人手不足だから公共事業は増やさなくてよいというのは完全な間違い

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     今日は「人手不足だから公共事業は増やさなくてよいというのは完全な間違い」と題して論説します。

     

     下記はロイター通信の記事です。

    『ロイター通信 2018/11/12 12:12 社会資本整備遅れるとチャンス失う=諮問会議で安倍首相

    [東京 12日 ロイター] - 内閣府幹部によると、12日の経済財政諮問会議後では石井啓一国土交通相が、首都圏で年間約100万回の発着容量を実現する重要性を強調。これらを受けて安倍晋三首相が、財源を考えることも重要ではあるが、生産性向上のための社会資本整備が遅れると日本としてチャンスを失うとコメントしたという。

     茂木敏充経済再生相も、訪日外国人の拡大に備えて空港整備が重要と会見で説明した。』

     

     この記事は、2018/11/12(月)の経済財政諮問会議の後、石井国交相が年間100万回の発着容量を実現する空港整備の重要性を強調したというニュースです。

     

     実際に石井国交相が発言したのは、空港だけではなく、新幹線や高速道路や港も重要であると仰っており、安倍総理もそうしたものは全て大事であると仰いました。

     

     これは極めて重要な発言です。

     

     この発言はロイター通信で報道されている一方、日本経済新聞は、安倍総理の発言の以前に、財政諮問会議の民間議員らが、社会資本整備や国土強靭化や防災対策は大事だが、お金を使いすぎるのはいけないとし、財源問題があるのでお金を使う使うという発想はいかがなものか?という発言が山ほどありました。

     

     経済財政諮問会議は、国会議員だけでなく民間議員も構成員になっています。民間議員がお金を使いすぎるのはいかがなものか?と言い、その発言に対しての安倍総理のメッセージであるから重要な発言です。

     

     生産性向上を怠れば、社会保障整備が遅れるだけでなく、お金をケチることでお金儲けもできなくなって結果的に損をする。そのため、しっかり必要なものにインフラを作ればビジネス上も儲かって財政も豊かになるという趣旨のことを安倍総理はメッセージとして述べられたのです。

     

     なぜ民間人はそう思わないのか?財務省職員らは、そう考えないのか?安物買いの銭失いという言葉がありますが、投資というのは未来に回収するために投資するのであり、資本主義とは投資して資本を形成して回収するというものです。そうした態度がないとなれば、これはもうずっと縄文時代のようなもので、発展途上国へ逆戻りしてしまいます。

     

     資本主義で経済成長するためには、お金を使って短期的に赤字を拡大し、長期的に黒字を得ていくということで、これが王道です。投資の拡大は許さない、赤字は許さないとなれば、その社会は経済成長できません。

     

     プライマリーバランス黒字化が正義だといっている人は、頭が悪いアホです。社会は投資があって成り立つものだからです。

     

     それでは、社会資本整備はどうやって進めていくべきでしょうか?

     

     安倍総理が仰っていることは、道路をたくさん作れば工場がたくさんでき、生産性向上によって物流コストが下げられます。さらに新幹線も同じ効果があるのと同時に、国土強靭化をやれば、次年度以降襲来するであろう自然災害で、どこかで人が亡くなる、工場が破損するなど、生産基盤を毀損して、法人が法人税を払えなくなるという状況を回避できます。

     

     だから財務省職員は、税収を全体的に上げようとするのであれば、一定程度の防災投資・国土強靭化投資をしておく方が、結果的に生産性向上に加えて景気浮揚につながり、財政が黒字になるという話です。

     

     また、そうした投資をしないとチャンスを失うこととなるため、防災だけでなく前向きな道路整備・新幹線整備も含めて大事なことであると安倍総理は仰ったのでしょう。

     

     単年度ごとに目先の財政収支を考えるのではなく、5年、10年、20年、100年という時間をみて、国家とは投資して社会資本を整備したほうが、整備しないよりも国は豊かになって、財政も豊かになるというのが、安倍総理が言いたかったメッセージではないでしょうか?

     

     いま国土強靭化で、例えば公共投資をしようとすれば、推進するには人手が必要で、建設現場では人手不足という問題が目の前にあります。

     

    <建設業における投資額、許認可数、就業者数の推移(平成2年〜平成28年)>

    (出典:国土交通省が作成した資料から引用)

     

     

     上記は棒グラフが建設業従事者数で、黄緑色の折れ線グラフは公共投資の金額の推移です。

     

     平成9年(1997年)の685万人をピークに、就業者数は減少に転じました。1997年以降、緊縮財政が始まりましたが、それ以降も緊縮財政で公共事業を削減し続け、平成21年(2009年)の517万人を底に緩やかな上昇に転じています。

     

     一方で公共投資のピークは、平成8年(1996年)の34.6兆円です。2002年以降、小泉政権下において、猛烈に公共投資を削減してきたことがわかります。「コンクリートより人へ」を標榜した民主党政権以上に、公共投資を削減してきたのが小泉純一郎政権です。

     

     公共投資を削減すれば建設業事業者数は減少し、公共投資を増やせば建設業従事者は増加します。これは外国人労働者を受け入れようと受け入れなかろうと、そうなります。

     

     そのため人手不足だったとしても公共投資を継続的に増加させていく体制を整えれば、そしてそれを2年、3年、4年と続ければ、100%公共事業で働く人は増えてくるでしょう。

     

     2017年の台風の水害対策もできていないところに、2018年は西日本豪雨、台風21号、台風24号が来て、災害の上塗りになり、しかも復興事業が一向に進まないのは、建設業の働き手がいないからです。

     

     それは予算が付かないからというのもあるでしょうし、働き手がいないからという理由もあるでしょうが、予算が潤沢に付けられれば、高いお金で入札をかけられるため、絶対に落札する人が出てくるはずです。

     

     昨年被害にあったものが1年間何もされず放置されているのは、要するに財政問題なんか存在しないのに、お金がないからと考えているからです。普通に建設国債を増やせばいいだけの話なのに、それに気づかないのは本当に愚かしい話です。

     

     前向きな投資は道路も作り、新幹線も作り、港湾整備も行い、かつ後ろ向きな投資というと失礼ではありますが、復旧は1日も早く直さないとそこでの人々の生業も産業も廃れ、税金を払うことでさえもできなくなります。

     

     私たち日本人は、中長期的にそうしたことを見据えて物事を考えるようにならないと、自然災害でインフラがどんどん蝕まれ、前向きなチャンスをどんどん失って、このままだとやがて韓国やインドにも経済成長で抜かれてしまうことになることは当然の帰結といえるでしょう。

     

     

     というわけで今日は「人手不足だから公共事業は増やさなくてよいというのは完全な間違い」と題して論説しました。

     人手不足が発生するのは、公共工事の場合は単価の問題です。例えば1キロの道路を作る上での単価、1か所の土砂災害を復旧するための単価、過剰に安いということをマーケットがメッセージとして発しているということであり、人手不足があるから公共事業を増やさなくていいというのは、完全な間違いです。

     公共事業費を増やせば人手不足は解消する、賃金を十分に引き上げるだけの介護報酬を引き上げれば人手不足は解消する、こうした当たり前のことを皆様にもご理解いただきたいものと私は思うのです。


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