覇権挑戦国に伸し上がろうとする中国をつぶそうとしている米国

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     今日は「覇権挑戦国に伸し上がろうとする中国をつぶそうとしている米国」と題して論説します。

     

     2018年3月に、トランプ政権が米国に輸入される鉄鋼に一律25%、アルミニウムに一律10%の関税を課すという輸入制限を発動させてから、米中貿易戦争が一気に注目を集めるようになりました。

     

     この段階では、日本製品を含めて一律に関税を課すということでしたが、4/16には中国通信機器大手のZTEがイラン、北朝鮮へ通信機器を違法に輸出していたとして、米国企業による製品販売を7年間禁止すると発表し、明らかに中国を狙い撃ちした経済制裁が始まって、貿易戦争が一気に加速しました。

     

     日本のマスコミも「米中貿易戦争」と題して、こうした米中激突の状況を経済戦争と捉えて連日報道しています。

     

     そうした報道の中で、中国に勝ち目があるか否か?あるいは米国の貿易戦争は意味がないであるなど、様々な論説が飛び交っていますが、米国がやろうとしていることは、そうした単なる貿易問題の話ではなく、もっと大きなパラダイムシフトが起きようとしていると考えるべきです。

     

     いわば第二次世界大戦が終わり、米ソ間で鉄のカーテンが轢かれて冷戦が始まった時点であるとか、東西ドイツのベルリンの壁崩壊であるとか、1991年末のソビエト連邦崩壊であるなど、そのくらいのインパクトのパラダイムシフトが起きようとしていると考えられるのです。

     

     そうした意味では、貿易の問題だけではないため、「米中貿易戦争」という表現は、誤解を招くといえます。

     

     今年の10月に米国のミサイル駆逐艦「ディケーター」が南シナ海を航行中、中国の軍艦が接近するという事件も発生しております。

     

     ブルームバーグの記事をご紹介します。

    『ブルームバーグ 2018/10/02 13:59 中国、南シナ海航行の米駆逐艦追い出す−米中の緊張浮き彫りに

     中国が南シナ海で実効支配する人工島に接近した米駆逐艦を中国側が追い出した。中国国防省が2日発表した。貿易摩擦が激しさを増す中で、米中両国の緊張が浮き彫りとなっている。

     同省は声明で「米海軍のミサイル駆逐艦『ディケーター』が南シナ海の人工礁近くの海域に入ってきた」と説明。警告を発した上で、米駆逐艦を追い出したという。

     米太平洋艦隊のティム・ゴーマン報道官は電子メールで、ディケーターが9月30日午前に南シナ海のガベン礁の近くを航行中に、中国の駆逐艦が「危険かつプロフェッショナルではない操縦で接近してきた」ことを明らかにした。

     中国の駆逐艦はディケーターに海域から出るよう警告するたびに操縦が攻撃的になったと同報道官は説明。「ディケーターの艦首まで45ヤード(約41メートル)以内まで近づいてきたため、ディケーターは衝突を避けるための行動を取った」と記した。

     中国政府は先月、米軍艦の香港寄港要請を拒否。中国の海軍幹部も米国側とのハイレベル協議を取りやめていた。』

     

    <米国のミサイル駆逐艦”ディケーター”>

    (出典:ブルームバーグ紙)

     

     米国には国是としてFON(Free of navigeter:航行の自由)という極めて重要な概念があります。

     

     このブルームバーグの記事は、南シナ海で勝手に基地を作り、航行の自由を妨げる中国に対して、FONをかざす米国が駆逐艦で就航しているところ、中国の艦船が急接近したという事件です。

     

     こうした記事をみても理解できると思いますが、米国は中国との間で、事実上の戦争が始まっている状態と認識していることの証左といえるでしょう。

     

     南シナ海で中国が埋め立てた上に基地を作ったいわゆるスプラットリー諸島問題は、そもそも国連海洋法条約121条1項に定められる島の定義に該当しません。日本の沖ノ鳥島は国際法上の島の定義に該当しますが、スプラットリー諸島は島ではありません。そのためEEZ(排他的経済水域)ですら、中国は主張することができません。

     

