農産物の大量購入の約束を守らない中国に対して、トランプ大統領の関税第四弾の鉄槌が下る

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     今日は「農産物の大量購入の約束を守らない中国に対して、トランプ大統領の関税第四弾の鉄槌が下る」と題して論説します。

     

     ブルームバーグの記事をご紹介します。

    『ブルームバーグ 2019/08/02 02:52 トランプ大統領、中国製品3000億ドル相当に関税へ−9月1日から

     トランプ米大統領は1日、現時点で制裁関税の対象となっていない中国からの輸入品3000億ドル(約32兆2300億円)相当に10%の追加関税を課すと発表し、中国との貿易戦争をいきなりエスカレートさせた。この関税が発動されれば、米消費者はこれまでより直接的な影響を被る見込み。

     トランプ大統領はツイッターで、この新たな関税は9月1日から賦課されると説明した。また大統領はその後、スマートフォンやノート型パソコン、子供服などを対象とする追加関税について、税率は25%を「はるかに上回る」可能性があると述べた。2500億ドル程度の中国産品を対象とする25%の追加関税は継続することから、中国からの輸入のほぼ全てが制裁関税の対象となる見通し。

     今回の発表は対中通商関係を巡ってトランプ政権による最も強い緊張激化の動きとなる。そして米中首脳が6月の大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議の際の会談で合意した「休戦」はあっけない幕切れとなった。

     中国の王毅外相は2日、米政権の関税方針に関する中国側の初めての正式な反応となるコメントを発表。同相は「新たな関税を賦課することは、貿易摩擦への正しい解決策では決してない」と、タイ・バンコクでの東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に合わせて現地の中国テレビ局に語った。

     中国外務省の華春瑩報道官は2日の定例会見で、「米国が追加関税を実施するのであれば、中国として必要な対抗措置を講じなければならないだろう」と言明。どのような措置となるかは詳述しなかった。

     米株式市場は関税発表を受け反落、S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数はいずれも下げて終わった。米国債相場が大幅に値上がりした一方、ニューヨーク原油先物相場は8%近く下落し、この4年余りで最大の下げとなった。

     トランプ大統領はオハイオ州シンシナティでの1日夜の政治集会でも中国に言及した。「彼らはわれわれとの取引を取りまとめたい考えだと思うが、はっきり分からない」と言明。「合意が成立する時まで、われわれは中国に徹底的に関税を課すことになるだろう」と述べた。

     上海での協議に詳しい関係者6人の話では、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官に対し、中国からの新たな提案は一切なかったという。

     トランプ大統領は新たな関税を巡る一連のツイートで、さらなる協議の扉は開いたままとする姿勢を示した。「包括的な通商合意に関して中国との前向きな対話を継続することをわれわれは期待する。両国の未来は非常に明るいと感じている!」と述べた。その後、オハイオ州の集会出席のためホワイトハウスを離れる際に記者団に、習近平国家主席の貿易戦争解決に向けた動きは「十分に迅速ではない」と語った。

     上海で今週行われた協議の後、米中は両国の交渉担当者が9月初めにワシントンで再び協議に臨む予定だとしている。トランプ政権に近い複数の関係者は、引き続き予定通り協議を行う方針だと話した。

     ただ関係者によると、2020年米大統領選後の政権交代の可能性を見越して、中国が協議を来年まで引き延ばそうとしているように見られるとして、トランプ大統領と側近らは懸念を強めているという。(後略)』

     

     

     ブルームバーグの記事の通り、トランプ大統領は突如、対中国の関税第4弾を発表しました。

     

     対中国の貿易交渉がついに決裂し、第4弾の関税措置として、3,000憶ドル相当(日本円で32兆円相当)に対して、10%の関税をかけることになりました。

     

     これにより、中国から米国へ輸出する品目ほとんどすべてに関税がかかることになります。具体的には、ノート型PC、タブレット型PC、衣料品、おもちゃなど、消費財が多く対象となっています。

     

     これを受けて米国の株式市場は大きく下落しましたが、株だけでなく10年物の債券が1.9%を割り込む水準で金利が推移しています。下記は米国国債10年物のチャートです。

     

    <米国国債10年物>

    (出典:ヤフーファイナンス)

     

     これはマーケット関係者の間で、中国経済がさらに悪化するだろうということを見越していると思われます。

     

     なぜトランプ大統領は第4弾の関税をかけてきたのか?ウォールストリート・ジャーナルの社説で、為替相場についての指摘がありました。

     

