3種類の負債

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     しばしの間、記事がアップできず、ご心配おかけしました。今日は久しぶりに記事を書きます。今日のテーマは、「3種類の負債」と題して論説します。

     

     日本経済新聞の記事をご紹介します。

    『2019/09/11(水) 日銀、「異次元」の国債購入終了 黒田緩和前の水準に

     日銀の長期国債の年間購入額が、2013年4月に異次元金融緩和を始める前の水準にほぼ戻ってきた。19年8月末の長期国債保有額は1年前と比べて約24兆円の拡大にとどまり、13年4月末時点の年間増加額(約25兆円)を下回った。ピーク時の3割程度への縮小だ。中央銀行の歴史に残るとの見方もあった「異次元」の巨額国債買い入れは、いったん終わった。

     日銀は黒田東彦総裁の下で異次元緩和を始めたとき、年約50兆円ペースに向けた長期国債の購入増額に着手した。14年の追加緩和で約80兆円とした。白川方明前総裁時代の13年1〜2月期には年23兆円程度のペースだったので、文字通り異次元だった。だが次第に政策の持続性に疑問が指摘されるようになった。 

     そこで16年9月に決めたのが緩和策の軸足を「資金供給」から「長短金利操作」に移す措置だ。長期国債は長期金利(10年物国債利回り)を「ゼロ%程度」に誘導するのに必要な額だけ買えばよくなり、減額への道が開かれた。「ステルス(隠密な)緩和縮小」と呼ばれたこの路線を3年続け、ついに異次元緩和前の購入額にほぼ戻った。

     それでも長期金利が跳ね上がらないのは、ストック面では日銀の存在感が大きくなっているためだ。国債発行残高に占める日銀保有シェア(8月末)は5割に近くなっている(QUICK調べ)。

     長期国債の購入額について、日銀は今でも「年間約80兆円のめど」を掲げている。その形骸化が進むが、政策の持続性が上がり物価に上昇圧力を加え続ける「粘り強い緩和」ができるようになったと日銀は受け止める。

     国債買い入れ縮小は、追加的な政策対応の余地を広げる効果も持つと日銀はみる。将来購入を再び増やす追加緩和を演出しやすくなるからだ。実際追加対応の選択肢として日銀は長短金利の引き下げや資産買い入れの拡大と並んでマネタリーベース(資金供給量)の拡大ペース加速も挙げる。

     もっとも、当面焦点が当たりそうな手段は金利の引き下げだ。欧米中央銀行の利下げ観測が強まる中で、現時点で為替市場などでの関心が「金利」に集まっているからだ。

     ただ仮に欧州中央銀行(ECB)が量的緩和再開を決めるなどして市場の関心が「資金量」に戻ってきたら、日銀も国債買い入れ拡大を前面に出す可能性は残る。

    「現時点で実現可能性は低いが、国債購入増額は大規模な財政出動との連携で実施すれば、株高・円安効果を持つ可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏)。ステルス緩和縮小を進めておけば、将来の量的緩和の余地が広がるわけだ。

     長期国債の買い入れ規模だけをみれば、大胆さが薄れた印象もある日銀の緩和策。ただ国債市場での日銀の存在感は拡大し、原則年間約6兆円ペースの上場投資信託(ETF)の購入も続く。今後短期政策金利のマイナス幅を広げる可能性もある。「異次元」の要素は消えず、副作用への配慮は引き続き必要だ。』

     

     

     上記日経新聞の記事の通り、異次元の国債購入が終了したというニュースです。アベノミクス第二の矢は、異次元の金融緩和ということで、毎年80兆円の国債を日銀が市中から買い取るということでした。

     

     ”市中から買い取る”というのは、メガバンクや地銀などが保有する国債を買い取るという意味です。一方で国債の増刷をしないため、国債が品薄の状態となっており、今も国債の品薄状態は続いています。記事の後半で三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野氏が指摘する通り、大規模な財政出動との連携で、国債買入増額を実施すれば、株高・円安効果を持つ可能性があるという指摘は、全くその通りです。

     

     にもかかわらず、相変わらず「借金=悪」という誤解のため、財政出動をしません。財政出動といった場合、多くの国民は、「公共事業は無駄」「借金=悪だからこれ以上借金は増やしてはいけない」という言説を信じていることでしょう。

     

     これではいつまで経っても、デフレ脱却できず、世界の先進国の中で日本の負け状態が、間違いなく続くことになります。先進国では激しく緊縮財政をやっているドイツも同様です。日本はGDPが伸びず、ドイツもGDPは過去20年間で1.4倍しか増えていません。日本とドイツに共通するのは、負債を増やさずに緊縮財政をしているという点です。

     

     そもそも負債には、3つのカテゴリーがあります。

     

     _鳩廚良藝

     企業の負債

     政府の負債

     

     _鳩廚良藝弔蓮⊇斬陬蹇璽鵑篌動車ローンなどがあります。これらのローンは、生涯稼ぐ所得以上に増やすことはできません。また相続放棄や相続の限定承認する以外は、負債は相続されます。

