白血病治療薬”キムリア”の健康保険適用決定について

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     今日は「白血病治療薬”キムリア”の健康保険適用決定について」と題して論説します。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2019/05/16 1回3349万円の白血病治療薬、保険適用を決定

     1回の投薬で、3349万円もする白血病治療薬が公的な医療保険でカバーされるようになる。厚生労働省は15日、白血病など血液のがんで高い治療効果が見込まれる「キムリア」の保険適用を決めた。

     厚労省が同日開いた中央社会保険医療協議会(中医協)で、キムリアの公定価格(薬価)を3349万円にする案を示し、承認された。22日から保険適用する。

     キムリアはスイス製薬大手ノバルティスが開発した。CAR-T(カーティー)と呼ばれる新たながん治療法の薬だ。患者の免疫細胞に遺伝子操作を加えて、がん細胞への攻撃力を高めてから体内に戻す。国内では初の保険適用になる。海外では米国や欧州、カナダ、スイスなどで製造・販売の承認を得ている。 

     治療対象は白血病の患者で抗がん剤が効かなかった人などに限定する。対象は216人と見込まれている。市場規模は72億円だ。

    投与は1回で済む。ノバルティスの試験では、若年の白血病患者で8割に治療効果が見られた。

     超高額薬でも患者の負担は抑えられそうだ。公的医療保険は患者の窓口負担が現役世代で3割だ。これに加えい療費の負担が重くなりすぎないよう1カ月あたりの自己負担の上限を定めた高額療養費制度がある。

     例えば、年収が約500万円の人がキムリアを使った場合、40万円程度の負担で済む。大部分は税金と社会保険料で賄う。患者が加入する健康保険組合の負担は大きい。

     キムリアは米国では約5200万円の価格がつき、日本国内の薬価に注目が集まっていた。米国では効き目に応じて患者から支払いを受ける成功報酬型が採用されている。日本では効果の有無に関係なく保険適用されるため、薬価を抑えることができたようだ。

     医療の進歩に伴い、治療費が高額になるケースは増えている。健康保険組合連合会によると、2017年度に1カ月の医療費が1千万円以上かかった件数は532件で、5年前に比べ2倍に増えた。

     近年、抗がん剤のオプジーボやC型肝炎薬のソバルディやハーボニーなど高額な薬が相次ぎ登場した影響とみられる。高額療養費の支給総額は2016年度で2兆5579億円となっている。保険財政を圧迫するとの懸念も根強くある。

     ただ、薬価の過度な引き下げは製薬会社の開発意欲をそぐといった問題がある。フランスでは抗がん剤など代替性のない高額医薬品の自己負担はない一方、薬によって全額自己負担を求めるなど区別している。日本でも市販品で代替できる医薬品を公的保険から外すなど制度の見直しが必要になりそうだ。』

     

     

     上記記事の通り、白血病患者には朗報のニュースです。免疫細胞に遺伝子操作を加え、がん細胞への攻撃力を高めてから体内に戻すというがん治療薬のキムリアという薬が、公的保険の対象になったというニュースです。

     

     このキムリアという白血病治療薬は、記事にもある通り、1回投与で3,349万円かかるという高額な薬なのですが、公的保険適用になることで、3割負担かつ高額療養費制度の対象となるため、年収500万円の人がキムリアを使っても40万円程度で済むと報じられています。

     

     以前に、本庶佑氏がオプジーボという薬で使われる「PD−1」という分子の発見で、2018年にノーベル医学生理学賞を受賞したことを記事に取り上げたことがあります。その際も、公的保険適用は正しいという主張をさせていただきました。

     

     オプジーボは小野薬品工業という日本企業が製造・販売する薬ですが、キムリアは、スイス製薬大手のノバルティス社が製造する薬であるという点が少し違います。

     

    イメージ図 100万円かかる医療費用の一部を社会保険負担した場合>

     

     

    <イメージ図◆100万円かかる医療費用の全額を患者が負担した場合>

     

