成長戦略とは名ばかりのレントシーキング推進で国益を毀損する”Bye Bye アベノミクス”

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     今日は「成長戦略とは名ばかりのレントシーキング推進で国益を毀損する”Bye Bye アベノミクス”」と題して、レントシーキングを推進するアベノミクスが、どれだけ日本の国益を毀損させるか?について論説したいと思います。

     

     厚労省の毎月勤労統計をめぐる不正調査問題のニュースがひっきりなしに報道されていますが、アベノミクスで経済が好調だと、マスコミがずっと報道してきました。残念ながら、アベノミクスは「リフレ派」政策であるというだけで、第二の矢の国土強靭化すら予算を増やしておらず、第三の矢の成長戦略に至ってはお金が惜しいのか?国際リニアコライダーなどの有望とされる技術投資への資金拠出を躊躇し、単なるレントシーキング推進政策で、水道自由化、電力自由化、種子法廃止などなど、次から次へと安全保障弱体化につながり、かつマクロ経済政策的にも需要削減でデフレ促進の政策を推進しています。

     

     アベノミクスは結局のところ、デフレ脱却のために有効な政策としてやっているのは、金融緩和のみというのが真実です。

     

     民主党の「コンクリートから人へ!」は悍ましいとんでもないスローガンでした。何しろ、将来の子供・孫の世代に向けたインフラ投資・科学技術投資をしないでお金を配るというのが「コンクリートから人へ!」というものです。自分たちは過去の先祖が、インフラ投資・科学技術投資をしてくださったおかげで、今の自分たちの生活があるにもかかわらず、その恩を知らずして、あたかも「将来世代に向けた公共事業(=投資)よりも、人にやさしくあるべき(=目先のお金)・・・」的なノリで作られたスローガンだと思うからです。

     

     そして「コンクリートから人へ!」を批判し、デフレ脱却を標榜して誕生したのが第二次安倍政権です。安倍政権は2013年度こそ「人からコンクリートへ!」で政府支出を増やし、名目GDPで△1.9%、税収は△6.9%増収させましたが、2014年以降は消費増税8%に加え、「コンクリートから人へ!」に逆戻りするかの如く緊縮財政に走り、政府支出を増やさなくなってしまいました。

     

     もともとアベノミクスは、第一の矢=金融緩和、第二の矢=国土強靭化、第三の矢=成長戦略で始まったのですが、2014年の8%消費増税以降、第一の矢=金融緩和以外は、ほとんど機能していないと私は思っています。

     

     例えば第二の矢の国土強靭化でいえば、安倍政権は建設国債の発行を抑制し、公共事業はリーマンショック以前の水準を回復していません。成長戦略は、本来であればスパコン事業やリニアコライダーなど、科学技術投資を後押しすべく科学技術予算を増やすべきですが実施されていません。

     

     デフレ脱却を標榜して誕生した安倍政権のアベノミクスは、結局いつの間にか「金融緩和をやればデフレ脱却できる!」となり、日本らしさや日本の良さそして日本が持つ制度・仕組みをドリルのように壊すかの如く、民泊解禁、水道法改正、電力自由化、種子法廃止など、PFI・コンセッション推進や公益事業の民営化が成長戦略とでも言わんばかりの政策を絶賛推進しています。

     

     ここからは、上述のうち「民泊解禁」「水道法改正」「電力自由化」が、マクロ経済的にも間違っているだけでなく、どれだけ国益を損ねるのか?をお話しします。

     

     

     

    1.民泊解禁

     

     民泊解禁は、宿泊施設業者(ホテル・旅館など)の設備投資を抑制する方向に働きます。価格競争でサービス価格低下(名目GDP減少)となるからです。なぜ価格競争となるか?といえば、規制や監査なしの安全面放置(警察用登録シート無、警備体制の盲点)に加え、24時間管理体制の不在、消費者保護のためホテルに貸される義務が不在だからです。

     

     民泊が推進しているフランスのホテル職業産業連合の試算によれば、ホテル事業者の粗利益が売上高の5%〜10%に対して、民泊は60%〜70%にもなるとのことで、これだけ粗利益率に差がありますと、ホテル・旅館業者からみれば、脅威となるに決まっています。

     

     もし民泊を解禁しなければ、ホテル・旅館業者らは宿泊料金を引き上げることができるようになるでしょう。何しろ「需要>供給」のインフレギャップが生じている状態となるため、宿泊料金は上昇していくのです。宿泊料金を引き上げてもなお「需要>供給」のインフレギャップが解消されなければ、ホテル・旅館業者らは増床の設備投資をする業者も出てくることになります。

     

