれば、その直接投資が、また他の誰かの所得を創出しますし、直接投資ではなく人材投資として従業員への能力開発費を増やしたり、人材確保のために賃金のベースUPの選択をするかもしれません。
このように考えますと、持続可能な賃金UPを生み出すためには、王道のインフレギャップ環境の継続創出させるほか、税制を昭和時代に戻す改正、即ち所得税の累進課税を強化し、法人税率を引き上げることも、検討の一つであろうと私は思います。
というわけで今日は「政府がインフレギャップ環境を創出することが持続可能な賃金UPの原資を生み出す王道だ」と題して論説しました。
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今日は「実質賃金22か月連続マイナスと春闘の賃上げ」と題して論説します。
ブルームバーグの記事をご紹介します。
『ブルームバーグ 2024/03/15 16:57 春闘の平均賃上げ5%超、33年ぶりの高水準−日銀正常化へ環境整う
大企業中心に満額回答が相次ぐ中、2024年春闘の賃上げ率は5%を超え、33年ぶりの高水準となった。政策正常化に向けて春闘の動向を注視している日本銀行を後押しする内容で、来週の金融政策決定会合で17年ぶりの利上げに踏み切る環境が整ったとの見方が出ている。
連合が15日発表した春闘の第1回回答集計は、平均賃上げ率が5.28%となった。ブルームバーグが月初に集計したエコノミスト予想中央値(4.1%)を上回り、最終集計との比較では1991年(5.66%)以来の高水準となる。中小企業は4.42%で、92年(5.10%)以来の高い水準。連合は賃上げ目標を昨年の「5%程度」から「5%以上」に引き上げて今春闘に臨んでいる。
毎月の基本給を引き上げるベースアップは3.70%で、予想中央値は2.5%だった。中小では2.98%となっている。
日銀の植田和男総裁は、大企業中心に賃上げに前向きな姿勢が示されていることに着目している。13日には、大規模緩和策の修正を判断する上で賃金と物価の好循環を確認する必要があり、春闘の動向が「大きなポイントになる」との考えを改めて示した。今回の結果を受け、18−19日の決定会合でのマイナス金利解除の観測が一層強まりそうだ。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、「出足としては想定を大幅に超える強い数字だ」と指摘。政労使が一体となって賃上げに取り組む姿勢を示し、強い数字になると市場でも予想されていたが、「突拍子もなく高かった。来週の日銀会合でのマイナス金利解除の可能性がさらに高まった」と語った。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、集計発表後の為替市場の動きについて、「要求ベースも高かったことから、ある程度は織り込まれていたという反応」と指摘。ただ、「日銀決定会合については次の動きについて焦点が高くなるとみられ、為替相場においてはまだ追加の利上げについては過小評価している部分がある」との見方を示した。
中小への波及が鍵
連合の芳野知子会長は15日の集計発表後の記者会見で、「2024闘争は経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換を図る正念場」と強調。その上で、「これからが本当の正念場。中小企業や組合のない職場で働く人を含むみんなの賃上げを実現しなければならない」と述べた。
人手不足や物価高が続く中、4日時点の平均賃金方式の賃上げ要求(3102組合)は5.85%と30年ぶりに5%を上回った。13日の集中回答日にはトヨタ自動車や日産自動車など労働組合側の要求に満額回答する企業が相次ぎ、自動車総連の平均賃上げ率は5%を超えた。日本製鉄(14.2%)や三菱重工業(8.3%)など、さらに高い水準で妥結した企業もある。
連合を構成する47の産業別労組のうち、自動車や電機のメーカーなど五つの産別労組が加盟する全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)の13日の集計によると、平均賃上げ額は1万4877円、率にして5%相当と、確認可能な14年以降で最も高い水準となっている。中小企業を含む約2000の労組が加盟するものづくり産業労働組合(JAM)は、12日までに妥結した60組合の平均賃上げ率が5.32%と発表した。
集中回答日の夕方には、政府と経済界、労働団体の3者による政労使会議が開かれ、大手の賃上げの動きを中小に広げる取り組みについて意見交換が行われた。岸田文雄首相は、相次ぐ高水準の回答について「30年続いたコストカット型経済から、いよいよ次のステージに移行していくために良い動きを確認できた」と指摘。こうした傾向が中小企業でも継続できるよう、あらゆる手を尽くすと語った。』
上記ブルームバーグの記事の通り、今年の春闘では賃上げについて、ベースアップ、定期昇給と共に大幅な伸びを示す回答が相次いでいます。
