いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本

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    JUGEMテーマ:経済成長

     

     今日は「いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本」と題して論説します。

     

     昨年の12/13に内閣府は、2012年12月を起点とした景気回復期間の長さが2017年9月時点で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えたと正式に判定しました。

     

     下記は当時のロイター通信のニュースです。

    『ロイター通信 2018/12/13 14:29 景気「いざなぎ」超えと内閣府正式認定、14年増税後も回復継続と判断

    [東京 13日 ロイター] - 内閣府は13日、景気動向指数のあり方を検証する景気動向指数研究会(座長:吉川洋立正大学教授)を開催し、2012年12月から始まる現在の景気回復が2017年9月時点で、高度成長期に57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さとなったと正式に判断した。来年1月まで景気回復が続けば、戦後最長の74カ月となる。

     現在の景気回復は安倍晋三政権が始まる直前にスタートしたが、消費税率を引き上げた14年4月以降は景気動向指数が大幅に悪化、景気は悪化局面入りした可能性などが取り沙汰されていた。

     今回は景気動向指数を構成する各種指数の動きなどを分析し、同時期に多くの指数が悪化したもののそれらの景気全体への影響が限定的であったことなどから、2012年11月を谷として、2017年8月以前に景気が悪化に転じることはなかったと判断した。

     すでに2017年9月に茂木敏充経済再生相が「いざなぎ景気を超えた可能性が高い」との見解を示していたが、正式な認定には景気動向指数を構成する各種経済指標の年間平均などの様々な分析が必要なため、今回が初めての判断となる。』

     

     

     上記記事の通り、2012年12月から始まる景気回復が2017年9月時点で57カ月続いた「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さになったとのことです。

     

     記事では、「景気動向指数を構成する各種指数の動きなどを分析し・・・」としていますが、どの指標を分析したら「好景気」という判定になるのでしょうか?

     

     例えばですが、実質賃金は1997年をピークに一貫して下がり続けていることは一目瞭然です。1997年といえば、構造改革基本法が制定され、緊縮財政が始まろうとする年であり、消費増税3%→5%としたのが1998年です。

     

    <常用労働者1人平均月間現金給与額 1947年〜2017年 年平均>

    (出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構のホームページ)

     

     上記グラフをご覧の通り、現金給与額の平均は、1997年をピークに下がり続けています。

     

     また「各種指標の動きを分析し・・・」には、実質GDPのプラスということがあるかもしれません。直近の第4四半期は、まだ発表されていませんが、第3四半期こそ▲1.2%と大きくマイナスでしたが、第1四半期、第2四半期はプラス成長でした。

     

     実質GDPがプラスだったとしても、好景気であるとは限りません。

     

     実質GDPは直接積算して計算することができないのです。

     

     では実質GDPは、どう算出するのでしょうか?

     

     名目GDPとGDPデフレーターの2つから算出します。名目GDPは単純に足すだけですので積算して算出しますが、GDPデフレーターは定点観測して算出します。

     

     実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター

     

     実質GDPは、名目GDPとGDPデフレーターを算出し、それらから上記数式で導いているに過ぎません。このことは極めて重要で、一般の人のみならず国会議員ですら騙されてしまうことが出てきます。なぜならば、GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDPでもあるため、消費増税によって名目GDPが強制的に引き上げられる一方で、実質GDPは減少幅が大きいという状況が発生することがあります。実際に2014年の消費増税8%のときは、引き上げ直後のGDPデフレーターはプラスになりましたが、すぐにその後、マイナスに沈んでいます。

     

     GDPデフレーターはパーシェ指数とも呼ばれ、新しい年の数量を基準に物価を計算します。

     

    <例題1>

     2017年

     カローラ10台 1台100万円

     りんご10個 1個100円

     

     2018年

     カローラ12台 1台70万円

     りんご16個 1個50円

     

     (12台×70万円+16個×50円)÷(10台×100万円+10個×100円)

    =(84万800円)÷(100万1000円)≒0.84

     

     パーシェ指数は%で表現するため、この場合は84%となり、16%物価が下落したこととなります。

     上記例題は、2018年にかけて、極端に物価が下落したケーススタディでしたが、物価下落もそうですし、名目GDPも減少します。

     

     景気の肌感覚でいえば、皆さんの周りはどうでしょうか?

