”グローバルな社会だから法人税を引き下げなければ企業が海外に逃げていく”のウソ

0

    JUGEMテーマ:経済成長

    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

    JUGEMテーマ:経営

    JUGEMテーマ:グローバル化

    JUGEMテーマ:海外進出

     

     今日は、よくある言説「グローバルな社会だから法人税を引き下げなければ企業が海外に逃げていく」がウソであることを論じたいと思います。

     

     皆さんは、日本の税制において、法人税をもっと引き下げるべきという意見についてどう思うでしょうか?また、日本では法人税の引き下げと消費税の引き上げがセットで行われているという実態をご存知でしょうか?

     

     経済産業省は、毎年海外進出企業に対してアンケート調査を行っており、海外事業活動基本調査の中で「投資決定のポイント」というアンケートの結果をホームページで公表しています。

     

    <海外事業活動基本調査「投資決定のポイント」> 

    順位 海外進出する際の投資決定のポイント

    回答

    社数

    割合

    (%)

    1位 現地の製品製造が旺盛又は今後の需要が見込まれる。 761 37.4
    2位 進出先近隣三国で製品需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる。 287 14.1
    3位 納品先を含む、他の日系企業の進出実績がある。 283 13.9
    4位 良質で安価な労働力が確保できる。 177 8.7
    5位 税制、融資等の優遇措置がある。 89 4.4
    6位 その他・無回答 438 21.5
    合計                               2,035

    100.0

     

    (出典:経済産業省のホームページ)

     

    <投資項目上位4項目の時系列比較>

    (出典:経済産業省のホームページ)

     

     上表と円グラフの通り、上位1位〜5位を見てみますと、「税制・融資の優遇措置がある」と答えた企業は、2035社中89社の4%に留まっている一方、「現地の製品需要が旺盛で、今後も需要が見込まれる」と回答した企業は、761社の37%もあります。

     

     2位の進出先近隣三国で製品需要が旺盛というのは、例えばベトナムに進出すれば、カンボジアやラオスやタイなど、ASEAN諸国全体での需要が旺盛であるといいたいのでしょう。

     

     1位と2位のように需要が旺盛であることが見込まれるという回答を合計すると、2035社中1,048社で、実に過半数以上に相当する51%に相当します。

     

     企業が海外に進出する理由とは何か?といえば、「旺盛な需要が見込まれるため」というのが第一といえるでしょう。

     

     企業経営者は、税金が安いからという理由で海外進出しているのではなく、需要があるかないか?という当たり前の理由で海外進出しています。

     

     にもかかわらず、ニュース・討論番組などで司会者が、法人税を引き下げなければ、企業が海外に逃げていくとウソをいいます。

     

     企業が海外に進出する理由は、税制の問題ではなく、日本が緊縮財政をやっていて、相対的に海外の需要が魅力的に感じるということに他なりません。

     

     緊縮財政をやるとなぜ需要が減るのか?

     

     例えば消費税は、消費に対する罰則課税であり、増税すればするほど消費が落ち込みます。日本のGDP500兆円の6割を占める300兆円が減少するとなると、1%減少するだけで3兆円の市場が失われます。そうすることで設備投資も落ち込み、GDPで消費と設備投資がダブルパンチでダメージを受けます。

     

     また無駄削減を代表とする構造改革系の政策も緊縮財政が元になっています。一般競争入札で安く安くとなれば、名目の需要が減少します。

     

     公営企業の民営化も同様です。100億円で運営していた公営企業のビジネスを、80億円で民間企業にやらせるとなれば、政府最終消費支出▲100億円、設備投資△80億円で、差し引き▲20億円分、経済が縮小します。無駄削減と称して、民営化をやればやるほど、経済がシュリンクするというわけです。

     

     それでも日本のGDPが500兆円を維持できるのは、高齢化で医療・介護の費用が増えているからです。少子高齢化というのは、少子化=生産年齢人口減少、高齢化=需要 です。そのため、医療介護費用が増大すればするほど、需要が拡大することになるのですが、なぜか政府は医療介護費を抑制しています。

     

     一方で他国は財政出動を行い、政府が需要を創出する結果、民間企業も投資を誘発し、個人の所得が伸びることで旺盛な需要がさらに旺盛になるという好循環で需要を創出し続けています。

     

     それに比べて安倍政権は徹底した緊縮財政をやっています。とにかく政府の中にお金を貯め込む。そのために増税して無駄を削減して・・・とやっているわけで、このような状況で需要が削られている以上、名目需要の減少、実質需要の減少と、民間の設備投資が増えるわけがありません。

     

     安倍政権は”グローバルな社会だから法人税を引き下げなければ企業が海外に逃げていく”のというウソの言説を元に、法人税を引き下げ、消費増税のみならず構造改革系の民営化を推進する史上最悪の国家破壊内閣といえるのではないでしょうか?

     

     日本の企業が日本に投資をするためには、デフレ脱却が必要であるということが、このアンケートからも改めて認識できるかと私は思います。

     

     

     というわけで今日は「”グローバルな社会だから法人税を引き下げなければ企業が海外に逃げていく”のウソ」と題して論説しました。

     米国ではトランプ政権が内需主導で経済成長を果たしているため、米国企業で米国外に工場を出していた企業が、米国国内に戻ってきており、それがさらに経済成長につながるという好循環になっています。

     そうした事例や今回のアンケートを見れば一目瞭然で、法人税が高いと海外に逃げていくというのは、ウソです。あくまでも需要があるかないか?これに尽きます。何しろ、モノが売れなければ話にならないのです。

     グローバリストらは「日本の法人税や人件費が高いから企業は海外に出て行かざるを得ないのだ」などといっていますが、そうした主張は、企業実態から大きくかけ離れていることがこの調査でご理解できるのではないかと、私は思うのです。

     

     

    〜関連記事〜

    ”法人税を上げるなら日本を出て海外に出ていく”というのは企業側の単なる脅しに過ぎません!

    国際競争力を高めるために法人税を下げなければならないという言説の欺瞞

    税金の役割とは何なのか?

    「法人税が高いと企業が海外に流出してしまう!」というウソ

    「所得税を減税しないと富裕層が逃げていく!」は本当か?

    金利が下がれば設備投資が増えるは本当か?(魚の仲買人さんのビジネスモデル)


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
    << August 2019 >>

    スポンサーリンク

    ブログ村

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村

    recent comment

    • 安定電源に全く役にも立たない再生可能エネルギーが買取から入札へ!
      正論太郎01 (07/01)
    • 大阪W選挙で維新圧勝の影響について
      島道譲 (04/16)
    • 英語教育について(トランプ大統領の演説を誤訳したNHK)
      永井津記夫 (12/07)
    • ハロウィーンは日本のお祭りとは違います!
      ユーロン (11/12)
    • オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省
      SSST. (10/13)
    • サムスン電子について
      故人凍死家 (09/26)
    • 財務省の役人は、なぜ緊縮財政なのか?
      吉住公洋 (09/26)
    • 生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード
      富山の大学生 (06/05)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      師子乃 (10/02)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      mikky (12/01)

    profile

    search this site.

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM