租税は財源確保の手段ではなく、経済を調整する手段でもある!

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     今日は、税金の役割について別の角度から論じたいと思いまして、「租税は財源確保の手段ではなく、経済を調整する手段でもある!」と題して論説します。

     

     過去、スペンディング・ファーストやMMT理論を通じて、行政運営の財源は、税収で賄われているわけではないことをご説明しました。国家の財政運営は、企業経営と異なり、家計簿管理とも異なります。

     

     税金には3つの役割(景気の安定化装置、格差縮小を目的とした所得再分配、複数通貨を使用する不便さからの解放)があるというお話もさせていただきましたが、別の切り口として管理通貨制度という側面からお話をします。

     

     管理通貨制度について、いつからそうなったのか?歴史を抑えておきたいと思います。

    1944年 金本位制→金ドル本位制に移行

    米ドルが基軸通貨として金と交換できるという体制で、ブレトンウッズ体制もしくはIMF体制ともいいます。

     

    1971年 金ドル本位制→管理通貨制度

    米国が米ドルと金の兌換停止に踏み切り、金と通貨の関係は完全に切り離されて管理通貨制度に移行されました。

     

     上記の通り、1971年以降は管理通貨制度で世界は動いています。

     

     1971年の出来事は、いわゆるニクソンショックと呼ばれるものです。第二次大戦後、欧州国は貿易黒字を確保し続け、その結果米ドルが外貨準備高としてどんどん膨れ上がりました。

     

     欧州国は米ドルをたくさん保有するものの、果たして米国にはそれだけの金地金を保有するのか?という疑問を持つようになりました。

     

     金ドル本位制では米ドルは、金と交換できるという兌換紙幣の位置づけであったことがその理由なのですが、当然、金という資源は有限であり、無限に存在するものではないため、米国が米ドルの発行残高に見合う金地金など持っているわけがありません。

     

     そこで兌換を停止というニクソン大統領の宣言により、金ドル本位制は終焉しました。

     

     歴史を遡りますと、兌換紙幣や金本位制の歴史は古いです。モンゴルのフビライ・ハンが1260年に通貨を統一して、「中統元宝交鈔」という銀を裏付けにした紙幣を発行しましたが、モンゴルの経済が経済成長を続ける過程で、銀の保有が不足し、1287年に「至元通行宝鈔」という銀の交換を前提としない紙幣を発行しました。モンゴルの「至元通行宝鈔」は人類初の不換紙幣で、貴金属の裏付けがない紙幣となります。

     

     金本位制の歴史でいえば、1689年に勃発した第2次100年戦争で、英国が1815年にワーテルローの戦いでナポレオンを亡ぼし、英国は、その翌年1816年に貨幣法を制定して金本位制を法的に整備しました。

     

     その後、1929年にウォール街株式暴落事件で、日本の高橋是清大蔵大臣は1931年に金本位制を捨てて積極財政に転ずるなどした後、1944年に世界はブレトンウッズ体制の元、金ドル本位制になります。

     

     そして1971年にニクソンショックを経て、現在の管理通貨制度に至っています。

     

     税金の役割を管理通貨制度という側面から見た場合、経済を調整する為に存在するともいえます。

     

     通貨の供給量を増やした場合、インフレになりやすくなります。もちろん通貨の供給量を増やしただけでは、インフレになりません。インフレ・デフレは、需要の過不足によって物価変動が生じるものであって、通貨の供給量を増やすだけではインフレになりませんが、インフレになりやすい環境を作ることは可能です。

     

     通貨の供給量を増やして、財政出動を例えば1000兆円1年でやるとなれば、需要>供給の差が大きすぎて高インフレの状態になります。

     

     その時のインフレ率が高くて、それを放置するとバブルが発生する可能性はあり得ます。

     

     通貨を供給しすぎた場合、その通貨を回収しなければならないとなれば、金融政策で「国債の売りオペレーション(国債を市中に売却して現金を吸い上げる)」や「法定準備預金の利率の引き上げ(貸出の抑制のために準備預金の利率を引き上げる)」という方法の他に、増税によって市中に流通する通貨を回収するという方法があります。

     

     いずれもマネーストックを減らす行為であり、インフレを抑制することが可能です。

     

     政府は通貨を供給し、その代わりに租税という方法で一部の通貨を回収する。そうやって国内の景気の状態をコントロールするのが税金の役割という考え方もあるのです。これは税金の目的の一つのビルトインスタビライザー機能と呼ばれるものです。

     

     管理通貨制度という側面で見ても、税金の役割は、財源確保ではなく、経済を調整する手段、マネーストックという市中に出回っている貨幣量を調整する手段なのです。

     

     景気がいいときは増税して日本国中に行き渡っている通貨を回収し、バブルが発生しないように景気の過熱を抑制します。景気が悪いときは減税して通貨を回収しないようにして、通貨の流通量を増やし、景気が良くなりやすい環境を作ります。通貨の供給量を増やすだけではインフレにならないことは、先ほども述べさせていただきました。

     

     このように景気を調整する手段として租税というものが存在しているのですが、世界を見ると例えばEUのマーストリヒト条約や、ドイツが憲法に財政規律を入れていることなど、税金が行政を運営するコストの財源と思っていることが多い。

     

     これは大なる勘違いで間違っています。世界中でこうした勘違いがあり、政策論争をすると「ではその財源はどうするの?」という話になります。

     

     管理通貨制度という側面で考えた場合、日本政府が使う財源は2つあります。

     

     1つ目は国債の発行もしくは政府短期証券の発行です。前者は財政法第4条による4条公債(建設国債)、特例公債法による赤字国債、後者は財政法第7条による財務省証券(=政府短期証券)の発行です。

     

     政府が負債を増やして資金調達するという行為は、国民に通貨を渡す行為であるため、国民を豊かにする方法といえます。

     

     2つ目は国民から通貨を吸い上げる租税です。

     

     政府というのは、この2つをうまく組み合わせて財源を設定するというのが、管理通貨制度における財政政策の基本的な運営方法であるといえます。

     

     ところが今、コロナ対策の専門家会議メンバーの連中を見ていると、租税で全部回収しなければならないと思っている人が多い。というよりも、多くの日本国民もまた誤解している人が多い。

     

     政府の方針のプライマリーバランス黒字化とは、租税の収入の範囲内で行政運営コストを賄わなければならないという考え方ですが、この発想は今まで述べてきた通り、完全に間違っています。

     

     「行政運営を賄うために税金を払わなければならない」という言説は、国家の財政を家計簿運営、企業経営になぞった言説であるため、誤解しやすいのです。

     

     例えば「収入が100万円しかないのに118万円も消費している家計は、18万借金していることになるので、いつか家計が破綻しますね!」と説明されたら、「それはダメだね!」と誤解してしまいます。

     

     国家の財政運営と家計簿運営・企業経営は一緒に考えてはいけません。政府が借金を増やすという行為は、通貨を発行して国民を豊かにする行為であり、そのことを政治家、官僚、国民に知ってもらい、行政運営を賄うコストではないということを理解していただきたいと私は思います。

     

     

     というわけで今日は「租税は財源確保の手段ではなく、経済を調整する手段でもある!」と題して論説しました。

     

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