移民がどこの国に行くか?を決める要素は失業率である!
今日もブレグジット問題を取り上げ、この4月から始まった日本での外国人労働者受入がヤバイ話で、将来世代にツケを残す話になる旨をお話ししたく、「移民がどこの国に行くか?を決める要素は失業率である!」と題して論説します。
昨日はブレグジット問題で、英国がEUを離脱したとして、ホンダが出て行こうがトヨタが出て行こうが、マクロ経済政策を打てばいいだけの話であることを申し上げました。日本企業や米国企業が英国から離れて、GDPが全体的に縮小して経済がマイナス成長が見込まれるというならば、金融政策で自国通貨のポンド債を発行し、財政政策をやって失業対策をやればいいだけなので、長期的にみれば英国にとって国力増強につながるという意味で、何ら問題がなく、むしろ望ましい話であるともいえます。
日本にとっては、どうなのか?ホンダやトヨタなどの特定企業の経営動向よりも、もっと深刻な問題があります。なぜならば、英国は完全雇用に近いため、厄介な問題が生じうるのです。下記は2018年度の失業率です。
<主要国の2018年度失業率(単位:%)>
(出典:グローバルノート)
上記グラフの通り、イギリスは相対的にEU主要国と比較して失業率は低く、完全雇用(失業率3.0%)に近い国です。そのため、厄介な問題があります。
もし、ブレグジットとなれば、英国は間違いなく移民制限に入ることでしょう。EUとの合意があろうとなかろうと間違いなく移民受入を制限します。既に駆け込みで英国への移民流入が増加しているといわれています。
なぜそのような事象が発生しているか?といえば、英国は完全雇用に近い一方、フランスは失業率が10%に近い状況です。そのため、フランスから英国に渡ろうと必死な人々が大勢いるのです。
2016年にブレグジットを決めたため、英国の移民の流入数が減少して、日本が英国を抜くと思いきや、OECDの調査では直近の2016年の外国人移住者数(流入数)でみると下記のとおりです。
英国:45万4000人(3位)
日本:42万7000人(4位)
日本は受入拡大しても、まだ英国を抜いていません。というより、こんな競争で追い抜く必要は全くないのですが・・・。
2017年も2018年もおそらく日本は4位のままだと予想しますが、2019年度以降は確実に日本は英国を追い抜き、3位に上昇することは確実ではないでしょうか?
なぜならば英国はブレグジットで移民制限する一方で、日本は外国人労働者受入を拡大するとやっているからです。この話の何が重大なポイントか?といえば、移民がどこの国に行くか?は、失業率であるということです。
英国もフランスも移民に対しては寛容的で、人権意識も社会環境も同じくらいなのですが、それでも移民がフランスから英国に渡ろうとしているのです。
理由は簡単で、フランスには職がないが、英国には色があるからというただそれだけです。フランスの失業率9.11と、英国の失業率4.08というのは、そういう意味があるのです。
日本はどうでしょうか?生産年齢人口比率の低下を受け、人手不足という素晴らしい環境のおかげで、完全雇用に近づいており、直近の失業率は上記グラフの通り2.4%です。こんな国は主要国で世界に存在しません。実は人手不足を嘆くというのは贅沢な悩みなのです。
この状況で移民受入を推進したらどうなるでしょうか?最近は韓国で日本企業に就職しようというキャンペーンをやっています。
少し古い記事ですが、下記は産経新聞の記事です。
『産経新聞 2018/09/07 07:00 韓国人の日本就職急増…2万人突破 雇用環境悪化で韓国政府も後押し、目標は「今後5年で1万人」
外交面では日韓関係の改善が進まないなか、日本企業への就職を目指す韓国の若者が急増している。母国の雇用環境の悪化を背景に、韓国人留学生らの日本での就職者数は昨年、初めて計2万人を突破。韓国政府も後押しし、日本での就職者数の目標を新たに「今後5年で1万人」に設定する支援策を打ち出している。(インターン記者 門間圭祐)
「韓国での就職活動は厳しい。(日本で就職をするために)日本語を学んでいる学生も多かった」。9月から早稲田大学で留学生活を始める娘(21)の渡航を控え、夫とともに同大を訪れていた李東教(イ・トンギョ)さん(55)は真剣な表情で語った。李さんは昨年まで韓国南部・全羅南道の国立大付近でカフェを営み、就職難について愚痴をこぼす学生らに接していた。
法務省の統計によると、2017年末時点で、大学での専攻などを生かして日本で業務にあたる「技術・人文知識・国際業務」ビザ(査証)を取得した“ホワイトカラー”の韓国人は2万1603人。前年末(1万8936人)比で約14%増加した。
