景気の’気’は、気持ちの’気’だから、デフレという言葉を使うとデフレになる?

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     今日は「景気の’気’は、気持ちの’気’だから、デフレという言葉を使うとデフレになる?」と題して論説します。

     

     2015年8月、私はあるFPの資格を持たれている方とお話をする機会がありまして、ものすごい違和感を覚えた言説があります。それは「景気の’気’は、気持ちの’気’」という言説です。 

     

     だからネガティブな語彙である”デフレ”という言葉を使わない方がいいのか?私には理解しかねますが、いずれもこうした言説を用いる人らは、統計や数字を見ないで雰囲気やノリでその言説を発していると思われます。

     

     日銀は2020/01/29、黒田総裁の前の総裁である白川氏が、11年前の金融政策決定会合において、デフレという表現に警戒感を示していたされる議事録、これを公開しました。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2020/01/29 21:00 「デフレの魔力よくない」 日銀09年7〜12月議事録

     日銀は29日、2009年7〜12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。08年秋のリーマン危機から1年が過ぎ、焦点となったのは時限的な企業金融支援策の手じまい方だった。異例の政策の効果と副作用を巡る議論は現在の日銀にも通じる。09年9月に発足した民主党政権の「デフレ認定」で追加の金融緩和を迫られるなど、政治との間合いに悩む姿も浮かぶ。

    ■臨時措置終了「果断に」

     「リーマン破綻に伴う急性症状的なショックから抜け出たように思う」(山口広秀副総裁)。危機から丸1年たった9月の会合では、急速に悪化した景気が下げ止まりから持ち直しに転じつつあるとの見方が広がった。「各国の在庫調整の進捗や金融・財政政策の効果」(亀崎英敏審議委員)で外需が持ち直し、製造業への逆風も和らいだ。

     景気が最悪期から抜け出すなか、企業や市場が注視したのは日銀が「臨時・異例の措置」(白川方明総裁)としていたコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りなど企業金融支援策の扱いだった。7月の会合では9月末だった期限を年末まで延長したが、10月の会合で予定通り打ち切るかどうかを議論した。

     低金利で資金を貸す特別オペは延長の方向で一致するなか、焦点になったのがCP・社債の購入策だ。「CPや社債市場の一部には明らかに過熱感が出ている」(須田美矢子審議委員)、「時限措置が恒久的とみなされるとモラルハザードを起こす」(西村清彦副総裁)。多くの委員はこうした副作用を問題視した。

     一方、水野温氏審議委員は「景気の下振れリスクに配慮した慎重な政策対応が適切」と社債買い取りの延長を主張した。最後は白川総裁が「臨時の措置は必要と判断すれば果断に導入し、必要なくなれば果断にやめていく」と訴え、賛成多数で年末打ち切りを決めた。

     ただ一連の議論では「時限措置の停止はいずれ利上げにつながる引き締め策の一環ではないと正しく理解してもらうことが重要」(亀崎審議委員)との声も上がった。政策の正常化に急ぐ日銀というイメージを避けたいという思いもにじんだ。

    ■「デフレ」巡り激論

     「日銀はデフレに対して鈍い感覚しか持っていないのではないかと思われている」(山口副総裁)、「デフレという言葉はあまり使いたくない。どんな定義を前につけても言葉だけが飛んでいってしまう」(須田審議委員)、「しかし、そのままだと、いかにもデフレを認めないような印象が強まる」(亀崎審議委員)――。

     2009年11月の議事録にはデフレという言葉をめぐる激しいやり取りが残っている。経済環境は最悪期を脱しつつあったが、消費者物価指数の前年比は09年前半からマイナス圏に突入。デフレの議論が高まったが、日銀内にはデフレという言葉を使うことで、過度に消費者心理を冷やしかねないとの懸念があった。

     白川総裁も「デフレという言葉の持つ魔力は金融政策の最終的な目標にとって必ずしもよくないという反省がある」と避け続けた。ただそれが「日銀はデフレ阻止に向けた緩和努力を怠っているという意見」(須田審議委員)につながっていることへの葛藤も浮かぶ。

     デフレという言葉を避ける日銀には、追加緩和を迫られないように故意に楽観的な見通しを出しているとの批判もあった。「真意が十分に理解されていない」(中村清次審議委員)という不満が随所ににじんでいる。

     「デフレ克服のために最大限の努力をしていく」。白川総裁が名古屋市での講演で、初めて現状がデフレであると認めたのは、政府が09年11月20日に月例経済報告で「緩やかなデフレ」と認定した10日後だった。

    ■超低金利継続「決然と」

     「改めて超低金利を続けていくということを決然と示す」。日銀の白川総裁は12月1日、年0.1%の固定金利で10兆円規模の資金を金融市場に供給する方針を決めた臨時の金融政策決定会合で、こう強調した。一部の市場関係者の間で日銀の政策スタンスが「まだ十分には浸透していない」との懸念があった。

     日銀はこれに先立つ11月20日の決定会合で、景気は各種対策の効果などから持ち直し、金融環境は厳しさを残しつつも改善の動きが続いていると判断したばかりだった。政策委員会には「借り手に需要がないために出ていかないのであって、お金が足りない状況ではない」(亀崎審議委員)との声もあった。

     一方、政府は11月20日に3年5カ月ぶりにデフレを宣言。円相場の急騰もあって日本経済の先行きに不透明感が強まり、当時の民主党政権の中枢では「量的緩和」への期待感が高まっていた。

     山口副総裁は席上「多少迷ったというのが率直なところだ」と認めつつ「企業家心理、消費者心理の一段の下振れが景気に及ぼす影響が無視できなくなってきているとすれば、何らかの政策対応を図るべきだという判断に傾いた」。

