「プライマリーバランスの黒字化」を破棄せよ!(アイスランドのデフォルトについて)

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     日米には財政問題は存在せず、世界一の純資産大国である日本は最も破たんから遠い国です。国家運営は家計と異なり、予算制約はありません。ミクロ経済学でいう予算制約は、企業経営と家計には当てはまりますが、国家運営には当てはまりません。国家運営を家計と同じように考えることが誤っています。借金=悪という考え方は、信用創造否定=資本主義の否定です。

     自国通貨建ての債務は、通貨発行できるので全く問題ありませんが、外貨建て債務は通貨発行ができないために問題があります。日本政府の国債は100%円建てで、外貨建てではないから心配無用です。

     

     また「無駄を削減してプライマリーバランス黒字化を!」が、全く意味がないことを知っていただきたく、ケーススタディとして政府の債務がGDP比率で少なくて実質的な破たんに近い状態になった国、アイスランドの事例を紹介します。
     

    【1】アイスランドの破たん例
     アイスランドは2007年の政府債務対GDP比率は29%でした(日本でいえば、GDP500兆円に対し、政府の負債は15兆円)。これが2008年にGDP比率700%(日本でいえば、GDP500兆円に対し、政府の負債は3500兆円)にまで上昇しています。
     また、2005年〜2007年の3年間で、GDP比5%を超える黒字でした。日本で考えると25兆円程度も税収が歳出を上回る年が3年続いたことになります。

    (消費増税賛成派や財政健全化すべきとのご意見の皆さんにとっては目指す姿?ということになるのでしょうね。)

     アイスランド政府の借金は2007年までたったの29%なのに、なぜ急に700%まで上昇したか?原因は、民間の国内の金融機関が負っていた外貨建債務です。
     IMFのデータでアイスランドの経常収支を見ますと、破たんした2008年までアイスランドはGDP比率15%以上の経常収支赤字国です。(日本は経常収支黒字国であるため、政府の債務が増えるスピード以上に、政府を含めた国家としての純資産が増えるスピードが速いです。)
     当時のブルームバーグの記事によれば、アイスランドの750億ドルに相当する外貨建て債務が、アイスランドのGDPの700%を上回る規模であり、永久に返済されない可能性がある旨の記事が出ておりました。

     国内の民間金融機関がなぜ多額の外貨建て債務を抱えていたか?
     当時のアイスランドの経済モデルは以下の通り。
    ●自国通貨クローネをユーロペッグし、金利を引き上げて海外から投資を呼び込む

    金利引上げで支払利息が増えることで所得収支が悪化(経常収支が悪化)
    ●アイスランド国内金融機関が海外からユーロ建てで調達した資金で金融商品投資

    外貨建て債務が増大
     

     高い金利の外貨建て資金を調達し、「所得収支悪化」と「外貨建て債務の増加」を続けて、経済成長していたことになります。即ち、政府が借金をしなくても(日本でいえば、国債を発行しなくても)経済成長できたのです。しかしこれを継続させるには、ユーロペッグ維持が絶対条件です。なぜならば経常収支赤字がGDP比率15%以上の経常収支赤字を続けていれば、アイスランドクローネは他通貨に対してレートが切り下がります(例えばクローネ安ユーロ高ドル高)。仮に半分まで切り下がると自国通貨から見た外貨建て債務が2倍になってしまい、返済は不可能になります。

     例えばユーロ建て債務10兆ユーロを1ユーロ=100クローネであれば1000兆クローネの債務。もし1ユーロ=200クローネとユーロ高自国通貨安になれば、2000兆クローネとなる。そのため、1ユーロ=100クローネとペッグ維持が絶対条件になります。つまりユーロペッグ維持により外貨建てであるユーロ資金を呼び込み、対外債務を拡大させて経済成長させてきたと言えます。

     しかし、頼みのユーロペッグはリーマンショックによって崩壊。国内金融機関が投資していた金融商品(証券化商品)のほとんどが紙くずになり、対外債務だけが残った。そこでアイスランド政府は金融機関を国有化し、政府の債務が急激に増加したのです。

     アイスランドはユーロ加盟国でないので、クローネを発行することはできても、ユーロを発行することはできません。仮にクローネ発行して750億ドルに相当するユーロ建債務を返済しようとすると、ユーロ建債務を返済するための自国通貨売りユーロ買いが、さらに自国通貨安に拍車をかけ、750億ドルに相当する外貨建て債務の実質負担が増加してしまいます。

     通貨発行通貨安債務負担増通貨発行通貨安債務負担増・・・

    いくら通貨発行しても債務返済が不能(国家破たん、デフォルト)になります。
     

    【2】総括

     ユーロ加盟国アイルランドも、ほぼ同時期に、ユーロ建て債務が返還できず、破たんしています。そのアイルランドは、破綻寸前まで財政収支黒字を計上していました。

     

     このブログをご覧いただく方を含め、日本のマスコミとエコノミストはしきりに「無駄を削減してプライマリーバランス黒字化を!」「無駄を削減しないと借金が増えて財政破綻する!」とおっしゃる方が非常に多いと思いますが、財政収支が黒字でも破たんします。プライマリーバランスの黒字化は全く意味がないどころか、海外の破たん事例を見ると、破たんの兆候ともいえます。

     

     国家が破たんするか否か?は、政府の債務(Government Debt)だけ見ていても意味はなく、政府の債務のほかに、民間企業、金融機関、家計の債務も見なければ、意味がありません。その点、日本は、政府、民間企業、金融機関、家計で、債務と資産を合計すると、2015年12月末で365兆円(前年比45兆円増)の純資産大国であり、世界で一番最も金持ち国です。世界で最もお金がない国は純資産−800兆円(800兆円の純負債国)の米国です。ただしドルは米国のFRBが通貨発行できますので、日本と同様財政問題は存在しません。

     

     このように日米には財政問題は存在せず、世界一の純資産大国である日本は最も破たんから遠い国なのです。プライマリーバランス黒字化は、国の財政を家計企業経営と同様に考える愚かで間違ったミスリードであることに、多くの国民が早く気付いて欲しいと心から願います。


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