アルゼンチンペソの暴落が日本経済や中国経済に与える影響について

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     私は海外に視察に行くことがあって、旅行記なども書いていますが、中南米は一回も行ったことがありません。

     

     その中南米で、アルゼンチンのペソが先月暴落したというニュースがありました。日本のマスコミでは日本経済新聞が取り上げた程度であって、他紙では取り上げられませんでした。

     

     そこで今日は、そのアルゼンチンの通貨暴落が与える影響について述べたく、「アルゼンチンペソの暴落が日本経済や中国経済に与える影響について」と題して論説します。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『2019/08/13 00:42 アルゼンチンペソ、25%下落 大統領選で左派優勢     

    【グアテマラ市=外山尚之】アルゼンチンの通貨ペソは12日、対ドルで25%以上の大幅下落で始まった。11日に投開票された大統領予備選で左派のアルベルト・フェルナンデス元首相(60)が現職のマウリシオ・マクリ大統領(60)に15ポイント以上の差をつけて大勝したことで、市場ではポピュリズム(大衆迎合主義)を掲げる左派政権の復帰を警戒した通貨売りが再燃した。

     12日午前11時20分(日本時間同日午後11時20分)時点で1ドル=60.5ペソと、対ドルで先週末比一時25%安の大幅下落を記録した。1日の下げ幅では、昨年4月末から5月にかけての緊急利上げ時や8月の「トルコ・ショック」を大きく上回る。

     11日に実施された、全有権者が参加する大統領選の前哨戦となる予備選挙では、財政規律を無視した年金増額などの大衆迎合策を掲げるフェルナンデス氏が得票率47.7%と、現職で財政規律を重視するマクリ氏の32%に大勝した。10月27日の大統領選本選を前に、資金流出が本格化した形だ。』

     

     

    <アルゼンチンペソの対日本円チャート>

    (出典:ブルームバーグ)

     

     

      上記記事の通り、8/12(月)にアルゼンチンの通貨ペソが大きく下落し、アルゼンチンの株価も下がりました。1年チャートでみると、もともとアルゼンチンペソは対円で緩やかな下落基調でしたが、8月に入って、1ペソ=1.7円台にまで急落し、その後も低迷を続けています。

     

     2018年のGDPランキングでみますと、南米の中ではブラジル、メキシコに続き、アルゼンチンは3番目の経済大国です。

     

    <南米GDP上位3か国>

     9位 ブラジル 1兆8,681億USドル

     15位 メキシコ 1兆2,233憶USドル

     25位 アルゼンチン 5,180億USドル

     

    <参考>

     1位 米国 20兆4,940億USドル

     2位 中国 13兆4,074億USドル

     3位 日本 4兆9,719憶USドル

     

     そのアルゼンチンは、来月2019年10月に大統領選挙が予定されています。そして先月2019/08/11(日)に、候補者を絞り込むための大統領予備選挙が行われたのですが、異変がありました。

     

     日本経済新聞の記事にもある通り、左派の大統領候補で、前政権の首相だったアルベルト・フェルナンデス氏が、47%の票を得て、現職のマクリ大統領に大差をつけて一位になりました。この結果は、マーケットでは予想外の結果であったため、日本経済新聞は大きく報じたと思われます。

     

     為替相場では、アルゼンチンが左派政権に戻るのでは?という見方が優勢となり、アルゼンチンの通貨ペソと株価が共に大暴落しました。

     

     アルゼンチンといえば、過去に何回もデフォルトしていて、いわゆる財政破綻を何回も経験しています。そのためアルゼンチン経済は信用がなくなってしまい、そこに現れたのが現職のマクリ大統領で、マクリ大統領は、日本が大好きな緊縮財政の政策をやっています。

     

     アルゼンチンが緊縮財政をやらざるを得ないのは、アルゼンチンは日本と異なり、海外から外貨建てでお金を借りているからです。

     

     そこでマクリ大統領は、緊縮財政によって信用を少しずつ取り戻し、海外からの投資をアルゼンチンに呼び込むという政策をやってきました。外貨建て債務を返済するためには、自国通貨ペソを発行しても、ペソで返済することができません。米ドルで借りたら米ドルで返さなければならず、ユーロで借りればユーロで返さなくてはなりません。

     

     だからといって緊縮財政を続けていれば、国民の不満は高まります。実際に国民へのサービスが低下し、マクリ政権への不満がかなり積み上がっていたのでしょう。だからこそ、予備選挙でマクリ氏は大差をつけて2位に敗れたと考えられます。

     

     マクリ政権の前の政権は左派政権だったのですが、国家財政がどれだけ悪くなろうともバラマキを続けました。

     

