中国Huawei・ZTE問題と、国家安全保障にかかわる次世代通信システム5Gサービスについて

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     皆様はHuawei(華為=ファーウェイ:以下「ファーウェイ」)という会社をご存知でしょうか?

     

     日本でも新宿東口のビックロ(ビックカメラとユニクロの融合店)などでは、エスカレーターにファーウェイの広告があったり、タブレットでいえば、富士通のArrowsなど日本勢よりもはるかに価格で格安なタブレットを販売。長期にわたってデフレが放置されていることもあって、消費者が安いものを求めて中国製のファーウェイを買うという日本の縮図が、そこにはあります。

     

     そのファーウェイのCFO(最高財務責任者)兼副会長の孟晩舟(モンワンジョウ)が、カナダで逮捕されました。今日はこのニュースについて論説します。

     

     下記はブルームバーグの記事です。

    『ブルームバーグ 2018/12/06 16:34 華為CFOをカナダで逮捕、米国が引き渡し求める−中国は抗議

     中国のスマートフォンメーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)兼副会長が米国の対イラン制裁に違反した疑いでカナダで逮捕された。中国側は激しく反発しており、重要な局面に入ったばかりの米中通商協議が一段と複雑になる可能性がある。

     華為創業者の娘である孟CFOは12月1日にバンクーバーで逮捕され、米国から身柄の引き渡しを求められている。カナダ司法省のイアン・マクラウド報道官が5日の声明で発表した。米司法省は4月、対イラン輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為がイランに製品を販売したかどうかについて捜査に着手していた。

     孟CFOの逮捕後、在カナダ中国大使館は直ちに抗議し、米国とカナダが「不正行為を是正」し、同CFOを釈放するよう求めた。米中は数日前に貿易戦争の「休戦」で合意したばかりで、今回の逮捕は両国間の緊張を高める公算が大きい。同CFOの逮捕についてはカナダ紙グローブ・アンド・メールが先に報じていた。

     米司法省は逮捕についてコメントを控えた。カナダ政府へも問い合わせたが、トルドー首相の報道官は同国司法省に質問をするよう求めた。

     華為は文書で、逮捕は米国の要請に基づくもので孟CFOは米国に送還され「詳細不明」の罪状で訴追される可能性があると説明。その上で、孟CFOの容疑に関してほとんど情報を提供されておらず、同CFOによる不正行為を認識していないとし、華為は「カナダと米国の法律制度が最終的に正しい結論に達すると考えている」と主張した。

     米商務省は今年、イランと北朝鮮への不正輸出を巡る以前の制裁措置に絡んだ合意条件に違反したとし、中国の中興通訊(ZTE)に制裁を発動。罰金支払いや経営陣刷新などの米国が示した条件をZTEが受け入れ制裁は解除されたが、同社は事業停止の瀬戸際に追い込まれた。

     米上院のクリス・バンホーレン議員(民主、メリーランド州)は5日夜、華為とZTEは「米国の国家安全保障に対する根本的なリスクとなり得る中国の通信機器会社という同じコインの裏表」だとの声明を発表。「今回のニュースは商務省がZTEに焦点を絞っている間、華為も米国の法律に抵触していたことを裏付けている」とコメントした。』

     

     なぜファーウェイの幹部の孟CFOが逮捕されたか?理由はイラン制裁違反といわれています。イランはオバマ政権時の2015年に米国政府が欧州・ロシア、中国とともにまとめた核合意を締結していました。

     

     米国は核開発だけでなく、弾道ミサイル開発の中止を含む合意をイランに受け入れようとして、トランプ大統領は今年11月にイラン核合意から離脱し、経済制裁を全面再開しました。この制裁の内容は、原油や金融取引を制限する厳しい内容なのですが、当時の核合意だけでは、弾道ミサイル開発を黙認しているということで、トランプ大統領は合意破棄に至ったとされています。

     

