固定為替相場とは何なのか?

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     読者の皆様におかれましては、為替相場について関心がある人も多いかと思います。日本では変動相場制を取り入れているため、ドル円相場、ドルユーロ相場など、マスコミも毎日報じています。一方で、変動相場制に対して固定相場制というのがあります。今日は、この固定相場制について意見したく、「固定為替相場とは何なのか?」と題して論説します。

     

    1.MMT理論に対するよくある2つの反論

    2.固定為替相場制の特徴

    3.主流派経済学者が固定為替相場制を好む理由

    上記3つの順に解説したいと思います。

     

     

     

    1.MMT理論に対するよくある2つの反論

     

     私はMMT理論(現代貨幣理論)に対して、ポジティブな立場で論説しています。MMTをある程度理解すれば、自国通貨の国がデフォルトしないこと、債務不履行はあり得ないということが理解できます。

     

     MMTの反論でよく見かける言説は主に2つあります。

     

     1つ目はインフレ率の上昇をコントロールできなくなるということ。これは私がちょっと前にお会いした日本生命のアナリストの方も仰っていました。実際にはコントロールできるので、このアナリストの方もMMT理論を理解しておられないのです。

     

     2つ目が円が暴落するということです。

     

     インフレも円暴落も話としては同じです。ただ確かに変動為替相場制とMMT理論は密接ですが、インフレも発生しなければ円暴落もあり得ません。

     

     MMT理論は、ステファニー・ケルトン教授の他、ランダル・レイ教授などもポジティブに論説していますが、その中に「主要通貨国」という言葉があります。

     

     主要通貨国とは自国通貨といっていいでしょう。自国の主権で発行できる通貨が主権通貨といえます。逆にユーロは主権で通貨発行できないので非主権通貨となります。

     

     日本は自国通貨国、主権通貨国であるため、財政破綻しません。

     

     では自国通貨国、主権通貨国であれば絶対に財政破綻しないのか?といえば、ユーロ加盟国、固定為替相場を採用している国、外貨建て債務を抱えている国は、普通にデフォルトし得ます。

     

     外貨建て国債発行国で財政破綻したのはアルゼンチンであり、ユーロ加盟国で破綻したのはギリシャ、アイルランドであり、固定為替相場制の国で破綻したのはロシアです。

     

     

     

    2.固定為替相場制の特徴

     

     上述ではロシアを固定為替相場制の例としましたが、固定為替相場とは、果たしてどんなものなのでしょうか?

     

     例えば政府が1ドル=100円と宣言すれば固定相場になるのでしょうか?

     

     結論から申し上げますと、宣言するだけでは固定相場になり得ません。なぜならば為替相場は、円とドルでいえば、ドル円の両替需要の話だからです。

     

     例えば持っている円をドルに換えたいという人がたくさんいれば、円安ドル高になりますし、逆も同じことです。

     

     ドル円の為替相場において、どれだけのドル、どれだけの円が両替されるか?を、国家がコントロールすることは不可能です。

     

    <図1>

     

     上図は、1ドル=100円で合意していたとして、日本が米国に対して100億円を輸出したイメージの図です。

     

     日本が米国に100億円輸出した場合、1ドル=100円ならば、日本は1億ドル手に入れることが可能です。

     

     米国から日本への輸出がゼロだとすれば、米国の対日貿易赤字は1億ドルとなり、日本からみれば対日貿易黒字は100億円です。

     

     これを放置した場合、自動車を輸出した企業は、1億ドル持っていたとしても、日本人にドルで給料を払うわけにはいかないため、1億ドルを円に交換しようとします。

     

     こうした交換しようとする動きに対して、政府がコントロールすることはできません。

     

     なぜならばビジネスにおける為替レートの両替の話であり、仮に日本政府が日本企業に対して「1億ドル両替してはいけない!」とやれば、日本企業は日本人に給料が払えなくなってしまうからです。

     

     ということで1億ドルを100億円に両替しようとする圧力が為替市場で発生します。

     

     これを放置した場合、変動相場制であれば、円が買われてドルが売られるため、円高ドル安になるため、1ドル=100円という為替レートの相場を維持することができなくなります。

     

     もし米国が対日本円で1ドル=100円を維持しようとした場合、日米が対等であるという前提であれば、米国がモノを売らないから、即ち日本へ輸出しないから米国が悪いという話になります。

     

     このとき米国が政策として考えられる方法は4つあります。

     

    (1)外貨準備高を取り崩して日本円を売却してドルを買う

    (2)外貨を借りて調達する

    (3)1ドル=50円などとして切り下げる

    (4)緊縮財政で貿易赤字を縮小させる

     

     まず(1)の外貨準備高を取り崩して日本円を売却してドルを買う方法の場合、実際に米国政府は日本円を円建て国債で運用しているのですが、その国債を100億円分売却して外貨準備高を取り崩し、1億ドルを買い戻します。

     

     日本企業が1億ドルを100億円に交換しようとするところを、米国政府が100億円分を1億ドル買い戻せば、需要と供給が一致して1ドル=100円を維持することができます。

     

     では外貨準備高を持っていない場合はどうすべきか?といえば、(2)の通り、円を借りることになります。米国政府は自国通貨の米ドルを発行することは可能ですが、日本円を発行することは不可能です。そのため、米国政府は外貨である100億円を借り入れ、ドルを買い戻すことになります。

     

     このとき外貨建ての対外債務が発生します。米国からみれば、日本円建て債務、即ち外貨建て債務が発生しますが、日本円を売ってドルを買うという操作をするためには、ドル建てで借りても意味がなく、日本円を借りる以外に方法はありません。

