英国がEU離脱で支払う金額7兆円!

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     今日はイギリスのメイ首相が3月29日、ついにEU離脱を発表したというニュースについて意見いたします。

     

     2017年3月29日、ついにイギリスのメイ首相がEUから離脱を発表いたしました。EU離脱する場合に支払わなければならない金額は、500億ポンド(約6兆9500億円程度)になると、欧州連合のユンケル委員長が説明しました。

     BBCのインタビューで、「EUから離脱するのにお金を払わなければいけないのか?」という問いに対してユンケル委員長が答えました。

     

     ユンケル委員長の言い方には含みがあります。EU離脱を理由に英国を罰するつもりはないものの、他の加盟国が追随することは防がなければならない。イギリスが払うべき金額を科学的に計算すると7兆円前後は支払わなければならないという話です。

     

     しかし、これは非常に違和感があります。なぜならばイギリスにとって、EU欧州連合は常に歳出超です。下表は2013年、2014年の輸出入統計ですが、イギリスからすればEUは輸入が多く、貿易赤字でした。端的に言えばイギリスからしてみるとEUに加盟しているが、EU内の貿易においてEUの他の国からは稼いでいないのです。

     例えば、ドイツは逆です。ドイツは圧倒的に貿易黒字を積み重ねています。ユーロに参加して関税がかけられないギリシャやイタリア等の南欧諸国から稼いでいるだけでなく、ユーロに参加していないイギリスからもドイツは稼いでいます。

     イギリスはEUに加盟していて、EU域内の国から所得を稼いでいるわけではない。にもかかわらず、EUに加盟している限り加盟料を支払わなければならない。だが今まで貿易収支で見返りがなかった。だから問題で、イギリス国民の不満が蓄積していったのです。

     

     分かりやすいのは農業予算です。イギリスは、農業予算についてEUとしての農業政策として資金を負担しています。しかしながら、イギリスには農業予算が付きません。EUに農業予算として資金を吸い上げられても、イギリスに農業予算は付かないのです。こういうのは山ほどあり、ECの時代からあった話です。

     

     とはいえ、これは日本の地方交付税交付金と置き換えれば、イギリス国民がEUに加盟していることの不満が理解できます。例えば日本国内で言えば、地方交付税交付金をもらっていない地方自治体は、世界で比べてもインフラが最も進んでいることから、本社機能が集中する東京都のみです。その他の地方自治体は赤字で、地方交付税交付金をもらっています。これは税収格差を是正し、そのお金でインフラを整備しなさいという意味が込められています。

     日本の都道府県間におけるこうした仕組みは、同じ日本国内日本国民だからできます

     しかしながらEUは所詮、国はそれぞれ別です。民族も異なれば言葉も違う。予算がEUに吸い上げられてなぜ自分のところには予算が付かないのか?という不満を持って当たり前です。

     例えば、東京23区は政令指定都市と比べて権限が制限されています。例えば23区に徴税権がある法人事業税の一部が制限されています。具体的には東京都に納められ、他の23区に再分配されます。東京23区で不満が出ないのは、東京都が上乗せして再分配するから。もともと東京は世界と比べてインフラが進んでおり、本社機能が東京に集中します。結果、法人事業税が多く集まってくるのです。

     大阪府でこれをやったら、上乗せ再配分はできないでしょう。大阪府自体地方交付税交付金をもらっているのですから。例えば大阪市が解体されて、特別区制度が導入されたとして、その特別区は地方税の徴税権が制限され、大阪府に吸い上げられているにもかかわらず、大阪府からの再分配が少ないなどとなれば、その特別区に住んでいる住民に不満が出るのは想像できるのではないでしょうか?

