安倍首相のイラン訪問の成果について

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     今日は安倍首相のイラン訪問について意見したいと思います。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2019/06/14 23:37 首相、タンカー攻撃「断固非難」 日米首脳が電話   トランプ氏、イラン訪問に謝意

     安倍晋三首相は14日夜、トランプ米大統領と約30分間電話した。トランプ氏は首相のイラン訪問について謝意を伝えた。中東ホルムズ海峡近くで日本などのタンカー2隻が攻撃を受けた事件に関して話し合った。首相は協議後、「いかなる者が攻撃したにせよ、船舶を危険にさらす行動に日本として断固非難する」と強調した。

     両首脳は中東地域の安定へ日米で連携する方針を申し合わせた。首相は「すべての関係国が緊張を高める行為は厳に慎むべきだ」と訴えた。「地域の平和と安定、世界の繁栄のために今後とも国際社会と緊密に連携しながら努力を重ねたい」と述べた。

     首相は12〜14日にイランを訪れ、最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領と会談した。「軍事衝突は誰も望んでおらず、現在の緊張の高まりを懸念している」として米国との対話を促した。ハメネイ師は「核兵器の製造も保有も使用もしない。その意図はないし、すべきではない」と語った。

     トランプ氏はイランとの話し合いに消極的だ。13日にはツイッターで「個人的には(イランと)取引するのは時期尚早だ」と記した。

     タンカー攻撃を巡ってポンペオ米国務長官は記者会見で「イランに責任がある」と語った。収集した情報や使用された武器を総合的に検証した結果と説明した。日本政府は証拠を示すよう米政府に求めた。イランは事件の関与を否定している。

     電話協議に先立ち首相は都内の会合で、イラン訪問について「緊張緩和に向けてできる限りのことをしたいとの思いで訪問した」と説明した。「様々な困難が伴うが、絶対に武力衝突があってはならない」と強調した。』

     

     

     上記は日本経済新聞の記事です。安倍首相は日本時間で6/12(水)にテヘランでロウハニ大統領と会談しました。その後、翌日の6/13(木)朝にオマーン湾で、日本の国華産業(株)が保有する石油タンカーと、台湾の台湾中油が保有する石油タンカーが攻撃を受けました。未だ犯人は特定できていませんが、日本の安倍首相、米国のトランプ大統領がともに非難したというニュースです。

     

     タンカー攻撃の前に、そもそも安倍首相のイラン訪問について意味があったのか?と私は思います。安倍首相がイランを訪問した理由は、米国とイランが対立しており、仲介役として今回イランを訪問したということになっています。

     

     もともと米国とイランがなぜ対立して緊張が高まってしまったのか?イランによれば、その理由は、米国がイランに仕掛けた経済戦争が原因であると主張しています。イランは、米国側がこの経済戦争をやめれば、地域と世界に前向きな進展が訪れるだろうと述べており、さらにイランとしては相手国が米国だろうがどこの国であろうと、いかなる戦争も始める側にはならないが、もし戦争を仕掛けられれば、断固たる措置を取るとして、米国をけん制していました。

     

     もちろんロウハニ大統領は米国との戦争は望んでいません。今回の会談でロウハニ大統領は、米国のトランプ政権に対して、特に原油禁輸制裁の停止を要求していることについて、安倍政権に対してトランプ大統領に伝達することを依頼したとされています。

     

     なぜ米国がイランに経済戦争を仕掛けたか?というと、2015年7月にオバマ政権のときに米国はイランと核合意をしました。ところがトランプ大統領は、オバマ政権が合意した内容が手ぬるいということで2018年5月に一方的に破棄しました。特にイランが悪いことをしたわけではなく、イランからみれば米国政府と2015年7月に合意した内容を守っているにもかかわらず、トランプ大統領が一方的に勝手に破棄したという状況であるため、どちらかといえばイランの主張の方に正当性があるものと私は思います。

     

     一方、日本とイラクの関係でいえば、『海賊と呼ばれた男』という小説にもなった物語にある通り、第二次大戦直後に、出光さんという人の日章丸というタンカーで、英米石油資本を敵に回したイランから、日本が石油を輸入したときから、日本とイラクの友好関係が始まっています。

     

     第二次大戦後、民主主義の高まりにより、イランが自国の石油は自国の裁量で売らせて欲しいと主張したところ、英国が激怒しました。そして英国はイランを封鎖して、イランから原油を出すタンカーは撃沈すると宣言しました。

     

     このように世界の石油資本を敵に回して四面楚歌だったイランを、日本の出光さんが日章丸というタンカーをイランに派遣し、イギリス海軍に撃沈されるかもしれないというリスクを背負って、原油の輸入に成功し、イランの原油輸出を助けたのです。

     

     その後、イラン革命が起きて、パフラディ―国王を米国がかくまったために米国とイランは戦争状態となり、イランは米国と仲が悪くなりましたが、日本だけは上述のような歴史的な経緯があって仲が良いのです。

     

     そこで今回、米国とイランの緊張が高まった状況を緩和するための仲介役を買って出たとされています。もちろん、これでうまく緊張が緩和できるような成果が出れば、大きな手柄になったといえるでしょう。

     

     実際は、今回の外交はどうだったか?といえば、成果は乏しいものだったのではないでしょうか?

     

     そもそも核合意を巡って対立を深めていた米国とイランですが、日本にとっては核合意は関係のない話です。そのため、安倍首相は米国から聞いた話をロウハニ大統領に伝言しただけに過ぎず、一方でイランからは米国に対して経済戦争を辞めるように伝えて欲しいと言われただけです。正直なところ「安倍首相のイラン訪問=”ガキ”の使い」と言われても仕方がないのでは?といえます。

     

     2015年7月に米国とイランで合意された核合意とは、オバマ政権が働きかけて歴史的にイランと和解し、イランのみならず国際社会で外交を良好に進めるということでイランも承諾して合意したものです。

     

     ところがトランプ大統領が勝手に反故にしました。一方で欧州各国は核合意を守っていると思って核合意に沿った対応をしているため、「なぜ急に反故にするのか?」というのがイラン側にあるのも無理はありません。

     

     トランプ大統領が勝手に反故にしたのも、トランプ大統領が嫌悪している前大統領のオバマ政権が決めたことだからというだけがその理由です。

     

     万一、この程度の安倍首相の外交でうまくいくとするならば、トランプ大統領が「ちょっとカッとなって冷静さを失ってしまった!ロウハニ大統領さん、申し訳ない!」と謝ることぐらいしかありえず、果たしてそんな話になるのか?といえば、案の定、そうはならなかったというのが今回のイラン外交だったと私は思うのです。

     

     

     というわけで今日は「安倍首相のイラン訪問の成果について」と題して論説しました。

     経済では、目立った成果が出ていない安倍首相が、外交で得点を稼ぎに行ったのでは?と思われても仕方がないかもしれません。

     米国とイランの緊張の高まりは、米国とイランの核合意の件の対立の問題であったため、イラン訪問で日本に何ができたのか?非常に不明だったといえます。

     例えば米国が「ロウハニ大統領さん、ゴメン!オバマ政権の合意でいいや!」となれば対立となる障害はなくなるものの、米国は「核開発を辞めろ!許さない!」といっているわけで、トランプ大統領が「ごめん!前のオバマ政権の合意のままでいいよ!」というはずがないのは、事前にわかっていたと考えれます。

     となれば、今回のイラン訪問に何か意味があったのか?私にはまったく理解できません。経済で成果を出せない安倍首相が得点稼ぎをしようと思ったものの、外交でも得点を稼げなかった。これが事実なのだろうと私は思います。


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