     米国のFONは国是であるため、今後はこうした艦船の接近事件という白黒ではなくグレーな事件は多発するかもしれません。そして、方向的にはグレーが白に戻ることはなく、必ず黒に向かっていくのが過去の歴史です。

     

     この背景には2つ理由があると考えられます。

     

     一つ目は1992年にソ連が崩壊して以降、米国が覇権国として主導してきたグローバリズムによって、覇権国に対する挑戦国を新たに生み出すという歴史です。

     

     第一次グローバリズムは英国が覇権国で、英国が自由貿易を推進する反対側で、自国市場は保護して技術開発・設備投資を行って経済力を強化し、急激に経済力が伸びて英国の挑戦国になったのがドイツです。経済力が拮抗もしくはドイツが経済力を上回った瞬間に1914年の第一次世界大戦が勃発しました。

     

     これを米中に照らし合わせてみるとどうでしょうか?

     

     米国が自由貿易を推進する反対側で、中国は自国市場を保護して技術供与を強要し、中国人労働者を受け入れろ!とやる一方で中国は労働者を受け入れず、中国人に日本や米国の土地を買わせろ!とやる一方で、中国の土地は日本や米国には買わせないという保護主義を取りながら経済成長して伸し上がってきました。いわば中国が米国の覇権国になったこということが1点目です。

     

     二つ目として、世界には2種類の国しかないということです。

    <封建領主国(封建制度を経験している国)>

     封建制度を経験し、議会制民主主義と資本主義を発展させた西洋と日本とその後継国が該当します。米国は英国の後継国であり、カナダもオーストラリアも同様です。西側先進諸国は100%封建制度を経験しています。

     米国は封建制度の経験はありませんが、英国内で進化した議会制民主主義を受け入れた人々が米国に渡りました。そういう意味で米国は英国の後継国といえます。

     欧州では中世において封建制度を経験しています。

     

    <独裁帝国(封建制度を経験していない国)>

     言論統制し、多民族、多言語、多宗教国家であることが特徴的です。それを皇帝という絶対権力者がいて、その皇帝が独裁政治をやります。

     そうしないと国家としてまとめられないからなのですが、そうした歴史を積み重ねてきた国が独裁帝国です。

     

     前者の封建領主国とは、封建制度を経験して議会制民主主義と資本主義を発展させた西洋と日本とその後継国が該当します。米国は封建制度を経験していませんが、英国の進化した議会制民主主義を受け入れた人々が米国に渡ったため、英国の後継国といえます。

     

     後者の独裁帝国は、言論統制し、多民族・多言語・多宗教国家で、そこに皇帝という絶対権力者が存在し、その皇帝が独裁政治を行うというのが独裁帝国です。良くも悪くも独裁国家とは皇帝がいないと国がまとまりません。

     

     中国VS米国&欧州&日本という独裁帝国VS民主国家という構図であり、これは数年で終わるはずがありません。貿易戦争というのは、そうした意味で矮小し過ぎといえます。

     

     そして中国という国の最大の問題は、今まで民主主義を経験できなかったことに尽きます。

     

     なぜ中国が民主主義を経験できなかったか?理由は、封建制度で権力が分散しますと国王が持っていた絶対権力が各封建領主国に分散してしまい、国家としてまとまらなくなってしまうからです。

     

     第一次世界大戦の構図の英国VSドイツでは、ドイツについてナチスのことを独裁国家と呼ぶことが多いです。とはいえナチスドイツはドイツ民族とナチス党が一体化しており、ナチスが一党独裁であっても、中国のように国家の上に中国共産党が存在するという形ではなく、あくまでもナチスは同一民族の一体化という位置づけでした。

     

     中国共産党は中華人民共和国の上に立つため、一帯一路政策などを通じて他国を中国共産党の支配下に置くことができてしまうのです。

     

     そうした意味で、これまでの覇権国VS覇権挑戦国という構図でも、民主国家VS独裁帝国という新しい構図で激突しているという点で、大きなパラダイムシフトが起きようとしていると捉えることができるでしょう。

     

     

     というわけで今日は「覇権挑戦国に伸し上がろうとする中国をつぶそうとしている米国」と題して論説しました。

     

     

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