平均賃金方式の賃上げ要求が5.85%と、30年ぶりに5%を上回ったほか、トヨタ自動車(証券コード:7203)、日産自動車(証券コード:7201)など満額回答が相次ぎ、自動車総連の平均賃金の上げ幅は5%超となりました。
また日本製鉄(証券コード:5401)は14.2%、三菱重工(証券コード:7011)は8.3%など、さらに高い水準で妥協した企業があることも報じられています。
厚労省が毎月発表する実質賃金指数は、2024年1月の速報値が▲1.6%となり、22か月連続でマイナスとなっています。
そのため、賃上げが今後、実質賃金を継続的に上回ることができるか?という点を、私は注視したいと考えております。
というのも、実質賃金指数は22か月連続のマイナスと申し上げましたが、きまって支給する給与で見ますと、ロシアのウクライナ侵攻があった2022年2月以降、24か月連続のマイナスとなっています。
<図?:実質賃金指数と消費者物価指数(コアCPI)の推移(単位:%)>
<図?:実質賃金指数(きまって支給する給与)と消費者物価指数(コアCPI)の推移 (単位:%)>
(出典:厚労省)
上記で、図?は実質賃金指数と消費者物価指数(コアCPI)の推移、図?は実質賃金指数(きまって支給する給与)と消費者物価指数(コアCPI)の推移です。
図?は、現金給与総額をベースとしています。これは「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の合計です。
図?の「決まって支給する給与」とは、賞与や時間外労働の残業などを除いたものです。
今回お伝えするお話では、その差分はたいして重要ではありませんが、少なくても22か月間は前年同月比で、毎月実質賃金が下落しているということは、図?、図?をみれば明白な事実であることがわかります。
図?、図?では、消費者物価指数のコアCPIも併記しております。
コアCPIは、生鮮食品の価格変動を除き、エネルギー価格の変動を含む消費者物価指数になりますが、コアCPIはエネルギー価格の高騰や、食糧自給率が低いことで例えば小麦が高騰したり、畜産農家の家畜の飼料が高騰するなどにるコストプッシュインフレの影響で、22か月間ずっとプラスで推移しています。
実質賃金が22か月連続してマイナスし、コアCPIが22か月連続で上昇しているということは、消費購買力が低下していることと同義です。
仮に給料が増えていたとしても、給料の上昇率以上に物価上昇していた場合、消費購買力は下がります。
年収が500万円だった人が、仮に750万円になったとしても、物価が50%上昇してしまえば、例えば100円→150円となってしまいますと、実質消費は増えません。
また、年収500万円だった人が750万円になったとして、物価が100%上昇してしまえば、例えば100円→200円となってしまいますと、賃金は上昇したものの、物価がそれ以上に上昇してしまっているため、消費購買力は下がってしまうのです。
22か月連続で実質賃金が下落しているということは何を意味するか?といえば、消費購買力が下がり、買うものの数量の減少、買うものの品目数の減少、あるいはバーゲンセールでしか買わないといった消費行動の他、サービスを受ける回数の減少など、あらゆる業種でデフレ圧力にさらされた22か月間だったということになります。
こうした環境下、賃上げで春闘が満額回答するというのは確かに喜ばしいことですが、一方で消費税率10%ということで、先ほど名前を出した大企業が、下請け企業に対して、「消費税分負けろや!」などと直接値下げを要求したり、競争入札などといって値下げして仕入れていることで、賃上げの原資が生み出されている可能性があるかもしれません。
またトヨタ自動車や日本製鉄は輸出も多く、為替が円安に振れることで、何もしなくても売上が増加する部分があるほか、輸出戻し税による消費税の還付を受けている実態もあります。
岸田首相に限らず、安倍元首相も労働組合に対して賃上げするよう経団連企業に申し入れしてきましたが、賃上げをするかしないか?は企業経営の判断によるものであり、政治家がお願いするものではありません。
本来であれば、賃上げしやすい環境を構築すべく、日本政府が長期スパンの財政支出計画を打ち出すこと、例えば半導体事業でいうば、TSMCなどの外資を支援するのではなく、東芝系のキオクシアを支援して、全ての商材を国産化したり、高速鉄道・道路の整備(リニア新幹線の完成、全国の新幹線の完成、青函自動車道の開通、九州と沖縄を海底や浮島でつなぐ高速鉄道の建設など)で生産性向上のためのインフラ投資を50年完成をメドとして、財政支出を毎年30兆円(GDPの約6%に相当)ずつ増やすほか、消費税をゼロにして法人税を高めるなどの取り組みを、政府が率先してやるべきです。
ところがこうした政策が打たれないのは、ご存じの通り、財政問題があるからという理由で、国債発行を躊躇しているためです。
国債発行は何ら問題がないことなのに、国債発行することが悪であると考えることの帰結として、岸田首相は労働組合にお願いするという行脚をやっているに過ぎません。
