トランポノミクスで復活したUSスチールと、アベノミクスで呉製鉄所閉鎖に追い込まれる日本製鉄

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     今日は日本製鉄の広島県にある呉製鉄所閉鎖のニュースを取り上げ、「トランポノミクスで復活したUSスチールと、アベノミクスで呉製鉄所閉鎖に追い込まれる日本製鉄」と題して論説します。

     

     下記は朝日新聞の記事です。

    『朝日新聞 2020/02/07 20:21 日本製鉄、呉製鉄所を閉鎖へ 極めて異例の全面閉鎖

     鉄鋼国内最大手の日本製鉄は7日、2基の高炉がある呉製鉄所(広島県呉市)を2023年9月末までに閉鎖し、和歌山製鉄所(和歌山市など)の高炉2基のうち1基を22年9月末までに休止することを柱とする大規模な生産設備の合理化策を発表した。鉄鋼需要の低迷や設備の老朽化を踏まえ、全国各地の製造拠点で過剰な生産能力の削減に踏み切る。地域経済や協力企業を含めた雇用への影響は避けられない。

     呉製鉄所は日本製鉄の傘下に入った日新製鋼(現日鉄日新製鋼、4月に日本製鉄と合併の予定)の主力拠点。旧日本海軍の呉海軍工廠(こうしょう)の跡地で1951年に稼働した。設備が老朽化していて、粗鋼の生産能力も小さいため、高炉2基のうち1基を今月休止する予定だったが、もう1基の稼働も21年9月までに止める。高炉でつくった粗鋼を鉄鋼製品に加工する設備も23年9月末までにすべて休止する。高炉から製品の加工・出荷までを一貫して担う国内の製鉄所が閉鎖されるのは極めて異例だ。

     

     撤退や拠点集約、各地で

     

     和歌山製鉄所は、旧住友金属工業の主力製鉄所。高炉2基のうち1基やコークス炉などの生産設備を22年9月末までに休止する。合理化の対象は全国各地の拠点に及び、グループ全体の粗鋼生産能力の約1割にあたる500万トンを減らす。航空機のエンジン向け部材のチタン丸棒の製造から撤退し、船舶や橋げたなどに使われる厚板、ステンレスやめっきの製造拠点の集約も進める。

     八幡製鉄所小倉地区(北九州市)の高炉の休止時期を20年9月末まで、広畑製鉄所(兵庫県姫路市)のブリキ製造ラインの休止時期を21年3月末までに前倒しすることも盛り込んだ。(後略)』

     

     上記朝日新聞の記事は、日本製鉄が4,400億円の赤字になるということで、広島県にある2基の高炉がある呉製鉄所を2023年9月末までに閉鎖し、さらに和歌山県にある和歌山製鉄所についても高炉2基のうち、1基を2022年9月末までに1基閉鎖するというニュースです。

     

     日本製鉄は、新日鉄と住友金属が合併してできた会社です。ただ業績は不調で、2020/02/07付で、2020年3月期の決算が、本業の利益は4,400億円の赤字と前回予想400億円の黒字から、大幅に下方修正して赤字に転落することを発表しています。

     

     本業で営業利益は営業黒字なのですが、先行きが不透明ということで、呉の製鉄所を閉鎖するとし、呉のみならず和歌山などの製鉄所も部分的に閉鎖するコストを損益として計上したため、最終赤字が4,400億円になったのです。

     

     なぜそうしなければならなかったのか?

     

     理由は米中貿易摩擦で世界的な鉄鋼需要の減少に加え、ライバル社の新興国企業の追い上げで赤字になるということで、特に広島県の呉製鉄所閉鎖は大ネガティブニュースであり、これによって大量の雇用が失われるだろうと予想されています。

     

     実際は、呉製鉄所で働く1000人の従業員は配置転換で解雇にはなりませんが、呉工場がなくなれば、関連している呉の下請会社、取引先は、仕事がなくなりますので、大きな問題でデフレ圧力がかかっていくことになるでしょう。

     

     日本製鉄の前身の新日鉄は、かつて世界の鉄鋼会社といわれていましたが、経営苦境に遭遇しているというのは、実は米国でも同じことが起きています。

     

     それが米国のUSスチールです。

     

     USスチールもまた日本製鉄と同様に、中国の鉄鋼ダンピングで経営が苦しくなった会社です。中国の鉄鋼ダンピングとは、具体的には、中国共産党政府が中国の鉄鋼会社に多額の補助金を出し、ダンピング輸出することで、中国の鉄鋼会社は輸出が増えて補助金をもらって儲かって世界シェアを伸ばしますが、反対側で割を食ってシェアを落として輸出が減少して売り上げを落とすのが、日本製鉄やUSスチールといった日米の鉄鋼会社です。

     

     当時の新日鉄もUSスチールも経営は苦しくなって雇用が失われ、トランプ大統領が鉄鋼関税をかけるまで、米国は何もできずにいました。

     

     その結果、USスチールは多くの製鉄所を閉鎖せざるを得ませんでした。USスチールに勤務するある従業員は、長い間、月給で3000ドル(1ドル=110円で換算すると月給約33万円)の給料をもらっていたのですが、ある日突然製鉄所が閉鎖され、仕事を変えざるを得ませんでした。やっと仕事を見つけたとしても、月給1500ドル(≒16.5万円)と半分になった例もあります。

