首の皮一枚で景気後退を回避したドイツ経済

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     ドイツの第3四半期のGDP速報値が発表され、前期比+0.1%と辛うじてプラスを維持できました。第2四半期が輸出の落ち込みなどで前期比▲0.1%だったため、景気後退に突入か?と危惧されていたのですが、辛うじて首の皮一枚で景気後退にはならず、ドイツの市場関係者はホッと胸をなでおろしたことでしょう。

     そこで今日は「首の皮一枚で景気後退を回避したドイツ経済」と題し、ドイツ経済について論説します。

     

     下記はロイター通信の記事です。

    『ロイター通信 2019/11/14 17:42 第3四半期の独GDP速報値、前期比+0.1% 景気後退回避

    [ベルリン 14日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.1%増となり、景気後退(リセッション)を回避した。市場予想の0.1%減を上回った。

     第3・四半期のGDPは前年同期比(季節調整後)では0.5%増。第2・四半期は0.3%増だった。

     第3・四半期は、家計消費が前期比で増加。政府支出も拡大した。建設業も経済成長を支えた。

    アルトマイヤー経済相は「景気後退には陥っていないが、経済成長率はまだ低すぎる」と指摘。ただ、米国との通商問題や英国の欧州連合(EU)離脱などに関連する「暗雲」はやや解消したとの見方を示した。

    ショルツ財務相は、来年の独経済は勢いを取り戻すとの見方を表明。経済は減速しているが、危機に陥っているわけではないとし、「慎重ながらも楽観的な見方を持っている。来年の成長率は上向く」と述べた。

    輸出は小幅に増加したが、輸入は前四半期とほぼ同水準。純輸出は経済成長に寄与したとみられる。』

     

    <ドイツのGDP>

    (出典:株式会社フジトミのホームページのコラムから引用)

     

     

     

    1.ドイツの第3四半期GDPは辛うじてプラス成長

     

     ドイツ経済について冒頭でもご説明の通り、景気後退が危惧されていたのですが、何とか0.1%のプラス成長ということで景気後退は回避できました。

     

     内需国の日本と異なり、ドイツは輸出依存国です。輸出依存度というのは下記式で算出されます。

     

     輸出依存度(%)=財の輸出÷GDP

     

     ドイツは40%弱で、日本は約14%程度です。よくある言説で、”日本は輸出で稼いでいる”という言説がありますが、これは果たして本当にそう言えるのか?少なくても、ドイツと日本で相対的なことをいえば日本は内需国であり、輸出国ではないといえるでしょう。

     

     日本がかつて輸出依存国だったことはありません。輸出依存国という言葉に定義がないため、絶対的な依存か否か?は断定できないものの、日本は他国と比べて相対的に輸出依存国ではないといえます。

     

     一方でドイツはバリバリの輸出依存国であり、ドイツの輸出先は欧州と中国になります。

     

     ところが米中貿易戦争の影響で、中国の景気は明らかに輸出を中心に失速しています。特に中国からの米国への輸出は激減していますが、これは関税を引き上げられているから当然の帰結といえるでしょう。

     

     それを受けてドイツの中国向け輸出が減少し、ユーロ全体が景気失速しています。ユーロで今起きているのは、””デフレ真っただ中の日本化”です。

     

     全体的に支出を削減し、需要が落ち込むので、結果的に資金需要が落ち込み、お金を借りる人がいなくなります。その当然の帰結として国債金利が急低下して、金利がゼロに近い状況になっているのです。

     

     

     

    2.悲惨な状態になっているドイツの自動車産業とドイツ銀行問題

     

     

     特にドイツでは、自動車産業が悲惨な状態になっています。

     

     皆さんもご存知でしょうか?フォルクスワーゲン車の排ガス規制検査を不正に届出していたことを見抜いた機械を作成していたのは、日本企業の衙拆貔什扈蝓幣攘凜魁璽鼻6856)です。

     

     この排ガス問題は訴訟にまで発展して、フォルクスワーゲン社の経営に地味に効いています。

     

     理由は金額が大きいからです。

     

     ディーゼル車の排ガス規制を無理やり超えるために書類をねつ造し、事実を捻じ曲げたというもので、これは絶対に許されないこと。既に300億ユーロ(日本円で約4兆円弱)も費用が発生していますが、今のところ倒産せずにいます。