マクロ経済の成長とは、国債発行とセットで政府が財政支出することが必須であり、それが理解できていない政治家、財務省職員らは財政支出することが悪で不道徳だと思い、その帰結として、他に工夫しようなどと使わなくてもよい頭を使って、政治家が経団連への賃上げを依頼してきたという帰結に至ったと私は思います。
加えて、岸田首相は、未だに能登半島沖地震で、補正予算を組みません。
こんな不道徳なことが許されてよいのでしょうか?と私は岸田政権に対して強く激しい憤りを覚えます。
ブルームバーグの記事の最後の方に、岸田首相のコメントとしてコストカット型経済から脱却できそうな動きとして賃上げを歓迎すると同時に、あらゆる手を尽くすとコメントしています。
あらゆる手を尽くすというのであれば、消費税をゼロにしたり、ガソリン税のトリガー条項の凍結を解除したり、エネルギー安全保障強化のためにウクライナ支援を中止して、ロシアとの外交を再開して天然ガスや石油を売ってもらうことを交渉するほか、小麦など食糧高騰を中長期的に解決すべく食糧安全保障強化をすべく、日本の農産物を高値で買い取る固定価格買取制度を導入するなど、あらゆる手を尽くすというのは、そういうことではないかと思うわけですが、岸田首相は、こうした財政支出増につながる政策を一切やっていません。
裏を返せば、経団連企業に賃上げを呼び掛けるというのは、財政支出するわけではないからに過ぎないのです。
実質賃金22か月間マイナスという現状を踏まえて、真剣に国債発行をセットにした財政支出増へと政策転換が行われなければ、我が国は衰退途上国となり、他国に蹂躙される日が来るであろうと警鐘を鳴らしたいです。
というわけで今日は「実質賃金22か月連続マイナスと春闘の賃上げ」と題して論説しました。
私は「日本が発展途上国化している」という言い方を頻繁に用いてきましたが、最近は発展途上国でなく、衰退途上国なのでは?と思うようになりました。
企業の一部が賃上げしていることだけを見て、マクロな数値を見なければ金融政策の判断を誤り、経済成長を抑制するであろうことが予想されます。
日銀の植田総裁は、黒田総裁の大規模金融緩和を継続してきたため、マクロ経済に理解がある人だと思っておりましたが、実質賃金22か月連続マイナスという状況下がありながら、春闘でやっとのこと大幅な賃上げをできたからという理由で利上げするなど、狂気の沙汰といえます。
紐は引っ張ることができますが、紐で押すことはできず、マイナス金利解除は日本経済にマクロでダメージを与えるであろうと私は思うのです。
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内閣府は2024/03/11、2023年第3四半期のGDPの2次速報を公表いたしました。
結果は、1次速報値の第4四半期前期比▲0.1%(年率換算▲0.4%)から一転して、+0.1%(年率換算+0.4%)とプラス成長となりました。
そこで今日は「2023年度第4四半期実質GDP+0.1%(年率換算+0.4%)をどう見るか?」と題して論説します。
下記は日本経済新聞の記事です。
『日本経済新聞 2024/03/11 14:30 実質GDP一転プラスに 10〜12月改定値、年0.4%増 設備投資上振れ
内閣府が11日発表した2023年10〜12月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.1%増、年率換算で0.4%増だった。それぞれ0.1%減、0.4%減だった速報値を上方修正し、プラス成長となった。企業の設備投資が大きく上振れした。
QUICKが事前にまとめた実質GDPの民間予測の中心値は前期比0.3%増、年率で1.1%増だった。プラス成長は23年4〜6月期以来、2四半期ぶりとなる。
成長率への年率の寄与度は内需がマイナス0.2ポイント、外需がプラス0.6ポイントだった。速報値はそれぞれマイナス1.1ポイント、プラス0.7ポイントで内需の押し下げ幅が縮まり、全体を押し上げた。
設備投資の上振れがプラス成長への転換をけん引した。速報値の前期比0.1%減から2.0%増に上方修正した。3四半期ぶりのプラスとなる。
財務省が4日に公表した23年10〜12月期の法人企業統計では、金融・保険業を除く設備投資がソフトウエア込みで季節調整後に前期比10.4%伸びた。自動車や半導体関連の生産体制強化や非製造業のソフトウエア投資が押し上げた。
GDPの過半を占める個人消費は速報値の前期比0.2%減から0.3%減に引き下げた。エアコンや水産関連の加工食品が下押しし、3四半期連続でマイナスのままだった。暖冬で冬物衣料も振るわず、新型コロナウイルス禍からの経済回復の一服で外食も伸び悩んだ。
品目別に見ると、家電などの耐久財は速報値の前期比6.4%増から6.1%増に伸びを縮めた。食料品などの非耐久財は0.3%減から0.5%減に下げ幅が広がった。
