「国民の金融資産を政府の負債が超えると破綻する!」は本当か?

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

    今日は、お馴染みの「国の借金」について述べます。

     

     毎度ですが、「国の借金」という言葉は間違っています。政府の負債=Govenment Debt と訳すのが正しい。あくまでも政府が借りているものであって、我々国民が借りているわけではないことは、本ブログの読者のみなさんのほとんどがご理解いただけているものと思っております。

     

     よくある財政破綻論を話す人の中で、国民の金融資産1500兆円を政府の負債が超えると破綻するという論説があります。

     これは本当でしょうか?この論説は政府が銀行預金を借りていると思っているからこのような論説が出るのでしょう。実際は政府は銀行預金を借りているわけではありません。

     

    1.日銀当座預金と準備預金制度

     

     日銀当座預金の主な役割は下記の3つです。

    (1)金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段

    (2)金融機関が個人や企業に支払う預金通貨の支払い準備

    (3)準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金

     

     日銀当座預金の役割は上記の通りですが、(3)準備預金制度の、そもそも何のためにあるものなのか?これを正しく知っている人は、おそらく銀行員でも正しく説明できる人いないかもしれません。

     準備預金制度は、マクロ経済政策において、経済政策の一つとして準備預金率操作というのがあります。準備預金制度は、銀行が貸付金のうち、定められた割合額を日銀当座預金に預け入れを義務付ける割合があり、これを準備預金率といいます。準備預金率を引き上げますと、市中から現金を吸い上げ、日銀当座預金の残高が増えます。逆に準備預金率を引き下げますと、市中の現金が増え、日銀当座預金の残高が減少します。前者は金融引締め政策、後者は金融緩和政策に該当します。

     また、マネタリーベースは日銀当座預金を含めたお金の総合計ですが、マネーストックは日銀当座預金は含まれません。マネーストックが日本国全体のお金の量を指すのに対し、マネーストックは実際に貸し出されていたり銀行預金されている所謂市中に出回っているお金の総合計に該当します。

     よくいうデフレ・インフレの誤解に、マネタリーベースを増やす(日銀当座預金を増やす)ことで、マネーストックが増えると主張する人がいますが、マネタリーベースを増やしても、貸出が実際に行われるかは、物・サービスが高く買われる環境にあるインフレ環境の場合に、貸出需要が旺盛になります。物・サービスが安く買われるデフレ環境では儲かりにくいため、マネタリーベースをどれだけ増やしても貸し出しが増えず、マネーストックは増加しないのです。この点も、日銀の黒田総裁や岩田副総裁、経済通と言われる政治家やアナリストエコノミストの多くが誤解しています。

     マネーストックは、政府の国債発行&政府支出で拡大します。とはいえ、銀行と民間のお金の貸し借りでも預金を創出できます。銀行と政府(政府支出)、銀行と企業(設備投資資金)、銀行と家計(住宅ローン・自動車ローン・教育ローンなど)いずれも、「信用創造」であってマネーストックを拡大させます。

     この信用創造のプロセスを完全放置すると、銀行預金が論理的には無限に拡大し、供給力が不足してインフレ率が過度に上がっていくことになります。こうしたことを抑制する意味も、預金準備制度にはあるのです。

     

     ところで日銀当座預金は、どんな金融機関が持つのでしょうか?日銀当座預金を持っているのは銀行以外に証券会社が数社含まれています。日銀当座預金を持つ金融機関は2017年3月1日時点で533社あり、下記の通りです。

     

    銀行(★):126行

    信託銀行(★):15行

    外国銀行(★):50行

    信用金庫(★):255社

    協同組織金融機関の中央機関(★):4社

    証券会社:32社

    証券会社(外国法人):3社

    証券金融会社:2社

    短資会社:3社

    資金清算機関:1社

    金融取引所:3社

    銀行協会:53協会

    政府系金融機関(★):6社

     

     

     

    2.準備預金制度の意味とバンク・ノンバンクの違い

     

