楽天市場の送料無料化について
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今日は「楽天市場の送料無料化について」と題して論説します。
下記は読売新聞の記事です。
『読売新聞 2020/02/10 22:13 独禁法違反疑いで立ち入り調査、楽天「送料無料化は3月実施」
インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天(東京)が打ち出した送料無料化の方針を巡り、公正取引委員会は10日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで同社を立ち入り検査した。公取委は、取引上の優位な立場にある同社が、一方的な無料化によって出店者側に不当な負担を強いることになる恐れがあるとみて調べる。
楽天は昨年8月、これまで出店者が各自で設定していた送料に関する規約を変更し、1店舗で税込み3980円以上を購入した場合、沖縄や離島などを除き出店者側の負担で一律無料とする計画を発表。同12月、各出店者に今年3月18日から始めると通知した。
一部の出展者は昨年10月、任意団体「楽天ユニオン」を結成。今年1月22日、公取委に無料化を撤回させる排除措置を求め、公取委は先月末から出店者側を事情聴取していた。これに対し、楽天の三木谷浩史会長兼社長は無料化を予定通り実施する意向を示していた。
独禁法は、自己の取引上の地位が優位にあることを利用し、取引先に不当な不利益を与える「優越的地位の乱用」を不公正な取引方法の一つとして禁じている。
楽天は「法令上の問題はないと考えるが、検査に全面的に協力する」とする一方、無料化については「3月18日に実施する予定だ」としている。』
上記記事は、インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する三木谷氏が、一店舗で3,980円以上の買い物をした場合の送料について、一部地域を除いて3/18から無料にすると表明し、一部の出展者が反発している問題についての続報記事です。
公正取引委員会が、この問題が独占禁止法に抵触するか否か?調査のため、公正取引委員会が出店者側を事情聴取しているとのこと。楽天からみれば、3,980円以上の買い物をした場合の送料無料化が3/18から円滑に実施できるか?が焦点になっています。
三木谷氏の主張は、商品価格を安く抑えているように見せつつ、高額な送料を設定している出店者がいたということで、このような状況が放置されると顧客が離れるという危機感がある一方で、出展者に負担を押し付けるというやり方に反発の声が出ているのです。
利用者側からみればデフレで賃金が伸び悩んでいるので、安い方がいいと思いがちですが、この問題はマクロでみた場合、三木谷社長の「私は消費者の味方で、送料無料化を実施します!」という言説は、私には典型的な偽善に見えます。
なぜならば日本国家のためを考えれば、物流価格はどうあるべきか?ちゃんとモノを運ぶ人がいて、その人たちにちゃんとした対価を払うことによって物流が成り立ち、いざ自然災害で大被害に遭っても赤字覚悟で彼らが物資を運んでくれたりするからです。
三木谷氏が主張する「利用者のために(消費者のために)・・・」というのは、アマゾンとの戦いを意識している可能性があります。
何しろアマゾンは自分で商品を抱え込み、物流システムを自社内に作って、まともな対価を払わず、ブラックに働かせて安い賃金でモノを運ばせているという状況があります。
そのアマゾンに負けることが悔しいがために、自分が金儲けをしたいというだけの話、これが真実ではないでしょうか?
商品価格を安く抑えつつ、高額な送料が設定されていたというケースがあったとしても、そうした業者を排除する為に、3,980円以上の買い物をした場合の物流価格について、全部一律ゼロにするというのは、典型的なデフレ促進であり、100円均一ショップや、牛丼の安売り、マクドナルドの100円ハンバーガーなどの経営戦略と同じであるといえます。
いま日本はデフレ脱却しなければ・・・というときに、自分だけがお金を儲けたいがために、物流においてバイイングパワーを使って送料をゼロにするというやり方は、日本国家を奈落の底に落とす愚行としかいえません。
適正価格をきちっと払うというのは、ある意味で消費者のモラルであると思いますし、楽天の三木谷氏がやろうとしていることは、極めて不道徳なことであると、私は思います。
「私たちは消費者のために戦う!」という言説を発する三木谷氏は、私には偽善者にしか映りません。
というわけで今日は「楽天市場の送料無料化について」と題して論説しました。
- 2020.02.11 Tuesday
- 日本経済(デフレインフレ)
- 15:11
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- by 杉っ子