デフレ放置では銀行というビジネスは成り立たない

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     今日は「デフレ放置では銀行というビジネスは成り立たない」と題して論説します。

     

     下記は朝日新聞の記事です。

    『朝日新聞 2019/05/19 22:00 地方銀行7割が減益 収益モデル崩れ、日銀への恨み節も

     地方銀行の経営が厳しさを増している。全国の地銀の2019年3月期決算を朝日新聞が集計したところ、最終的なもうけを示す純利益が全体の7割で減っていた。人口減で資金需要が先細るうえ、アベノミクスによる超低金利政策で金利収入は減少の一途。経営改善のため、支店の削減や手数料値上げなど、利用者へのしわ寄せも広がる。

     全国の地銀のうち、19日までに決算が未発表の但馬銀行(兵庫)を除き、102行分を集計した。最終的なもうけを示す純利益(単体)は、7割の72行が減益・赤字転落。一般企業の売上高にあたる経常収益(同)は全体の6割が減っていた。赤字は、不動産向け融資の不正があったスルガ銀行(静岡)と第二地銀の大正銀行(大阪)だった。

     第一地銀(63行)と比べ、規模の小さな第二地銀(39行)は減益企業の比率が高い。地域別では、甲信越(新潟・山梨・長野)は6行中5行、四国4県は8行中7行がそれぞれ減益になった。一方で、観光や建設関連の産業が堅調な沖縄は3行中2行が増益だった。

     多くの地銀に共通するのは、高齢化で預金が積み上がる一方で、人口や企業が減って成長見込みのある貸出先が少ない苦境だ。アベノミクスによる異次元の金融緩和で超低金利政策が続き、追い打ちをかける。金利収入は減少の一途で、地銀が取引先に貸す際の金利は1%を切る。

     「名古屋金利」とも呼ばれ、低金利競争が激しい東海地方に至っては「金利ゼロで貸す地銀もある」(地銀関係者)ほど。お金を貸して利息を受け取る銀行の収益モデルが、成り立ちにくくなっている。

     地銀からは日本銀行への恨み節も聞こえる。西日本フィナンシャルホールディングス(福岡)の谷川浩道社長は「当初は短期間ということで(16年から)マイナス金利政策が導入されたが、時間が経ち、金融機関の多くはへたりこんでいる」と嘆く。日銀は少なくとも20年春ごろまで超低金利を続ける構えで、地銀には「冬の時代」が続く。(後略)』

     

     

     上記は朝日新聞の記事ですが、地銀の経営環境は苦しく、7割ものが減益となったとのこと。

     

     記事の見出しでは「日銀への恨み節も」とありますが、日銀を恨んでも仕方がありません。デフレなので金融緩和は必須です。負債の増加を伴わない財政出動では、経済のパイが増えることになりません。デフレ脱却のためには「金融緩和」と「財政出動」のポリシーミックスしかありません。

     

     その意味では私は「財政出動」をしない安倍政権を批判していますが、「金融緩和」の継続は必要との立場であり、朝日新聞の見出しの「日銀を恨む」というのはお門違いと言わざるを得ません。

     

     ”金融緩和すればデフレ脱却できる”という言説は、いわゆるリフレ派と呼ばれるもの。既に第二次安倍政権が誕生して6年以上が経過しますが、2013年こそ財政出動したものの、その後は緊縮財政をやっているため、「金融緩和」だけでは当然にデフレ脱却ができないという状況が続いています。そしてデフレを放置すると、当然のことながら銀行の経営が苦しくなります。

     

     また、人口減少による資金需要の先細りと日銀によるマイナス金利政策の影響で、経営には一段と厳しさが増しているとありますが、マイナス金利政策の影響で貸出金利が押し下げられて、地銀の痛手になっているという言説でいえば、前段の「人口減少による資金需要の先細り」というのがウソ・デタラメです。

     

     人口減少と資金需要の増減は、全く相関関係はありません。資金需要の増減は、需要があるかないか?であり、経営者がお金を借りて投資するしないの経営判断するときに考えることは、金利が安いからでもなければ、法人税が安いからということではありません。需要があるかないか?です。

     

     銀行のビジネスモデル、即ち銀行はどうやって利益を上げるでしょうか?

