税金の役割とは何なのか?

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    JUGEMテーマ:税金と確定申告

     

     今日は、税金の役割とは何なのか?について考えてみたいと思います。

     

     税金の役割というものとして、一つには政府の支出のための財源と考えている人が多いかと思います。私たちが払った税金で、公共事業や公務員の給料に充てるという考え方です。

     

     その考え方も一理ありますが、仮に政府が国債発行と財政出動をすることによって、公共事業を無限に行うことができ、無限に公務員に給料を払い続けられるとするならば、極端な話、税金を払う必要はなくなります。

     

     しかしながら現実的な話をすれば、政府が国債発行と財政出動をすること自体、論理的には無限にできるものの、実際には制約があります。政府が国債発行と財政出動をすることが無限にできないその理由・制約とは何でしょうか?

     

     それはインフレです。インフレは物価変動現象であり、国債発行を乱発するだけではインフレになりません。ところが財政出動を伴う場合、物価上昇し始めます。

     

     例えば1000兆円国債を発行して、1000兆円の公共事業をやるとなれば、1000兆円の需要が生み出されますが、供給力が追い付かない場合、急激な物価上昇を引き起こすことになるでしょう。

     

     とはいえ、1000兆円の国債発行するだけでは、マネタリーベースが増加するだけで、マネーストックが増えるとは限らず、インフレになりようがないのです。

     

     またインフレといっても、マイルドなインフレ、例えば物価上昇率が3%〜5%程度のインフレであれば、正常なインフレであり、制約と考える必要はありません。しかしながら10%以上のインフレですと景気の過熱を抑えるべき水準かもしれません。何が言いたいかといえば、政府が負債を増やし、国債を発行して財政出動する際の真の制約はインフレ率の高さということになります。

     

     国民が不幸にならないインフレ率が何%なのか?何%のインフレだったら多くの人々が困らなくて済むのか?こうしたことが国会などで議論されるべきであると私は考えます。

     

     よくハイパーインフレという言葉も使われますが、ハイパーインフレは超過激なインフレと言えるでしょう。なぜならば、ハイパーインフレの定義は13000%の物価上昇と定義されています。13000%の物価上昇とは、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?

     

     ぜひお手元の電卓で計算していただきたいのですが、1.5×1.5×1.5×・・・・×1.5を12回やってみてください。数式ですと1.5×12乗です。エクセルの数式では「=1.5^12」となります。

     

     そして1.5×12乗の答えは、129.746・・・・となります。これが何を意味するかといえば、毎月の物価上昇率が50%だったとして、12カ月その状態が続くとインフレ率13000%となります。これは100円の缶コーヒーが1年後13000円になるという話です。これは生活がしにくいと容易に想像できるでしょう。

     

     仮にも日銀が目標としている物価目標2%となれば、これは100円の缶コーヒーが1年後102円になっているという程度ですので、賃金の上昇率が2%を上回っていれば、国民にとって2%の物価上昇など、何ら問題ないでしょう。

     

     こうしてみますと、政府の国債発行・財政出動という組み合わせの制約は、高インフレ率が制約であるといえます。

     

     もし、政府の国債発行・財政出動をどれだけ多くやったとしても、インフレにならないという世界があったらどうでしょうか?

     

     「そんなことあるはずがない!」と思われるかもしれませんが、AIやIoTといった生産性を異常に高める技術が出てきているため、いつかはわかりませんが、将来的にはそのような時代がやってくるかもしれません。その場合は税金を払わなくても済む可能性があります。

     

     政府の国債発行・財政出動をどれだけ多くやったとしても、インフレにならないという世界をイメージしていただきたく、下記の図を作成してみました。

     

    <イメージ図>

     

     上図はインフレギャップを生産性の向上などで埋めた後、新しいインフレギャップが発生して、それもまた生産性の向上などでプロセスを示したイメージ図です。

     

     イメージ図では需要に対して、生産性向上か?外国人労働者か?とあります。生産性の向上によって供給力を強化せず、低賃金労働者など外国人労働者で供給力を強化した場合は、残念ながら日本国民一人当たりのGDPが増えることにならないため、賃金も増えません。

     

     ところがAIやIoTやパワードスーツを活用するなどして生産性向上によってインフレギャップを埋めた場合は、賃金UPの原資が生み出されます。労働分配率で100%労働者に分配するとすれば、インフレギャップ解消分丸々が労働者の賃金の上昇になるのです。