     

     ダイムラーベンツについてもディーゼルの問題でリコールをドイツ政府から始動されているため、ドイツ国内における自動車産業は軒並み失速しています。

     

     この自動車産業が失速しているところに加えて、ドイツ銀行問題があります。

     

     銀行という業態は、MMT理論でも散々取り上げていますが、お金を貸すことでお金を生み出すことができます。

     

     そして銀行のバランスシート上では、預金は負債勘定であり、預金の反対には借用証書として貸付金という資産があります。

     

     この貸付金について与信審査が誤っていて返してもらえなくなるのが不良債権です。

     

     不良債権が増加すれば普通に銀行は倒産します。

     

     どこの国の銀行も、多少の不良債権は抱えていますが、ドイツ銀行が問題なのは中国にお金を多額に貸し付けていることです。

     

     中国に貸し付けているお金は、相当傷んでいるのでは?と私は思っていまして、ドイツ銀行問題というのは、中国の経済問題とリンクするものと考えています。

     

     今まで中国市場は常に永遠に順調に拡大発展するという感覚で与信を行い、自動車など輸出拡大をしてきました。

     

     そしてその幻想の中国の経済拡大の恩恵を受けてきたのがドイツといえるでしょう。

     

     

     

    3.米中貿易戦争が与える影響について

     

     中国共産党政府は、共産党支配が凋落して崩壊すると考えたことはないと考えられます。

     

     もし中国共産党政府が推し進める中国製造2025に対抗して、米国が半導体の製造装置を中国に売却するのを辞めるとなった場合、中国側はどう出てくるでしょうか?

     

     私は中国は自国で開発できるようにするものと予想します。期間は1年でできると思いませんが、数年間かけてでも、半導体製造に必要な工作機械や資材を自分たちで開発するでしょう。

     

     中国共産党政府はMMTを理解していると思われ、兆円単位で政府支出をします。その上、他国から技術を盗みます。

     

     そのため、米国が供給させまいとしても、中国は自国で本当の意味での自国での供給力を持つ可能性も私は否定できないと思っています。

     

     米中貿易戦争でトランプ大統領が「習近平政権をやっつけてくれる!」みたいな考えは辞めて、もっと日本国民はリアルに物事を考えるべきです。

     

     具体的には日本はデフレ脱却を急ぎ、中国以上に政府支出を拡大して、技術力を高めて供給力を高めていかなければなりません。

     

     その上で米国と対等になって、パートナーシップを強化し、日米安保を改定して、日米共に太平洋とアジアを守るという方向性で行かなければ、人類の文明が中国共産党政府によって侵されると私は危惧します。

     

     ”デフレ真っただ中の日本化”は、プラスの側面もあります。それは金利が低くてインフレ率が低いということは、その分だけ財政出動ができるということでもある点です。インフレにならないため、自国通貨をガンガン発行して、軍事分野の供給力を強化したり、生産性向上のための投資や、安全保障強化のための支出など、需要に応えることができるのです。

     

     ところがドイツの場合、ユーロに加盟しているため、自国民の意思で財政出動することができません。さらにEUに加盟しているため、マーストリヒト条約によって、政府の負債対GDP比率を3%以下にするという縛りがあるため、ユーロ建ての債務を発行して財政出動するということもできません。

     

     即ち、ユーロ加盟国のような共通通貨加盟国では、MMTが通用しないのです。

     

     となれば米中貿易戦争でトランプ大統領に歯向かうか?トランプ大統領やバーニーサンダースのような自国民ファーストの反グローバリズムの政治家がいなくなるか?ですが、反グローバリズムは米国のみならず、欧州でもその動きは加速していくことでしょう。

     

     ドイツでもAfD(ドイツのための選択肢)という政党が躍進し、反グローバリズムの政党の躍進は、日本を除き、世界の潮流になっています。

     

     ドイツも反グローバリズムの潮流に乗り、ユーロを解体するか?ユーロから離脱するか?しか助かる道はないかもしれません。

     

     

     というわけで今日は「首の皮一枚で景気後退を回避したドイツ経済」と題して論説しました。

     

     

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