民間在庫の前期比の寄与度は速報値のマイナス0.0ポイントからマイナス0.1ポイントに下押し幅が拡大した。在庫を取り崩す動きが速報値の想定よりも大きかった。鉄道や航空機といった輸送用機械、船舶、生産用機械で取り崩しが進んだ。
住宅投資は前期比1.0%減で、速報値から横ばいだった。
公共投資は前期比0.8%減だった。建設総合統計の結果などを反映し、速報値の0.7%減からマイナス幅が拡大した。政府最終消費支出も前期比0.2%減と速報値の0.1%減から引き下げた。
輸出は前期比で2.6%増、輸入は1.7%増でいずれも横ばいだった。
名目成長率は速報値の前期比0.3%増、年率で1.2%増から、それぞれ0.5%増、2.1%増に引き上げた。設備投資が前期比で2.9%増と速報値の0.7%増から上振れした。
23年暦年の成長率は実質が前年比1.9%増、名目が5.7%増でいずれも速報値から横ばいだった。』
上記記事の通り、2023年度第4四半期の実質GDPの第2次速報値が公表され、第1次速報値の▲0.1%(年率換算▲0.4%)から一転して、+0.1%(年率換算+0.4%)となったことが報じられています。
日本経済新聞の記事では、1速報値と2次速報の数値比較の一覧が掲載されているほか、上記記事で報じられていますように第4四半期の増減分析を項目別に報じています。
具体的には、設備投資が前期比で10.4%伸びたことが報じられる一方、GDPの約6割を占めている個人消費が▲0.3%と振るわなかったことが報じられています。
パーセント表示だけですと、全体を俯瞰してみることができないと思うため、いつも通りの実額数値をグラフにしたものを見ていきましょう。
<四半期実質GDP実額の推移(単位:兆円)>
(出典:内閣府)
上記グラフで、黄色の注釈について、順を追って記載しますと下記の通りです。
?2008年度第3四半期(7月〜9月)はリーマンショックの影響で前期比▲6兆円、第4四半期(10月〜12月)は前期比▲13兆円
?2011年3月、東日本大震災により、2011年度第1四半期(1月〜3月)は前期比▲5兆円、第2四半期(4月〜6月)は前期比▲4兆円
?2014年4月、消費税率8%へ引き上げにより、2014年第2四半期(4月〜6月)は前期比▲10兆円
?2016年7月から研究開発費を設備投資に含めるGDP算出定義変更により、2016年第3四半期(7月〜9月)は前期比+1兆円
?2019年10月、消費税率10%へ引き上げにより、2019年第4四半期(10月〜12月)は前期比▲15兆円
?2020年4月、コロナパンデミックの自粛規制により、2020年第2四半期(4月〜6月)は前期比▲42兆円
?のリーマンショックは、第3四半期と第4四半期で▲19兆円で、GDP500兆円とすれば、約4%ものダメージを受けたことになります。
?の東日本大震災は、リーマンショックの半分の▲9兆円です。
?の消費税率8%引き上げは、▲10兆円で東日本大震災以上の経済ダメージとなりました。
?は、GDPの算出の定義変更で、多くの人々は知らないと思うのですが、研究開発費を設備投資に含める定義変更が行われ、第3四半期で前期比+1兆円、2017年第2四半期の既往一か年(2016年7月〜2017年6月)で、+2兆円となっています。
?は、消費税率10%への引き上げで、▲15兆円でした。
消費税率8%増税のときの引き上げの幅は5%→8%で3%UP、消費税10%増税の引き上げの引き上げ幅は8%→10%で2%UPでしたが、消費税10%増税のダメージは、消費税8%増税よりも5兆円ダメージが大きかったことになります。
?は、コロナパンデミックの自粛規制により、▲42兆円とリーマンショックの2倍強のダメージでした。
このようにGDPで景気判断を読み解く際、実額の数字を見ることで、どのくらいのダメージがあったのか?ということが、比較しやすくなります。
パーセント表示の数値を追いかけた場合、2期プラスであろうと、3期プラスが続こうとも、消費増税10%のときと比較して、全然景気が戻っていないということが明らかに理解できるかと思います。
前期比のパーセント表示も大事です。
とはいえ、実額を見ておかない場合、例えば実額が▲100→2→2→2でも、前期比のパーセント表示は直近3期連続でプラスということになる一方、3期前の▲100をはるかに埋められておらず、景気は3期前の水準に回復していないということに、気が付くことができません。
また、日本経済新聞の記事では、設備投資が伸びているということを報じています。
確かに半導体関連の設備投資が増えていることは事実だと思います。
例えば半導体のICパッケージの積層技術に強みを持つイビデン(証券コード:4062)は、岐阜県の河間事業場新棟を増設した他、2024年2月にはDX進展やAI分野の進化をにらみ、ICパッケージ基板の大型化・微細化・高多層化・3D化が進展するとみて、転換社債を発行することを決めています。
また半導体のシリコンウェハー最大手の信越化学工業(証券コード:4063)は、300ミリウェハーの生産能力増強に着手し、2024年度に増強完了予定としているほか、HOYA(証券コード:7741)、AGC(証券コード:5201)に続き、EUV露光装置で用いられるマスクブランクスの市場に参入することも決めています。
