ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて

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    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

     

     今日は「ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて」と題して論説します。

     

     下記はロイター通信の記事です。

    『ロイター通信 2018/12/26 ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて

    [東京 26日 ロイター] - 郵政民営化委員会は26日、ゆうちょ銀行<7182.T>の預入限度額を現在の1300万円から2600万円に倍増させる方針を盛り込んだ報告書を取りまとめた。報告書を受け、総務省と金融庁は政令改正の手続きに入る。限度額の引き上げは2016年4月以来。
     報告書では、限度額の対象を「通常貯金」と「定期性貯金」に分け、それぞれ1300万円ずつとすることとした。来年4月からの実施を目指す。
     現在のゆうちょ銀の預入限度額は、常時引き出しができる「通常貯金」、預け入れ日から6カ月間は引き出しができない「定額貯金」、預け入れ期間を指定する「定期貯金」の合計で1300万円までとなっている。
     民営化委は今年、3年に1度の郵政事業の見直し作業を進めてきた。限度額の扱いが焦点となったが、通常貯金の限度額撤廃を要望する日本郵政<6178.T>と、ゆうちょ銀への資金シフトや地域金融機関との関係悪化などを懸念する金融庁や民間金融機関との間で意見の隔たりが埋まらず、調整が長期化していた。
     報告書は、日本郵政が保有するゆうちょ銀株について、3分の2未満となるまで売却することなどを限度額引き上げの条件としている。 』

     

     

     上記記事の通り、日本郵政傘下のゆうちょ銀行の貯金の限度額について、政府は現在の1300万円→2600万円に引き上げる方針を固めました。郵政民営化法に基づく政令を改正して2019年度4月から実施する方針としています。

     

     2600万円への引き上げは、利用者の利便性向上を理由としている一方、民間金融機関にとっては巨大なゆうちょ銀行の関税民営化が見えない状況で規制緩和されれば、不公平な競争を強いられるという反発があります。

     

     私は今回の貯金限度額引き上げについて、日本経済への影響のことを考えると必ずしも適切な判断とは思っていません。

     

     なぜならばゆうちょ銀行の郵便貯金のお金というものは、全国津々浦々に郵便局があって、その郵便局全てで郵便貯金の取り扱いが可能であり、銀行がない場所であっても金融機関として金融サービスを提供するという趣旨があって全国に作られているのです。

     

    <沖縄県伊平野島の郵便局(ATMあり)>

    (出典:2017/11/24に杉っ子が現地で撮影)

     

    <東京都青ヶ島の郵便局(ATMあり)>

    (出典:2013/11/24に杉っ子が現地で撮影)

     

    <沖縄県与那国島の郵便局(ATMあり>>

    (出典:2011/11/05に杉っ子が現地で撮影)

     

    <北海道天売島の郵便局(ATMあり)>

    (出典:2016/08/11に杉っ子が撮影)

     

    <北海道焼尻島の郵便局(ATMあり)>

    (出典:2016/08/12に杉っ子が撮影)

     

    <沖縄県久高島の簡易郵便局(ATMなしだが預金取扱はあり)>

    (出典:2016/12/02に杉っ子が撮影)

     

    <沖縄県津堅島の簡易郵便局(ATMなしだが預金取扱はあり)>

    (出典:2016/12/03に杉っ子が撮影)

     

     

     どんなに辺鄙な山奥でも、島であっても、そこに住む日本国民のお金を吸い上げる力があります。このお金を今、政府系金融機関として株式を購入したり、外国債券を購入したりするなど、いろんな運用方法で政府の意向に基づいて運用されています。

     

     運用の規模がもともと大きいことから、政府系金融機関の運用資金のことを、株式市場関係者間では「クジラ」と呼ぶこともあります。運用規模が大きいがゆえに、様々な方法で運用するのですが、今回の限度額引き上げは、その運用規模をさらに拡大していく方向に働くこととなるでしょう。

     

