みずほ銀行の6800億円巨額損失について

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     今日は「みずほ銀行の6800億円巨額損失について」と題し、マイナス金利がもたらした悪影響について論説します。

     

     下記はロイター通信の記事です。

    『ロイター通信 2019/03/06 23:48 焦点:みずほが2周遅れの危機、システム関連で巨額減損損失

     [東京 6日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)が巨額減損損失を計上したことで、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)など他のメガ銀行グループとの距離は広がるばかりだ。ライバルが着実に自己資本を積み上げ、海外金融機関などへの出資や買収を進める中、みずほの自己資本の見劣りは明らかだ。「もはや周回遅れどころか2周遅れ」(銀行アナリスト)との指摘も出ている。

    <店舗の減損、他メガは昨年に計上>

     「このタイミングで、こんな巨額の減損を計上するとは想定外」―─。ある銀行アナリストは、みずほの突然の損失計上に驚きを隠さなかった。

     みずほが発表した損失6800億円の内訳は、固定資産の減損損失約5000億円、市場部門の米国債の損失計上約1800億円。固定資産の損失のうち、リテール部門にかかわる次期システムも含めたソフトウエアが4600億円、店舗統廃合が400億円と説明する。

     店舗の統廃合に伴う損失は、三菱UFJや三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)が18年3月期にすでに計上を済ませ、みずほが追いついてきたかたちだ。ソフトウエアの減損は現在、統合を進めている次期システムがほとんどだという。来年度から生じる年間800億円規模の償却負担を軽減することになる。

     新年度から新たな中期経営計画が走り出すタイミングで、損失計上を放置して先送りせずに一括処理する経営判断に踏み切った。重荷を下ろした分、成長路線に乗れるのかどうが問われることになる。会見した坂井辰史社長は「減損処理を一気にやることで、後年度の費用負担を解消した」と強調した。

    <買収戦略で遠のくライバルの背中>

     銀行アナリストの1人は、みずほと他の2メガとの関係について「すでに差が付いているのに、今回の損失計上により、その格差は一段と広がるだろう」と分析する。

     3グループの自己資本比率(CET1比率)は、18年9月末時点で三井住友の14%台後半、三菱UFJの11%台後半に対し、みずほは9%台後半と水をあけられている。

     三菱UFJは3月、独銀から航空機ファイナンス事業を7000億円超で買収するなどM&Aも積極的に進めている。健全性では三菱UFJを抜いた三井住友も「今後はM&A含めた成長投資に資本を充てる」(国部毅社長)と前向きだ。

     これに対して、みずほは「うちは資本が弱い。他メガのように大きな買収などは困難」(グループ会社幹部)という状況だ。

    みずほは今回、巨額損失計上にもかかわらず年間配当7.5円を維持すると発表。株主には朗報だが、配当総額は約1900億円で、通期の業績予想800億円を上回り、持ち出しになる。

     すでに見劣りする自己資本の積み上げで、さらに劣後するのは間違いなく、M&Aなどの成長投資に振り向ける資本が、ますます枯渇する展開が予想される。』

     

     

     上記のロイター通信の記事は、みずほ銀行はコンピュータシステムの変更費用と店舗の閉鎖費用に伴い、6,800億円の巨額損失を計上したというニュースです。

     

     この記事を取り上げ、下記の順で論説したいと思います。

    1.銀行業界の現状について

    2.巨額損失額6,800億円の中身は?