半導体分野においては、JSR(証券コード:4185)を経産省所管の産業革新投資機構がTOBで買収するなど、政府を挙げた半導体投資への取り組みによる帰結といえると考えます。
とはいえ、それでも設備投資の実額はどうなのか?もう1つグラフをお見せいたします。
<民間最終消費支出(左目盛),民間企業設備(右目盛)実額の推移(単位:兆円>
(出典:内閣府)
オレンジ色の折れ線グラフが設備投資の実質GDP実額の推移になります。
消費増税10%直前の2019年7月〜9月は93.77兆円であり、2023年10月〜12月の91.44兆円は、2兆円以上も下回っている状態です。
2023年7月〜9月の89.61兆円からみれば、確かに2兆円弱増えているというものの、まだ消費税10%増税直前にまで届いていない、つまり消費税直前ほどにまで投資が盛り上がっているわけではないというのが、実状であるといえるでしょう。
グラフはもう1つ折れ線で、黄緑色のグラフがありまして、この黄緑色の折れ線グラフは民間最終消費支出で個人消費とご理解ください。
個人消費は、296.17兆円で、消費増税10%直前の304.81兆円からは、程遠い状況です。
私の肌感覚では、スーパーの品目で牛乳などの値上がりは見られるものの、消費購買力が増えない状況下では、買う数量を減らしていたり、おつとめ品で夕方以降安くなったものを買う人が増えているのでは?と思います。
また、例えば牛乳は値上がりしていますが、その分、他の商品の購入を手控える、購入数量を減らす、受けるサービスの回数を減らすといった消費行動をとることも想像にたやすいです。
昨年2023/10/16、岸田首相がイトーヨーカドーを視察した際、付き添いの社員さんが、品目数が減少しているとのコメントをしています。
実質賃金が低下を続け、消費購買力が伸び悩んでいる状況下では、家計は当然に防衛的になり、安いものを追い求めることになるでしょう。
それがまたデフレスパイラルを誘発し、値上げすれば数量を買い控えられるということを恐れる経営者が、コストプッシュ分を十分に価格に反映できていないというのが、実状ではないでしょうか?
こうしたことを踏まえますと、2023年第4四半期の実質GDP+0.1%というのは、まだまだ景気は弱いと結論付けられるものと私は思います。
というわけで今日は「2023年度第4四半期実質GDP+0.1%(年率換算+0.4%)をどう見るか?」と題して論説しました。
週明け、2024/03/18(月)〜2024/03/19(火)にかけて、日銀が政策決定会合を開き、マイナス金利を解除するという動きが盛んに報じられてます。
今回の記事でお伝えした通り、まだまだ日本の景気は良くなっておらず、このタイミングでマイナス金利を解除するというのは、全く愚かしいことです。
”異次元”であろうと何であろうと、経世済民のためには、あらゆる手を尽くせばいいのであって、失われた20年、失われた30年と言われる間、我が国には財政問題があるからという理由で、財政支出を抑制したことが今日の帰結をもたらしています。
金融政策というのは、紐に例えれば、紐は引っ張ることができるものの、紐は押すことができません。
即ち金融引き締め策で景気過熱を抑制することは可能ですが、金融緩和政策だけでは景気をよくすることはできず、景気をよくするためには金融緩和と一緒に財政支出増加、これを国債発行とセットで行うことが必須です。
政府の官僚、日銀の役職員、経済学者、エコノミスト、アナリストら、どんな出自、肩書であろうとこのことを知らないために、再び間違った判断が今、なされようとしていまして、NISAで日本国民に株式を買わせる政府の無責任さに腹立たしく思います。
どうか、読者の皆様におかれましては、経済指標の見方を通じて、メディアが扇動する岸田首相の投資立国という話に乗せられて大事な資産を失うことがないようにしていただきたいですし、選挙の投票においても、候補者がマクロ経済学を理解している人か否か?という観点で投票行動をしていただきたいと、私は思います。
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先月2024/02/06、元FOXニュースの人気ニュースキャスターのタッカー・カールソン氏が、ロシアにモスクワに行き、ロシアのウラジミール・プーチン大統領にインタビューいたしました。
その内容は衝撃的であり、これまで日本のメディア、そして西側メディアが報じてきた内容とは一線を画すもので、政治や外交、投資などのビジネスにおいても、極めて重要な要素がたくさん包含されていたと思いました。
インタビューは2時間超と長いものでありますが、その動画を日本語訳したものを全文掲載したいと思いました。
私がインタビューを見て思ったこと、あくまでも私見ですが、それを列挙いたしますと下記のとおりです。
