意外と知られていない高潮の恐怖、台風19号と1856年(安政3年)の江戸の大風災

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    JUGEMテーマ:公共事業の経済効果

     

     1カ月前の台風15号に続き、台風19号が上陸、大きな傷跡を残して日本列島を過ぎ去っていきました。前回の台風15号では、千葉県で大規模な停電と断水が発生するという被害をもたらしましたが、台風19号では、そうした被害はありませんでした。しかしながら、一歩間違っていれば、高潮が発生していた可能性が高かったのです。

     東日本大震災では津波の恐怖をまざまざと見せつけられましたが、高潮もまた津波以上に恐ろしい災害であることをお伝えすべく、「意外と知られていない高潮の恐怖、台風19号と1856年(安政3年)の江戸の大風災」と題して論説します。

     

     

     

     今回の台風19号では多くの人々は、風と雨を心配していたことでしょう。ニュースの報道では、高潮発生の可能性を指摘していた報道もありました。

     

     高潮は途轍もない被害をもたらします。今回の台風19号は、高潮を発生させるだけの十分な条件が揃っていました。

     

     台風19号が関東に上陸した時間は、2019/10/12(土)PM17:00前で、場所は静岡県伊豆半島でした。元内閣官房参与の藤井聡氏によれば、下記の条件が揃えば高潮が発生する可能性があると指摘していました。藤井聡氏の見解は下記の通りです。

     

    ●2019/10/12(土)のPM16:00の大潮かつ満潮の時に東京湾に台風の中心が通過する

    ●それも東京を通過する際に早い速度で動き出したら、PM16:00に東京湾を通過する可能性がある

    ●速さが早くなるとなれば、風も強くなって早くなる

    ●東京湾の少し左側、即ち西側を台風の中心が通ると、東京湾に北行きの風が直撃する可能性がある

    ●一般的に台風は進行方向の右側で強いといわれている

     

    <台風19号の進路結果>

    (出典:気象庁のホームページ)

     

     今回は伊豆半島に上陸しましたが、陸を通らず東京湾に直接当たるルートだった場合、勢力はほとんど衰えず(ヘクトパスカルはほとんど上がらず)、勢力を維持したまま東京湾に入ってくることになります。

     

     あくまでも可能性は低かったと思いますが、東京湾の少し右側ならば高潮発生の可能性は低くなるものの、東京湾の少し左側、即ち西側を通るとなれば、高潮が発生していた可能性があると藤井氏は指摘しています。

     

     昨年2018年の台風21号のとき、大潮でなく、かつ満潮から数時間ずれていました。それでもあれだけの被害をもたらしました。今回は上陸時間と場所がPM17:00に伊豆半島ということが幸いし、東京湾での高潮の発生の可能性が無くなったのです。

     

     もし、上陸時間がもう少し早くなって、PM16:00頃に東京湾を直撃上陸して、しかも台風の中心が東京湾の西側を通過していたならば、被害は極めて甚大なものになっていたでしょう。

     

     ちょうど今から150年ほど前の1856年(安政3年)に、江戸の大風災というのが発生しました。安政の時代、1854年、1855年、1856年と立て続けに日本では大災害が続きました。

     

    <安政元年〜安政3年にかけて発生した大自然災害>

     1854年(安政元年) 安政南海地震

     1855年(安政2年) 安政江戸地震

     1856年(安政3年) 安政江戸の大風災

     

     1854年の安政南海地震は、濱口梧陵の「稲むらの火」で有名です。そして1854年は、日米和親条約が締結された年でもあります。その翌年、1855年に日ロ和親条約(下田条約)が締結されましたが、この年は江戸が大地震に見舞われました。さらにその翌年、1856年は江戸の大風災ということで高潮で10万人余りの人が命を落としたとされています。

     

     高潮が怖いのは、潮位が高くなってずぶずぶと水が流入し、逃げることができず多くの人が溺死するのが特徴です。

     

     今回の台風19号は、台風15号と似ているといわれていましたが、実際は台風15号よりももっと強力で上陸する可能性もありましたし、引き連れている雨雲の量が全く異なりました。

     

     そのため、関東では台風が来る前から、相当の雨が降っていました。

     

     雨が相当に降る状況で巨大な台風が上陸するとなれば、荒川の決壊、利根川の決壊で、この場合は被害額は20兆円程度との試算があります。

     

     荒川の決壊、利根川の決壊と同様に、被害が甚大になるのは高潮であり、2019/10/12(土)PM16:00に伊豆半島上陸ではなく、東京湾に直接上陸するとなれば、大潮かつ満潮のときに直撃となって、吹き上げで台風の風が吹きつけられて潮位が上がり、防潮堤の能力を超えると、水が一気に東京の沿岸に流入していたことでしょう。

     

     安政3年の江戸の大風災と現代では、はるかに人口密度が異なるため、数万人規模の犠牲者が出た可能性は十分にありますし、藤井聡氏によれば、東京湾で高潮が発生すれば、被害額は10兆〜20兆円に達していたであろうと指摘していました。

     

     幸いも高潮は発生しませんでしたが、可能性はゼロではなく、たまたま伊豆半島に上陸し、東京湾を過ぎる頃には、満潮時間よりも数時間ずれていたということが幸いして、運がよかったというだけの話です。

     

     防波堤、防潮堤など、スーパー堤防があれば、心強かったと思いますが、「公共事業は無駄だ!」とやって、「コンクリートから人へ!」と、カネカネカネで子ども手当を捻出した当時の民主党政権の関係者は、今回の台風19号で東京で高潮が発生していたら、どうしたでしょうか?土下座でもするのでしょうか?それとも議員バッチを外して謝るのでしょうか?

     

     「コンクリートから人へ!」というスローガンは極めておぞましいスローガンであったと、自然災害を目の前にして私は思います。

     

     

     というわけで今日は「意外と知られていない高潮の恐怖、台風19号と1856年(安政3年)の江戸の大風災」と題して論説しました。

     

     

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