EUの緊縮財政で新型コロナウイルスの感染が拡大してしまったイタリアについて

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     今日は「EUの緊縮財政で新型コロナウイルスの感染が拡大してしまったイタリアについて」と題して論説します。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2020/03/10 21:52 イタリア、医療現場混乱で感染急増か 全土で移動制限

     【ジュネーブ=細川倫太郎】イタリア政府は10日、新型コロナウイルスの感染の急速な広がりを受け、全土で個人の移動制限を発動した。9日の感染者数は9172人と中国に次いで2番目に多い。欧州で突出して感染者数が多い理由を探ると、医療現場の混乱などいくつかの可能性が浮かび上がってくる。

     コンテ首相は9日「国民全員が協力して、厳格な規制に対応してほしい」と呼びかけた。外出を避けるよう求め、飲食店は夜間の営業を禁止した。ただし、仕事や健康上の理由での移動は認める。移動制限は4月3日まで続ける。

     感染者が急増した理由に挙がるのが医療現場の混乱だ。イタリアは、これまでに新型コロナの検査を5万4千件以上してきた。感染者を確定させる狙いだったが、軽症の患者も徹底的に検査したため、病床が満杯に。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性がある。

     米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝えた。無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘した。

     イタリアは欧州連合(EU)が求めた財政緊縮策として医療費削減を進め、医療機関を減らしてきた。政府は引退した医療関係者の現場復帰を呼びかけ、軍事施設の活用など対策を急ぐ。

     中国人観光客の多さも新型コロナのまん延のきっかけになったとの声もある。イタリアを訪れる中国人は年320万人を超え、国別では5番目に多い。イタリアは2019年3月、主要7カ国(G7)で初めて中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参画する覚書を締結し、その後に中国人は一段と増加した。

     感染症が専門のミラノ大学のガリ教授は伊メディアに対し「疫学のデータを分析すると、イタリアではウイルスは既に1月末ごろから出回り始めていた」と話している。

     明るく友好的な国民性が関係している可能性もある。イタリア人は家族や友人との時間を重視し、週末などに食事やカフェを一緒に楽しむのは日常茶飯事だ。あいさつでも相手のほおに自分のほおを寄せるのが一般的で、人と人が身体的に近寄る機会が多い。伊市民保護局のボレッリ局長は「イタリア人の感情をあらわす気質がウイルスの拡大につながった可能性がある」と指摘する。

     現在、ミラノなどイタリア各地は静まりかえっている。一時的とはいえ、全土での移動制限は経済へのマイナスの影響が大きい。外出の自粛や飲食店の時短営業で消費が低迷するのは確実だ。20年1〜3月期の実質経済成長率は2四半期連続でマイナスとなるとの見方が強まっている。ユーロ圏で3番目の経済規模を持つイタリアは景気後退に陥る可能性がある。』

     

     日本の緊急経済対策第2弾における財政出動は4,600億円であるのに対し、イタリアは3兆円つぎ込むというニュースもあるなかで、このイタリアの記事は、日本人が心に留めておくべきニュースであると私は考えます。

     

     記事にも記載の通り、EUが求めた緊縮財政策として医療費の削減を進め、医療機関を減らしてきました。EUに加盟すると、マーストリヒト条約により「政府の負債対GDP比率3%以下にする」というルールを守らなければなりません。そのイタリアは財政が厳しく、EUから緊縮財政を求められていました。

     

     その結果、医療費を削減し、医療機関即ち病院を減らしてきたのです。

     

     その結果として新型コロナウイルス感染拡大が続くイタリアの医療体制の脆弱さが浮き彫りになったといえるでしょう。

     

     緊縮財政の一環として医療費を削減したことの当然の帰結として、ウイルスの感染拡大という結果があるのです。

     

     イタリアは財政赤字縮小のため、EUのルールに基づいて政府予算を削減してきました。

     