     ファーウェイの話に戻しまして、孟容疑者はどんな人なのか?といえば、ファーウェイの創業者の娘で、ファーウェイの創業者の任正非(レンツェンフェイ)は中国人民軍の出身です。

     

     任正非は、中国人民軍からお金を集めてファーウェイを設立したといわれており、ファーウェイは中国人民軍に実質的に支配され、イランへの製品供給を指揮していたのでは?という疑義があるのです。

     

     米下院の情報特別会員は2012年10月8日、中国通信大手のファーウェイ、ZTE(中興通訊)の通信インフラ向け機器やサービスは、安全保障上のリスクがあるとして、米国政府に対して両製品を排除するよう求める報告書を提出しました。このときの報告書では、米国政府だけでなく米国企業に対しても、両社製品を使わないよう推奨し、両社による米国企業の合併・買収を阻止するよう求めていました。

     

     米国企業から企業秘密などの極秘データを積極的に盗むことで知られる米国政府と密接な関係にある企業の製品で通信ネットワークを構築することは、スパイ活動や米国の通信ネットワークの破壊の恐れを高めるとし、徹底した排除を求めたのです。

     

     米国の商務省は2016年、シリアやイランや北朝鮮などの国々に米国の技術を流していないか?情報提供を求める行政召喚状というものを送付していました。

     

     こうした状況下で、2018年4月にZTEに対して、イランに通信機器を売っていたということで、イラン制裁破りを理由に強い規制をかけました。

     

     その規制の内容は、米国企業が作る製品・技術をZTEに売ってはいけないという規制で、この規制によってZTEは生産が2カ月以上も止まり、当時は米中貿易戦争の一環としてマスコミでも大きく報道されました。

     

     2018年7月に習近平国家主席とトランプ大統領で合意がなされ、ZTEへの制裁は解除されたのですが、解除の条件は相当に厳しい条件でした。

     

     その条件とは、取締役全員を解雇して入れ替えたうえで、リスク管理責任者をZTE社内に置き、10億ドルの罰金支払いと、4億ドルのエスクロー(預託金)を払うことで制裁解除するというものだったのです。

     

     この状況下にありながらの今回のファーウェイ幹部の孟CFOの逮捕ということで、2016年以降イランに対して技術流出をしないよう要請していたにもかかわらず、2018年4月以降もこうした行為が継続していたことが米国政府に認定されれば、ファーウェイに対して米国はさらに厳しい措置を下す可能性があるでしょう。

     

     

     ここでもう一つ朝日新聞の記事を紹介します。

    『朝日新聞 2018/08/14 12:59 トランプ氏、国防権限法に署名 対中国強硬姿勢を鮮明に

     トランプ米大統領は13日、2019会計年度(18年10月〜19年9月)の国防予算の枠組みを決める総額約7160億ドル(約80兆円)の国防権限法に署名し、同法が成立した。同法は、米政府機関とその取引企業に対し、中国情報通信大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)の機器を使うことを禁止するなど、対中強硬姿勢を鮮明にした。

     トランプ氏は13日、訪問先の米ニューヨーク州で演説し、「(オバマ前政権では)ひどい削減が続いたが、我々は今こそ米軍を再建する」と述べた。トランプ政権下の国防費は18会計年度の約7千億ドルに続き、増額となった。

     トランプ政権は17年12月に中国を「競争国」と規定する国家安全保障戦略を策定しており、今回の国防権限法でも貿易問題や南シナ海問題で中国への厳しい姿勢を際立たせた。中国情報通信大手の機器使用を禁じたほか、中国などへの技術流出を食い止めるため、海外企業の投資を審査する「対米外国投資委員会」(CFIUS)の権限を強める規定も盛り込んだ。多国間軍事演習である「環太平洋合同演習」(リムパック)については、中国が南シナ海の軍事拠点化をやめない限り、参加を禁じると明記した。

     一方、中国と対照的に、台湾との防衛協力を強化する方針を打ち出し、軍事演習の促進を盛り込んだ。3月に成立した台湾旅行法に基づき、米・台湾防衛当局者の相互訪問も明記した。

