米国務省による台湾への大量の武器売却について

0

    JUGEMテーマ:ドナルド・トランプ

    JUGEMテーマ:安全保障

    JUGEMテーマ:台湾

     

     皆さんは台湾という国が日本の地政学上、極めて重要な国家であるということをご存知でしょうか?具体的には台湾海峡が重要な場所で、ここを中国に抑えられてしまうと、日本のシーレーンが崩壊してしまうのです。

     そんな台湾に対して、拡張する中国から守るため、米国が台湾に武器を大量に売却しています。

     そこで今日は、8/17に日本経済新聞で報道された記事で、トランプ政権が台湾に対して、80億ドル(約8600億円相当)の超大型の武器売却をする方針を発表していたことを取り上げ、「米国務省による台湾への大量の武器売却について」と題して論説します。

     

     記事をご紹介した後、

    1.台湾へのF16戦闘機66機売却の背景

    2.台湾への武器売却を積極的に推進しているのは誰か?

    3.日本政府、日本の国会は台湾問題について見て見ないフリか?

    の順に論説します。

     

     まずは、日本経済新聞の記事です。

     『日本経済新聞 2019/08/17 05:11 米、台湾にF16戦闘機を売却へ 中国「断固として反対」

    【ワシントン=中村亮】米国務省が台湾にF16戦闘機を売却する方針を固め、議会へ非公式に通告したことが16日わかった。複数の議会関係者が明らかにした。米メディアによると、売却するF16は66機で総額80億ドル(約8500億円)。トランプ政権は武器売却を通じて台湾との軍事的な連携を強め、威嚇行動を繰り返す中国をけん制する。台湾を「核心的利益」と位置づける中国は反発を強めそうだ。

     米上院外交委員会の関係者は日本経済新聞の取材に「国務省から非公式の通告を受けた。公式な通告もまもなくあるだろう」と語った。

     武器売却では国務省がまず上下両院の外交委に非公式に打診し、了承を得ると正式通告し本会議で採決することが多い。議会では台湾との安全保障協力を強めるべきだとの意見が大半で、F16売却は議会で承認される公算が大きい。

     米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、米国は新型の「F16V」を66機売却し、総額は80億ドルにのぼる。台湾への武器売却では最近数十年で最大規模だという。米国が戦闘機を台湾に売却するのは1992年以来となる。

     台湾はF16の旧型機を144機保有するが、老朽化が指摘され、3月に売却を米国に要請していた。米政権は7月に戦車や地対空ミサイルなど総額22億ドルの台湾への売却を決めたばかりで、米台の連携が一段と強まる。

     中国外務省の華春瑩報道局長は16日に出したコメントで「断固として反対する」とし、台湾への武器売却をやめるよう要求した。

    中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は7月下旬に公表した国防白書でも「米国の台湾への武器売却に強く反対する」と強調していた。中国海事局は7月下旬から8月上旬にかけ、台湾に近い2つの海域を航行禁止区域に指定。「軍事活動」のためと説明しており、台湾を念頭に置いた軍事演習を実施したとみられている。』

     

     

    1.台湾へのF16戦闘機66機売却の背景

     

     ワシントンポストなどの米国メディアによれば、トランプ政権が大量の武器売却を決めたことは、間違いなく中国政府の反発を買うだろうと予測していましたが、中国共産党政府は、8/16のコメントで「断固として反対する」と、武器売却を辞めるよう要求しています。

     

     今、世界で問題になっている香港のデモについて、中国共産党政府は解決できず、手をこまねいており、ある意味で追い込まれています。

     

     その香港のデモには、バックに米国や英国の支援があるといわれ、そうした支援は中国を追い込むための戦略といわれています。その最中に台湾を支援することで、中国に対してさらなるダメージを与えようとする動きが、この8月の台湾への武器大量売却であったといえます。

     

     台湾に売却した武器には、F16戦闘機があり、66機売却しています。米国と台湾の間での武器売却は、過去に何度かあるのですが、この8月のときの武器売却は、過去最大規模で、しかも記事にもありますが、戦闘機の売却という意味ではF16戦闘機66機の売却は、27年ぶりです。

     

     台湾はずっとF16戦闘機の最新鋭機が欲しかったと言われていたのですが、オバマ政権は中国共産党政府を刺激してはいけないという理由で、F16戦闘機を売ってもらえませんでした。

     

     ところが今回、トランプ政権になってやっとF16戦闘機を売却してもらえるようになりました。米国が台湾に売却したF16Vというのは、F16シリーズの中で最新で最強です。

     

     とはいえ、いろんな見方があって日本は米国からF35を買っているわけで、F16戦闘機は次世代機とはいえません。そのため、80億ドルも使ってF16を買うのはどうか?という見方はあるかもしれませんが、今の台湾に、次世代機が現れるのを待っている余裕がないというのも現実です。

     

     

     

    2.台湾への武器売却を積極的に推進しているのは誰か?