     なぜならばオプジーボの小野薬品工業のように日本企業であれば、オプジーボが売れれば売れるほど、製造・販売すべてGDPとしてカウントされます。それは100%自己負担としようが、健康保険適用で自己負担30%としようが、製造・販売に関わる粗利益相当額がすべてGDPとしてカウントされます。ただ100%自己負担としてしまうと、お金を払える人は限られるため、需要が抑制される一方、健康保険適用とすれば自己負担30%かつ高額療養費制度の対象となることで自己負担額をかなり抑えることができるため、需要は増大することになるでしょう。

     

     ただキムリアの場合はノバルティス社というスイスの製薬大手と報道されているので、このビジネスに関わるもの全額が日本のGDPとはならず、ライセンス料などの名目でスイスからの輸入と同じ扱いで、その分がGDPから控除されます。スイスの企業の所得になるのですから、当たり前といえば当たり前です。

     

     また、この記事から読み取ることができないのですが、ノバルティス社は日本法人もありまして、ノバルティスホールディングスジャパン(株)という持ち株会社に、医薬品事業を営むノバルティスファーマ(株)、その製造部門子会社の日本チバカイギー(株)などの子会社がぶら下がっています。そのため日本国内で当該法人が製造・販売するかもしれません。

     

     とはいえ、日本で製造販売したとしても、ライセンス料などの名目で、親会社のスイスのノバルティス社にお金が流れるのは、致し方ないことでしょう。

     

     何しろ日本で、キムリアのような医薬品が開発されれば、小野薬品工業のオプジーボと同じ効果となるわけですが、こればかりは仕方がありません。

     

     いわば対中国の軍事拡大に対抗して「米国のF22戦闘機を日本国内ですべて作れればいいなあ!でも日本では戦闘機を作れないから米国から輸入するしかない。でもライセンス生産で三菱重工が組み立てるならば、日本にも少しは雇用が生まれるからまだましか!」という感じです。

     

     財務省の発想は、おそらくそんな思考回路は全くないに決まっています。出ていくお金を抑制したい!ただそれだけです。その結果、国民皆保険という素晴らしい仕組みが崩壊しようが、日本が中国の軍事拡大で安全保障が脅かされようが、緊縮財政で食糧を作る農家が減っていざという時に飢えるリスクが増えようが、そんなことは関係ありません。以前にも取り上げた通り、財務省設置法第三条の「健全な財政運営」の通り、キムリアで支出が増える分、消費増税などの増税か、他の工業事業を削るということをやることでしょう。何しろ彼らの頭の中は国家の財政運営を家計簿と同じ発想で運営するというバカげた発想なのです。

     

     

     というわけで今日は「白血病治療薬”キムリア”の健康保険適用決定について」と題して論説しました。

     デフレなので政府がお金を使うに限るわけですが、キムリアはスイスのノバルティス社に流れるお金もあるという見方があるため、小野薬品工業のオプジーボとは若干異なります。とはいえ、緊縮財政で科学技術への投資も増やさず、大学への補助なども削減するなど、緊縮財政で出ていく金を抑制して貯め込もうと「カネカネカネ」とやっているので、日本国内でキムリアのような医薬品が出るとも出ないともいえませんが、投資をしない以上出る確率は極めて低い。本来ならば、科学技術予算を多く投じて、結果、日本の製薬会社でキムリアのような素晴らしい医薬品が開発され、健康保険適用されれば、日本人すべてがベネフィットを受けます。

     もちろん一義的には医薬品会社が儲かりますが、その儲かったお金は必ず皆さんの製品を買う購買力になるからです。医療安全保障を担う医薬品会社が儲かることを、一部の特定企業が儲けるなんてずるい!などと考えず、いざ病気となったら低廉な料金で素晴らしい治療が受けられるというベネフィットがあると理解するべきであると私は思うのです。

     

    〜関連記事〜

    オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省

    増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!


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