     中国外務省の陸慷報道局長は14日、国防権限法に「強烈な不満」を表明、「冷戦思考とゼロサムゲームの理念を捨て、正確かつ客観的に両国関係を扱うよう米国側に促す」とコメントを発表した。

     同法は中国と同じ「競争国」であるロシアにも厳しい姿勢を示した。16年の米大統領選干渉を念頭に、ロシアの「悪意のある作戦」への対抗戦略を構築する方針を明記した。また、トルコに対してはロシアから地対空ミサイル「S400」を輸入することを理由に、最新鋭戦闘機F35の納入を停止することを盛り込んだ。(ワシントン=園田耕司、青山直篤、北京=西村大輔)』

     

     上記記事にもあるように、今年2018年8月に、国防権限法という法律にトランプ大統領が署名しています。

     

     マスコミ報道では、トランプ大統領への言説が、批判的で米中貿易戦争も単なる貿易の話だけでないのですが、ことさら貿易の話だけを強調し、事実が歪曲されている感があります。とりわけ朝日新聞の記事の国防権限法とは、米上院のマルコルビオ氏ら無党派議員連合が作った法律とされています。

     

     即ちトランプ大統領のZTEへの米国企業への供給規制解除に対して、上院の無党派議員連合はもっと強固な対応をすべきと反対したわけです。

     

     さらに時事通信が2018/11/23に報じたのを本ブログでも取り上げておりますが、米国の同盟国に対して、ファーウェイとZTEを使用しないよう強く要請していました。今回の逮捕劇は、そのような状況下での逮捕です。

     

     同盟国でいえば、英国も秘密情報部のアレックス・ヤンガー長官が、次世代通信システムの5G導入にあたり、ファーウェイの参入は排除すべきであるとの考えを表明しています。

     

     ファーウェイはオーストラリアでも使用禁止になっており、ファーウェイの包囲網は米国の同盟国を中心に着実に進んでいるという状況です。

     

     同盟国らは次世代携帯電話規格の5Gに関して、携帯端末というより、通信機器の設備部分(基地局など)では、ファーウェイ、ZTEの製品は使わないと決めています。

     

     日本でも公的入札では、ファーウェイ、ZTE製品の排除をすることにしていますが、入札以外の部分で導入を予定している企業があり、今後そのことが大きな問題につながる可能性があります。

     

     現時点では、NTTドコモ、AUの2社は、ファーウェイ、ZTE以外のメーカーで、2019年から5Gサービスが開始できるよう実証実験を始めています。その一方でソフトバンクは、ファーウェイ、ZTEの端末で実証実験を行っており、2社のサービスを使わないと2019年に5Gサービスの開始が間に合わないとされています。

     

     

     というわけで今日は「中国Huawei・ZTE問題と、国家安全保障にかかわる次世代通信システム5Gサービスについて」と題し、ファーウェイの孟CFO兼副会長がカナダで逮捕されたニュースを紹介し、論説しました。

     ファーウェイ・ZTE包囲網は、トランプ大統領が暴走しているという日本のマスコミの論調が多いと思われるのですが、国防安全保障上の問題で、技術流出を企む中国に対する警告であり、米国の議会が率先してやっていることを私たちは理解する必要があります。

     仮に上述の背景を知らずに、ファーウェイ、ZTEの製品を使った携帯電話端末、タブレットを日本国内でビックカメラなどの量販店が販売していたとすれば、米国から厳しく通商問題で指摘されるかもしれません。

     仮想敵国の中国から部品供給をしなくてもいいようにするためには、日本製の電子部品会社から継続供給できるようにすればいいだけの話。そのためには日本の電子部品会社が存続しやすいようにデフレ脱却が急務。そしてそのデフレ脱却の手法は、輸出を増やすのではなく、国内需要シフトで十二分にできることであることを、改めて私たちは知る必要があるものと思うのです。

     

     

    〜関連記事〜

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