     

     企業の負債は、デフレ期においては負債は少ない方がいいのですが、インフレ期には、むしろ負債が多い方が、ROE(自己資本利益率)が向上します。財務レバレッジという言葉をご存知であれば、お分かりいただける通り、自己資金で投資するよりも、他人からお金を借りて投資した方が、その投資が成功した場合に、ROEの数字は跳ね上がります。何しろROE=当期利益/自己資本なので、分母の自己資本が増えずに当期利益を増やすことになるからです。何が言いたいか?といえば、インフレの時は、自己資本ではなく他人資本で投資をした方がよいということです。

     

     政府の負債は、昨今MMT理論(現代貨幣理論)で説明されている通り、イコール国民の資産です。政府が負債を増やせば増やすほど、国民の資産が増えます。年金2000万円問題についても、1億3000万人の人口で2000万円が必要ということは、2000万円×1億3000万人=2600兆円、政府が負債を増やす必要があります。

     

     例えば、今後50年間、毎年公共事業を52兆円させ、その財源として建設国債・科学技術国債・教育国債など、名前は何でもいいのですが、とにかく全額国債発行で賄うことができれば、50年後には一人当たり2000万円の金融資産が民間側に形成されます。

     

     上述の通り、負債といっても、家計の負債と企業の負債と政府の負債では全く意味が違うのです。

     

     さらにいえば、政府の負債は、日銀が買い取ることで実質的に返済してしまうことも可能です。どういうことか?といえば、日銀はJASDAQに上場している株式会社組織でありますが、55%の株式を日本政府が保有しています。

     

     そのため、50.1%以上取得ということで、日本政府と日銀は親子関係にあります。親会社の日本政府の負債を子会社が買い取ったとなれば、日銀が日本政府にお金を貸しているということになるわけですが、日本政府と日銀で連結決算をするため、連結貸借対照表作成時に、その負債は相殺されてしまうのです。

     

     これは何も日本政府と日銀という特別な関係がそうさせているわけではありません。例えば支店を有する企業が、本店と支店間で金銭が移動する取引をした場合、本支店間取引は相殺されます。同じように親会社と子会社とでお金の貸し借りをした場合、負債は相殺するのです。

     

     親会社と子会社でのお金の貸し借り?というのは、普通の人はピンと来ないかもしれませんが、CMS(キャッシュ・マネージメント・システム)というシステムを、メガバンクが営業をかけていて、大企業はCMSを導入しています。CMSを導入すれば、子会社が銀行で借りる際に、親会社の財務諸表を元に安い金利で資金調達が親会社から借りれますが、導入していない場合は子会社の財務諸表を元に資金調達します。NTTドコモとNTTというような関係では、NTTドコモが単独で資金調達した方が低金利でお金を借りられる可能性がありますが、通常の企業では子会社が単独で資金調達すると金利は高くなることが多いです。

     

     少しだけ話を戻しまして、結論から申し上げますと、日本政府と親子関係にある日銀が保有する国債は、日本政府にとっては実質的に返済をする必要がないということになります。

     

    <国債の所有シェア(2019年6月末速報)>

    (出典:日銀のホームページの資金循環統計から数値を引用)

     

     上記のグラフは、2019年6月末時点における日本の国債の所有シェアです。

     

     短期証券と合わせ、1,157兆円が国債発行残高となっています。そのため、日銀が所有する国債シェアは、1,157兆円×46.5%≒511兆円です。

     

     アベノミクス第二の矢の金融緩和政策によって、実に46.5%もの国債を日銀が保有しているというのが真実です。そして日銀が保有する511兆円は、実質的に返済する必要はありません。

     

     実質的な返済が不要だとしても、借金という名称がイヤだ!というのであれば、無期限国債など名前を変えてしまえば言いだけの話であり、政府の負債とは所詮その程度のものであって、家計の負債や企業の負債とは全く意味が違うのです。

     

     そのため、”1000兆円の借金で国民一人当たり800万円の借金”というのは、「3種類の負債」を混同させて、日本国民に緊縮財政を正しいと誤認させる完全なミスリードといえるでしょう。

     

     

     というわけで今日は「3種類の負債」と題して論説しました。

     財政に関しては、憲法83条の財政民主主義に始まり、財政法第4条で公共事業には国債発行が認められ、財政法第7条において予算を執行するために国庫短期証券を発行することが認められています。

     このことは「政府は徴税して予算を支出している」のではなく、予算執行が行われた年度の終わりに確定申告し、支払う税額を確定することを意味しており、「支出が先で徴税は後」ということが真実です。これこそが「スペンディング・ファースト」であり、「政府支出のために税収が必要」ということが間違っているということに他なりません。

     今必要なのは「政府支出」と「国債増刷」であることを改めてお伝えしたいと同時に、社会保障費支出のために消費増税ということも間違っていて、消費増税そのものがデフレ化では全く必要がないことも申し添えておきたいと私は思います。 

     

     

     

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