     

     現実の話に戻しますと、まずは政府が国債発行と財政出動するということは需要が生まれるので、インフレ率が防御となって国債の無限発行は不可能です。しかしながらAIやIoTやパワードスーツなどが十分に活用されて巨大な供給力が形成され、人間の欲望(=需要)をすべて満たしてしまう社会になったとしたら、即ち国家社会がインフレにならないような供給力を持った場合、税金は要らなくなります。

     

     ここで考えなければならないのが、税金の本来の2つの役割です。

     

     一つ目は景気のスタビライザー機能と呼ばれるものです。スタビライザーとは安定装置のことをいいます。

     具体的には所得税や法人税にはスタビライザー機能を有しますが、消費税はスタビライザー機能を有しません。なぜならば消費税の場合は、赤字企業からも徴収し、失業者からも徴収します。

     例えば景気がいいときは、企業の売り上げが増加して、個人の所得も増える環境にあるため、所得税・法人税で景気の過熱を抑制します。特に所得税で累進課税を強化すれば、所得の多い人から税金を多くとることで、消費・投資が抑制される機能が働くのに効果てきめんといえるでしょう。

     一方で景気が悪い時や企業が赤字に陥ったり、個人が失業してしまっても、消費税は免除されません。結果、消費税が払えず資金ショートで倒産したり、個人も自己破産したり生活保護の申請者が増えたりすることになるでしょう。もし直接税の累進課税が高くかつ法人税も高い一方、消費税のような間接税がゼロの社会だった場合、赤字企業や失業者は税金は免除され、「早くその間に黒字になってください!」「職を得て下さい!」という弱者保護の安定化装置が発動します。これこそが直接税が高い税制の利点ともいえるでしょう。

     

     二つ目は日本円という通貨を通貨たらしめるためです。税金を日本円で払わなければいけないとすることで、日本円の法定通貨としての権威が高まります。例えば税金は日本円ではなく、ビットコインやTポイントでいいですよ!となれば、日本円の法定通貨としての地位が下がり、存在が薄くなってしまうのです。

     税金の支払いを日本円以外では認めないとすることで、私たちはビットコインやTポイントではなく日本円を日常生活で使うことになります。ビットコインは価格変動があって使うには大変不便です。ビックカメラではビットコインが使えますが、利益が出ている状態でビットコイン決裁した場合は、雑所得で確定申告が必要ですし、その申告もまた買値と売値を記録するなど、大変煩雑です。Tポイントは加盟店でしか使えず、これも不便です。結果、日本円を法定通貨として日本円が流通するのが、一番便利ということになります。

     

     かつて江戸時代などではコメを年貢として納めていた時代があり、それはある意味でコメ本位制ということができます。財産もコメの石高で表されていたのですが、実際にはコメだけでは納税や商取引ができず、不便だったので小判(慶長小判・元禄小判・宝永小判)などの通貨が出てきましたが、仮にもコメだけで税金が納税できて商取引ができる状態であれば、お金は流通しなかったともいえます。現代ではさすがにコメ本位制に戻して、コメで納税することは不可能ですので、お金が必要です。その際、お金だったらなんでもよいのか?ビットコインでもいいのか?Tポイントでもいいのか?国民が一番困らないのは法定通貨として日本円とすることで納税も商取引もできるということになります。

     

     

     というわけで今日は「税金の役割とは何なのか?」と題して論説しました。

     そもそも税金の役割とは、「スタビライザー機能」と「通貨を通貨たらしめるため」の2つが目的であり、公共事業や公務員の給料を払うために行うものではありません。公共事業をやるためとか、医療費・介護費を負担するためとか、公務員の給料を払うためとか、一時的には確かにビットコインで給料を払うことはできませんので、そうした側面もあります。

     とはいえ、2つの目的を認識せず、公務員の給料を払うためと考えてしまうと、まずは税収を確保してその税収の範囲内でやりくりをしなければ・・・という国家の財政運営を家計簿発想で考えてしまうことになるでしょう。

     実際は国家の財政運営は、ミクロ経済学でいう予算制約式に当てはめる必要はなく、家計簿発想で考えることそのものが間違っているのです。

     

     

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