麻生財務大臣と財務省の言説の矛盾

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    JUGEMテーマ:経済成長

     

     

     今日は「麻生財務大臣と財務省の言説の矛盾」と題して論説します。

     

     今、世界経済が減速に向かっているわけですが、その理由として、米中貿易戦争と英国のブレグジットの2つをあげられることができるかと思います。

     

     トランプ大統領による米中貿易戦争は、安全保障でアメリカファーストを貫くため、保護主義に傾注しようとしている一方、英国のブレグジットは英国議会がEUとの合意案をまとめきれず、問題が長引いており、合意なき離脱になるのか否か?やきもきしているというのがこのブレグジット問題です。

     

     そして、上述の2つ以外に、もう一つ隠れたテーマがあるのでは?と私は思っておりまして、それが日本の消費増税です。

     

     消費増税は私たちの生活に関わるだけではなく、世界経済に関わる問題だと思うのですが、今のところ目立って何か起きているわけではありません。

     

     日本が議長国だった大阪開催のG20は終わりました。当初、財務省あるいは安倍政権の意向で「反保護主義」の文言を明記しようとしましたが、これは見送られました。

     

     トランプ政権は対中国の貿易赤字を減らしたい、対日の貿易赤字を減らしたいということに加え、安全保障上の脅威となるので輸出には関税をかけるという意向がある一方、日本の財務省は、対米で貿易黒字が続く方が都合がよいため、反グローバリズムの発想で「反保護主義」を明記しようとしたのだと考えられます。

     

     一方で日本のマスコミの論調は、米国のトランプ大統領が来年の大統領選挙の再選のためにFRBに利下げのプレッシャーをかけていると報道しています。何しろ来年の選挙の時に景気が悪いと困るからというのが日本のマスコミの見立てです。

     

     特に朝日新聞の論調は、ひどすぎます。トランプ大統領の行為が国際協調に逆行し、中央銀行の独立性を脅かして、世界経済の足を引っ張ろうとしているという論調だからです。その朝日新聞の記事をご紹介します。

     

    『朝日新聞 2019/06/16 10:21 FRB議長がトランプ氏に公然と反論「政治から独立」

     米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は25日の講演で、「FRBは短期的な政治圧力から遮断されている」などと語り、中央銀行の独立性を説いた。FRBに対して連日、公然と大幅利下げを迫る米トランプ大統領に公の場で反論した形だ。

     パウエル氏はニューヨーク市内での講演の冒頭、「議会がFRBに独立性を与えたのは、短期の政治的利益のために政策がねじ曲げられたときに、危害が生じてきたからだ」と指摘。世界の主な民主主義国家は、いずれも同様の独立性を得ていると述べた。

     米中通商摩擦で世界経済に不透明感が強まっていることを受け、FRBは金融緩和の方向に転じている。パウエル氏は「成長を維持するために適切に行動する」と利下げの用意があることを引き続き示唆する一方、「いかなる個別指標や短期的な市場心理の揺れにも過剰反応すべきでない」とも指摘。7月の利下げを当然視している市場にもクギを刺した。

     昨夏から露骨なFRB批判を繰り返してきたトランプ氏だが、最近はパウエル氏の解任までちらつかせるなど発言をエスカレートさせており、中央銀行の独立が危ぶまれている。(ニューヨーク=江渕崇)

     

     

     このようにFRBのパウエル議長が、中央銀行の独立性を説いたとして、トランプ大統領の行為をネガティブに報じています。

     

     しかしながら、こうした論調には私は違和感を感じます。なぜならば、朝日新聞の論調で言えば、トランプ大統領がFRBに利下げを要求することが世界経済のリスクということになるからです。

     

     もし、今までの大統領のようにトランプ大統領がFRBに対して何も言わなかったら、FRBはどうしていたでしょうか?

