中国の科学論文シェアが急上昇する一方、緊縮財政で予算を増やさない日本の科学技術の凋落は当然の帰結です!

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     今日は「中国の科学論文シェアが急上昇する一方、緊縮財政で予算を増やさない日本の科学技術の凋落は当然の帰結です!」と題し論説します。

     

     下記は毎日新聞の記事です。

    『毎日新聞 2019/05/06 05:30 中国の科学論文シェア急上昇 米国と「2強」に 日本は急落、3位が2領域だけ

     2015〜17年の質の高い科学論文の国別シェアで、中国が理工系の151研究領域のうち71領域で首位を占めていることが、国立研究開発法人「科学技術振興機構」(JST)の分析で分かった。残りの80領域は米国が首位で、最先端の科学研究で米中両国の2強体制が鮮明になった。一方、日本は上位5位以内の研究領域の数が約20年前に比べ激減しており、相対的に研究力が低下している現状が浮き彫りになった。

     

     論文は他の論文に引用される回数が多いほど注目度が高く、優れているとされる。JSTはオランダの学術出版大手エルゼビアの論文データベースを使い、引用回数が3年間の平均で上位10%に入る論文群を分析。対象は臨床医学を除く理工系の151領域で、内訳は、生命科学(領域数46)▽工学・化学・材料(同39)▽コンピューター科学・数学(同26)▽物理・エネルギー・環境(同40)。

     中国が首位なのは、工学や材料科学、計算機科学の基礎となる数学などの分野に多かった。中国は約20年前(1995〜97年)には上位5位以内に入るのは2領域のみだったが、約10年前(2005〜07年)は103に急増、最近(15〜17年)は146とほぼ全領域を占めるまでになった。

     米国は中国に抜かれた領域も多い半面、生命科学分野の大半などで首位を堅持。約20年前から一貫して全領域で上位5位以内に入っており、トップレベルの研究力を維持している。

     一方、日本は約20年前は83領域で5位以内だったが、最近は18領域に減少。「がん研究」と洗剤や医薬品などに幅広く応用される「コロイド・表面化学」の3位が最高だった。従来、日本が強いとされてきた化学や材料科学でも徐々に上位論文の割合が減少していた。

     JSTの伊藤裕子特任研究員は「2領域での3位が最高という日本の現状には驚いた。質の高い論文の本数がこの20年で世界的に増加する中で、日本の研究力が世界の伸びに追いついていない可能性もある」と指摘する。【須田桃子】』

     

     上記記事についてですが、日本における科学技術の衰退が著しく、データでも表れてきたと思える記事の内容だったため、ご紹介しました。

     

     記事では日本が上位5位以内の研究領域の数が約20年前に比べて激減し、相対的に研究力が低下している現状が浮き彫りになったと報じています。

     

     今から遡ること1997年の橋本政権下で、構造改革基本法が制定され、消費増税5%引き上げや、科学技術を含めた公共事業や、医療・介護費の抑制という緊縮財政が始まりました。記事で指摘している約20年前から激減というのは、まさに緊縮財政が始まったころと時期的には合致します。

     

     下表は、主要国における博士号・修士号の取得者数の2008年と2014年の比較なのですが、人口当たりの修士・博士号の取得者について、近年主要国だけ、日本が減少しています。

     

    <主要国における博士号・修士号の取得者数の2008年と2014年での対比(※韓国のみ2017年と2018年)>

    (出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所、「科学技術指標2018」を基に、杉っ子が加工・作成。)

     

    <科学技術関係予算の推移>

    (出典:内閣府の”「科学技術関連予算」平成29年度当初予算案及び平成28年度補正予算について”から引用)

     

     

     上記のグラフをみて、どう思われるでしょうか?科学技術関連予算の推移を参照いただきますと一目瞭然なのですが、一番古いデータ平成13年(2001年)から、平成29年(2017年)の比較ではありますが、1000兆円でほとんど横ばいです。

     

     1997年に緊縮財政が始まった構造改革基本法が制定されました。その後、竹中平蔵氏が経済財政担当大臣のときの2001年にプライマリーバランス黒字化目標を言い出し、「骨太方針2001」にプライマリーバランス黒字化目標が導入されます。具体的には、2002年度、財政健全化の第一歩として国債発行を30兆円以下に抑制することを目標とし、プライマリーバランスを黒字にすることを目標として財政運営を行うこととしました。

     

     このプライマリーバランス黒字化によって、少子高齢化で増える医療・介護費が抑制されつつも、増分幅が抑制したのであって横ばいあるいは減少させるまでには至らず、増えた分を公共事業の削減するなどして、プライマリーバランスの赤字を抑制してきました。

     

     特に公的資本形成と呼ばれるインフラへの投資を削減したのが顕著ですが、科学技術への投資は減らしてはいないものの、増やしていません。GDPが伸びない以上、税収が増えるわけもなく、科学技術投資は、科学技術振興費の推移の通り、1000兆円で横ばいでした。

     

     日本の公共投資額は、1996年から20年間で、1996年45兆円→2016年20兆円と一番減らしました。緊縮財政といえば、ドイツもケチケチなのですが、そのドイツですら1996年比で30%増やしています。米国、英国は200%増の3倍、中国に至っては1996年から700%増の8倍にまで増やしているのです。

     

     日本は1996年比で公共事業をこれだけ減らしているわけですから、科学技術振興費を増やすわけがありません。仮に増やしたとしても、プライマリーバランス黒字化目標があるため、科学技術振興費を捻出すればするほど、他の予算をもっと削減するとか増税するという話になることでしょう。

     

     その意味で、日本の科学技術分野の凋落ぶりは明らかになったといえます。これは何もいきなり凋落したというのではなく、少しずつダメになり、20年間そのダメが続いた結果、めちゃくちゃダメになったということでもあります。

     

     その要因は言うまでもなくプライマリーバランス黒字化目標を始めとする緊縮財政の発想であり、そのもとの根源は家計簿発想で国家の財政運営を考えることに起因するものであって、日本の科学技術凋落の結果は、いわば当然の帰結といえるでしょう。

     

     

     というわけで今日は「中国の科学論文シェアが急上昇する一方、緊縮財政で予算を増やさない日本の科学技術の凋落は当然の帰結です!」と題して論説しました。

     安倍政権も2020年度にプライマリバランスの黒字化を達成するとしていますが、それ自体がナンセンスで間違っています。プライマリーバラン黒字化とは、財政健全化の一手法に過ぎず、そもそも財政健全化とは、政府の負債対GDP比率を下げることであって、政府の負債の削減ではありません。

     日本という国は石油や天然ガスという資源がないという点では他国と比較してダメな国であって、それがゆえに第二次世界大戦の引き金となる遠因でもありました。科学技術に力を入れ続けるということがあって、中国や韓国ではノーベル賞受賞者が出ませんが、アジアで日本は数多くのノーベル賞受賞者を輩出し、資源がないという欠点をカバーしてきたものと思っております。そういう意味で、緊縮財政によって科学技術振興費の予算を増やさず、その当然の帰結として日本が凋落していくというのは、耐え難いものと私は思うのです。

     

     

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