     イギリスでは、このようにEUに加盟料を払っているもののイギリスの国益になっていないということで、国民の不満が貯まり、メイ首相を押し上げたのです。こうした背景を知らず、EU離脱の動きについて「過激なナショナリズム」などと、竹中平蔵氏が楽天証券主催のセミナーで発言したことを私は覚えています。自国民が自国のことを考えることがなぜ「過激なナショナリズム」なのか?私には理解ができません。自国の国益は自国の主権にもとづいて判断し、実行すればいい。

     

     主権を制限される二国間貿易協定(例えば米韓FTA)や多国間貿易協定(例えばNAFTAやTTP)は、いわば主権を放棄することが前提です。

     

     「主権がない」ということはどういうことか?例えば食料安全保障のために国民が飢えることがないように、あるいは海外市場で食物価格が乱高下することによって国民に不利益が出ないように、国産の比重を高めようとして関税を引き上げたいとしても、ユーロ加盟国間またはNAFTA加盟国間で関税を引き上げることはできません。ユーロやNAFTAだけでなくTPPや米韓FTAとは、そういうルールです。

     また、ギリシャ人がギリシャの国で取得した運転免許で、イギリスでトラックを運転するのは危険だから、免許制度を変えたいと思っても、EUに加盟している限り、EUで憲法と法律が作られなければ、できません。自ら規制することができないどころか、EUで作られた法律を押し付けられることもあるわけです。

     

     日本は主権があるわけですが、第二次大戦後まもなく、GHQによって主権が制限されました。現在の日本国憲法は、マッカーサーがホイットニー氏に草案を作らせ、戦争が二度とできないようにということで憲法9条が入ったものを日本に押し付けたものです。押し付けたと言っても当時日本は敗戦国で主権を主張できる環境になく、主権を失っていたのです。

     

     EU離脱の話に戻しますが、イギリスに対して7兆円払え!となれば、これは他のEU加盟国、東欧諸国や南欧諸国の反発を受け、離脱する国が拡大するだけです。

     なぜならば、日本は国際連合や国連やユネスコに莫大な資金負担をしています。

     その莫大な資金を負担する日本が離脱したいというのであれば、日本はお金を払え!というのと同じです。

     

     とはいえ、ユンケル委員長の発言の狙いは、イギリスに次ぐ国が出ないようにすることが目的だと思われます。実際問題としてイギリスが7兆円払うという話は、すぐ消えるでしょう。そうやって脅さないと他のEU加盟国の国民たちが、自分たちも主権を回復したいのでEUを出たいという声が出る。イギリスが簡単に出ているのに、なぜ自分たちは出られないのか?とならないようにするため、他のEU諸国の離脱を防止するために、イギリスに7兆円払え!というおかしなことを言っているのでしょう。

     

     さて、フランスの大統領選挙が行われますが、国民戦線のルペン氏を含め、候補者3人がフランスにおいて徴兵制復活を提言しています。ヨーロッパでは徴兵制は20世紀末に無くなりました。理由は軍事行動自体が労働集約的ではなく、科学的専門的技術的になっていたからです。みんなが専門家になって集団になって戦う。結果、徴兵された兵士が活躍貢献できる場が無くなっていったのです。

     

     フランス国内では今、国内の治安維持は別であり、徴兵制が必要であるという考え方になってきています。これは労働集約的と言えます。例えば、ドローンを使って国内の治安維持とか、まだ実現できないからです。

     

     フランスはEUに加盟して、かつシュンゲン協定とダブリン協定を締結しています。移民を受入れることを義務付けられ、その移民問題に端を発してテロが増えている結果、自由に集会ができず集会自体が禁止されるなど、様々な自由がフランス人は制限されているのです。

     

     既にスウェーデンやバルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)では徴兵制が復活しています。これはフランスの事情とは異なり、国内のテロ問題というより対ロシア対策です。

     

     こうしてみると世界は、いいか悪いかは別として、時計が逆回転しています。本来、グローバリズムを貫けば、世界はフラットになって平和が続くと思われてきました。一定の自由の元で競争すれば平和が続くというのは、結局無理だったと言えます。

     それがイギリスのメイ首相、アメリカのトランプ大統領、フランスのルペン氏といった政治家の登場と言えるでしょう。

     

     そんなわけで、今日はイギリスのEU離脱について述べさせていただきました。


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