地球上の世界は、英国が歴史を動かしてきたという史実

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    JUGEMテーマ:英国に関するニュース

     

     2016年に英国では、EUからの離脱の是非を問う国民投票が行われ、EUから離脱することになりました。主権を取り戻すためにグローバリズムに反旗を翻し、その後、米国もトランプ大統領やバーニーサンダースといった政治家が登場し、世界は反グローバリズムの方向に動こうとしてきています。

     そこで今日は「地球上の世界は、英国が歴史を動かしてきたという史実」と題し、英国の歴史について取り上げたいと思います。

     

     まずは編年体で英国の主な歴史的史実を記載いたします。

    <英国が主にかかわる歴史的史実>

     

    1377年 イギリスとフランスの間に100年戦争が始まる(第一次100年戦争)

     

    1568年 オランダが独立するための80年戦争が始まる

     

    1618年 ドイツで30年戦争が始まる

     

    1688年 イギリス名誉革命 

    ※権利の章典が採用され「議会の同意を経ない法律の適用免除・執行停止の禁止」等が定められて議会制民主主義が始まる

     

    1689年 第二次100年戦争が始まる

     

    1695年 イングランド銀行が設立される

     

    1760年代 インド産キャラコに対抗するため、綿製品の生産性向上を目的とした産業革命がイギリスで始まる

     

    1816年 イギリスで貨幣法が成立する

    ※1929年の世界大恐慌発生時まで金本位制が続く

     

    1931年 英マクドナルド内閣が、世界に先駆けて金本位制を停止

     

    1945年 イギリス労働党のアトリー政権が医療費無料化、雇用保険、救貧制度、公営住宅建設などの福祉国家化を開始する

     

    1979年 サッチャー政権が新自由主義的構造改革を開始し、福祉国家を破壊する

     

    2016年6月23日 EUからの離脱の是非を問う国民投票で、離脱派が勝利する

     

     

     

     まず1688年のイギリス名誉革命ですが、このときに権利の章典が採択され、議会の同意を経ない法律の適用免除・執行停止の禁止などが定められ、議会制民主主義が始まりました。具体的には国王の上位に議会が立つという考え方がこの時から始まり、国王の王政権を制限し、選ばれた議員らが主権を執行するようになったということです。

     

     1760年代、英国で決定的ともいえる経済的な動きが始まります。当時、英国国内の洋服市場は、インド産のキャラコ(綿製品)に席巻されていました。キャラコに席巻される前まで、羊から羊毛を取って羊毛製品を着ていたのですが、羊毛製品に比べてキャラコ製品は着心地がよく、インドから大量の綿製品が英国に輸入されることになったのです。その頃のインドは世界最大のキャラコ(以下「綿製品」)の製造大国であり、輸出大国でした。

     

     そこで英国は自国で綿製品を取り扱えるようにするための政策をやります。具体的にはインドに対して保護貿易を行い、最終的にはインド産の綿製品の輸入を禁止しました。

     

     英国以外に再輸出することは許されましたが、それ以外の目的で英国に輸入することは認めず、英国国内の市場にインド産綿製品を一切入れてはいけないとしたのです。

     

     とはいえ、英国には羊毛製品よりも着心地がよいというニーズがあって、英国国内に綿製品のマーケットは存在します。そのマーケットを英国の企業が獲得するため、様々な技術開発投資や設備投資が始まりました。これが産業革命です。

     

     産業革命というのは、英国の国内企業がインド産綿製品に対抗し、洋服の生産性を高めるために行われて始まったものなのです。

     

     その産業革命の技術開発の中から、汎用目的技術が生み出されます。汎用目的技術は英訳するとGPT(General Purpose Technology)といい、いろんな目的に使われる基幹技術のことをいいます。例えば蒸気機関なんかも、産業革命の技術開発から生み出された汎用目的技術です。

     

     最終的には英国は蒸気機関を使った綿製品をエドモンド・カートライト(1743〜1823)という発明家が、1787年に初めて蒸気機関を使った織機の製造に成功しました。

     

     蒸気機関の技術は、綿製品製造のための織機にとどまらず、蒸気機関車、蒸気船などの分野にも応用され、まさに世界が変わったのでした。

     

