”財政規律が無くなると悪性インフレを引き起こす恐れがある”のウソ

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     今日は「国債の市中消化の原則」を取り上げ、「”財政規律が無くなると悪性インフレを引き起こす恐れがある”のウソ」と題して論説します。

     

     よくある言説、そしてMMT理論を批判する言説として、次のようなものがあります。

    ●”いくら財源が無限にあるからといって財政赤字を拡大させるとハイパーインフレになってしまう”

    ●”政府が財政出動に関与すると(国民の人気どり?)財政の規律が緩んで悪性インフレになる”

    ●”財政の規律が緩むと国債の金利が急騰する”

    などなど、上述の言説は一見すると、もっともらしく聞こえます。

     

     この言説を発しているのは、ニュース番組の司会者、アナリスト、エコノミスト、自民党を含めた多くの国会議員(例えば石破茂、橋下徹など)らが言説を発している一方で、自民党の中でも安藤裕衆議院議員(京都府選出)、西田昌司参議院議員(京都府選出)、山本太郎前参議院議員ら3人が、上述言説は間違っていると明言しています。

     

     言説として目立たないものの、与野党問わず多くの国会議員は、財政規律問題とか財政問題とか、存在しない財政問題を課題とし、このままだと日本は財政破綻すると思っていることでしょう。

     

     また、日銀のホームページによれば、国債は市中で消化させるということで、日本銀行による国債の引き受け自体は、財政法第5条によって禁じられている旨が記載されています。

     

    財政法第5条

    「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」

     

     このように財政法第5条では、日銀が国債を直接引き受けることを原則禁止としています。

     

     この理由について、日銀のホームページでは以下の回答をしています。

     

     おしえてにちぎん

     日本銀行における国債の引き受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています。(これを「国債の市中消化の原則」と言います。)

     これは、中央銀行がいったん国債の引き受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めがかからなくなり、悪性のインフレーションを引き起こす恐れがあるからです。そうなるとその国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためです。

     ただし、日本銀行では、金融調整の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、財政法第5条但し書きの規定に基づいて、国会の決議を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。こうした国による借換えのための国債の引受けは、予め年度ごとに政策委員会の決定を経て行っています。

     

     

     ここで国債を発行することで預金が生み出される仕組みについて、改めて2つのケーススタディをご紹介します。

     

     

    <ケーススタディ1:日銀が政府から新規発行国債を直接引き受ける場合>

     財政法第5条で禁止されている日銀による新規発行国債を直接引き受けた場合のオペレーションは下記 銑イ箸覆蠅泙后

    ‘銀が国債を購入し、政府の日銀当座預金に振り込む(日銀の政府に治する信用創造)

    ∪府は公共事業の発注にあたり、政府小切手で企業に支払う

    4覿箸麓莪銀行に政府小切手を持ち込み、代金の取り立てを依頼する

    ざ箙圓論府小切手相当額を企業の口座に記帳(預金が新たに創造される=民間貯蓄の増加)し、日銀に代金の取り立てを依頼する

    ダ府保有の日銀当座預金が銀行の日銀当座預金勘定に振り替えられる(銀行の当座預金が増える=国債金利の低下

     

     上記の通り、財政赤字は同額の民間貯蓄(預金)を増やし、国債金利を低下させます。また日銀が購入する際、通貨発行権があるため、資金調達の問題は発生せず、いくらでも国債を購入できます。

     

     

    <ケーススタディ2:銀行が新規発行国債を購入する場合(市中消化の原則)>

     日銀が述べている「市中消化の原則」にしたがって銀行が新規発行国債を購入する場合のオペレーションは下記 銑イ箸覆蠅泙后

    ゞ箙圓国債を購入すると、銀行が保有する日銀当座預金(※)は、政府の日銀当座預金に振り替えられる

    ※日銀当座預金は日銀が銀行へ供与する資産勘定科目であって通常の当座預金ではない。国民の預金は銀行にとっては負債勘定科目である。

    ∪府は公共事業の発注にあたり、政府小切手で企業に支払う

    4覿箸麓莪銀行に政府小切手を持ち込み、代金の取り立てを依頼する

    ざ箙圓論府小切手相当額を企業の口座に記帳(預金が新たに創造される=民間貯蓄の増加)し、日銀に代金の取り立てを依頼する

    ダ府保有の日銀当座預金が銀行の日銀当座預金勘定に振り替えられる(日銀当座預金が銀行に戻ってくる=国債金利は上昇しない

     

