実質賃金の対前年比マイナスを認めず、情報操作・隠蔽工作する厚労省

0

    JUGEMテーマ:消費税

    JUGEMテーマ:社会保険

     

     今日は「実質賃金の対前年比マイナスを認めず、情報操作・隠蔽工作する厚労省」と題して論説します。

     

     下記は朝日新聞の記事です。

     

    『朝日新聞 2019/03/26 13:03 厚労省、実質賃金は当面公表せず 統計不正調査問題

     不正調査が問題となっている「毎月勤労統計」で、野党が求めていた調査対象の実質賃金の変化率の算出・公表について、厚生労働省は26日、当面は行わないとの見解を明らかにした。参院予算委員会の理事会で示した。

     「実質賃金」は働き手の実質的な購買力を表す。野党は、より賃金変化の実態をつかむために、毎月勤労統計で2017年と18年に続けて対象となった「共通事業所」の実質賃金の変化率の算出・公表を要求。厚労省は3月中に中間的な結論を出すと約束していた。

     この日、厚労省は「統計を所管する立場としては、統計的な観点から分析や検討を加えずに(数値を)出すことは責任ある立場ではない」と説明。同省で設置している有識者検討会で算出・公表に関する検討を続けるとした。』

     

     

     上記の記事は、毎月勤労統計で2017年と2018年で対象になった「共通事業所」の実質賃金の変化率の算出・公表を求めたのに対し、厚労省が公表するか否か?について3月中に中間的な結論を出すと約束していたのですが、結果、公表しないことになったというニュースです。

     

     経済評論家の三橋貴明氏によれば、下記のグラフの赤い線が共通事業所の実質賃金の正しい指数で、対前年比▲0.6%とのこと。

     

    <2015年の実質賃金を100とした場合の日本の実質賃金指数の推移>

    (出典:経済評論家・三橋貴明氏のブログから引用)

     

     

     上記グラフの通り、厚労省の修正前の数値は△0.2%でプラスと主張しているのですが、サンプル変更により本来▲0.6%のところ、△0.2%となっているのです。

     

     この事件については、2019/02/27に弁護士らで作る特別監察委員会によって、再調査に基づく追加報告書というものが取りまとめられました。その中で監察委員会が、厚労省職員・元職員ら合計59人に聞き取りを行い、「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」とも報じられました。その上で、不適切調査を長年放置してきた点は、甚だしい職務怠慢と指摘しています。

     

     そもそも特別監察委員会によるこの判断は、言葉が間違っていると言わざるを得ません。

     

     「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」ではなく、「”組織的な隠蔽がある”と断定はできない」というべきです。なぜならば統計的合理性があり、かつ組織的な隠蔽をやろうとしていたと思っていたということはあり得るからです。

     

     例えば「ある対応をした」として、

    ●その対応は統計的な合理性でも説明できる

    ●だから組織的な隠蔽は認められない

    というロジックだと、特別監察委員会の判断はしたと思われます。

     

     しかしながら科学的に合理的でありつつかつ複数の結果を出すことができる場合があります。

     

     例えば

    ●方法Pを使った場合、△△となる

    ●方法Qを使った場合、▲▲となる

    という2つの方法Pと方法Qがあったとして、どちらも科学的合理的かつ統計的に適切な方法P、方法Qだとします。

     

     PとQどちらが自分にとって都合がよいか?という局面があったとして、Pの方が自分にとって都合がいいからPを取った場合、科学的合理的でありつつ、かつ隠蔽をすることができます。つまり自分にとって都合がよいPを選んで都合よくやるということができてしまうのです。

     

     しかしながら特別監察委員会の「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」というのは、方法Rを選択していて、方法Rは安倍政権にとって都合がよかったという結果は合ったものの、方法Rは一応、統計学的には適切で科学的合理的ではある。がゆえに”組織的な隠蔽の意図はない”と判断しているようにみえます。

     

     何が言いたいかといえば、「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」ではなく、「”組織的な隠蔽がある”と断定はできない」としか言えないということであり、「”組織的な隠蔽は認められない”と勝手に断定するな!」ということです。

     

     追加報告書では厚労省が不適切な抽出調査を始めた理由を、全数調査ではなくせても適切な補正を行えば制度を保て、都道府県の負担軽減にも配慮したと分析してます。ただ当時は補正が行われず、報告書はチェック体制の不備を指摘しています。その分析・指摘は合っているでしょう。

     

     問題は麻生太郎氏が2015年10月16日の経済財政諮問会議で、「遡って調整するのはいかがなものか?」と発言したことから始まりました。どういうことかといいますと、2014年4月に消費増税8%を実施以降、消費は激減し、V字回復どころかL字底割れの状態でした。そのタイミングで毎月勤労統計調査の3年に1度の調査対象の総入れ替えにより、2015年1月に調査対象の総入れ替えを行ったところ、実質賃金が下がってしまったのでした。

     

     麻生太郎氏が「素人からしたら”賃金が下がっている”ってなんだそれ?何%上がっているのに、なんか知らんが、引き下げるのか?そんなことされたら困るじゃないか!」と麻生太郎が発言、問題はそこから始まったのです。

     

     そこで賃金を引き下げないようにしようとし、統計上は引き下げなければならないにもかかわらず統計学的に正しい手口を官僚が考え、科学的にも合理的な方法としてその手法を用いたと考えられます。

     

     これは麻生太郎氏の発言があったから、官僚が忖度して統計学的に正しい手口を考えたとしか言いようがありません。普通に考えたら誰でも「数字が下がると困るから統計を不正に操作したんだろう!」としか思えません。

     

     普通の一般的な人間が考えれば、隠蔽の意図があったと推察せざるを得ないと思いますが、読者の皆様は、どう思われるでしょうか?

     

     統計的には確かに正しいかもしれませんが、隠蔽の意図がなかったとは断定できないといえます。そこに隠蔽の意図が存在するという疑義は十二分に存在し、かつ隠蔽をしようとする意図があったと推察できるのではないでしょうか?

     

     

     というわけで今日は「実質賃金の対前年比マイナスを認めず、情報操作・隠蔽工作する厚労省」と題して論説しました。

     こうした厚労省の情報操作・隠蔽工作によって、正しい数値が開示されず、賃金が上昇しているとマスコミが何もわからず報じ、「あぁ!賃金が上昇しているからアベノミクスは経済効果が出ているな!だったら消費増税もやむを得ないか!」という言説が、一般国民に蔓延ることは、明らかに国益にマイナスであると私は思います。

     安倍政権がアベノミクスの成果を数字の粉飾でよく見せることをやっているならば、中国のGDPと同じレベルに日本は劣化している、そして消費増税8%の失敗を隠蔽するという意味では、大変悪質な情報操作・隠蔽工作であると私は思うのです。 

     

     

     

     

     

     

     

     


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930    
    << April 2019 >>

    スポンサーリンク

    ブログ村

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村

    recent comment

    • 大阪W選挙で維新圧勝の影響について
      島道譲 (04/16)
    • 英語教育について(トランプ大統領の演説を誤訳したNHK)
      永井津記夫 (12/07)
    • ハロウィーンは日本のお祭りとは違います!
      ユーロン (11/12)
    • オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省
      SSST. (10/13)
    • サムスン電子について
      故人凍死家 (09/26)
    • 財務省の役人は、なぜ緊縮財政なのか?
      吉住公洋 (09/26)
    • 生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード
      富山の大学生 (06/05)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      師子乃 (10/02)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      mikky (12/01)

    profile

    search this site.

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM