政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?

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    JUGEMテーマ:年金/財政

     

     1/19(土)に、永田町で「安藤裕と語る会」という会合に出席しました。安藤裕さんは、京都選出の国会議員の先生なのですが、スペシャルゲストで、元総務省の官僚をされていた方で、現在は室伏政策研究室の代表をされておられる室伏謙一様がご出席されました。

     その中で政府の不正統計についてご講話いただき、会合後の懇親会で私こと杉っ子も意見交換させていただきました。そこで今日は「政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?」と題して、新聞記事を2つご紹介します。

     

     まずは読売新聞の記事です。

    『読売新聞 2019/01/17 がん患者、新たに年99万人…部位別では「大腸」トップ

     厚生労働省は、2016年に新たにがんと診断された患者数は延べ99万人を超えたと、17日付で発表した。すべての病院に患者データの届け出を義務付けた「全国がん登録」という新たな制度による初の集計で、日本のがんの実態が判明した。部位別では、大腸がんがトップだった。

     全国がん登録は、病院に届け出を義務化したがん登録推進法の施行に伴い、16年から始まった。それ以前の登録制度は任意で、登録漏れが指摘されていた。

     集計結果によると、16年のがんの新規患者数は99万5132人(男性56万6575人、女性42万8499人、不明58人)。法施行前の登録をもとにした15年の患者数89万1445人(男性51万926人、女性38万519人)に比べ、10万3687人も多かった。

     集計した国立がん研究センターによると、患者数が急増したというより、さらに正確なデータが集まったためとみられる。

     部位ごとの患者数を見ると、大腸15万8127人(15・9%)、胃13万4650人(13・5%)、肺12万5454人(12・6%)の順に多かった。

     15年と比べると、順位は同じだが、全体に占める割合は、胃や肺で下がった。それぞれ原因となるピロリ菌の感染率や、喫煙率の低下を反映したとみられる。逆に、大腸は0・4ポイント上がっており、食生活の欧米化などの影響がうかがえる。(後略)』

    <2016年にがんと診断された患者の部位別順位>

    順位 全体 男性 女性
    1位

    大腸がん

    (15万8,127人)

    胃がん

    (9万2,691人)

    乳房がん

    (9万4,848人)

    2位

    胃がん

    (13万4,650人)

    前立腺がん

    (8万9,717人)

    大腸がん

    (6万8,476人)

    3位

    肺がん

    (12万5,454人)

    大腸がん

    (8万9,641人)

    胃がん

    (4万1.959人)

    4位

    乳房がん

    (9万5,525人)

    肺がん

    (8万3,790人)

    肺がん

    (4万1,634人)

    5位

    前立腺がん

    (8万9,717人)

    肝臓がん

    (2万8,480人)

    子宮がん

    (2万8,076人)

     

     

     上記記事の通りですが2016年で男女合わせて最も多いのは大腸がんが1位で15万8,127人にも上ります。理由は食生活の欧米化とも記事には書かれていますが、こうした統計は、いろんな政策判断のベースとなるものであり、大事なものです。

     

     それに比べれば、下記は毎日新聞の記事ですが、ひどい話です。

    『毎日新聞 2019/01/11 21:24 勤労統計不正 政府統計の信頼失墜

     厚生労働省の「毎月勤労統計」の一部調査が不適切な手法で行われていた問題を受け、菅義偉官房長官は11日、勤労統計を含め56ある政府の基幹統計を一斉点検する方針を示した。勤労統計のデータを使った統計で見直しが必要なものも出ているほか、エコノミストからは批判の声も上がっており、信頼回復は容易ではなさそうだ。

    政府は、統計法に基づき、勤労統計のほか国勢調査や国民経済計算、法人企業統計など特に重要な統計を基幹統計と定めている。

     基幹統計は、調査を受けた側が虚偽報告した場合は罰則があるなど、一般的な統計よりも厳密とされており、政策立案や学術研究にも活用されている。そのため、政府としては基幹統計全体を点検することで信頼回復を図りたい意向。政府統計を統括する総務省の統計委員会も17日に臨時会合を開く予定で、厚労省から報告を受けて具体的な対応策の検討を急ぐ方針だ。

     一方、問題は他の統計にも影響している。国内総生産(GDP)と同時に発表される、全雇用者にどれだけ報酬が支払われたかを示す「雇用者報酬」は、勤労統計の給与などのデータを使用している。茂木敏充経済再生担当相は11日の閣議後記者会見で「雇用者報酬は改定が必要になる。今月中にも改定値を公表できるよう準備をさせたい」と話した。

     統計を使って分析を行うエコノミストからは、政府統計の信頼性について懸念の声が上がっている。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「何を信じてよいのか分からなくなる。海外投資家からも日本の統計が疑いの目で見られる恐れがある」と指摘。「一斉点検で、他の基幹統計に問題がないとの結果が出ても、『本当に信用していいのか』という疑念は拭えないだろう」と話している。【井出晋平】』

     

     

     上記記事の通り、厚労省の「毎月勤労統計」の一部調査に不正があったというニュースです。

     