     

     当たり前ですが、貸し出しを通して金利で儲けます。昨今は金利で稼げないからフィービジネスということで、投資信託や保険の窓販に力を入れる銀行が多いですが、銀行の本業は貸し出しで儲けるということに他なりません。

     

     闇金ウシジマくんという漫画がありますが、例えば100万円貸して10日で5割の金利を払うとなれば、お金を貸すだけでぼろ儲けができます。実際は10日で5割ではなく、2%とか3%とか4%とかで課して儲けるというビジネスモデルです。

     

     ところが今、誰もお金を借りようとしません。なぜならばデフレだからです。

     

     デフレとは、モノ・サービスの値段を値下げしないと売れにくい環境であるため、お金を借りてまでして在庫を仕入れる、設備投資をするということが困難なのです。モノ・サービスの価格を値下げすれば、売上は減少となるため、借入金の返済が難しくなるリスクがあります。一方でモノ・サービスの価格を値下げせず、むしろ緩やかな物価上昇となっている環境では、相対的に借入金の元本の価値が減少するのみならず、売上が増加によって粗利益が増加しやすくなるため、借入金の返済は容易になります。

     

     今後の将来見通しが明るくなり、物価も緩やかな上昇するならば、経営者はお金を借りやすくなりますし、お金を借りて投資しようとします。法人税がいくら安かろうが、どれだけ金利が低かろうが関係なく、経営者は、値段の価格という名目需要と、個数がさばけるか?サービスをたくさん数多く買ってくれるか?という実質需要に着目し、経営判断をするのです。

     

     このようにして需要があれば、お金を年率3%で1000万借りて投資し、例えば3年くらい後で1500万儲かって、金利を単利で90万払っても410万は手元に残る(儲かる)から、投資しようと判断する。これが資本主義の姿です。

     

     銀行経営が苦しいのはデフレだからであり、デフレであれば銀行は死ぬしかありません。銀行というものは聞こえはいいですが、やっていることは消費者金融と似ていて、お金を貸して儲けるというビジネスモデルであり、お金を借りても失敗しやすいデフレではお金借りても大損するだけなのでお金を借りようとはしないのです。

     

     しかもこうした状況にもかかわらず、2019年10月消費増税10%を実行しようとしています。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事もご紹介します。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル 2019/05/20 05:53 日本の銀行さらに弱体化か 消費増税なら再び試練

     日本の銀行は同国経済の枠組みの中で、最も影響を受けやすいぜい弱な存在だ。安倍晋三首相が消費増税の断行を主張しているが、増税でさらに弱体化しかねない。

     格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日、日本の銀行の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。政策金利を小幅なマイナス圏に維持している日銀が引き下げの主因だ。

     日本の金利は、経済成長が比較的弱いため、低水準にある。これは、10月に予定されている消費税の2%引き上げにより悪化の一途をたどるであろう問題だ。

     低金利は日本国内の利ざやを縮小させ、銀行の融資収入を圧迫している。ヘッジファンド、ホースマン・キャピタルのポートフォリオマネジャー、シャノン・マコナヒー氏は、地銀が手掛ける新規融資の金利は、損益トントンに必要な業界の水準をはるかに下回っていると指摘する。同氏は日本の地銀に対して空売り派だ。

     日銀当局者は窮地にある。政府が前回消費税を引き上げた2014年には、増税が景気回復の腰を折った。日銀はこれを受け、野心的な債券買い入れプログラムをさらに拡大して対応した。しかしながら、低金利が要因となり、今回はそのような対応が行われる可能性は極めて低いだろう。今年に入り日銀の副総裁に就任した雨宮正佳氏は、とりわけ銀行の収益性を巡る懸念を声高に唱えている。

     日銀が何をしようとも、日本の銀行は打撃を受ける。何ら介入がなければ、日本経済は消費増税で減速するだろう。企業や家計への貸し出しを収益の柱とする地銀は、特に影響にさらされやすい。日本はすでに、中国景気の悪化による余波に苦しんでいる。

     株式投資家にとっては、日本の地銀のぜい弱性は目新しい材料ではない。安倍氏が首相に就任した2012年末以降、一段と拡張的な経済政策が実施されたことで、日本株全体ではおよそ50%値上がりした。地銀に限ると、同期間に10%値下がりしている。

     しかし、日本政府が消費増税を断行すれば、同セクターの問題は悪化する一方だろう。そして、日銀ができることは何もない。

     

     

     記事にある通り、消費増税で日本経済は弱体化、あるいは銀行セクターの経営問題はさらに悪化するとの指摘、全くその通りです。

     

     地銀の経営基盤が弱くなっているということで、金融庁は地銀の合併を推進していますが、それは問題の根本的な解決でなく、むしろ問題の先送りです。地銀同士が合併しようと、メガバンクと合併しようが、”デフレではお金を借りない”ことに変わりなく、消費増税はデフレを悪化させるだけだからです。

     

     マイナス金利とか人口減少による資金需要の先細りなどという朝日新聞の言説は全く関係ありません。デフレ放置であるがゆえに銀行のビジネスモデルが成り立っていないということを指摘しなければなりません。

     

     

     というわけで今日は「デフレ放置では銀行というビジネスは成り立たない」と題して論説しました。

     

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