     もし日曜日の予備選挙で前政権の首相だったフェルナンデス氏が大統領になって政権に返り咲いた場合、年金支給額を増額し、最低賃金を増額するという財政規律を無視した政策を行う可能性があります。

     

     その場合、過去の事例ではデフォルトの経験があるため、アルゼンチン国内に投資された海外の資金は、キャピタルフライトが発生してアルゼンチンから逃げていくことになるでしょう。

     

     これに対してアルゼンチンの中央銀行は、インフレ対策として金利を10%引き上げて、9月には政策金利を78%にまで引き上げ、かつ為替介入をしてペソ安を必死で支えようとしています。そのためアルゼンチンではペソをビットコインに替える動きも出て、仮想通貨取引所ではビットコインが約1,400ドル(日本円で約150万円)にまで値上がりしました。

     

     いわば債券が値下がりして金利が高騰し、通貨安と株価安ということで、アルゼンチンは国債、株式、通貨のトリプル安に見舞われています。こうなると気になるのはアルゼンチン国債のデフォルトということになるでしょう。

     

     アルゼンチン国債のデフォルトリスクに対して保険という形で発行されているクレジット・デフォルト・スワップ(以下CDS)というのがあります。CDSはデリバティブ商品の一つとして大変有名になった悪名高きデリバティブ商品で、アルゼンチンのCDSのデフォルト確率は既に75%にも達しています。

     

     こうなると状況はアルゼンチンの問題だけでは収まりません。アルゼンチンのCDSがこれだけリスクが高くなるならば、CDSマーケット全体が影響を受けます。そしてCDSといえば、経営難に陥っているドイツ銀行が、たくさんCDSを売り、かつ自らもCDSを保有しています。ドイツ銀行が、いつ破綻するか?世界が見守ってずっと懸念していることの一つなのですが、よもやアルゼンチン国債が、ドイツ銀行が保有するCDSに飛び火しないか?私は大変に恐れています。

     

     またアルゼンチンは中国とも関係が深いです。1年前にもアルゼンチンの通貨ペソが下落し、アルゼンチンはIMFからの支援を受けています。

     

     そのとき、習近平政権がアルゼンチンに接近し、通貨スワップ協定の枠の拡大を持ちかけています。もともと中国はアルゼンチンとの通貨スワップの枠を持っていましたが、アルゼンチンに対して、その枠を拡大するという助けの手を差し伸べました。

     

     南米というのは、米国の裏庭にあたると言われるほど、米国との影響が長年大きかった地域なのですが、トランプ政権になってからは南米におけるプレゼンスは、かなり弱くなっているといえるでしょう。そのことを象徴してか?アルゼンチンやベネズエラが国家破綻に陥りそうになっているときに、中国が助けに現れています。

     

     中国は米国に変わり、南米の覇権を米国から奪おうとし、一帯一路でユーラシア大陸のみならず、南米のアルゼンチンを取り込もうという戦略なのかもしれません。

     

     しかしながら、もしアルゼンチン国債がデフォルトになった場合、アルゼンチンに手を差し伸べてきた中国の政策が裏目に出る可能性があり、中国経済にもアルゼンチン国債のデフォルトが飛び火する可能性は十分にあり得ます。

     

     そこにタイミングが悪いことに人民元は下落を続けており、それによってトランプ大統領から為替操作国に認定され、1ドル=7元というライン越えてしまったため、人民元安が止まらない状況になっています。

     

     中国はアルゼンチンのことを心配している場合ではなく、むしろアルゼンチンの通貨安が人民元に飛び火する可能性があります。その影響は中国に留まらず、新興国の為替市場に拡散していく可能性があります。実際にオーストラリアドル、ニュージーランドドルにも既に影響が出て、メキシコペソ、トルコリラなどにも影響が出ていて、新興国通貨安で連れ安になりやすい状況です。

     

     中国では香港のデモが収拾せず、香港からも資金が逃げ出しています。新興国の信用が低い弱い通貨のマーケットから資金がどんどん逃げていくということになれば、安心できる通貨である日本円、米ドル、スイスフラン、金などに資金が向かっていくことでしょう。

     

     直近でドル円相場は、円安に振れているものの、円高になるシナリオが南米にも埋もれているというのが、今の実情です。

     

     

     

     というわけで今日は「アルゼンチンペソの暴落が日本経済や中国経済に与える影響について」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事(他国の通貨危機を海外での財政破綻)〜

    「プライマリーバランスの黒字化」を破棄せよ!(アイスランドのデフォルトについて)

    日本をギリシャ化して財政破綻させる方法とは?

    米国トランプ政権が中国を為替操作国に認定


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