     室伏謙一様は、総務省に入省され、統計の部局にも居られたことがあるということでした。

     

     室伏様によれば、この事件は、本当にひどい話で、日本はこうした統計ですらできなくなってしまっているほど、落ちぶれてしまったと厳しい論調でした。この事件における室伏様の講話の内容は下記の通りです。

     

    ●統計は政策判断上、重要なものに成り得るものであるため、粛々とまじめにやってきた

    ●統計に対して人材も投入し、部局も作ってお金もたくさんかける

    ●それが昔よりだんだんいい加減になってきた

    ●統計局部の職員は処遇が立派な処遇がなされない

    ●緊縮財政のあおりを受けて切り詰め切り詰めで処遇されない

    ●かつては部局があって出世もできた

    ●省内でも統計の職員は端っこで、統計なんてどうでもいいという風潮が生まれてきた

    ●財務省の緊縮財政で予算を削減する中で、行政を効率化していくと、その時にやり玉に挙げられるのは統計担当の職員

    ●(グローバリズム礼讃か?)国連を通じてアジアの外国の人材には人材育成に力を入れている

    ●統計担当の数学職はモチベーションが下がっていて、たとえ間違いがあっても見て見ぬふりをした方が都合がいい

    ●不正を指摘したら自分の将来に傷がつくので黙っていた方がいい

     

     以上が室伏様からお話しいただきましたが、私は室伏様のお話を聞いて、2点疑義を持ちました。

     

     1点目は、統計担当の職員は、事務次官などへの出世がなく、処遇も含めて冷遇されているということ。本来ならば統計は政策判断ですら左右される重要なものであるにもかかわらず、そこに携わる職員を人材育成しようという発想がないということ。しかもグローバリズムでなぜかアジア諸国の外人には人材育成しているくせに・・・というのもあります。

     

     これでは職員自体がやる気・士気が下がって当たり前。貧すれば鈍するで、統計数字の品質を劣化させる不正の温床になるのは、当然の帰結ではないかということです。

     

     2点目は、今回のデータが不正だったことで、賃金が上昇しているようになっているということです。これはアベノミクスの成功を見せかけようとしていたのでは?という疑義もあります。

     

     もちろんこの疑義を証明する術はありませんが、財務省の緊縮発想で「どうしても消費増税は成し遂げなければならない」と考えるならば、そうした疑惑も否定できないものと私は思います。

     

     今回の統計不正に限らず、安倍政権は公然と数字のごまかしをやってきました。例えばGDP30兆円のかさ上げです。500兆円のGDPを600兆円に増やすというならば、研究開発費をGDPにカウントするよう定義変更したなら、当然630兆円に増やすとして目標値も変わるべきです。

     

     また2018年の前半では、実質賃金についても、サンプル対象の事業所を入れ替えて賃金統計が高く出るように見せかけているという事件もありました。

     

    <賃金統計の推移(2018年1月〜2018年7月>

    (出典:厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

     

     上記の折れ線グラフの通り、同一の事業所でみた場合の実質賃金(灰色の折れ線)はマイナスが継続していますが、サンプル変更後の実質賃金(青色の折れ線)はプラスで推移しています。

     

     アベノミクスが成功していると見せかけて、都合の悪い数字は見て見ぬふりをしてわざと見ないようにして、「消費増税しても問題なし」「消費増税は何としても実施すべき」と考える人らが、サンプル変更して数値を公表し、サンプル変更を敢えて言わずに公表しているとすれば、手口が悪質としか言いようがありません。

     

     GDPの定義変更や実質賃金のサンプリング変更が、不正とまではいわなくても、恣意的に留意点を隠蔽したりすることが日常的に行われているとすれば、今回明るみになったような不正があったとしても、誰も指摘しないということはあり得ると考えられます。

     

     とにかく財務省主導の緊縮財政発想が蔓延したことで、統計という地味な作業ですが大事な部分であるにもかかわらず、コスト削減してしまった。その結果、統計数値の品質が劣化した。これは、もう中国のGDPがデタラメとか、韓国の製品がデタラメとか、言っていられない状況にまで、日本が落ちぶれてしまったということで、大変ヤバイ状況だと私は思います。

     

     

     

     というわけで今日は「政府の統計不正改ざんは、社会保障給付を少なくしたいため?それともアベノミクスが成功していると見せかけるため?」と題して論説しました。

     経済政策の判断は、全部政府統計を使っているのが普通です。それだけ統計は地味ですが、大事なものといえます。なぜならば、統計が間違っていれば、経済政策の判断を間違えることにつながるからです。

     今回の事件で統計官が穏便に済ませて統計担当者だけを処罰するとしたら、私は反対します。むしろ財務省の緊縮発想をやめさせるべく、財務省の人事制度において、緊縮財政が遂行できた人(消費税をはじめとする増税の仕組みを作った人・支出削減をできた人)を評価するのではなく、名目GDPを増やした人が評価されるように、財務省の人事制度を変える必要があると考えます。

     そうすれば緊縮財政が破棄され、デフレ脱却を通じて税収も増えていくことになるからです。

     

    〜関連記事〜

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