     

     この台湾への武器売却を一番推進していたのは誰か?といえば、それはトランプ政権というよりも米国の議会です。

     

     日本のマスコミが真実を伝えていないと私はいつも思っているわけですが、対中国政策で強硬策をやっているのは、トランプ大統領が勝手にやっているわけではありません。「また、トランプがおかしなことを言っている!」と思われる人が多いと思うのですが、実際にはトランプ大統領が勝手に中国政策をやっているわけではないのです。

     

     実は米国議会で、例えば与党共和党の上院議員のマルコ・ルビオ氏、野党民主党の下院議員のチャック・シューマー、ナンシー・ペロシ氏ら、挙国一致の超党派でこの件を進めています。

     

     台湾の武器売却でいえば、ポンペオ国務長官が武器売却許可証に最終的に署名し、それが米国議会に報告されて、議会に反対意見があるか否か?確認してから最終的に決まります。しかしながら米国議会に反対の意見はありません。

     

     むしろ米国議会からはトランプ政権の動きが遅すぎると、米国議会が突き上げている状況でもあるのです。その象徴が2018年12月31日に制定された「アジア再保証推進法(Asia Reassurance Initiative Act)」という法律です。

     

     「アジア再保証推進法」を制定してすぐに米国議会は今年初め、台湾への武器売却を通じて、中国に対して台湾防衛をすべきだ!と一致団結してトランプ政権に要求しています。

     

     この法律は、アジアの安全保障上、極めて重要な法律であると私は思っているのですが、それは「アジア再保証推進法」の制定によって台湾への武器売却が進んでいるからです。トランプ政権は、どちらかと言えば議会に押され気味で、台湾支援、台湾への武器売却を遅らせてきました。

     

     なぜならばトランプ政権は6月のG20で習近平政権と会談した後、貿易交渉をやっていたため、貿易交渉に悪影響が出ることを恐れていたためだと思われます。

     

     ところが7月に上海の交渉で貿易交渉は決裂。中国が米国から穀物を大量輸入するという約束を果たさなかったため、トランプ政権は8月初旬に、中国に対して追加関税10%を決定しました。これによってトランプ政権は台湾への武器売却を遅らせる理由が無くなったので、やっと8月中旬に台湾への武器売却を決断したものと思われます。

     

     ご紹介した日本経済新聞の記事では、F16戦闘機売却のニュースということでお伝えしていますが、今年7月には、M1A1エイブラムスという最新鋭の戦車108両で、約22億円ドル(約2,200億円)相当の武器売却を既に行っています。M1A1エイブラムス戦車108両の売却の22億ドルという規模だけでもかなりすごいのですが、今回は80億ドル分のF16戦闘機を売却です。

     

     

     

    3.日本政府、日本の国会は台湾問題について見て見ないフリか?

     

     それに比べて、日本の国会、日本のマスコミはどうでしょうか?

     

     中国は急速な経済発展を背景に、一帯一路構想や中国製造2025を通じて、強引な手法で海洋進出を続けており、スリランカではハンバントタ港が、ギリシャではピリウス港が、中国に取られてしまいました。港湾インフラを整備するといって高利でお金を貸しつけ、返せないなら99年間租借するという手法で、その土地を占領しているのです。

     

     このような中国の強引な海洋進出を食い止め、抑止させるには、台湾は極めて重要な国家であるといえます。台湾海峡を中国に抑えられてしまった場合、日本のシーレーンにも影響が出ることは必然です。

     

     にもかかわらず、日本政府もしくは日本の国会は、中国に遠慮して台湾問題について主体的な関与をしないようにしていきました。というより国会議員の中で、この台湾問題が重要であると認識している人がどれだけいるのか?頭の中がお花畑な国会議員が多いように私には見えます。

     

     米国もオバマ政権までは中国に媚びを売ってきました。何しろ中国との貿易があるので、中国を刺激しないように台湾への武器売却を控えてきたのです。

     

     もともと米国は40年前に台湾関係法(Taiwan Relations Act)という法律を制定し、台湾の安全保障について、米国が責任を担うという意思表示をしていました。

     

     安倍政権は中国寄りの政策をやっていますが、日本が進むべき道は、米国と同様に台湾を守るための法律の制定であり、中国とは決別するべきではないでしょうか?