     

     例えば私は新宿のタカシマヤや京王百貨店で買い物することがあります。デパ地下に行けば、昼間は値段が高いためなのか?閑散としていますが、閉店近くになると生鮮食料品や弁当・お惣菜が30%→50%となり、消費者が群がります。家の近くにはピーコックというスーパーがありますが、こちらも閉店近くになると弁当・お惣菜は半額となり、買い物客がどっと押し寄せます。

     

     地方都市に旅行や視察で行けば、どこの町も閑散としてシャッター商店街になっており、「いざなぎ景気」とは到底思えません。大都市部にしろ地方都市にしろ、 百貨店が苦しむ一方で、ドンキホーテやユニクロといった安売り店が繁盛する状況で、景気がいいと本当に言えるのでしょうか?

     

     実質GDPが増えても好景気を実感できないのは、そうした肌感覚もさることながら、実質GDPを見るだけでは判断基準として不十分だからと言わざるを得ません。

     

     具体的にはGDPデフレーターがプラスになって、かつ名目GDPも安定して伸びていること、この場合は物価上昇以上に給料も増えている状況ですので、物をより多く買うことができてかつ給料も物価の伸び以上に伸びている状態ですので、豊かさを実感でき、景気がいいと言えるでしょう。

     

     いずれにしても実質GDPがプラスだから好景気とか、実質GDPのプラスが継続しているから「いざなぎ景気」を超えたという言説は、ウソではなかったとしても実感と程遠く、表現定義を変える必要があると思うのです。

     

     もし表現定義を変えない場合、何が起きるか?というと、「景気が良い!いざなぎ景気を超えている!消費増税10%でも問題ない!」となってしまいます。

     

     「消費税率を欧米並みに引き上げなければならない!」という考え方の場合、まず最初に「現在は景気が良くなければならない!」という結論があるため、そこに合わせて指標を都合のいいようにとらえて「いざなぎ景気越え」などと表現されてしまうのです。

     

     GDPデフレーター、コアコアCPIがプラスマイナスゼロ近辺という状況は、景気がいいという言葉は当てはまらず、消費増税は論外であるというのが私の立場です。

     

     実質GDPだけでなく失業率が低下しているなどという言説にしても、少子高齢化という環境で失業率が低下しているだけで、アベノミクスの成果でも何でもない。非正規社員ばかりが増えている状況で失業率が低下しているといっても、雇用の質の低下を恣意的に無視した結果であり、失業率低下=好景気という表現定義に問題があると言えます。

     

     間もなく2018年の第4四半期(10月〜12月)のGDPが発表されるでしょうが、第3四半期は実質GDPでマイナス1.2%だったことは先に述べました。実質GDPはほぼプラスマイナスゼロ近辺をウロウロしているのが日本ですが、日本の低迷を横目に他国はGDPを伸ばしています。

     

    <主要国のGDP伸び率>

    (出典:世界経済のネタ帳から引用)

     

     上記棒グラフを見れば一目瞭然。日本のGDPが20年間500兆円前後で伸び悩む一方、中国は13倍、韓国でさえ2倍以上の伸び率となっています。

     

      主要国の中で、日本だけが1996年比でGDPが成長できないのは、人口減少が理由でも何でもありません。公共事業削減、消費増税の2度の引き上げをはじめとする緊縮財政につながった1997年の構造改革基本法が、日本を破壊し続けているという事実を、多くの国民が認識するべきであると考えます。

     

     

     というわけで今日は「いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本」と題して論説しました。

      こうした統計手法のカラクリを使って、日本国民を巧みに騙し、消費増税を実行しようと画策する輩は、万死に値すると思うのは私だけでしょうか?

     ロイター通信の記事のある「いざなぎ景気」を超えたというのが、都合のいい指標だけをとって判断したものであり、消費増税を確実に実施するために「好景気」であることを国民に知らせるために、実質賃金下落やGDPデフレーターが弱いことを意図的に恣意的に無視したというのが、私の見立てなのです。

     このようにマスコミ報道に騙されないようにするために、多くの一般国民が経済指標の見方などの知見を高める必要があるものと、私は思います。

     

     

    〜関連記事〜

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