いよいよ円高を傍観するしかなくなる日本銀行

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    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

     

     今日は為替相場と金相場の上昇について意見します。

     

     まずは米国債10年物利回りのチャートと金相場のチャートをご覧ください。

     

    <米国債10年物利回りのチャート>

    (出典:三井住友銀行)

     

     

    <金相場のチャート>

    (出典:楽天証券)

     

     先週から金融市場、特に米国債の長期金利で大変なことになりました。上記チャートの通り米国債10年物の金利が2%を切り、金相場が上昇しました。

     

     その理由は、世界の中央銀行が同時に金融緩和に入ったというのが原因です。

     

     次にブルームバーグの記事と日本経済新聞の記事をご紹介します。

    『ブルームバーグ 2019/06/18 20:03 ドラギ総裁:ECB追加緩和が必要−インフレ圧力低いままなら

     欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は追加金融緩和に近づいていることを鮮明にした。リスクが高まり、行動をとるべき根拠が増している様子だ。

     ドラギ総裁はポルトガルのシントラで開催のECB年次フォーラム冒頭演説で、見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は「追加の刺激策が必要になるだろう」と述べた。ECBはフォワードガイダンスの修正が可能であるとともに、利下げは政策手段の一部であり資産購入も選択肢だと語った。

     総裁の発言を受けてユーロは一時ドルに対して0.3%安となり、10年物ドイツ国債利回りは過去最低のマイナス0.3%を付けた。短期金融市場は12月までにECBが0.1ポイントの利下げをするとの見通しを織り込んだ。

     ドラギ総裁は、地政学的要因と保護主義、新興市場の脆弱(ぜいじゃく)性によるリスクは消えておらず、特に製造業の重しとなっていると分析。物価安定へのリスクに対して取り得る手段を政策委員会が今後数週間に検討すると述べ、政策行動に関する議論がECB内でより正式なものになりつつあることを示唆した。

     「危機が何かを私たちに教えたとすれば、責務を遂行するために責務の範囲内でできる限りの柔軟性を生かすということだ。将来的に物価安定で課題が生じる際には、その対応として再びそうする」と総裁は語った。』

     

    『日本経済新聞 2019/06/20 03:02 FRB、早期利下げも 声明で「成長持続へ行動」

    【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、政策金利を据え置いた。ただ、声明文には「先行きの不確実性が増しており、成長持続へ適切な行動をとる」と明記。参加者17人のうち半数近い8人が2019年中の利下げを予測し、景気減速リスクが強まれば年内に金融緩和に転じる可能性を示唆した。

     19日の会合では、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、年2.25〜2.50%のまま据え置いた。投票メンバー10人のうち9人が賛成したが、セントルイス連銀のブラード総裁は0.25%の利下げを求めて反対票を投じた。FOMCは15年末に利上げを再開したが、利下げを求める反対票が出たのは初めてだ。

     会合後に公表した声明文では、景気動向について「経済活動は拡大が続くとみているが、先行きは不確実性が増大している」と指摘した。金融政策も「不確実性や物価停滞という観点から、今後の経済情報を注視し、経済成長や2%の物価上昇率を持続するため、適切な行動をとるだろう」と明記した。

     5月の前回会合時の声明文は「先行きの政策金利の調整は、様子見が適切だろう」としていたが、大幅に修正した。パウエル議長は19日の記者会見で「前回会合以降、逆風が再び強まった」と指摘し、貿易戦争による輸出入の減退や企業心理の悪化を景気の懸念材料として挙げた。(中略)

     先物市場はFRBの年内の利下げをほぼ100%の確率で織り込んでおり、投資家が注視するのは金融緩和への転換時期だ。パウエル議長は記者会見で「今後の経済データを注意深く精査する」と述べるにとどめ、具体的な時期を示唆するのは避けた。6月末の米中首脳会談では貿易問題が主題となる見込みで、関税合戦の景気への影響を見極めたい考えがある。

     もっとも先物市場では、7月末に開く次回会合で利下げに踏み切るとの予測が8割を超える。20年の再選を目指すトランプ大統領も「1%程度の利下げ」を公然と要求し始めた。市場と政権の利下げ圧力は日に日に強まっており、FRBは利下げ転換の是非を早晩迫られることになる。

     

     

     上記ロイター通信の記事の通り、欧州中央銀行のECBは、追加の金融緩和のスタンスを鮮明にしました。一方で米国の中央銀行のFRBもまたFOMC(連邦公開公開市場委員会)が開かれ、利下げのスタンスを打ち出しています。

     

     一方で日銀は現状維持です。そのため、日銀は打つ手がない状態であることを新たに示したことになります。なぜならば、マイナス金利になっているにもかかわらず、デフレを放置しているため、資金需要がありません。そのため、どれだけ金利が下がろうとも、お金を借りてまでしてビジネスをしようとする人は極めて少ないのです。デフレは値段を下げないとモノ・サービスが買われない状況ですので、儲かりにくい環境であるがゆえに、企業は金利がどれだけ下げようとも銀行からお金を借りないのです。

     

     そもそも財政出動をせず、金融緩和だけやったとしても、デフレ脱却できるはずがありません。そして金融緩和だけやるということは、民間銀行の収益が悪化します。既に地銀は、2019年3月期決算で、全体の7割が純利益で減益となる状況であり、一部の沖縄銀行などを除き、地銀の経営は悪化する一方です。

     

     この状況で米国のFRBが利下げを行えば、米国の金利は下がり、金利差が縮まってドル円相場は円高に向かうことになると私は予測します。

     