     名目GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     

     私たちは普通ならば安く宿泊できることはありがたいと思うかもしれませんが、名目GDPは金額ですので、本来宿泊に1万円かかるところ、5000円で宿泊するとなれば、名目GDPは5000円となってしまうのです。ホテル・旅館業者らは5000円損しますし、民泊に宿泊されてしまえば、1万円丸々損をします。そしてマクロ的に見れば、1万円の需要があったところ、5000円の需要となって需要削減したという話になります。

     

     

     

    2.水道法改正

     

     水道法改正でいえば、国や地方自治体が運営していれば、政府支出(公共事業費)で対応するわけですが、これが民営化した場合、公務員で運営する必要がなくなって、公務員よりも人件費を抑えた正社員や非正規社員らを使って民間企業は対応します。

     

     公務員を削減すれば、政府支出(=政府最終消費支出)の減少で、正社員や非正規社員で雇用された人らは、それまでの公務員と同様に消費活動することはしないため、個人消費の減少にもなります。

     

     公務員は雇用が安定しているという点で、もちろん貯金もするでしょうが個人消費も安心して増やせます。一方で正社員や非正規社員は公務員とは異なります。ましてや非正規社員で所得が少なければ、公務員と同様に消費することは絶対に不可能です。

     

     何が言いたいかといえば、水道法改正もまた政府支出減少で、需要削減したという話になります。また水道法改正はマクロ経済的な需要抑制に留まらず、安全保障上も民間企業で品質を維持できるのか?大災害があったときにすぐに復旧できるのか?という問題もあります。どう考えても貧すれば鈍するで、民間企業はコスト削減で利益を追求しようとしますので、品質は劣化する方向に働くことでしょう。

     

     

     

    3.電力自由化(発送電分離)

     

     電力自由化も同様ですが、電力の場合は発電・送電を含めた電力サービスというものを多くの国民は知らないと私は思っています。なぜならば「太陽光発電があれば、原発は不要!」という言説が今もなお多数派を占めていると思うからです。私は決して原発推進者ではありません。原発でネガティブにとらえられる放射線についていえば、放射線は何も人為的に作ったものではなく、自然界に普通に存在しますし、がんの高度先進医療では放射線を使った陽子線治療・重粒子線治療などがあるわけで、放射線と放射能の違いも含め、多くの人々がそうした真実を知らないでしょう。

     

     と、ここまで話すと「杉っ子さんは、原発推進論者では?」と思う方もおられるでしょうが、私は原発についていえば稼働していた方が良いという考えを持つものの、原発を推進した場合の問題点があると認識しています。

     

     それは原発といえども、ウラン鉱石という資源が必要です。ウラン鉱石は日本では産出されないため、輸入します。私は2017年のGWに四国の伊方原発のビジターセンターを取材したことがあるのですが、ウラン鉱石の調達先は下記の通りでした。

     

    1位 24% オーストラリア

    2位 17% カザフスタン

    3位 9% カナダ

    4位 7% アメリカ合衆国

     

     原油やLNGガスは中東からの輸入に偏っていまして80%は中東諸国からの輸入に頼る一方、ウラン鉱石は中東諸国以外の国々が50%以上を占めるという安定供給される点が日本にとっては優れているといえます。

     

     しかしながら、原発はCO2を輩出せず、クリーンエネルギーという利点があります。使用済み核燃料についてはガラスの固化体に混ぜて地層処分する技術が発達し、安全面でも日本のみならず世界の各国がしのぎを削って投資することで、地層処分の品質向上が図られています。

     

    <高レベル放射性廃棄物にガラスの固化体んして地層処分する技術の説明>

     

     

    (出典:東京電力の新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所で2018/11/09に杉っ子が撮影)

     

     何が言いたいかといえば、原発の品質向上のためにも原発を稼働させておかなければ、技術の継承や品質向上の投資ができなくなるということです。原発を稼働させることで原発の需要が生み出されます。原発が稼働されなければ需要がないため、投資することができなくなってしまうのです。

     

     電力の安定供給に資するのは、原子力発電所と火力発電所しかありません。水力発電所も大雨のときは、下流が大洪水になるため稼働できませんし、太陽光などの自然エネルギーは需要の増減に柔軟な対応ができない不安定電源です。需要の増減に柔軟対応がでいないというのは、タービンを早く回す、遅く回すという需要に応じた対応ができないということ。カンカン照りのときは需要に関係なく供給されてしまい、送電網が不安定になって停電します。電力サービスとは常に需要=供給となるようHzを合わせにいくサービスであることを知る国民は少ないでしょう。

     

     また、発電と送電が一体化されたサービスであるからこそ、発電の品質を高め、いざという緊急事態でも電力マンがプライドをかけて停電復旧することが可能です。

     

     ところが2020年4月から始まる発送電分離では「適正な競争を確保するため」という実にバカげた理由で、発送電分離では発電会社と送電会社を完全に分離すべく役員兼務ですら禁止されています。

     

     となれば万一停電になった場合、果たして自前の発電所を持たない「電力会社」が、すぐに復旧活動に応じることは可能でしょうか?