     

     ぜひ我が国も日本版台湾関係法を制定し、台湾の防衛に責任を担うことを意思表示するべきではないかと、私は思います。

     

     

     というわけで今日は「米国務省による台湾への大量の武器売却について」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事(米国の対中政策)〜

    トランプ政権が米国証券取引所に上場する中国株の上場廃止を検討!

    台湾の地政学上の重要性を理解している米国と、カネ儲け優先で理解しない愚かな日本

    米国トランプ政権が中国を為替操作国に認定

    中国と欧州を為替操作ゲームを楽しんでいると皮肉ったトランプ大統領

    農産物の大量購入の約束を守らない中国に対して、トランプ大統領の関税第四弾の鉄槌が下る

    なぜトランプ大統領は対中国に対して強気に出ることができるのか?

    トランプ大統領が指示するレアアースの米国国内での生産体制

    日本はトランプ大統領の関税カードの使い方を学ぶべきです!

    トランプ大統領の中国製品の関税25%引き上げの真の狙いは何か?

    米国債残高1位の中国は米国債売却で反撃するという言説について

    米中貿易戦争で中国は勝てません!

    中国Huawei・ZTE問題と、国家安全保障にかかわる次世代通信システム5Gサービスについて

    米国による同盟国への中国ファーウェイ製品の使用中止要請について

    覇権挑戦国に伸し上がろうとする中国をつぶそうとしている米国

    米中貿易戦争の報復関税合戦の行き着くところは、新たなリーマンショックの予兆か?

    米国の対中国貿易戦争は、トランプ大統領に勝算あり!

     

    〜関連記事(中国による人権弾圧)〜

    ブルームバーグ紙が報じる香港への人民解放軍動員の可能性

    国際社会は香港問題について、英国と約束した一国二制度を、中国に守らせるべき!

    香港で起きているデモの本当の狙いとは?

    中国ウイグル自治区の再教育キャンプで行われているウイグル人への拷問

    中国共産党によって人権と民主主義が脅かされている香港を支援する米国と何もしない日本

    ”逃亡犯条例改正案”に反対している香港のデモ活動は日本人にとって他人事ではない!

    トランプ大統領の国連の武器規制条約からの撤退の意味とは?

    「高度な能力や資質を有する外国人を受け入れる」の欺瞞と「中国による洗国(せんこく)」の恐怖

     

    〜関連記事(日本の対中政策)〜

    日中通貨スワップは誰のため?

    中国の一帯一路の被害国を増やすことに手を貸す日本企業と、中国とのプロジェクトを決別宣言したマレーシア

    中国の公平でないグローバリズムに強硬な姿勢をとる米国と、製造2025をビジネスチャンスと考えるアホな国

    中国のAIIBと一帯一路に手を貸す銀行・企業は、中国の侵略に手を貸すのと同じです!

    血税3,500億円を突っ込んだジャパンディスプレイ社を800億円で中国企業に売ろうとしている日本の官民ファンド

     

    〜関連記事(シーレーン)〜

    有志連合によるシーレーンの防衛について

    安倍外交で”日米同盟が盤石”という評価について

    日本として対応が難しいイラン沖の民間船舶の護衛について

    参議院選挙の争点に”改憲議論を進めることの是非”

    安倍首相のイラン訪問の成果について 

     

    〜関連記事(戦闘機のスペック関連)〜

    F35戦闘機よりもF22戦闘機の性能は優れているのか?

    ”真珠湾攻撃で活躍したゼロ戦1万機”と”マレー沖海戦で活躍した隼5千機”を製造した日本の航空技術力

    敵味方識別装置と韓国軍の戦闘機

    軍事研究と民生技術


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
      12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
    << October 2019 >>

    スポンサーリンク

    ブログ村

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村

    recent comment

    profile

    search this site.

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM