景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相

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    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

     

     今日は「景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相」と題して論説します。

     

     皆様は、景気動向指数は何で決めているか?ご存知でしょうか?

     景気動向指数というのは、一つの指標ではありません。

     

     例えば実質GDPというのは、景気動向を見るうえで分かりやすい指標です。名目GDPから物価の影響を排除したものであるため、実質GDPがどれだけ増えたか?減ったか?は、景気動向としてはわかりやすい指標といえます。

     

     では、景気動向というのは、どうやって見るのでしょうか?

     

     内閣府に景気動向指数研究会というものがあります。そこのリーダーは吉川洋先生という方なのですが、彼らがいろんな数字を見て、今の景気がどうなっているのか?景気拡大か?景気後退か?を判断しているのです。

     

     内閣府は今、景気が「いざなぎ越え」としているわけですが、その理由はヒストリカルDI(一致指数)に基づいています。

     

     <P2 ヒストリカルDI(一致指数)>

    (出典:平成30年12月13日発信日、内閣府経済社会総合研究所作成の「第18回景気動向指数研究会について」から抜粋)

     

     上記の表は、第2次安倍政権が誕生した2012年12月〜2018年10月の期間における9つの指標の推移です。小さすぎて見難いと思いますので、ぜひリンク先をご参照ください。

     

     リンク先→「第18回景気動向指数研究会について

     

     内閣府の定義では、ヒストリカルDIで9つの指標をみています。

     

     \源沙愎堯聞杞業)

     鉱工業用生産財出荷指数

     B儺彎暖餾盻于抻愎

     そ蠶螻囲働時間指数(調査産業計)

     ヅ蟷餾盻于抻愎堯塀輸送機械)

     商業販売額(小売業)(前年同月比)

     ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函法柄闇同月比)

     ┗超藩益(全産業)

     有効求人倍率(除学卒)

     

     仮に上記 銑のうち、半分以上がプラスならば景気拡大、半分以上がマイナスなら景気後退という定義であれば、それはそれでわかりやすいと言えるかと思います。

     

     ところがなぜか内閣府の定義では、 銑のうち8個が同じ動きになった場合に初めて判断を変えるということになっています。具体的には8個がプラスになったら景気拡大、8個がマイナスになったら景気後退というわけです。

     

     上表では、2014年4月以降、景気動向指数のうち7個がマイナスになっているのがおわかりでしょうか?

     2014年3月と2014年4月の比較を記載します。

     

    2014年3月

    2014年4月〜

    2015年3月

    2015年4月〜2015年6月

    2015年7月〜

    2015年12月

    \源沙愎堯聞杞業)
    鉱工業用生産財出荷指数
    B儺彎暖餾盻于抻愎

    そ蠶螻囲働時間指数

    (調査産業計)

    ヅ蟷餾盻于抻愎

    (除輸送機械)

    商業販売額(小売業)

    (前年同月比)

    + +

    ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函

    (前年同月比)

    + + +
    ┗超藩益(全産業) + +
    有効求人倍率(除学卒) + + +
    プラスとマイナスの個数

    プラス7個

    ´きキΝЛ┃

     

    マイナス2個

    プラス2個

     

    マイナス7個

    ´↓きキΝ

    プラス4個

    ΝЛ┃

     

    マイナス5個

    ´↓き

    プラス3個

    ΝЛ

     

    マイナス6個

    ´↓きキ

     

     2014年3月までは、ほとんどプラスだったため、景気拡大基調だったのですが、2014年4月にマイナスが2個→7個になります。具体的には 銑Г7つの指標がマイナスなのですが、2014年4月〜2015年3月まで 銑Г7つの指標のマイナスが続きます。一方でプラスだったのは┗超藩益、有効求人倍率の2つの指標です。

     

     有効求人倍率というのは、求職者一人に対して求人が何社あるか?という指標なのですが、少子高齢化で生産年齢人口が減少しようとしている日本の環境において、この指標が悪化することはまずあり得ないでしょう。総人口=需要、生産年齢人口=供給で、総人口の減少より生産年齢人口の減少の方が早いことから、需要>供給のインフレギャップの状況になりやすいからです。仮に有効求人倍率が悪くなるとすれば、それは相当ひどい状況といえます。

     