     

     できるはずがありません。

     

     なぜならば、今日の日本で原発を稼働しないためにギリギリの対応で電力の安定供給がなされ、復旧もスピーディーにできているというのは、電力会社が発電から送電網までを統合的に管理しているからであり、「(発電会社を自前で持つ)電力会社」が社内でプライドにかけてなんとかしているのです。

     

     ところがこれもまた2020年4月以降は「電力会社」だけではどうにもならなくなるでしょう。

     

     「発電部門」を新しいビジネスチャンスとして、「電力会社」がもつ発電会社を分離させ、発電会社事業を新たな企業が参入できるようになるからです。

     

     このまま発送電分離が実現すれば、やがて電力の安定供給が目標となり、自然災害の際には復旧に何カ月もかかる発展途上国に落ちぶれることは確実です。

     

     特に北海道や北陸といった冬場に停電があって、復旧に時間がかかり、凍え死ぬ人が多数発生したら、誰が責任を取るのでしょうか?それは大雪が降る地域に住む人の自己責任ということになるのでしょうか?

     

     

     

     

     

     以上「民泊解禁」「水道法改正」「電力自由化(発送電分離)」についてご説明しました。

     

     安倍政権の成長戦略とは、公共的要素が強いサービスや規制が必要な業界について、新規参入を促すことができるように規制緩和と民営化を推し進めていくというのが特徴的ですが、これは単に競争激化を強化するだけの政策です。新たな参入を狙う業者からみれば、新しいビジネスになりますが、既存の業者からみれば単に価格競争を強いられるだけです。

     

     また安全保障の面からも、そもそも競争激化させて良いのか?という議論も欠如しています。

     

     そういう意味で、安倍政権のアベノミクスは、こうした新しいビジネスとネタにして規制緩和を推進し、国益を毀損させるレントシーキング推進政策といえるでしょう。

     

     日本がインフレであるならば、まだ理解しますが「需要<供給」というデフレギャップの状況で「需要<供給↑」させるわけですから、「需要<供給」のギャップは拡大するのです。

     

     成長戦略の「成長」の言葉の定義が、「経済成長」を意味するとするならば、こうした政策は全て「経済成長」と矛盾します。「成長」の言葉の定義が「供給力強化」だとした場合、一人当たり生産性を高める供給力強化であれば経済成長(GDP拡大)に資しますが、競争力を激化させるだけの「供給力強化」ならば経済成長どころかデフレ促進させるだけであることを認識する必要があります。

     

     読者の皆様の中には「供給力強化」によって、競争激化で「需要<供給↑」で価格が下がれば、消費者が恩恵を受けると思われる方が居られるかもしれません。

     

     仮にも、本丸の「経済成長」に関係なく競争激化させて、価格が下がって消費者が恩恵を受けるとしたとして、それは経済成長につながるでしょうか?

     

     そうはなりません。デフレであるがゆえに、競争激化させて価格が下落しても、物価下落でデフレが加速するだけです。価格を下落すれば必ず個数を増やすとは限りませんし、別のモノ・サービスを買うとは限りません。セイの法則が成立していないデフレ環境では、ミクロ経済の均衡分析そのものが成立しません。消費者には貯金や借金返済という誰の所得にもならない選択肢があり、貯金や借金返済はGDPにカウントされず、経済成長を抑制することになるのです。

     

     

     

     というわけで今日は「成長戦略とは名ばかりのレントシーキング推進で国益を毀損する”Bye Bye アベノミクス”」と題して論説しました。単なる競争激化で価格を下げるというのは、その瞬間は私たちは安く買えるのでありがたく思えるでしょう。ところがマクロ経済的には、その安く買われた業者らが所得が伸び悩み、今度は私たちが生産するモノ・サービスについて値下げしないと買えなくなってしまうのです。

     上述を理解する政治家がどれだけいるのか?マスコミなどを通じてでしか、日々の発言を知ることができませんが、少数派なのでは?という疑義を持っています。そしてこのまま規制緩和や民営化を進めていきますと、日本はデフレ脱却からますます遠のくだけではなく、電力・水道といった公共サービス部門で大災害時に復旧すらおぼつかなくなり、間接被害で命を失う人が増加するような発展途上国化していくだろうと、私は憂いております。

      本来ならば、国債を増刷して政府支出で科学技術予算をちゃんとつけて、国際リニアコライダーやスパコン事業など、建設・医療介護・防衛などあらゆる分野で活躍する可能性がある技術にしっかりと投資するのが成長戦略であり、当初のアベノミクスもそうだったと認識しています。それがいつしか、目先の金だけを考えるビジネスチャンスとして、既存業者を脅かす規制緩和と公的サービス事業者の民営化が成長戦略となってしまっているとするならば、私はアベノミクスを全く支持できないのです。

     

     

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