     多くの人は「お金=物」と考えているから信じないかもしれませんが、「お金=債権債務の記録」であって、銀行は預貯金通帳に「貸付金100万」と書くだけで貸し出すことができます。物理的には無限に貸し出せてしまうため、準備預金制度で一定程度日銀当座預金の残高積立を義務付け、貸し出しを規制しています。

     日銀当座預金を持つ金融機関のうち、預金準備金制度の適用を受けるのは、★マークがある金融機関です。いわゆる銀行、信託銀行、信用金庫といった金融機関です。これらの金融機関は通帳に書くだけでお金を貸し出すことができます。そのため物理的には無限にお金を貸し出すことができます。そこで、準備預金制度というのがあり、貸し出しに制限を設けています。

     

     この時、借りた人は、「借入金=100万」と「預金=100万」が発生します。銀行は100万を、他から調達して借りなくても貸すことができますが、ノンバンクは違います。消費者金融や商工ローンやリース会社や保険会社は、準備預金制度適用の日銀当座預金を持っていません。結果、社債や借り入れや保険料などで調達した資金を貸し出しするのです。これがバンクとノンバンクの違いなのです。

     ノンバンクは、貸し出すためのお金を別途調達して貸し出ししますが、準備預金制度適用の日銀当座預金を持つバンクは、通帳に書くだけで貸せると言いましたが、この結果、国全体でお金が増えます。マネーストックが増えます。これが信用創造というやつです。

     経済のパイが拡大するためには、信用創造即ちお金の貸し借りが発生しなければ拡大しません。借金自体を悪であるとすることは、資本主義の否定そのものになるのです。

     

     2016年9月時点で、日銀当座預金は300兆円あります。

     本来、準備預金制度で最も高い準備率である2兆5000億円超のその他預金1.3%で計算した場合、理論的には2.4京円の貸出をしてよいという話になります。ところが実際のマネーストックは950兆円程度。マイナス金利を導入しても、貸し出しが増えていないのです。

     よく考えれば当たり前。金利を導入したとしても、デフレ環境ではお金を借りたいという需要は少ないでしょう。というわけで、需要増が必要なのですが、政府は積極的に需要を減少させる緊縮財政をやっています。公共工事削減、一般競争入札、公務員削減、国会議員定数削減、医療介護費用削減、こうしたことは全部緊縮財政なのです。

     民間の金回りが悪い以上、政府が需要増をすべきなのに、借金=悪と考えることは信用創造否定であることに気付かない政治家は、滑稽を通り越して頭が悪すぎとしか言えません。

     

     

    3.「政府の負債1000兆円が増加して国民の金融資産1500兆円?を超えたら破たんする」は本当か?

     

     日銀当座預金や準備預金制度を理解しますと、お題について出鱈目であることが理解できると思います。政府は銀行預金を借りているわけではありません。日本国債の原資には、確かに預金が含まれます。その預金は国民の金融資産だけでなく、企業の当座預金・普通預金も含まれます。上場企業で言えば、自社株買いやら自己資本比率UPなどの取り組みで内部留保を増やしているわけで、そうした企業の当座預金・普通預金もまた日本国債を買う原資になっているのです。

     結局、国民の金融資産1500兆円を超えたら破たんするという論説はウソデタラメなのです。断言しますが、この手の「国家のお金の発行と国債発行の仕組み」について理解していない人が学歴や職歴に関係なくほとんどだと思います。

     正しい政策が打たれるようになるためにも、「国家」「国債」「お金」「預金」「デフレインフレ」について正しい知識を持つ必要があるものと思います。私は、このブログによる言論活動を通じて、「国の借金」というのが如何にウソつき、デタラメか?を情宣していき、日本を真に繁栄させる政策が打たれる時代が早く訪れることを望んでおります。

     

     そんなわけで、今日は「国民の金融資産を政府の負債が超えると破綻する!」はウソつき論説であることを改めて申し上げました。


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