     

     もし日本政府が日本円を借りることができなかった場合、1ドル=100円よりも強くて実力があるということで、(3)のように、1ドル=50円に切り下げるという方法があります。この場合、ドルを円にしたいという動きが加速する可能性があって、危険な方法であるといえます。

     

     (3)が厳しいということであれば、最後は米国が緊縮財政をやって日本からの輸入を減らし、貿易赤字を縮小させるという方法があります。それが(4)です。

     

     かつては金本位制の頃、外国為替市場の圧力で、緊縮財政を強いられる可能性がありましたが、これはひどい話です。

     

     なぜならば緊縮財政をやれば、失業率が上昇して国民が貧困に陥り、輸入ができなくなるからです。にもかかわらず「貿易赤字が縮小すれば、緊縮財政でいい!」ということになっていました。

     

     今は米国が覇権国ですが、金本位制のとき、もしくは金ドル本位制のとき、貿易赤字国といえども米国と平等であったため、

    (1)外貨準備高を取り崩す、(2)外貨を借り入れる、(3)為替レートを切り下げる、(4)緊縮財政をする の4つしか方法がありませんでした。

     

     歴史を振り返れば、日本でも濱口雄幸内閣のとき、井上準之助蔵相によって緊縮財政が強いられ、昭和恐慌に陥りました。

     

     日本国民は貧困に叩き込まれ、国内経済は大混乱して失業率が上昇し、社会不安が起きました。ところが貿易赤字が縮小されるので問題ないとし、実際に輸入が減少して貿易赤字が縮小して為替レートを維持しました。そのうち、貿易黒字になれば、為替レートは円安圧力は後退します。

     

     このように為替市場によって、政府の財政政策が制限されるというのが固定為替相場の特徴です。

     

     

     

    3.主流派経済学者が固定為替相場制を好む理由

     

     もし、固定為替相場制を導入することで、政府の財政政策が制限されることを回避したいのであれば、変動為替相場制に移行するしかありません。

     

     米国は基軸通貨国であるため、ドルが基準なので固定為替相場制を望む国があるとすれば、その国が米国に合わせます。そのかわりに政府の政策が制限されてしまいます。例えば貿易赤字が拡大したときには、財政出動ができなくなってしまうのです。

     

     思想的なポイントとして、政府の裁量的な経済政策を許さない!とする考え方があります。レッセフェール(放任主義)というのもそうですが、経済はダイナミックに自然に任せるのがよく、「神の見えざる手」に委ねるべきという考え方で、人為的に裁量的に経済政策をするべきではないとする考え方があります。

     

     一方で、ジョンメイナード・ケインズは「金本位制は未開社会の遺物である」とし、レッセフェールに反対でした。ところが主流派経済学者は、固定為替相場制や金本位制を好み、市場がコントロールするといいます。そして、政府が固定為替相場制で、緊縮財政を強いられるのも、外国為替市場で圧力があるから仕方がないとも主著します。

     

     一見もっともらしく聞こえますが、何でそんなことしなければならないのでしょうか?

     

     例えば日本でいえば、日本政府の政策は、主権者を選んだ国会議員が施行するべきです。具体的には日本の場合は、憲法第83条で、「【財政処理の基本原則】国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と明文化されています。

     

     ところが主流派経済学者は、国会の決議による経済政策を禁止します。彼らは、そんなことを許せば、どれだけインフレになるのか?コントロールができなくなると主張するのです。そのため、固定為替相場制であれば、経済政策を制限できるので好ましいというのが彼らの言い分。

     

     仮に財政赤字が拡大したとしても、日本のように自国通貨であれば、国債を買い取って終わります。ところが主流派経済学者らは、なぜか国債買取をやらせたくありません。そのためユーロのような共通通貨建て通貨を推奨します。

     

     なぜならばユーロは固定為替相場制であり、各国はユーロに合わせる形で固定することで、通貨発行権をECB(欧州中央銀行)に移譲するのです。ある意味でユーロ加盟国からみれば、ユーロは利用者といえます。

     

     もし利用者のギリシャ政府が財政赤字を拡大しようとすると、どうなるでしょうか?

     

     日本の場合は国債を買い取れば終わる話ですが、ギリシャの場合は国債の金利が跳ね上がります。その結果、金利が上昇することでギリシャ政府は資金調達ができなくなり、財政赤字を縮小するために緊縮財政を強いられることになります。

     

     こうして主流派経済学者らは、外国為替市場と国債市場の2つを利用して、各国の政府の主権を取り上げて、自分たちの望むような政策にしたいという思想になっているのです。

     

     主流派経済学者らは、グローバリストに与します。グローバリストらはギリシャに構造改革を強制し、ギリシャのインフラや島などの財産を安くたたき売らせて買取り、所有権を奪って儲けようとするのです。

     

     

     

     というわけで「固定為替相場とは何なのか?」と題して論説しました。

     固定為替相場制というのは、全くメリットがありません。財政政策が制限されるという点で、経世済民を果たすことができないからです。

     ケインズはブレトンウッズ体制で、固定為替相場制を辞めるよう主張したのですが、通りませんでした。そして1971年のニクソンショックまでドルは一定レートで金に交換できるとされていました。

     現在は管理通貨制度であるため、変動相場制を採用する国は、財政政策について最も裁量を持つことができます。日本はデフレかつ円高であるため、円安になりにくい、円が暴落しにくいという意味で、基軸通貨国米国を除いて、財政政策について最も裁量がある国であるといえるのです。

     デフレ脱却のために早く裁量を生かした財政政策をして欲しいものと改めて思います。


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