     この蒸気機関の技術は日本にも関わりがあります。江戸末期の1853年にペリーが黒船で来航します。黒船は全部で4隻あり、2隻は帆船で、残り2隻は蒸気船です。

     

     蒸気船がすごいのは帆船と異なり、風があろうとなかろうとガンガン進んでくるという点です。この鉄製の蒸気船の黒船によって、日本の歴史は大きく動くことになったのですが、この出来事も、元をたどれば英国の産業革命が発端であり、英国の綿製品の生産性向上の話から始まったものなのです。

     

     世界は意外と小さいことから動きます。英国国内での綿製品で儲けたいという欲望、インド市場を自分たちで席巻したいとする英国の資本家・起業家らによって生産性向上のための技術開発投資を行って綿製品製造の生産を高めていき、その過程で蒸気機関というものが生まれたのです。

     

     1816年に英国はすでに覇権国家でしたが、貨幣法という法律を成立させます。具体的には英国ポンドの発行に金を裏付けとするようにしました。これが世界で初めての金本位制の始まりなのですが、英国での1816年の貨幣法制定から始まったものです。

     

     当時の英国ポンドは現在の世界の基軸通貨の米ドルと同じ国際通貨でした。日本は日露戦争を戦うため、英国から「三笠(みかさ)」という軍艦を買い、良質な石炭も一緒に英国から買いました。軍艦「三笠」でいえば、英国の造船会社は、日本円を受け取ってはくれません。当時の日本の信用という問題もあったかもしれませんが、日本円は英国では使えないため、当時は国際通貨の英国ポンドで支払うしかありませんでした。

     

     日本が綿製品を製造して輸出して外貨である英国ポンドを稼ぐとか、英国に洋服を大量輸出して英国ポンドを受け取っていたとするならば、その英国ポンドで支払うことも可能だったのですが、当時の日本は貿易赤字国であったため、英国ポンドを持っていませんでした。

     

     そのため、英国ポンドの代わりに日本政府は金で支払ったのですが、そのあと金の流出ということが日本で問題になりました。

     

     1816年の英国における貨幣法により金本位制が始まり、これが世界で初めて始まった金本位制であると述べましたが、そのあとジョン・メイナード・ケインズが金本位制を批判します。理由は金を裏付けとしているため、非効率な制度だったのです。ただそれに基づいてグローバリズムが全世界を席巻しました。

     

     1914年に第一次世界大戦が発生して金本位制がいったん中断されるものの、その後、復活して1929年の世界大恐慌が発生するまで、金本位制に基づくグローバリズムが続きました。これを始めたのは1816年に貨幣法を定めた英国だったのです。

     

     ところが自ら始めた金本位制を真っ先に辞めたのは、なんと英国だったのです。自分で始めておきながら最初に辞めたのが英国なのです。理由はかつての製造大国から転落し、貿易赤字となって英国ポンドが流出したことが原因です。英国にとって英国ポンドの流出は、金本位制のもとでは金の流出と同じです。そのため、「ダメだ!こりゃ!」となって金本位制を抜けたのでした。

     

     

     

     というわけで今日は「地球上の世界は、英国が歴史を動かしてきたという史実」と題して論説しました。

     産業革命は英国で発生し、世界を変えました。金本位制も英国が1816年貨幣法制定により始まり、金本位制そのものを辞めたは英国でした。

     そして今回、主権を取り戻すことを目的に、グローバリズムに終止符を打とうとしているのが英国です。米国もまた英国に続いて、米国民ファーストと掲げるトランプ大統領がグローバリズムを見直そうとしています。

     日本はどうでしょうか?この4月からは外国人労働者が大量に入ってきます。外国人労働者が入ってくれば、絶対に日本人の賃金は伸び悩むこととなり、貧困化が進みます。英国のブレグジットも、米国のトランプ大統領のメキシコの壁建設も、自国民ファーストで考えるからこうした政策に出るのですが、それは間違っているのでしょうか?

     改めてグローバリズムという動きに対して、日本人も見直さなければならないのでは?と私は思うのです。

     

     

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