”政府は借金し放題”という”現代金融理論”について

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     今日は「”政府は借金し放題”という”現代金融理論”について」と題して論説します。

     

     下記は時事通信の記事です。

    『時事通信 2019/4/07 07:06 政府は借金し放題? =「日本が見本」、米で論争

    【ワシントン時事】政府はいくらでも借金を増やせる−。
     米国で経済学の常識を覆す「現代金融理論」(MMT)をめぐる論争が注目を集めている。擁護派は、巨額の財政赤字を抱えながらも低金利が続く「日本が見本」と主張。これに対し、財政赤字が膨らめば金利上昇・景気悪化を招くとの定説を支持する主流派学者は「魔法」とこき下ろしている。
     MMTは、自国の通貨を持つ国はいくらでも通貨発行ができると説く。政府が国債の返済意思がある限り、債務が増えてもデフォルト(債務不履行)は起こらないという。
     大規模な財政支出を伴う環境政策「グリーン・ニューディール」を提唱する野党民主党の新星アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員がMMTを支持。大統領選が来年に迫る中、社会保障拡充案を裏付ける財政論として関心を集める。
     MMTを唱える、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、無秩序な拡張財政で需要が膨れ、インフレが加速する事態を避けられれば財政は破綻しないと強調。「国内総生産(GDP)の240%の債務を抱える日本の事例が重要な見本」と、理論に自信を示している。
     これに対し、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授は「理解不能」と批判。ローレンス・サマーズ元財務長官(ハーバード大教授)も「非主流派学者」による「魔法」と切り捨てる。日銀の黒田東彦総裁は「極端な主張」と距離を置いている。
     米国の政府債務は大型減税後1年足らずで1兆ドル(約112兆円)増え、累計では22兆ドルを突破した。今後も拡大が見込まれる情勢下、「MMTは財政論ではなく政治理念だ」(連邦準備制度理事会=FRB=高官)と、冷めた見方もある。』

     

     

     上記は時事通信の記事なのですが、”現代金融理論(以下「MMT」)”という理論についての論争が記事として取り上げられました。記事では、財政赤字を続けながらも低金利が続く我が国を見本として擁護するグループと、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン、ローレンス・サマーズ元財務長官(ハーバード大学教授)らが、「理解不能」とか「魔法」などとして切り捨てるグループがあります。

     

     ポール・クルーグマンは、2008年にノーベル経済学賞を受賞した方であり、日本の2014年4月の8%消費増税に反対し、いま日本で議論されている2019年10月に予定されている10%消費増税にも反対されている方なのですが、MMTについては賛同いただけないようです。

     

     とはいえ、私はポール・クルーグマンという経済学者は、好きか嫌いか?でいえば好きな方の学者です。今年2月発刊の月刊誌『Voice』の中で、賛同できると思える言説を主張されていました。具体的には2014年4月の消費増税が誤りであり、理由は「pedal to the medal(思い切りアクセルを踏んで速度を上げ、全力で進むこと)」の政策以外選択肢はなく、緊縮財政を積極的に行ってはいけないとし、消費増税に批判的な論説を展開されておられました。

     しかも、2019年10月の消費増税についても大反対で、インフレ率が2%に達するまで、好景気になるまで待つべきと仰っておられます。

     

     しかしながら、日本の財政に関しては正しい認識を持たれているか?少し疑問を持ちました。日本における政府の負債は、100%円建ての国債であり、自国通貨建ての債務で日本が財政破綻することはないというのが事実です。

     

     財政問題を議論するときに、押さえておくべき要点は下記3点です。

    ー国通貨建ての債務について、ミクロ経済学でいう予算制約は受けない

    ∩瓦討旅餡箸蓮∪源困伴要について実物的な限界という制約を受けることはあり得る

    政府の赤字は民間の黒字である

     

     ,麓国通貨建ての国債しか発行していない日本政府が財政破綻することは、限りなく確率的に低いではなく、物理的・理論的にゼロであるということです。

     

     △歪眠瀏行は物理的に無限に発行できたとしても、供給能力不足により制約を受けることはあり得るということです。具体的には、デフレ脱却のために、「2020年度は1年間で100兆円の公共事業をやります!」という財政出動を想定してみてください。

     ただでさえデフレで供給力が痛んでいるのが現在の日本です。リストラで工場を閉鎖して人員を削減し、非正規雇用ばかりが増えて技術が継承されているか?という疑義すらある状況で、100兆円の公共事業をやるといっても、供給力が追い付かないということがあり得るのでは?ということが容易に想像できます。

     供給力不足だからといって、工場を建造し始めたとしても稼働するまでにどのくらいの時間がかかるか?これもまた鉱工業の生産からロジスティクス(道路や運搬用具となる貨物車両など)やら、国内需要を軽視し、輸出で稼ぐとやってきた日本企業の経営シフトを、国内需要に切り替えるのは、1ヶ月や2カ月ではできない業種も多くあります。

     「2020年度に1年間で100兆円の公共事業をやります!」の場合の問題点とは、100兆円のお金の有無、通貨発行できるかできないか?というミクロ経済学でいう予算制約が問題なのではなく、供給力の問題だということを、私たちは知っておかなければなりません。

     

     最後のは、過去にもブログで取り上げましたが、政府が赤字を増やせば民間は黒字となる一方、プライマリーバランス黒字化で政府が黒字を増やせば民間は赤字となって倒産する企業が増えるという話です。

     

     こう考えますと、「1年間で100兆円の公共事業をやります!」よりも「10年間で100兆円の公共事業、即ち1年間毎年10兆円ずつ公共事業を増やします!」の方が、供給力が追い付き、そのための投資が増えるという点で、有効な財政政策といえます。

     

     財源はどうするの?といえば、いうまでもなくマイナス金利でタダ同然で借りられる円建て国債を発行すればいいだけの話であり、全く制約を受けることはありません。

     

     冒頭に紹介した時事通信の記事では、財政赤字が膨らめば、金利が上昇して景気が悪化するなどという言説の記載がありますが、全くのデタラメです。政府の財政赤字=民間の黒字ですし、金利が上昇しようにも、国債を発行しただけではマネタリーベースが増えても、マネーストックが増えるわけではないため、資金需要が発生しないので金利は低下し続けるというのが、正しい理論です。

     

     MMT理論が世の中、世界中で正しい論説であることが広まれば、各国が内需拡大に向けて財政出動するため、貿易摩擦問題も減少し、戦争ですらなくなる可能性もあるのです。

     

     

     というわけで「”政府は借金し放題”という”現代金融理論”について」と題して論説しました。

     

    〜関連記事〜

    ミクロ経済学の「予算制約式」について(「政府の負債は税金で返済しなければならない」のウソ)

    親日家の投資家ジム・ロジャーズ氏が指摘する日本の財政破綻に反論する!

    ”国債増刷+財政出動で税金を増せる”という言説は無責任なのか?

    グローバル輸出で稼ぐというのは、自国の繁栄を他国の犠牲の上に作るエゴむき出し政策です!


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