●プーチンはロシアに由来のあるユーラシア大陸、欧州の歴史に非常に詳しい
●プーチンはキリスト正教の熱心な信者である
●岸田首相がよく主張する「力による現状変更」ではなく、プーチンによる2022/02/24に軍事侵攻でもなく、これは2014年のウクライナで起きたクーデター以降、激化してきたウクライナ情勢、ウクライナに住むロシア人(ロシア語を話すウクライナ国籍の人)を、ゼレンスキー大統領が法律によって国籍の権利をはく奪し、弾圧していたため、2014年の戦争を終結させるための作戦であったこと
●2022/02/24のロシアの軍事作戦開始後、1か月後の2022/03/29にトルコのイスタンブールで、ロシアとウクライナの直接対話によって、キエフからの撤退を開始し、和平合意する直前にまで至ったにもかかわらず、英国のボリス・ジョンソン元首相が、ゼレンスキー大統領らをそそのかして、ウクライナ側から和平合意が破棄され、交渉の扉を閉めてしまったこと
●2022/09/26にノルドストリーム爆破されたが、バルト海にあるパイプラインの1本、さらにポーランド経由の陸上パイプラインも残っていて、いつでもロシアはパイプラインを開ける用意があるにもかかわらず、ドイツをはじめ欧州国が意地になってロシアにパイプラインを開ける要請をしないこと
●ロシアはウクライナと関係を再構築したいと思っており、今でも交渉や対話に応じる用意があること
●日本のメディアで論じられているようなウクライナの次に別の欧州国を侵攻することを企てていることなど微塵も思っていないこと
●歴史、文化、民族、宗教、家族を大事にする真の保守であること
などなど
日本のメディアでも、ニュースで取り上げられましたが、「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」の構図が壊される都合の悪い部分については一切報じることなく、都合の良いところだけを切り抜いていて、肝心なところが報じられていません。
その結果、相変わらず今でも日本のメディアの論調は「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」という構図に変わらない論調となっています。
今回、私が掲載したインタビューの全容を一読することによって、ウクライナで起きていること、事実・真実は一体何だったのだろうか?と再考させられるものであろうと思うほか、政治、外交、投資、ビジネス(リスクマネジメント)において、多くのヒントが得られるものと思っております。
タッカー・カールソンの質問に対して、プーチンは誠実に回答していまして、2人のやり取りは終始和やかであって、紳士的で誠実であったと思います。
そこで、そのインタビューについて、タッカー・カールソンのツイッターの動画の現物をご紹介し、その後、和訳したものを全文ご紹介いたします。
Ep. 73 The Vladimir Putin Interview pic.twitter.com/67YuZRkfLL
— Tucker Carlson (@TuckerCarlson) February 8, 2024
上記動画の内容について、全文を和訳して【1】〜【35】の小題を付しました。
小題ごとのリンク先は下記の通りとなります。(なお、途中『』や編年体の史実のオブジェクトがありますが、それらは私が調べた史実をベースに、理解を深めるための解説を挿入したものです。)
〜目次(小題をクリックするとそれぞれのページに変遷します。)〜
【0】プロローグ
【2】988年 ウラジミール王子による東方キリスト教洗礼と中央集権的なロシア国家の形成
【5】1921年ポーランド・ソビエト・リガ平和条約でポーランドとの和平宣言
【6】1939年にドイツがポーランドに軍事侵攻した背景
【7】ソビエト連邦共和国の領土のカリーニングラードとウクライナが黒海地方と関係した史実は存在しない
【9】ハンガリーはウクライナから国土を取り戻す権利があるのか? | 杉っ子の独り言 (chiba-jp.work)
【10】ソビエト連邦の崩壊
【11】東方拡大しない約束を反故にしたNATOとロシアのNATO加盟をクリントンに問うたプーチン
【12】米国によるコーカサスのテロリスト集団支援に反対したプーチン
【13】ブッシュ政権に対して米国のミサイル防衛システムに、ロシアの参画を提案したプーチン
【15】2014年ユーロマイダン革命のクーデター発生に米国CIAが暗躍
【16】同盟3か国ドイツ、ポーランド、フランスの立ち振る舞い
【17】ゼレンスキー大統領が2014年のマイダン革命後に調印したミンスク合意を履行しないと宣言
【18】2022年に軍事侵攻は、2014年の戦争を止めさせるための軍事侵攻
【19】脱ナチス化
【20】カナダ議会でスタンディングオーベーションを浴びたヤロスラフ・フンカ氏
【21】ウクライナ政府との和平交渉の可否
【22】NATOが危惧する核戦争
【23】米国・民主党の上院議員のチャック・シューマー氏の挑発
【24】天然ガスパイプラインのノルド・ストリームを破壊したのは誰か?
