”国債増刷+財政出動で税金を増せる”という言説は無責任なのか?

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     今日は「”国債増刷+財政出動で税金を増せる”という言説は無責任なのか?」と題して論説します。

     

     私は日本がデフレであるといっていますが、それは実質GDPのプラスが継続していたとしても、GDPデフレーターがプラスマイナスゼロをウロウロし、コアコアCPIもプラス2%から程遠く、マイナスに落ち込むこともあるという状況があり、加えて実質賃金や実質消費が減っているということから、デフレと認識しています。

     

     その解決策としては、「国債増刷」と「財政出動」の組み合わせが必要と申し上げているわけですが、読者の皆様の中には、「経済成長させて税金を増やす」って本当にできることなのか?とか、これから人口が減少するから税金が増えるなんてないのでは?と思われている方が居られるかもしれません。

     

     税収は下記の式で算出されます。

     

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     名目GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     

     税収弾性値については、「医療・介護サービスの報酬削減は経済成長を抑制する!(税収弾性値について)」をご参照ください。

     

     上記式からいえることは、人口減少は関係がありません。個人消費といえども、人口が増えたとして雇用の質が悪くてアルバイトのような働き方をさせられて非正規雇用中心であった場合は、一人当たりの購買力が低いがために消費を増やすことができません。

     

     逆に一人当たりの購買力が高ければ、たとえ人口が減少したとしても個人消費を増やすことは可能です。

     

     では一人当たり購買力を高めるというのはどうすればいいのでしょうか?

     

     これは一人当たりGDPを増やすこととほぼ同じであり、一人当たりの生産性を高めればいいということになります。

     

     一人当たりの生産性を高めるためにはどうすればいいのか?といえば、企業の設備投資や能力開発投資ということになります。

     

     何が言いたいかといえば、人口の増減と経済成長は相関関係がないということです。その証拠に下記2つのグラフを紹介します。

     下記2つのグラフは、2000年〜2015年の主要国のうち人口減少国の人口減少率と平均経済成長率のグラフと、先進国も含めた1996年比のGDPの伸び率を示したものです。

     

    <人口減少国の人口減少率と経済成長率>

    (出典:IMF)

     

     

    <主要国のGDP伸び率>

    (出典:世界経済のネタ帳から引用)

     

     2015年時点の2000年比の人口減少率と平均経済成長率をみますと、16年間でジョージアが最も人口が減少しており、16.6%も人口が減少していますが、16年間の経済成長率は5.7%です。

     

     ラトビア、リトアニア、ウクライナ、ブルガリア、ルーマニアと、15年間で人口が10%以上減っている国が続きますが、こうした国も16年間の平均経済成長率は4.3%、4.3%、2.2%、3.6%、3.7%という数値です。

     

     それと比較して日本は16年間の人口減少率は0.1%で、経済成長率は0.8%となっています。日本は医薬治療の技術が優れていて平均寿命が長く、人口が減少したといっても、総人口でみれば人口減少率は誤差の範囲といえます。

     

     2016年のGDP対1996年のGDP伸び率をみていただきますと、20年間で日本のGDPの伸び率は1倍と伸びていません。失われた20年というより、20年以上もGDPが伸びていないということがわかります。

     

     一方で中国は13倍、韓国は2.4倍、米国は2.3倍と、韓国ですら2.4倍、先進国の米国は2.3倍もGDPが伸びています。

     

     このように日本だけが経済成長できていないという事実がよく理解できるかと思います。世界では人口が減少していても普通に経済成長している国があります。先進国ですら米国でも1996年比で2.3倍の経済成長をしていますし、ケチケチのドイツですら1.4倍です。あえていえば、1996年比で英国の1.9倍を筆頭に、1.4倍のイタリア、ドイツをはじめとした欧州国もまたEUのマーストリヒト条約によって財政出動をしていないから、1倍〜2倍に甘んじているともいえますが、それでも1.4倍以上を確保しているのです。

     

     日本だけが経済成長できず停滞に苦しんでいるということが良く理解できると思うのですが、その理由は「人口が減っているから」とか「先進国だから」とかいうのは、全く関係がありません。

     

     なぜ日本だけが経済成長できない異常状態なのか?といえばデフレという病気に罹患しているからです。無責任なのは、このようなマイナス成長を放置し、経済指標の見方を勉強せず、経済理論を知らない政治家こそ無責任と言えるのではないでしょうか?

     

     デフレという病気は日本だけですが、処方箋は日本の場合はたくさんあります。マイナス金利であるがゆえにタダ同然で政府は国債を増刷できます。そのお金でインフラ整備をすれば、それ自体が経済成長に資するだけではなく、民間投資を誘発して資金需要が発生します。これで国債不足も解消し、銀行も手数料稼ぎではなく、本業の融資の利ザヤ稼ぎもできるようになって、やっとマイナス金利から脱することもできます。

     

     日本の場合、1000兆円の借金は外貨建て債務ではないため、全く足枷にならず、むしろマイナス金利であるがゆえに、デフレであるがゆえに、政府がもっと負債を膨らませることができるという点で、他国と比べて処方箋がいくらでもあるのです。

     

     そもそも金融緩和だけではデフレ脱却はできません。日銀当座預金を増やしたところで、マネタリーベースを増やしたところで、マネーストックを増やすことはできません。

     

     お金を借りたいという資金需要がない限り、日銀当座預金をどれだけ増やしたとしても、マイナス金利の脱却ですら叶わないでしょう。

     

     お金を借りたいという資金需要が発生するまで、政府がお金を借りて公共事業を増やす。ジョン・メイナード・ケインズのケインズ経済学の理論でいえば、お金を埋めるために穴を掘り、また別の穴を掘ってお金を埋め直す・・・これを繰り返す。すごい無駄と思うかもしれませんが、公共事業に使われる税金は賃金として家計に戻ってくるため、GDPを押し上げます。税金も増やすことができます。

     

     税収は下記の式で算出します。

     

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     名目GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     

     これまでの説明と、上記の数式を考えますと、ものすごい極端な話ですが、子ども手当や定額給付金という形でお金をばら撒くよりも、お金を埋めて穴を掘って別な穴を掘ってお金を埋め直すを繰り返す方が、GDPを押し上げるといえます。

     

     なぜならば、現金をばら撒いても国民は貯蓄やローン返済というGDPを押し上げないことに使う個人消費以外の選択肢があるのですが、お金を埋めて穴を掘って別な穴を掘ってお金を埋め直すを繰り返す場合は、その事業にかかった費用は、政府支出としてGDP3面等価の原則により、費用=生産=所得で、着実に全額所得となり、税収増に寄与することができるのです。

     

     

     というわけで今日は「”国債増刷+財政出動で税金を増せる”という言説は無責任なのか?」と題して論説しました。

     無責任なのは、真実を知らずして適当なことを言っている人たちです。一般人ならまだやむを得ないかもしれませんが、国会議員らがこうした真実を知らないで政治をやっている、経済政策をやっているとしたら、犯罪に近いとも思いますし、そうした人たちこそが無責任であると言えるのではないでしょうか?

     そしてそれは政治家に限らず、財務省の役職員やそれに乗っかるマスコミ、経済学者、エコノミスト、アナリストらも同罪です。こうしたウソの言説に惑わされないようにするためには、私たち多くの一般人が経済指標の見方や経済についての知見を持つ以外に方法がないものと私は思うのです。

     

     

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