台湾の地政学上の重要性を理解している米国と、カネ儲け優先で理解しない愚かな日本

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     今日は相次ぐ米国の台湾への武器売却について触れ、「台湾の地政学上の重要性を理解している米国と、カネ儲け優先で理解しない愚かな日本」と題して論説します。

     

    1.台湾への武器売却はトランプ政権というより米国議会が推進する対中国強硬政策の一環

    2.元公安調査官の菅沼光弘氏による米国が過去に台湾を切り捨てた理由

    3.カネ儲けを優先し、台湾海峡がシーレーンの一部であるという地政学上の重要性を認識していない日本政府

     

     上記1〜3の順に説明し、金儲けを優先して地政学を全く理解していない日本政府の対応について批判したいと思います。

     

     

     

    1.台湾への武器売却はトランプ政権というより米国議会が推進する対中国強硬政策の一環

     

     トランプ大統領は、台湾に対して相次いで武器売却をしています。先月7/8(月)には、台湾へ戦車を108台と防衛ミサイル、総額22億ドルの武器を台湾に売却することを米国議会が要請し、トランプ大統領が承認しました。そして今月8/16(金)には、F16戦闘機を66機、台湾へ売却することを承認しました。

     

     これらの台湾への武器売却は、当然のことながら中国を刺激します。とはいえトランプ政権がこれらを推し進めているというのではなく、米国議会が強力に推し進めているという事実を、日本のマスメディアは報じません。

     

     米国議会は、2018/07/23に、NDAA2019(NATIONAL DEFENSE AUTHORIZATION ACT FOR FISCAL YEAR 2019)という

    新しい法律を制定することについて上院と下院の合意案をまとめ、2018/07/26に下院で可決、2018/08/01に上院で可決を経て、2018/08/13にトランプ大統領の署名によって成立し、施行されました。

     

     「トランプ大統領は過激なことやっている!」と報じる日本のマスメディアしか見聞きしない日本人の多くは、実はトランプ政権よりも米国議会の方が、対中国に対して強硬な姿勢であるという事実が知られていません。

     

     

     

    2.元公安調査官の菅沼光弘氏による米国が過去に台湾を切り捨てた理由

     

     トランプ政権が台湾に大量の武器売却をしたことを踏まえ、なぜ過去に米国が台湾を切り捨てて、中国を選んだのか?その歴史について菅沼光弘氏という方が面白い事実を述べられていますので、その言説を取り上げ、歴史を振り返りたいと思います。

     

     菅沼光弘氏は、現在は評論家として活躍されていますが、もともとは京都府出身で公安調査庁で調査第二部の部長を務めた元公安調査官です。

     

     中国は今、香港や台湾など、”一つの中国”を国際社会に受け入れさせようとして、香港の雨傘運動を弾圧し、台湾を排除しようとしています。この”一つの中国”という言葉が出たのは、いつ頃か?といえば、1972年で、米国のニクソン大統領が訪中したときです。

     

     ニクソン大統領と大統領補佐官のキッシンジャーの二人が訪中し、彼らは周恩来、毛沢東と会談しました。このとき、中国側がニクソン大統領に対して”一つの中国”を認めることを要請しています。

     

     日本人の印象では、このときに米国が中国を選び、台湾を捨てたと思っている人が多いのでは?と思いますが、これは全くの誤解です。

     

     このとき米国は中国側から「”一つの中国”を受け入れよ!」と要請を受け、台湾と国交を断絶して欲しいと要請されたのですが、米国はこれを拒否しました。

     

     その後、米国は中国側と台湾問題について何年も粘り強く交渉を続け、中国とすぐには国交を結びませんでした。理由は、当時はソビエト連邦との冷戦の真っただ中であり、ソビエト連邦と中国が手を組むことを米国は恐れました。

     

     当時から考えれば、同じ共産主義国家ということで手を結んでも全く不思議ではないわけですが、幸いなことにソビエト連邦と中国は仲が悪かったのです。

     

     しかしながら中国は、米国の目的を見抜いていたため、米国の足元を見て「(私たち中国と)国交を結ぶ代わりに台湾と国交を断絶しろ!」と要請。ニクソン大統領は、すぐにその要請を受けず、粘り強く慎重に交渉を続けて、何とか台湾との関係を維持し続けながら、中国と国交を結べないか?探っていました。そして7年かけて、1979年カーター大統領のときに米中国交正常化となり、同時に台湾と国交を断絶したのです。

     