【28】米国の権力中枢者の対ロシア政策
【29】ウクライナのNATO加盟入りに賛同するゼレンスキー大統領
【31】ウクライナ和平をぶち壊した英国の元首相ボリス・ジョンソン氏の罪と、プーチンにとってのキリスト正教
【33】AIや遺伝子の研究について
【34】米国ジャーナリストのエヴァン・ガーシュコヴィッチの拘束
【35】今後の見通し
〜関連記事(ウクライナ支援に熱心な岸田首相)〜
◆腐敗汚職大国ウクライナを支援しても、物資や支援金はウクライナ国民に届くか不明です!
◆米国によるウクライナのための援助物資を一番盗んでいるゼレンスキー大統領を追加支援する愚かな岸田首相
◆G7を広島県でバイデン大統領の謝罪なき前提で行った意味は、広島県民が核で殺されてしかるべきであることを認めたことに等しい
〜関連記事(2022/09/26発生のノルドストリーム爆破事件)〜
◆バイデンの指示によるノルドストリーム爆破は、米国による”同盟国ドイツへの戦争行為”かつ”ロシアへの挑発行為”である!
◆ノルドストリーム爆破で利益を得る国はロシアではなく米国とスウェーデンだ!
◆天然ガスパイプライン ”ノルドストリーム2” 爆破の真犯人はバイデン大統領であるという疑義
〜関連記事(ウクライナ侵攻)〜
◆ゼレンスキー大統領の”反転攻勢”という主張はフェイクでありブラフだ!
◆”ロシア・ウクライナどちらが勝つか負けるか?など考えていない。人々が殺されるウクライナ戦争を早く終わらせたい。”とCNNの番組で発言したトランプ
◆ウクライナ侵攻の原因は国際金融資本の存在を抜きに語れない!
◆科学的証明なき地球温暖化を世界中に広めた国際金融資本のロスチャイルド家
◆ウクライナ人の人身売買・売春・臓器摘出に関与するバイデン大統領
◆米国から支援を受けたお金で、ロシアから低廉な燃料を買っていたゼレンスキー大統領
◆2014年のドンパス戦争を停戦にしたミンスク合意の本当の目的は、最終的にロシアと闘うための時間稼ぎか?
◆プーチンは不凍港のクリミア半島への陸路を確保したいだけであって、核戦争を煽っているのはバイデンとゼレンスキーだ!
◆2004年のオレンジ革命と2014年のマイダン革命に見るニセハタ作戦
◆アゾフ大隊の創設に関わったユダヤ系ウクライナ人のオリガルヒのイーホル・コロモイスキー氏
◆バイデン大統領は、自分の息子のハンター・バイデンのウクライナでの悪事の隠蔽とロシアの権益獲得を目的に戦争か?
◆米国人経済学者のジェフリー・サックス氏に民営化させられた国営会社を再び国有化したプーチン大統領
◆バイデン大統領のプーチン大統領に対する発言は絶対に許せない
◆ロシアの”プーチン憎し”の構図は、ボリビアの”エボ・モラレス憎し”と似ている
〜関連記事(欧州のウクライナ戦争の立ち位置)〜
◆ダボス会議でウクライナ戦争を応援していたグローバリストがウクライナの負けを認め始めたか?
◆穀物問題でウクライナ支援を打ち切るポーランドのモラヴェツキ首相の覚悟とEUの矛盾
◆ゼレンスキー大統領の演説で、ウクライナに尽くしてきたポーランドのモラヴィエツキ首相がキレた理由とはいかに!