     欧州ECBが追加金融緩和に向かおうとしていることに対して、トランプ大統領が批判しています。トランプ大統領は2019/06/18にツイッターで次のように述べています。

    「ドラギ総裁が追加の景気刺激策を発表したとたんユーロがドルに対して下落し、ユーロ圏が米国との競争で不当に有利になった。ユーロ圏は中国やその他の国とともに長年このやり方で米国から儲けてきた。」

    と批判しました。

     

     米国は、EUと日本に対する貿易赤字の問題を抱えています。特にトランプ大統領は、EUと日本の自動車の輸入による貿易赤字を、自国の自動車産業とその雇用を守るという観点から問題視しているのです。そのため、EUと日本が金融緩和をすれば、ユーロ安・円安となって米国が著しく不利になるというのを辞めさせたいという意向があります。だからトランプ大統領はツイッターでECBの金融政策に対してツイッターで介入してきたといえるでしょう。

     

     米国の大統領が他国の金融政策に介入するというのは異例中の異例で、内政干渉といえます。しかしながら米国民ファーストを阻むものがあれば、異例中の異例のことをやってでもそれを行動に移すのがトランプ大統領です。

     

     トランプ大統領のツイッターでいえること、それは日本に対しても「円安に誘導するような金融緩和をするなよ!」というメッセージであることを、私たち日本人は認識する必要があります。

     

     米国の長期金利が2%を割るというのは、米国の経済が絶好調な状況からみれば、考えられなかったことです。

     

     トランプ大統領の1兆ドルインフラ投資や大減税を中心とした経済政策が功を奏して、米国の景気はめちゃくちゃよくなりました。失業率は3.8%で過去50年間で最低水準にまで低下しており、実質賃金は年率2.8%上昇という成果を出しています。

     

     このように経済が好調なのを受けて、FRBはインフレになるとして4回も利上げをしました。今年も利上げは続くと大方の市場関係者は予測していたと思われますが、現実は全く逆の状態になっているというのが、日本経済新聞の記事からも読み取れます。

     

     この2%割れは、どう見るべきか?といえば、利下げを催促しているとしか言いようがありません。要は米国経済は依然いいかもしれませんが、世界経済が悪すぎるということです。

     

     日本経済も中国も欧州も悪いことに加え、米中貿易戦争が長引きそうであるため、今後悪影響が出ることを見越して、FRBに対して早めに利下げをして欲しいと催促しているとみるべきです。

     

     もう1つ注目すべきは先ほど紹介したチャートの通り、金相場が上昇しています。通常は金相場が上昇するのはインフレの時です。ところが今、世界的に景気が悪いデフレであるにもかかわらず、金相場が上昇しています。これは世界がデフレに向かっているからこそ、通貨全体の信用・価値が落ちて、代わりに金が上昇しているということかもしれません。

     

     さて、ここで重要なのは日本経済がどうなるか?ですが、私はドル円相場が今後、円高に向かう可能性があるものとみています。

     

     理由は世界が金融緩和に入ったとなれば、ドル安、ユーロ安となります。FRBが利下げをするなど、米国の金利は本格的に下がっていくことになるでしょう。

     

     となればドル円の為替相場は、105円とか100円くらいにまで円が上昇することもあるかもしれません。なぜならば金融緩和をやるのはいいですが、国債の増刷をしていないため、国債不足で金融緩和ができず、円高になるのをただただ日銀は傍観するしかない状況だからです。

     

     このように世界経済が異変の中にある状況で、大阪でG20が行われます。

     

     G20で取り上げるテーマは、言うまでもなく世界経済であり、議長国は日本です。

     

     にもかかわらず、議長国の日本は消費増税をするという自らデフレに向かおうとする政策を実行しようとしています。

     

     米国の経済がトランプ大統領の政策で絶好調になっているにもかかわらず、米国は利下げです。

     

     そのくらい世界経済が厳しい状態、難しい状態になっています。

     

     そのような何十年に1回、100年に1回あるかないか?という厳しい経済状況であるにもかかわらず、予定通り消費増税をするという日本政府は、あまりにも現実が見えていないとしか言いようがありません。

     

     本来消費税は、景気によって利率を下げたり上げたりするものであり、欧米が20%台だから、日本も20%台まで引き上げなければならないなどということは、全くあり得ません。少なくても今の日本の状況は消費税の減税を検討すべき状況です。

     

     にもかかわらず消費税を上げるというのは、この国の経済政策が間違っているということを、アホな国会議員以外の日本人が認識し、政治家に訴えていく必要があるものと思うのです。

     

     

     というわけで今日は「いよいよ円高を傍観するしかなくなる日本銀行」と題して論説しました。

     消費増税をした場合、日米FTAでも米国が強く米国製品を買わせるコミットメントを強要する可能性があります。なぜならば消費税は消費に対する罰則課税であり、米国製品を買うにしても消費増税によって価格が上がってしまうからです。価格を下げないと売れないとなれば、米国製品を製造する側から見れば、儲けが少なくなります。結局、日本の消費増税は、米国からみれば、関税を引き上げるのと似た効果があるといえます。

     となれば、米国は「最低限米国製の自動車を○○台買え!」とか「最低限米国産の農産物を○○だけ買え!」とか「農産品に対する関税を引き下げろ!」などという圧力をかけてくる可能性が十分に予想できます。いずれも日本の雇用を奪い、賃金が下がる内容であり、簡単に受け入れることはできない内容です。

     日米FTAなどの通商政策を考えても、消費減税をすることが日本経済を復活させ、米国製品を買うほど消費が旺盛になるとなれば、それこそがトランプ大統領に対するプレゼントになるものではないかと、私は思うのです。

     

     

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