    3.銀行経営を追い込むマイナス金利政策

     

     

     

    1.銀行業界の現状について

     

     銀行業界は今、どのような状況になっているかといえば、とにかくコスト削減に邁進しています。なぜならば本業の貸出業務(商業銀行業務)が儲からないからです。そして、そのコスト削減はどのような方法でやっているか?といえば、店舗の統廃合であり、人員削減であり、コンピュータシステムの改修投資です。

     

     とりわけみずほ銀行は2018年に19,000人のリストラを発表し、数年にかけてリストラする上に、100店舗の統廃合をするとも言われています。

     

     なぜ銀行業界がこのように苦境にあえいでいるのか?といえば、言うまでもなく日銀による超金利政策即ちマイナス金利政策です。

     

    <日銀当座預金とマイナス金利のイメージ>

     

      日銀による超低金利政策(マイナス金利)とは、上記イメージ図の通り、政策金利残高に対して▲0.1%のマイナス金利をかけるというものなのですが、なんでこんな政策をやることになったか?といえば、日本経済全体がデフレで不況でお金が回っていないからです。

     

     お金が回りやすくなるためには、企業がお金を借りやすくしなければならないのですが、企業がお金を借りやすくするのは利下げやマイナス金利を導入するだけでは、絶対に企業はお金を借りません。需要が拡大して企業が製品を作っても値下げせずに売れるようにならない限り、値下げそのものが名目需要の縮小・削減となるため、企業は低金利であってもお金を借りないのです。

     

     当たり前のことですがお金を借りてビジネスをするには金利を支払う必要があるわけで、それに見合うだけの実需(製造業ならば個数、サービス業ならば回数)と名目需要がない限り、お金を借りてまでビジネスをしようとは思わないのです。値下げしないと売れない状況であればお金を借りても返せなくなる可能性があることが目に見えているから当然そうなるでしょう。

     

     したがって企業がお金を借りない限り、金利をどれだけ引き下げても貸し出しが増えるわけがありません。

     

     ここがリフレ派と呼ばれる人らが誤解しているポイントです。金融政策即ち金融緩和策だけでは残念ながらデフレ脱却ができないということになるのです。

     

     そうとは知らずに、アベノミクスで金融緩和だけを継続し、結果的にその代償として銀行の経営が苦しくなっているというのが、今回のロイター通信の記事でよくわかることと思います。

     

     低金利でも十分に利益が出せるようにするためにはコスト削減ということになり、そのコスト削減もまたマクロでみればデフレに拍車をかけることになります。とはいえみずほ銀行単体で考えれば、生き残りのためやむを得ないのです。

     

     

     

    2.巨額損失額6,800億円の中身は?

     

     ロイター通信の記事によれば、巨額損失額6,800億円の中身は、コンピュータシステムの変更費用として4,600億円と、店舗の統廃合費用として400億円の損失を計上しています。残り1,800億円は、米国債の有価証券の損失です。

     

     この有価証券の外債投資損失は、ヤバイ話の可能性があります。

     

     みずほ銀行は外国債券に投資している理由は、先述の通りデフレで資金需要が伸び悩み、マイナス金利になってすらお金を借りようとはしない状況下で、銀行業界全体が商業銀行業務(貸出業務)で儲からないという現状があります。

     

     そのためみずほ銀行に限らず、銀行は別の方法で儲けを出そうとしています。

     

     メガバンクの場合は具体的には外国債券で儲けようとしています。それも今回損失を出した米国債は比較的リスクは低い方なのですが、米国債そのものは低金利であるため、より配当が高いハイリスク・ハイリターンのデリバティブ商品に傾注している可能性もあります。

     

     みずほ銀行の外国債券投資でいえば米国債だけなのか?わかりませんが、他行にも同様の損失があるのでは?という疑義が濃厚であると私は考えます。

     

     仮にそうした損失が出始めた場合、銀行業界全体の赤字が表面化されることとなり、かつてのリーマンショックのようなことが発生する可能性があるのです。

     

     11年前のリーマンショックを引き起こした理由の一つがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などのデリバティブ商品でした。

     

     今年は米中貿易戦争やらブレグジット(英国のEU離脱)やらで、円高トレンドになることが予想されており、円高他国通貨安となれば、米国債やユーロ債やら損失を抱えるリスクは着実に高まります。

     

     

     

    3.銀行経営を追い込むマイナス金利政策

     