     

     ところがトランプ大統領がこれを変えました。

     

     具体的には中国に対して25%の関税をかけましたが、その内容は反ダンピング関税、補助金相殺関税ということで、明確な理由を持って鉄鋼品に25%の関税をかけることにしたのです。

     

     さらに中国は、ダンピングが米国にバレないように、UAEやベトナムを通して迂回輸出をしていましたが、トランプ大統領はこれも取り締まりました。

     

     こうしてトランプ大統領が徹底的に中国と戦った結果、USスチールは鉄鋼生産を再開するようになりました。

     

     それだけではありません。工場設備を維新するために新たに20憶ドル(約2200億円)を投資するくらいにまで復活したのです。

     

     USスチールの雇用は戻り、先ほどの月給3000ドルをもらっていて解雇されて1500ドルに甘んじていた人も、2年ぶりにUSスチールに戻ることができました。

     

     その結果、鉄鋼業界の人々はトランプ大統領を支持しています。

     

     日本では安倍政権の経済政策をアベノミクスと呼んでいますが、トランプ政権の経済政策全般をトランポノミクスといいます。

     

     このトランポノミクスは、特に日本のマスコミでは「保護貿易」と呼ばれて大変評判が悪く、中国に対する徹底的な関税引き上げは、「トランプ大統領のワガママで世界がどれだけ被害を被っているか?」という論説が極めて多いです。

     

     トランプ大統領の主張は、「自由貿易は正しい。しかしながらただ正しいというだけでは机上の空論。フェアで公正な貿易でなければならない。」、これがトランプ大統領の主張です。

     

     2020/01/14付のウォール・ストリート・ジャーナルで、ピーター・ナヴァロ大統領補佐官が、トランポノミクスについて寄稿しています。

     

     その寄稿の中で、ナヴァロ氏は、保護貿易に対して批判が多いが、トランプの保護政策によって経済が悪くなっているという批判は全く間違っていて、むしろ逆であると述べています。

     

     フェアな貿易、関税の引上げによって、米国の雇用がどれだけ戻ったか?

     

     確かに米国の雇用は、失業率で3.5%と過去50年では最も低い水準にまで下がっています。リーマンショックを経てこの数字を叩き出しているわけで、これはすごいことです。

     

     1929年の世界大恐慌でレッセ―フェール(放任主義)で経済は自由に任せるべきだとして何も経済政策をやらなかったフーバー大統領の時に失業率が45%くらいまでいき、その後、1933年に就任したルーズベルト大統領がニューディール政策で政府支出を増やしましたが、1936年に緊縮財政に転換してルーズベルト不況に陥りました。ルーズベルト大統領が政府支出を増やした1933年〜1936年で見ても、米国の失業率は10%を切ることはありませんでした。

     

     またナヴァロ氏は、関税だけではなく減税、規制緩和をパッケージでトータルで行うことで、米国は雇用が増えているとも主張。これまで米国の労働者が不利な市場のゆがみの中で苦しんできたとし、事例として中国のダンピング輸出を指摘しています。

     

     ナヴァロ氏は、こうしたゆがみを正すのが関税であり、関税を引き上げたことで、米国の労働者は仕事に戻ることができたとも主張しています。

     

     こうしたことを考えると、いま日本でも起きているかつて世界一の鉄鋼会社といわれた新日鉄、今は日本製鉄が多額の赤字を抱えて苦しんでいます。

     

     それに対して、関税を引き上げ、内需拡大による経済構造を作り出したトランプ大統領のトランポノミクスですが、日本の安倍政権は中国の鉄鋼に対して関税を取っているものの、トランプ政権ほど徹底してはいません。

     

     トランプ大統領にせよ、安倍総理にせよ、いったい誰のために政策をやっているのでしょうか?

     

     目先の自分の権力維持のために、中国共産党政府に遠慮し、日米FTAで米国トランプ政権にへつらい、財務省と戦わずして消費増税で日本国民を貧困に叩き落している安倍総理のアベノミクスと比べれば、トランポノミクスから学ぶことは多いのではないでしょうか?

     

     安倍総理が、日本の労働者を救う気持ちが本当にあるのであれば、私はトランプ大統領から学んで欲しいと切に思います。

     

     

     というわけで今日は「トランポノミクスで復活したUSスチールと、アベノミクスで呉製鉄所閉鎖に追い込まれる日本製鉄」と題して論説しました。

     日本の政界は、日本の鉄鋼業界の経営者の責任を問うだけではなく、日本の労働者、日本の企業を救うために、経済の本質に迫った討論を展開していただきたい。

     安倍総理の首取りでスキャンダルを取り上げている国会にはうんざりするばかりです。

     今こそ、中国に毅然とした態度を取り、内需主導型経済にするために、消費税を減税し、20兆円レベルの大型の政府支出増の経済対策を行うなどして、日本製鉄を救う道、その従業員や取引先や関連会社に対して救いを述べる道があるのでは?と私は思うのです。

     

     

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