     上記の通り、財政赤字は同額の民間貯蓄(預金)を増やし、国債金利は上昇しません。銀行は、戻ってきた日銀当座預金で再び国債を購入します。なぜならば日銀当座預金にお金を置いたままにしておいても、金利はゼロだからです。デフレでお金を借りたい人がいない以上、国債を買わざるを得ません。そして、この 銑イ魯院璽好好織妊1と同様に資金調達の問題は発生せず、永続し得ます。

     

     上記ケーススタディ1、2をご覧いただいてお分かりの通り、財政法第5条で禁止されている日銀による国債の直接引き受けにせよ、市中消化にせよ、打ち出の小槌のようにお金を生み出して、政府は財政出動することができるというのが結論です。しかもハイパーインフレどころか、金融緩和だけでは日銀当座預金が増えるだけですので、ハイパーインフレにすらなりませんし、財政出動しただけではインフレになるわけがありません。インフレデフレは物価変動現象ですので、日銀当座預金を担保に財政出動したときに初めてモノ・サービスが買われて物価下落に歯止めをかけ、物価を上昇に転じさせることが可能です。

     

     この財政出動したお金で、

    ●首都直下型地震に対する備え

    ●南海トラフ地震に対する備え

    ●火山噴火に対する備え

    ●台風による洪水に対する河川の堤防の強化

    ●津波高潮に対する防波堤・防潮堤の整備

    ●酷暑で熱中症患者を増やさないための公的建物への冷房設置

    ●生産性向上のための高速鉄道網の整備

    ●生産性向上のための高速道路網の整備

    ●生産性向上のための科学技術投資

    ●生産性向上のための港湾整備

    ●科学技術振興につながる宇宙開発投資

    ●高い生産性を維持するための老朽化したインフラの補強・強化

    ●仮想敵国中国に対する防衛の整備

    ●食料自給率100%超を目指すための農産物への補助金

    ●医療の先進治療を受診しやすくするための公的医療保険の拡充

    ●介護サービス向上のための公的介護保険の拡充

    などなど、日本人の賃金UP、雇用創出に加え、日本の安全保障が強化されて、国力が強靭化につながる支出をすれば、日本国民は豊かになることができます。

     

     真に制約があるとすれば、上記のメニューを一気に1年間で100兆円かけてやるとなれば、供給力が追い付かないという意味で制約があります。MMT理論の反論があるとすれば供給力の指摘は仰る通りです。(実際は供給力云々という反論ではなく、国際社会に対する信認とか、意味不明な抽象的な反論しかありません。)

     

     とはいえ、1年間で100兆円ではなく、10年間で150兆円かけてやるなどと、年間平均15兆円程度で、財政出動するならば、あっという間にデフレ脱却を果たし、マイルドなインフレ2%〜3%に到達することでしょう。

     

     仮にもマイルドなインフレではなく、インフレ率が7%とか8%とかになったら、10年計画を15年計画にして年間15兆円→10兆円に政府支出額を減額すればいいだけの話。それでもインフレ率が7%とか8%だったら、消費増税することもありです。

     

     上記のメニューのために使ったお金で発生した財政赤字は、供給力の向上という国力強化につながります。その一方でデフレ化で緊縮財政をやり続け、結果的に法人税や所得税が減少して財政赤字となった場合、賃金UPにもならず、雇用創出にもならず、供給力は強化されるどころか、儲からないということで自主廃業やM&Aが増加して国力弱体化になります。

     

     そういう意味でデフレ化で緊縮財政を続けるというのは、日本の国力弱体化を続けるということであり、日本を破壊する行為であるといえます。

     

     もっともらしい言説「”財政規律が無くなると悪性インフレを引き起こす恐れがある”のウソ」によって、緊縮財政が継続されるならば、この言説を吐く輩は、日本の国益を真剣に考えていない輩であると同時に、「ウソ・デタラメをいうな!」と言わざるを得ないのです。

     

     

     というわけで今日は「”財政規律が無くなると悪性インフレを引き起こす恐れがある”のウソ」と題して論説しました。

     

     

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