     緊縮財政によって引き起こされた長期のデフレ放置が原因で資金需要が伸び悩み、そうしたリスクを抱える商品に手を出さなければならないくらいに追い込まれた銀行業界にとって、大変困っている理由のもう1つが先述のマイナス金利政策です。

     

     リフレ派ら、「金融緩和をすれば資金量が増えてデフレ脱却する」という言説の信奉者のことを、マネタリストと呼びます。1976年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンらが提唱した理論なのですが、私はこの言説は間違ってるという立場です。

     

     リフレ派の論調は、日銀が超低金利政策をすれば、マネーストック(貸出に回るお金でアクティブマネーともいう)が増えるという論調ですが、金利をどれだけ下げたとしても、需要がない限り企業は貸し出しを増やすことはあり得ません。アクティブマネーが増えるはずがないのです。

     

     そこでマイナス金利を始めました。なぜマイナス金利を始めたか?といえば、アクティブマネーを増やすためです。もちろんデフレ時には、こうした超低金利政策やマイナス金利は有効なのですが、金融政策だけでデフレを脱却することは絶対にできません。

     

     デフレは貨幣量の少ないという貨幣現象ではなく、総需要の不足だからです。だからアベノミクスで本来第二の矢の財政出動をしっかりやり、科学技術投資で成長戦略に対しても財政出動をすればいいのですが、「お金を使う」=「悪いこと」=「節約してお金を貯め込む&政府の借金を返済する」という路線で、2014年4月に消費増税を敢行し、補正予算を含めた予算も緊縮を始めてしまいました。

     

     政府自らが緊縮で需要を削減しているのですから、デフレで弱っている日本企業が貸し出しを増やしてまでして事業拡大しようとはなりません。

     

     資本主義とは、本来”誰か”が借金を増やして経済のパイを拡大させる、そうやって経済成長(GDP成長)をさせていくものであり、その”誰か”とは、企業や個人である必要はなく、政府でもいいのです。

     

     企業は儲かりにくいからお金を借りず、個人も先行きが見通せなかったり、雇用が正社員でないために住宅ローンが組めず、自動車も保有できず、という状況で、政府までもが「政府の負債の返済」という誰の所得にもならない政策や、緊縮財政という総需要削減政策をとっている以上、どれだけ金利を下げたとしてもお金を借りる人が増えることはないのです。

     

     「借金=悪」は資本主義の否定であり、日本は資本主義が成立しない国になりつつあり、発展途上国化しているというのが日本の現状です。

     

     今回はみずほ銀行の記事を取り上げましたが、地銀でも変なものに手を出している可能性はあります。そういう意味でマイナス金利はそろそろ見直し、政府支出による財政出動を速やかに実行に移すべきでしょう。

     

     

     

     というわけで今日は「みずほ銀行の6800億円巨額損失について」と題して論説しました。

     政府支出による財政出動をしようとした場合、プライマリーバランス黒字化目標があると、他を増やすために他を削るということになってしまいます。

     よく国政選挙で立候補する候補者の中には「議員定数を削減して無駄を削ります!」と訴える候補者がいます。一見すると、議員定数を削減してその分を他のことに充当するという主張は聞こえがいいですが、マクロ経済的に見れば行って来いで経済成長しません。議員定数を削減せず、支出を増やす、そのための財源として地方であれば「地方交付税交付金をもっとよこしなさい!」とやって利益誘導するのが地方選出の国会議員の本来の仕事です。

     「皆さんの声をしっかりと国会に届けます!」などという言説はクソの役にも立たないということを、経済学的に理解する必要があるものと私は思うのです。

     プライマリーバランス黒字化目標がなくなれば、消費増税も不要で財政出動に舵を切ることができ、マイナス金利も通常のプラス金利へと舵を切ることができるでしょう。

     そのためにも”プライマリーバランス黒字化目標の破棄”ということこそ、今まさに私たち国民が声を大にして政治家に訴える必要があるものと私は考えます。


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