     政府系金融機関というならば、公共性の高い分野に融資すべく、財政投融資への資金注入ということは考えられます。民間の銀行の貸し付けに該当しますが、融資する分野が公共性の高い分野で、例えば高速鉄道や高速道路や港湾整備などのインフラ整備のために主体的に活用されるというならば、何ら問題のない運用です。

     

     その公共性の高い分野に資金注入したくても、今の運用規模では不足するので財政投融資の規模を拡大したいというならば、限度額引き上げ自体は公共性が高いといえます。

     

     ところが「クジラ」と呼ばれるくらい政府系金融機関は株式市場での株式購入に使っているという批判があり、それはそれで投資家からみれば政府が株価を押し上げる分、割高に株価が形成されている可能性があって、そうした株式購入に使うために運用規模を拡大するというのは、果たして公共性が高いと言えるのか?という疑問があります。

     

     さらに民間金融機関は、デフレで物・サービスの価格を下げないと売れにくいという環境であるために資金を借りたいという需要がなく、銀行のビジネスモデルそのものが苦しい状況で、さらに競争激化となる限度額引き上げをするのは、どうなの?という疑問もあります。

     

     デフレを放置しておきながら、競争激化させるとなれば、さらにデフレが継続するだけであり、何らメリットはありません。

     

     それだけでなく日本郵政がゆうちょ銀行の株式の保有比率を3分の2未満となるよう売却させるのを条件としており、郵便事業がただでさえ赤字で苦しいところに、ゆうちょ銀行の配当利益が少なくなるという点で、郵便事業そのものの経営が苦しくなって、日本郵政の経営も苦しくなっていくことも予想されます。

     

    <日本郵政とその子会社の郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命との関係図>

     

     実際に、土曜日の配達をやめるとか、はがきや郵便の料金の値上がりなど、郵政民営化した結果、郵政省で公務員だったがゆえに可能だった土曜配達や年賀状配達の過剰サービスができなくなり、低廉な料金で日本全国にサービスを提供するというコンセプトは、利益追求の株主資本主義のによってできなくなりつつあるのです。

     

     郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のサービスが、日本全国で均一のサービスをやろうと思えば、例えば先の写真にある久高島や津堅島は銀行ATMがないので、新たにATMを新設しようと思ったとしても、過疎化している島では儲からないため、ビジネスとして成立しません。結果、ATM設置はほぼ無理でしょう。

     

     私は利益追求が悪で、公共性が善というつもりは全くありません。現実の問題として民営化された後のゆうちょ銀行が果たして久高島や津堅島にATMを新たに設置できるか?というと利益が出せないので無理だと思うのです。では、利益が出ない、お金が儲からないという理由で、久高島や津堅島の金融サービスが他の地域より劣るのを放置していいのでしょうか?それは地方の切り捨てと同じことだと私は思います。

     

     結局、自由化にしろ民営化にしろグローバル化にしろ、自由化や民営化をやっていい分野とやってはいけない分野があるということです。というより日本で民営化している分野は、ほとんど民営化すべきでない即ち公のままでなければ利益が出せない。かといって、事業を無くすことは安全保障や国民の利便性の問題から撤退できない。こうした分野ばかりを民営化しています。

     

     ゆうちょ銀行でいえば、ゆうちょ銀行が民営化されて、株式市場にお金がどんどん流れていくということが、果たして日本国民を豊かにするのでしょうか?株式を保有する人しか恩恵を受けられないどころか、株式をこれから買おうとしようにも、不適正に株価が吊り上げられて高く買ってしまうのでは?という問題もあるのです。

     

     本来ならば郵政民営化は逆戻りさせて公務員にして、利益追求しなければ久高島や津堅島にATMを設置できます。またデフレで肥大化した運用資金は、財政投融資の原資とすることをより明確化し、公共事業に投ずることこそ、インフラが整備されて日本国民の暮らしが豊かになるものと私は思います。

     

     

     というわけで今日は「ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて」について論説しました。


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