◆バイデン政権が叫ぶロシア制裁への対応に苦慮するドイツのショルツ首相
◆ロシア国営企業のガスプロム社がポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止したことについて
◆国境がないことは国益にならないと明言した仏のマリーヌ・ル・ペンがシェンゲン協定見直しに言及
〜関連記事(ハザール系ユダヤ人のアシュケナージ、セファルディム)〜
◆イスラエルの原住民はヘブライ人ではなくセム族系原住民のペリシテ人とカナン人である
◆ウクライナ戦争を理解するためには、旧約聖書第6章〜第9章”ノアの方舟”が示すハザール系ユダヤ人の起源を知る必要があります!
〜関連記事(ジョージ・ソロス)〜
◆投資家・慈善家・ビジネスの仮面を被って資金力で民兵を使って政権転覆を企てるジョージ・ソロス
◆2004年のオレンジ革命と2014年のマイダン革命に見るニセハタ作戦
〜関連記事(クリミア半島)〜
◆トランプとイーロン・マスクがヌーランド国務次官のクリミア奪還発言をロシアへの挑発行為であると非難
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【0】プロローグ
<タッカー>
2024/02/06 19:00 クレムリンにてインタビューが行われた。
ウクライナ戦争について、どうやって始まったのか?今、何が起きているのか?
そして今、最も緊迫しているのは、それがどのように終わる可能性があるのか?だ。
インタビューの初めに、私たちはプーチンに対して、なぜこの戦争を開始したのか?と、単純明白な質問をした。
脅威を感じたのか?差し迫った物理的脅威を感じたのか?
それが正当性であると。
そして私たちが得た答えは衝撃だった。
プーチンは、インタビューの中でプーチンは長い時間、8世紀ほどまで遡るロシアの歴史について語った。
正直なところ、私たちはこれを疑似妨害ではないか?と思い、腹立たしく思ってプーチンの話を何度か遮った。
プーチンはその中断にイラついていた。
しかしながら私たちは結局のところ、親告罪のテクニックではないという結論に達した。
インタビューに制限時間はなかったが、2時間以上かけて終了した。
その代わり、これからご覧になるのは、視聴者が同意するか否か?は別にして、プーチンは誠実に回答しているように見えた。
プーチンは、ロシアがウクライナ西部の一部に対して、歴史的な主張を持っていると信じる。
そのため、私たちの意見は、プーチンが考えていることを誠実に表現しているみなすことだ。
〜目次(小題をクリックするとそれぞれのページに変遷します。★は現在ご覧いただいているコンテンツです。)〜
【表紙】2024/02/06(火)に行われたタッカー・カールソンによるプーチン大統領とのインタビューの全容
★【0】プロローグ
【2】988年 ウラジミール王子による東方キリスト教洗礼と中央集権的なロシア国家の形成
【5】1921年ポーランド・ソビエト・リガ平和条約でポーランドとの和平宣言
【6】1939年にドイツがポーランドに軍事侵攻した背景
【7】ソビエト連邦共和国の領土のカリーニングラードとウクライナが黒海地方と関係した史実は存在しない
【9】ハンガリーはウクライナから国土を取り戻す権利があるのか? | 杉っ子の独り言 (chiba-jp.work)
【10】ソビエト連邦の崩壊
【11】東方拡大しない約束を反故にしたNATOとロシアのNATO加盟をクリントンに問うたプーチン
【12】米国によるコーカサスのテロリスト集団支援に反対したプーチン
【13】ブッシュ政権に対して米国のミサイル防衛システムに、ロシアの参画を提案したプーチン
【15】2014年ユーロマイダン革命のクーデター発生に米国CIAが暗躍
【16】同盟3か国ドイツ、ポーランド、フランスの立ち振る舞い
【17】ゼレンスキー大統領が2014年のマイダン革命後に調印したミンスク合意を履行しないと宣言
【18】2022年に軍事侵攻は、2014年の戦争を止めさせるための軍事侵攻
【19】脱ナチス化
【20】カナダ議会でスタンディングオーベーションを浴びたヤロスラフ・フンカ氏
【21】ウクライナ政府との和平交渉の可否
【22】NATOが危惧する核戦争
【23】米国・民主党の上院議員のチャック・シューマー氏の挑発
【24】天然ガスパイプラインのノルド・ストリームを破壊したのは誰か?
【28】米国の権力中枢者の対ロシア政策
【29】ウクライナのNATO加盟入りに賛同するゼレンスキー大統領
【31】ウクライナ和平をぶち壊した英国の元首相ボリス・ジョンソン氏の罪と、プーチンにとってのキリスト正教
【33】AIや遺伝子の研究について
【34】米国ジャーナリストのエヴァン・ガーシュコヴィッチの拘束
【35】今後の見通し
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