パウエル議長のFRB利下げの失敗

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    JUGEMテーマ:国際金融情勢

     

     昨日に引き続き、米国経済について取り上げ、今日は「パウエル議長のFRB利下げの失敗」と題して論説します。

     

     米国のFRBは、7/30と7/31の2日間にわたり、FOMCを開き、金融政策について話し合い、10年ぶりの利下げを決定しました。その利下げ幅は、0.25%か0.50%か?という議論があったのですが、事前の予想通り0.25%となりました。

     

     ところが0.25%の利下げのニュースの後、ニューヨーク市場は株価が下落しました。下記は共同通信の記事です。

    『共同通信 2019/08/01 07:15 トランプ大統領、追加利下げ要求 FRB議長に「がっかり」

    【ワシントン共同】トランプ米大統領は7月31日、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が追加利下げに慎重な姿勢を示したのに対し、「パウエル氏はいつものようにわれわれをがっかりさせた」とツイッターで批判し、さらに利下げを要求した。
     FRBは同日、10年7カ月ぶりの利下げを決めたが、パウエル氏は記者会見で「長く続く利下げの始まりではない」と述べた。これを受けて市場の追加利下げ期待が後退し、米株価が急落した。
     これに対し、トランプ氏は「市場が聞きたかったのは、中国や欧州連合(EU)のような長くて攻撃的な利下げサイクルの始まりという言葉だ」と指摘した。

     

     

     6月の終わりころから、FRBが7月末のFOMCで利下げをするだろうという話がずっと続いていました。世界経済が不安定になる中、利下げをすることは確実で、0.25%か0.50%かどちらか?という議論があり、この中で利下げの材料が株式市場に織り込まれていったものと思われます。

     

     普通ながら利下げを好感して株価は上昇するのですが、0.25%は既に材料として読み込まれていて、むしろ材料出尽くしということで株価は下落しました。

     

     日経平均の方は、ニューヨークの株式市場の下落を受けて連れ安となりましたが、為替が円安に振れていたので、日本の株式市場の株価下落幅は、幾分縮まりました。

     

     もし、0.50%であればサプライズで株価は上昇していた可能性があります。

     

     事前の期待感で人々は株を買うのですが、これを材料を織り込むというもの。それで出てきた結果が期待通りだった場合、既にその材料は買われていて売られることが多く、出てきた結果が期待以上ならば株価は上昇します。

     

     パウエル議長は、0.25%の利下げの後、記者会見をしているのですが、ここでパウエル議長は失敗しました。その失敗とは記者会見で「断続的な利下げをするのではない。今回1回限りの利下げだ。」と発言したことです。

     

     利下げとは、金融緩和策の一つであり、長期的な取り組みであって短期的な取り組みではありません。

     

     にもかかわらず、パウエル議長は今回0.25%の利下げをするが、今後も禁輸緩和を続けて利下げをするか?金融引き締めするか?わからないと回答しました。

     

     トランプ大統領もいっていますが、マーケットが聞きたかったのは、FRBの次の一手を聞きたかったのであって、その次の一手がなかったということです。

     

     その証拠にパウエルの会見でニューヨークが下落し、それを見たトランプ大統領がツイートしました。

     

    『マーケットがパウエルから聞きたかったのは、長期的な利下げの始まりに過ぎないということ。さもないと中国、EUの金融緩和についていけない。相変わらずパウエルは私たちを失望させてくれる。ただ少なくても彼は量的金融緩和の引締めだけは辞めようとしている』

     

     FRBはジャネット・イエレンが議長だったとき、利上げをして量的金融引締めをやっていました。しかしながらインフレになっているわけではないため、このトランプ大統領の発言は正しいです。

     

     インフレになっていないにもかかわらず、量的引き締めと利上げをやってきたのがイエレン前議長。理由は株価が上昇して、賃金が上昇しているからというもの。しかしながらインフレになっていないにもかかわらず、インフレになるかもしれないという理由でインフレ懸念ということで4回も利上げをしたのですが、これは間違っていたといえます。

     

     さらにトランプ大統領は、「セントルイス連銀のブラード総裁は、2018年12月の利上げは間違いで、その訂正が遅すぎたと言っているではないか?」とツイートしています。

     

     トランプ大統領が求めているのは、0.25%の利下げではなく、0.50%の利下げ。もしくは0.25%の利下げだったとしても、その後、続けて利下げを続けるという方針をパウエル議長に語って欲しかったと思われますが、パウエル議長は、どちらもやりませんでした。

     

     

    <米国の政策金利の推移>

    (出典:外為ドットコム)

     

     

     

     本当に求めていた利下げ幅は、上記チャートの右下の通り、2018年に相次いで利上げをしたトータル1%分を、今年利下げして欲しいというのがトランプ大統領の要求です。

     

     トランプ大統領によれば、2018年の利上げがなければ、今頃、米国のGDPは4.5%上昇し、株価は5,000ドルほど高い水準であると語っています。株価はともかく、利上げがなければGDPが4%台になっていた可能性は高いです。

     

     トランプ大統領のツイッターなどの発言に対しては、いろんな見方があります。例えば、来年の自分の大統領選挙の再選のために株価をバブルにしておきたいという見立て。もしかしたら、それは当たっているかもしれません。

     

     しかしFRBのやり方に文句を言い続けているのは、あくまでも単に株価を上げたいというのではなく、中国、EU、日本との貿易赤字の削減が目的であり、そのためにもドル高を止めたいというだけのこと。

     

     これがトランプ大統領の本当の目的であって、大統領選挙のときから主張してきた公約でもあります。だからFRBのやり方に文句をいって利下げを促しているのは、その公約を実行しているにすぎないのです。

     

     

     

     というわけで今日は「パウエル議長のFRB利下げの失敗」と題して論説しました。 

    パウエル議長は、トランプ大統領の真意を理解せず、ただインフレを恐れるがあまり、市場へのメッセージの発し方を誤りました。今後のFRBの金融政策が転換され、引き続き断続的に利下げを実施するのか?注視したいと思います。

     

     

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