消費増税は、リーマンショック何回分のダメージか?
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今日は「消費増税は、リーマンショック何回分のダメージか?」と題して論説します。
安倍政権は、リーマンショッククラスの事件が起きない限り、10月からの消費増税は予定通り実施するとしており、消費増税の是非は参議院選挙の争点の一つになっています。
消費増税をすると、消費が鈍化するのは明白で、何しろ消費に対する罰則課税であるため、V字回復どころかL字で回復せず、物価下落を通じて、実質賃金も下落していくことになります。
例えばたばこ税を引き上げた場合も、喫煙者が「これからタバコをガンガン吸うぞ!」とはなりませんし、炭素税を引き上げる場合も、企業経営者が「これから二酸化炭素をガンガン排出するぞ!」とはなりません。
それと同様に消費増税した後、「消費をガンガン増やすぞ!」という人はいません。消費税が消費に対する罰則課税なので、いうまでもありません。
そして経済成長というGDPでみますと、日本のGDP500兆円のうち、6割の300兆円が個人消費です。そのため、消費増税による経済成長の鈍化・抑制の影響が極めて大きいのです。
特に日本の場合、バブル崩壊後に緊縮財政をやってしまったため、1997年の消費増税5%UPをやって以降、経済成長しなくなりました。下記はGDPの伸び率について世界各国と比較したグラフです。
<世界主要国のGDPの伸び率>
(出典:世界経済のネタ帳)
上記の通り、日本が失われた20年といわれるのが、よく理解できるかと思います。1997年と2016年の比で、中国は13倍、韓国が2.4倍、米国2.3倍、英国1.9倍で、日本が1.0倍です。
1997年の消費増税では、増税前バブル期がGDPで3%〜4%と伸びていて、バブル崩壊後でも2%以上伸びていました。2%台というのは、OECD加盟国97か国中95番目でものすごい低い数値であり、その状況で橋本政権のときに消費増税5%をやりました。その直後のGDPは0.16%にまで下がり、97か国中最下位になったのです。
したがって1997年の消費増税5%をやっていなければ、バブル崩壊後も2%台で経済成長していたこととなり、もしそうだとするならばGDPの伸び率がどのくらい抑制されてしまったのか?計算することができます。
<ケーススタディ>
●1997年のGDP500兆円
●1997年の消費増税5%がなかったとして消費税率3%のまま1997年〜2018年まで22年間GDPが2.0%ずつ伸びていたと想定
500兆円×1.020^12(1.020の12乗)=約4,350兆円
消費増税というよりも、1997年の構造改革基本法の制定がなければ、公共事業の削減もしなかったでしょうし、伸びる医療・介護費も抑制することはなかったでしょう。
その結果、政府支出や個人消費が伸びたものとして2%ずつ成長していれば、実にGDPは8倍以上にもなっていたのです。逆に消費増税と公共事業削減と医療・介護費の抑制によって、約4,800兆円GDPが下がったともいえます。
リーマンショックのとき、消費が落ち込みましたが、その時の被害が約90兆円で、90兆円÷1億3000万人≒692.307円で、一人当たり70万円の損失です。
消費増税で約4,800兆円下がったということと、リーマンショックで約90兆円の被害があったとするならば、実にリーマンショックが50回で4,500兆円となるため、リーマンショック50回以上のダメージを受けると、今の日本経済になるということがいえます。
そのため、リーマンショック級という概念自体が成立せず、経済成長率は何年も経過すると、すさまじい被害を被るということがわかります。
というわけで今日は「消費増税は、リーマンショック何回分のダメージか?」と題して論説しました。
2014年の消費増税8%から既に5年が経過しました。リーマンショック何個分か?といえば、2014年の8%増税前は、1.数%消費が伸びていましたが、それ以降は0.4%程度に落ち込みました。またバブル崩壊後2.数%経済成長していたとき、1997年の5%増税で1.数%に経済成長率が抑制されています。もし10%増税をすれば、ほとんど0.0%で全く経済成長しなくなります。
安倍首相の判断で、既にリーマンショック級の何個分になるのか?我が国は、その被害を受けようとしているのです。
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- 2019.07.19 Friday
- 日本経済(税制問題)
- 01:35
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- by 杉っ子