     10兆円は当時の日銀の資金供給総額の2割程度に相当したが「パニックに対する緊急避難ではなく、通常の金融政策の一環」(西村副総裁)と位置づけたところに日銀の苦悩がにじむ。

     「日銀が量的に消極的だという印象を与えるのは損だ」。白川総裁が市場や政治との意思疎通に神経をとがらせていた状況が浮かび上がる。(後略)』

     

     上記は2009年のリーマンショック後、日銀がデフレと認めるべきか否か?で論争が起きていたことがよくわかる記事かと思います。

     

     当時日本は、政権交代直後、民主党がデフレを宣言して、一段の金融緩和への圧力を強める一方、当時白川総裁が率いる日銀では、デフレという表現を使うか?どうかを巡った議論が展開されていて、2009年後半の日本経済は2008年のリーマンショックの影響が残るものの、生産と輸出で回復の兆しが見られ、日銀は金融政策決定会合で景気認識の上方修正を繰り返しましたが、政府は景気が十分に回復するまで、日銀が金融政策で支えるべきであるとする立場でした。

     

     しかし日銀は、企業の資金繰り支援策だった社債などの買取措置を年内に終了することを決めました。なぜならば社債の買取が恒久的な取り組みと見なされれば、市場に恒久的な歪みをもたらし、倫理の欠如を起こす可能性があるという意見が多かったためです。

     

     こうした日銀の対応に不満を募らせた当時の民主党政権は、デフレの状況にあると宣言して、日銀にもデフレ脱却に向けて協調するよう迫ったのですが、当時の白川総裁は、デフレという言葉の魔力は、金融政策の最終的な目標にとって必ずしも良くないという反省があると述べました。

     

     一連の日銀内での議論の結果、「デフレと認定することはよくない」というのが白川総裁の立場です。

     

     この発想は、今の日本政府と同じではないでしょうか?

     

     私は「景気の’気’は、気持ちの’気’」という言説には全く賛同いたしません。「消費者の気持ちが景気を左右する」とか、「株価が上昇すれば株で儲けた人がお金を使って景気が良くなる」とか、アベノミクスはデフレ脱却には”気分の盛り上げ”が必要で、インフレターゲット2%を設定している」とか、全てデタラメです。

     

     こうした人々の頭の中には、1929年のウォール街株式暴落事件から世界恐慌に突入した際の米国のフーバー大統領の発想と同じです。フーバー大統領はレッセフェール(放任主義)を貫いた結果、1932年には米国の失業率は50%近くまで上昇しました。因みに今、米国の失業率は3.5%です。

     

     景気はいい時もあれば悪い時もあり、経済の動きはダイナミックであり、神の手が経済を動かすので、政府や中央銀行は政策で人為的に介入すべきではないとする立場が、フーバー大統領でした。

     

     白川総裁も同様の発想と思えるのは、社債買取をすぐに辞めたことに加え、「デフレと認定することはよくない」という発想です。

     

     例えば今の日本政府は、デフレという言葉を使うとデフレを助長させるということで、先月1/20に発表された1月の月例経済報告では、12月の表現とほぼ同じで、「景気は緩やかに回復しつつある」という表現を使っています。なぜこの表現を使うか?といえば、デフレ脱却を標榜して発足した安倍政権にとって、「デフレ脱却できていない」というのは失政を認めてしなうことに他ならないということもあるでしょうし、まだデフレ脱却を諦めない、そのためにはデフレという言葉の魔力ゆえにデフレを助長するので、「デフレではない」と言っていれば、そのうちデフレではなくなると思っているのだろうと、私は思います。

     

     デフレというネガティブな言葉を使うべきではないという点で、白川総裁も今の日本政府も感覚的には近いといえます。

     

     また白川総裁が社債買取をずっと継続するとモラルが崩壊すると述べています。

     

     日本の経済を立ち直らせるために、デフレから脱却する為に社債買取を継続するという判断があっても、それはそれで一つの考え方です。

     

     むしろデフレ脱却の方法があるのに、モラルが崩壊するからやらないというのは、果たしてどのようなモラルが崩壊するというのでしょうか?

     

     これでは病気に罹患して死にかかっている病人に対して、「大丈夫だよ!直りますよ!」といっているのに等しいと私は思います。仮にも絶対に死ぬと思っているがん患者がいたとして、その人に対して「がんじゃないから大丈夫だよ!」というのは倫理的に許されるかもしれません。

     

     しかしながら治る見込みのある患者に「大丈夫だよ!直りますよ!」というのは、対策すれば直るところ、何も対策をしなくなって結果死んでしまうということがあり得るという点で、倫理的には許されないと私は思います。

     

     

     

     というわけで今日は「景気の’気’は、気持ちの’気’だから、デフレという言葉を使うとデフレになる?」と題して論説しました。

     経済指標ではボロボロの数値が並んでいる状況がありますが、日本政府は消費増税が原因であることを認めないでしょう。おそらく天候不順だの、台風で被害が大きかったなど、1月からは中国でコロナウイルスが発生したからとか、自らの失政を認めないでしょう。

     失政を失政と認めず「景気は緩やかに回復している」とウソを吐き、「景気の’気’は、気持ちの’気’だから・・・といってネガティブな語彙を使わない」という姿勢で、実際の数字と正しい分析の情報を捻じ曲げ、マスコミもそれを垂れ流すということは、デフレ脱却の治療があるにもかかわらず、その治療をしないように働きかける、国民に認知させるという意味で、倫理的に許されない大変不道徳なことであると私は思うのです。

     

     

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