     一方、米国が台湾問題で中国と慎重に交渉を続けていた頃、1972年に田中角栄元首相は、ニクソンが訪中した7月後に訪中して、対中国関係で米国にとっても日本にとっても一番の懸案だった「台湾との国交を断絶せよ!」との要求をあっさりと承諾してしまいました。

     

     米国側からみれば、「西側諸国の一員のはずの日本が、勝手に中国に手を出しやがって!」と思ったことでしょう。日本が西側諸国で最初に”一つの中国”を認めて、日中平和条約を締結。それ以降、「日本が台湾と国交を断絶したのだから、貴国も国交を断絶してください!」として、他国に次々と”一つの中国”を受け入れさせ、その反対側で台湾は次々と国交を断絶させされました。

     

     なぜ田中角栄は米国よりも先に台湾を捨てて中国を選んだのか?

     

     それは日本企業が中国に進出して利益を独占できると考えたからというのがその理由です。

     

     このとき、米国のキッシンジャーは田中角栄に対して激怒したと言われています。なぜならば、当時米国が毛沢東相手に慎重に交渉し、何とか台湾との関係を維持したいと考えていたにもかかわらず、田中角栄があっさりと”一つの中国”を認めたことで、その努力がすべて台無しになってしまったからです。

     

     キッシンジャーは、「ジャップ!」と日本を罵倒し、真珠湾攻撃以来の屈辱だったとしています。その後、キッシンジャーは、ロッキード事件を仕掛け、田中角栄は逮捕されました。

     

     

     

    3.カネ儲けを優先し、台湾海峡がシーレーンの一部であるという地政学上の重要性を認識していない日本政府

     

     ここで台湾の地政学的なポイントについて述べます。

     

     米国は当時、台湾の地政学的な重要性を見抜いていました。もし、中国が台湾を併合したら台湾海峡が中国に抑えられてしまいます。その危険性を米国は、よく理解していました。

     

     台湾海峡は日本にとっても、命綱のシーレーンの一部であるため、中国に台湾海峡を支配されるようなことがあれば、日本経済の支配権を中国に握られたも同然となります。しかしながら当時の日本政府は、中国の利権を独占できることをメリットとして考える一方で、地政学的な台湾の重要性を全く理解していませんでした。

     

     キッシンジャーは、日本に最初に中国と国交を結ばれてしまったため、”一つの中国”を受け入れざるを得ませんでした。そこで米国は台湾との関係について、国内法で「台湾関係法(Taiwan Relations Act:通称TRA)」を議会に作らせ、米国は台湾を国家に準ずる存在とし、台湾の安全保障について米国が引き続き責任を持つとして、TRAを定めたのです。

     

     このTRAによって、米国が台湾に対して防衛用の武器を輸出できるよう道筋がついていました。そこまでやって、ようやく米国は中国と国交正常化をしました。

     

     この歴史を振り返りますと、日本は米ソ冷戦を利用して、中国のビジネスを優先し、台湾という日本の国益にとって大切なものを切り捨てたことになります。目先のカネに囚われ、台湾海峡を守るという国益を全く理解していない白痴だったといえます。

     

     この後、1989年の天安門事件でも同じことをやっています。世界中が中国の人権弾圧を非難し、中国に対して経済制裁をしましたが、日本は逆にその状況を利用して経済制裁を解除し、中国のビジネスを優先しました。

     

     そして米中新冷戦が続いている今、日本がよもや同じことを繰り返し、米中対立を利用して中国とのビジネスを優先するという愚策を繰り返すのでは?と私は危惧しています。

     

     

     

     というわけで今日は「台湾の地政学上の重要性を理解している米国と、カネ儲け優先で理解しない愚かな日本」と題して論説しました。

     日本政府は、台湾を守ろうとしていませんが、香港も同じです。民間人が雨傘運動に参加する一方で、日本の政府はいうまでもなく国会ですら何もしません。米国では議会が対中国に対して強硬な姿勢をとり、人権弾圧に対して制裁を加えようとしています。

     日本はカネカネカネで”金儲けができればいい”ということで、安全保障は二の次となっており、このままだと国力は弱体化していくことになるでしょう。国力とはお金を持っているということえはなく、自国で防衛も食料も災害も全ての安全保障を供給できるという力こそが、国家として他国との相対的な強さであり、国力です。

     台湾の問題、香港の問題、ウイグル・チベットの問題、いずれも邪悪な中国共産党政府による人権弾圧の一環であり、断じて許してはいけないと思うのですが、日本の国会議員の人にも改めて知っていただき、行動に移していただきたいものと私は思います。

     

     

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