     どのような指摘か?といえば、トランプ大統領の目的は、人民元を急落させることが目的ではないか?ということです。人民元の対ドル相場は急落しています。いわゆる資本逃避(=キャピタルフライト)が発生していると思われます。

     

     中国国内にある資本が人民元から米ドルや日本円に逃げていくとなれば、中国共産党政府は人民元を買い支えなければなりません。

     

     トランプ大統領は、これが狙いではないか?と思われます。

     

     中国のお金というのは、人民元という通貨自体が中国人にも信用されていません。だからこそ中国人はビットコインなどの仮想通貨に換え、その仮想通貨を米ドルや日本円に交換したりするのです。

     

     平常時ではそうした動きはそれほど顕著とはならないものの、有事になれば日本円や米ドルに逃げていくいわゆるキャピタルフライトが発生します。これこそが中国共産党政府の最大の弱点です。

     

     まさにトランプ大統領は、その弱点を突き、中国に対して貿易交渉で譲歩を要求する戦略ではないか?というのがウォールストリート・ジャーナルの見立てです。

     

     ではなぜ、このタイミングでトランプ大統領が関税第4弾を放ったか?

     

     7/12に各紙が報じていますが、7/11トランプ氏はツイッターで「中国に失望した。米農産物を買うと言っておきながら買ってない。」と述べ、6月の米中首脳会談後の中国の対応を批判しました。

     

     もともと日本の大阪で開催されたG20で、米中首脳会談が行われ、中国が農産物の大量購入を約束したため、それをもってトランプ大統領は関税をかけることを留保し、交渉を継続することとなりました。

     

     2019/05/01レコードチャイナによれば、中国は米国からの大豆の輸入を大幅に減らし、ロシアやブラジルなどからの購入を増やしました。もちろん米中貿易戦争中なので、中国は中国なりにリスクヘッジしたということです。

     

     中国にとって大豆は直接食べる豆類加工品の原料になるだけではなく、家畜の飼料になるため、極めて重要な農産物です。

     

     中国国内の供給の増産に力を入れ始めているものの、国内だけでは十分な生産量が確保できず、国外に調達先を探さなければならない状況で、米中貿易戦争となったことで大豆の調達先を米国からロシア・ブラジルに変えました。

     

     その後、G20の米中首脳会談で米国の農産物を大量に買うと約束しておきながら、普通に反故にしたとすれば、トランプ大統領が怒る気持ちは十分に理解できます。そこで2019/07/31にムニューシン財務長官、ライト・ハザーUSTR代表が上海を往訪し、交渉を再開したもののわずか5時間で決裂。その後、トランプ大統領が「中国は農産物の大量購入の約束を全然守ってない」とツイートし、不満感・不信感がピークに達して、第4弾の関税発動に踏み切りました。

     

     最初は10%となっていますが、中国の態度によっては、おそらく25%に引き上げるでしょう。

     

     関税引き上げは、米中双方に痛みがあります。しかしながら米国は内需国、中国は外需で稼ぐ国ということで、米中間の貿易の輸出額を相対で見れば、2017年の数値で、輸出金額にして中国→米国の輸出額5,056憶米ドル、米国→中国の輸出額1,304億米ドルと、3倍以上も違います。

     

    <米中間における貿易構造(2017年)>

    (出典:三井住友銀行のアナリストレポートの中国国家統計局から作成した資料を引用) 

     

     

     

     外需に頼る国は、外交で弱いということを露呈していますが、まさに米中貿易戦争で中国に勝ち目がないと言われているのは、そいういうことです。

     

     事実、既に中国は米国から輸入するものに対して、すべて関税をかけてしまっているため、中国側には打つ手がありません。

     

     一方のトランプ大統領は中国の反応によっては、10%→25%に引き上げるというカードを残しています。

     

     それに対して中国は対抗しようにも何もできず、そこに人民元の急落となれば、さすがの中国も厳しいのでは?と考えます。

     

     

     というわけで今日は「農産物の大量購入の約束を守らない中国に対して、トランプ大統領の関税第四弾の鉄槌が下る」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事〜

    日本はトランプ大統領の関税カードの使い方を学ぶべきです!

    トランプ大統領の中国製品の関税25%引き上げの真の狙いは何か?

    米国債残高1位の中国は米国債売却で反撃するという言説について

    米中貿易戦争で中国は勝てません!

    中国Huawei・ZTE問題と、国家安全保障にかかわる次世代通信システム5Gサービスについて

    覇権挑戦国に伸し上がろうとする中国をつぶそうとしている米国


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