     ┗超藩益は、2014年4月の消費増税で景気が悪化したものの、輸出が増えました。営業利益は輸出拡大と円安で大手輸出企業の営業利益が伸びていたというだけで、ある意味たまたま海外の景気が良かったというだけの話です。

     

     2014年4月消費増税直後のヒストリカルDIでは、上述の┗超藩益、有効求人倍率以外は、一気に7つの指標がマイナスになりました。にもかかわらず景気後退にはなりません。なぜならば8つの指標がマイナスになっていないからです。

     

     消費増税8%実施以降、2015年3月まで1年間、7つの指標がマイナスで明らかに景気後退していたにもかかわらず、8つの指標がマイナスになっていないという理由で「景気後退していない」となって、「いざなぎ越え」となりました。

     

     2015年4月以降、「商業販売額(小売業)」「ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函法廚対前年比でプラスになったものの、2015年7月に「┗超藩益」がマイナスになりました。2015年4月〜2015年6月はマイナスが6個、2015年7月〜2015年12月はマイナスが7個であるものの、やはりマイナス指標が8個ではないため景気後退にはなりません。

     

     しかしながら2015年4月以降プラスになったのは「商業販売額(小売業)」「ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函法廚任后この2つの指標のポイントは前年同月比であって前月比ではないということです。2014年4月以降は消費増税8%で明らかに小売業、卸売業の販売額の大きい落ち込みが1年続き、1年後に少し持ち直しただけでもプラスはプラスです。

     

     「┗超藩益」はアベノミクスの金融緩和による円安もあって輸出産業を中心に営業利益を伸ばしましたが、2015年以降、少し円高になったり、世界的な不況でスロートレードによりマイナスになったといえます。

     

     このようにヒストリカルDIで9つの指標のうち、8つの指標がマイナスにならないと景気後退にならないというのは、皆様はどう思われるでしょうか?

     

     ポイントは2つあります。

    ●ヒストリカルDIの9つの指標のうち8つの指標がマイナスでなければ景気後退と認めない

    ●消費増税で小売業・卸売業の販売額が一気に落ち込んで悪化した数字を比較してプラス化しているので「景気はよい!」としている

     

     2014年の実質GDPは消費増税でマイナスであるにもかかわらず、ヒストリカルDIで2つの指標がプラスだから景気後退ではないとして「いざなぎ越え」を謳っているのです。

     

     一般人からみれば、景気動向の基準は、非常にあいまいといえます。なぜならば、大きく落ち込んだ消費はV字回復するどころかL字であり、前年同月比でプラスだからということで恣意的に「景気はよい」ことになってしまうからです。

     

     胡散臭いプラス指標だったとしても、結果8つの指標がマイナスになっていないので「景気は拡大し続けており、”いざなぎ越え”」と報道されれば、「景気はよい」ということになって消費増税がやりやすくなるため、私は非常に問題であると思うのです。

     

     

     

     というわけで今日は「景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相」と題して論説しました。

     政府はヒストリカルDIについて、データを公表しているものの2014年4月以降の消費増税の悪影響の説明はしていません。ところがヒストリカルDIで2014年以降7つも指標がマイナスになっているという事実は、消費増税の悪影響によるものとしか言いようがありません。

     「景気」は”気”だから気分が高まれば景気が良くなるなどという人もいますが、「景気」という言葉自体が抽象的です。経済成長率(GDP成長率)でみれば、直近はマイナスです。特に2018年7月〜9月のGDPの需給ギャップはマイナスになっています。

     小泉政権の時に竹中平蔵氏が潜在GDP基準を変えました。具体的には、潜在GDPとはすべての日本人が働き、すべての生産設備が稼働している状況での供給力のことなのですが、これを過去稼働している平均値に置き換えたのです。

     これは100m走の陸上選手が最高記録が10秒だったとして、「最高記録は何秒ですか?」という質問に対し、「平均は11秒です。」と答えていることと同じです。

     このように定義を変えるインチキによって、潜在GDPは本来の定義よりも小さく見えることになります。結果デフレギャップは小さく見えることになります。下手をすればインフレギャップということで、供給以上に生産ができていることになってしまうのです。

     このようなインチキをやっているGDPギャップであるにもかかわらず、需給ギャップがマイナスになったということは、景気がめちゃくちゃ悪いということであり、大変ショッキングなことでもあるのです。

     

     

    〜関連記事〜

    いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本

    プライマリーバランス黒字化目標導入という罪とは別のもう一つの罪


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