日本留学を目指す若者も増えており、日本学生支援機構によると、外国人留学生が日本の大学受験の際に利用する「日本留学試験」(6月実施)で、韓国での受験者数は3669人に上った。過去5年間で3倍に増加し、国外受験者の約6割を占める。
日本への進学熱が高まっている背景には、日韓両国の対照的な雇用環境がある。
昨年の韓国教育省の発表によると、同国の大卒就職率は、67・7%にとどまった。一方、帝国データバンクの今年4月の調査によると、正社員が不足する日本企業は全体の49・2%(前年同期比5・5ポイント増)で、4月としては過去最高を記録。李さん夫婦は韓国人学生について「(これまでは)日韓の外交関係悪化で中国語を学習するのがブームとなっていたが、(今は)アベノミクスの影響で、再び日本語がブームになっている」と話す。
若者の雇用問題が内政面での最重要課題の一つとなっている韓国政府も、日本での就職を積極的に支援する。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、韓国の雇用労働省と外務省は6月、今後5年間で韓国の若者1万人が新たに日本で就職することを目指す「韓日つなぎプロジェクト」を進めると発表。外国人留学生を採用していない日本企業が77・9%(就職情報会社マイナビの16年調査)に上るなか、韓国人留学生の能力をアピールし、求人先の発掘を本格化させる。
日韓社会保障制度や雇用政策に詳しいニッセイ基礎研究所の金明中(キム・ミョンジュン)准主任研究員は、両国の雇用環境の違いについて「少子高齢化で人手が不足する日本に比べ、韓国はいまだに人口が増加している」と強調。「大企業への就職を望む傾向が強いことも若者の韓国国内での就職を困難にしている」とし、韓国人学生にとって日本での就職が有力な選択肢になっているとみる。』
上記産経新聞の記事の通り、韓国政府が雇用悪化を放置し、日本企業への就業を後押しするという腹立たしいニュースです。仮にも韓国が経済発展しているというならば、雇用は自国で確保できるはずなのですが、韓国もグローバル企業が巣くうグローバル国家です。代表的な企業であるサムスン電子もヒュンダイ自動車もグローバル企業。ただ日本と違うのは組み立てだけであるため、消費財の生産をやっても、資本財(工業燃料やシリコンウエハーやセミコンダクターなど)は日本からの輸入に頼っています。
それでも消費財の生産をやるために、組み立てる工場があるわけで、にもかかわらず韓国が日本で就職しようキャンペーンをやっているのは、日本が人手不足で職があり、失業率が2.44%と完全雇用(=失業率3%)を達成しているからです。
徴用工問題や従軍慰安婦やら、ただでさえ挑発的な韓国から来る若者ですら、私たち日本は受け入れなければならないのでしょうか?
本来韓国人を受け入れなければ、普通に技術開発投資の需要が増え、一人当たり生産性向上の投資によって、日本国民が豊かになるのに、今年の4月からは外国人労働者を大量に受け入れるとなれば、技術開発投資の需要は減少します。なぜならば、目先安い人件費で外国人労働者を雇用する方が、利益を出すのに手っ取り早いからです。
英国がブレグジットで移民制限に動き、米国はメキシコに壁を作って移民制限に動く一方で、グローバリゼーションを推し進める国の経済成長率は低迷する。そして英国や米国が移民制限する中、日本は移民受け入れを拡大しますというわけですから、移民がどんどん日本に押し寄せることになるのは明らかです。
結果、安い外国人労働者の賃金に引きずられて、日本国民の賃金も伸び悩むこととなるでしょう。受け入れた外国人労働者も高齢になったら、社会保険で面倒をみますが、それも私たち日本国民が納める税金で面倒を見ることになります。いったん移民受け入れを拡大してしまったら、日本列島にいる日本国民が少数民族になっていくことすらあり得ます。そうなれば後戻りすることも難しくなるでしょう。将来世代に大きなツケを残すことになるでしょう。だからこそ、安倍政権が推進する外国人労働者受入拡大は、全くの愚策であり、私は支持ができないのです。
というわけで今日は「移民がどこの国に行くか?を決める要素は失業率である!」と題して論説しました。
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- 2019.04.18 Thursday
- 世界経済(欧州)
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- by 杉っ子