     

     私は、間違いなくFRBは利上げをしていたと思います。ところがトランプ大統領はFRBに対して利下げを要求しています。これは異例中の異例で、それをやるのがトランプ大統領です。

     

     仮にもFRBが利上げしていたら、間違いなく米国経済は減速します。ただでさえ、日本中国欧州と世界中の先進国の経済が悪くなっている中で、最後に残っている好調な米国経済ですら減速するようなことになれば、世界経済全体が困ることになります。

     

     だからFRBが利下げを要求することが世界経済のリスクと考えている朝日新聞の論説は間違っています。

     

     そして麻生財務大臣は、消費増税を表明しました。麻生大臣は貿易問題について発言し、二国間交渉は間違っていて、多国間の枠組みで取り組むべきとし、TPPの内容以上の譲歩はしない旨を主張しました。

     

     これは誰に対して主張しているか?といえば、明らかにトランプ大統領に対する主張です。

     

     麻生大臣は、米国のトランプ大統領はモノの輸出の貿易収支に拘りすぎているので、貿易を経常収支で見るべきであると提案もしました。具体的には、モノだけでなく、サービスのやり取り、金融取引のやり取り、すべてを赤字か黒字か?で見るべきであると主張しています。

     

     例えば、モノの貿易だけで見ると、米国の対日赤字は8000億円あるのですが、金融取引で儲けているので、経常収支では4000億円の赤字にまで圧縮されます。約2000兆円の米国のGDPから見れば、4000億円は大したことがないだろうというのが、麻生大臣の主張で、だから米国は日本や中国に対して貿易収支だけをみて、赤字額を減らせ!=輸出額を減らせ!と言わないで欲しいということでもあります。

     

     しかしながら、この麻生大臣の考え方、貿易収支ではなく、経常収支で見るという考え方だと、経常収支が赤字の国は消費を控えて貯蓄をしてください!ということになります。

     

     そして経常収支の黒字国である中国、ドイツ、日本は「黒字がたっぷりあるから国内の消費を伸ばしてください!」ということになります。

     

     この考え方で問題がないか?といえば、大いに問題があります。今の米国が経常収支赤字国であるため、「消費が旺盛すぎるので消費を控えて貯蓄せよ!」となれば、米国の消費が止まってしまいます。そうなれば米国の旺盛な消費のおかげで米国経済が絶好調となり、何とか世界経済全体が保たれているのに、その米国の消費を止めてしまって困るのは、世界経済全体が困ることになります。

     

     と同時に、世界経済のリスクの中で、隠されたリスクは日本の消費増税です。日本は経常黒字国なので、経常黒字国がやるべきことは貯蓄ではなく消費です。トランプ大統領に対して「消費が旺盛すぎるので貯蓄せよ!」とはデフレを助長するだけですのでそのように主張することができるはずがありません。むしろ世界経済が復調となるまで、対米で貿易黒字を続ける方良いとする財務省にとっては「トランプさん!米国では旺盛な消費を継続もしくは、さらに拡大して欲しい!」ということになるのです。

     

     ところが日本は消費を減らす消費増税をやるというわけですから、こうした言説は明らかに矛盾しているのです。

     

     

     というわけで今日は「麻生財務大臣と財務省の言説の矛盾」と題して論説しました。

     麻生大臣が日本における10月の消費増税を明言しておきながら、米国に消費をするな!と主張することの矛盾に気付いているのか?私には不明です。グローバリズムで輸出を伸ばせば、人々に幸福が来るか?といえば、幸福はありません。

     そのグローバリズムに対する怒りで、米国ではトランプ大統領が現れ、英国ではブレグジットとなりました。それだけではなくドイツやフランスでも反グローバリズム政党が台頭し、世界は反グローバリズムという流れが加速されようとしています。

     かつて経済学者のジョンメイナードケインズは、輸出を伸ばせば戦争になるが、各国が自国で需要を創出することに注力すれば、やがて戦争はなくなると言っていました。

     グローバリズムで輸出で稼ぐのではなく、内需拡大こそが自国民を幸せにして世界での戦争ですら無くなっていくことにつながることを、多くの人々に気付いていただきたいものと私は思うのです。

     

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