     医療機関も予算削減の対象となっていて、フランスの経済紙によれば、過去5年間で病院など758か所を閉鎖して人員も削減。そのため、新型コロナウイルスの感染が拡大する前から、医師56,000人、看護師50,000人が不足し、医療体制の不備を問題視する声が上がっていました。

     

     だから緊縮財政をやってはいけないということなのです。

     

     安倍政権は2013年こそ、正しい政策をやっていました。何が正しいか?といえば、デフレ脱却には国債増刷と財政出動のセットによるポリシーミックス以外に有効な方法はありません。そして安倍政権は2013年度だけ、正しい政策をやっていました。金融緩和に加えて、国土強靭化でちゃんと財政出動をやって公共事業を増やしました。その結果、名目GDPで1.9%プラスとなり、税収も6.9%増収しました。

     

     ところが2014年の消費増税8%を皮切りに、当初予算と補正予算を加算した合計額が前年割れという緊縮財政を始め、今もなお緊縮財政を続けています。

     

     例えば民間議員と称するイカサマ連中らが集う経済財政諮問会議というのがありますが、この経済財政諮問会議が取り上げているテーマの一つで、医療問題があります。

     

     そこでは日本の地方では病院が余っているとして医療機関が多すぎるなどと主張しています。こんな地方に病院の数がたくさんあるのは不合理で、もっと削減すべきであると主張し、普通の民間経営になぞらえてこうした状況があり得ないなどとほざきます。

     

     日本政府は企業経営をしているわけではありません。お金儲けをやっているわけではありません。企業経営者が企業経営の発想を国家運営に持ち込むなど、迷惑千万以外の何物でもありません。

     

     国民の生命と財産を守るために、それぞれの地域に医療システムを整備し、民間の供給力を保持しておくことで、日本国民がどこに住んでいようといざという時に治療が受けられるようにするというのが日本政府の仕事です。

     

     安全保障の一つ、医療安全保障のシステムを構築するためには、平時においては暇なくらい医療機関が存在していいのです。その代わり、新型コロナウイルスのような騒動になったら、あらゆる医療機関が余裕あるキャパシティで患者を受けて入れていく。

     

     これはウイルスのパンデミックに限らず、大地震や大洪水、あるいは北朝鮮のミサイルが着弾したなどでも同じことです。

     

     ところが緊縮財政で医療費を削減し、医療機関の数が多いなどとして合併をすると、医療機関の数は当然減少し、病床数も医師も看護師も少なくなっていきます。離党で医者がいなくて困るというのは地方都市でも当てはまります。

     

     医療行政について効率化という基準で語ってしまっては、イタリアと同じは目に遭うでしょう。

     

     イタリアはEUに加盟しているからこそ、マーストリヒト条約に縛られ、財政出動ができずにいました。英国はこうした矛盾が分かったからこそ、ブレグジットでEUから離脱したのです。

     

     なぜ英国がEUから離脱したか?それは財政の主権を失ったことに気付いたからというのも大きな理由の一つです。

     

     日本は財政の主権があります。憲法第83条に明記されています。具体的には財政の処理は国会の決議で決め、支出することが可能です。

     

     そのため、憲法第13条の国民の幸福権を追求するために、コロナウイルス対策、消費増税で貧困化した日本国民を救うため、積極的な財政出動をすることは何ら問題がありません。

     

     

     というわけで今日は「EUの緊縮財政で新型コロナウイルスの感染が拡大してしまったイタリアについて」と題して論説しました。

     財政諮問会議の民間議員とやらが、「普通の民間経営だったら、こんな病院の数が多いなどあり得ない」とほざくその発想こそが間違っているのであって、その財政諮問会議の民間議員の意思決定で政策が決まるということが、大変腹立たしく思います。

     意思決定する財政諮問会議の存在は、そもそも憲法第83条に違反するものであると私は思っていますし、日本国民の幸せではなく、健全な財政のために民間経営を導入するというのは、日本国民の生命・財産を蔑ろにするものであって、憲法13条の国民の幸福権の追及にも違反しているものと私は思うのです。

     

     

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