日産自動車ゴーン容疑者問題は、「永遠の旅行者」「永遠の旅人」らの”租税回避・税逃れ”の手口問題です!

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     皆さんは、「永遠の旅行者」「永遠の旅人」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

     この言葉、日産自動車のカルロス・ゴーンの有価証券報告書虚偽記載事件に関連します。カルロス・ゴーン氏の処遇はどうなるのか?今後の見通しなどを含め、今日は日産自動車のカルロス・ゴーン事件について下記の順に論じたいと思います。

     

    1.パーマネントトラベラーの租税回避・税逃れの手口

    2.ルノーの報酬額と日産自動車の報酬額の比較

    3.ゴーン容疑者の今後はどうなるのか?

     

     

    下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2018/11/21 ゴーン会長、開示義務化後に不正   高給批判を意識か 企業統治不全も露呈  

     逮捕された日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)に対する一連の不正支出は、役員報酬の個別開示が2010年に義務化された後に始まっていた。背景には、ゴーン会長が開示を機に高まった高額報酬への批判をかわす狙いと、トップの「お手盛り」を許す脆弱な企業統治(コーポレートガバナンス)体制が浮かび上がる。

     逮捕容疑となった有価証券報告書への役員報酬の過少記載が始まったのは、11年。その後5年間で約49億8700万円としていた報酬は、実際は約99億9800万円に上り、50億円も「圧縮」されていた。虚偽記載での立件は異例だが、検察幹部は「新機軸の手法だが、経営トップの重要情報に関する虚偽は見過ごせない」と強調する。

     なぜゴーン会長は過少記載に手を染めたのか。個別開示の開始で、突出した高給ぶりに集まる批判を恐れた可能性が高い。

     それまで複数の役員合算額しか分からなかった報酬額が、10年3月期を境に年1億円以上の役員の氏名と報酬額を有価証券報告書に記載するよう義務付けられた。

     この期の日産の役員報酬総額は17億円弱と前の期より9億円も減った。にもかかわらず、明らかになったゴーン会長の報酬額は8億9100万円と国内最高額。開示後の株主総会で株主が「報酬を減らせば雇用を守れたのでは」と、ゴーン会長に詰め寄る場面もあった。

     

    仏政府が問題視

     

     これとは別にルノー会長としての高額報酬も批判にさらされた。ルノーの筆頭株主である仏政府は度々問題視し、16年4月のルノーの株主総会ではゴーン会長の報酬案に反対。反対票は全体の54%に上った。

     だが、ルノーの社内規定では採決は株主の意見表明との位置づけだ。報酬に関する総会採決が参考意見にとどまることは欧米企業では珍しくない。法的拘束力はなく、取締役会は総会直後にゴーン会長の高額報酬の維持を発表した。

     その後もやまない批判を受け、18年6月のルノーの株主総会ではゴーン会長が報酬の3割減額に応じることと引き換えに仏政府がCEO続投を認めた経緯がある。

     暴走を許した日産のガバナンス体制には以前から指摘が多かった。

     トップの選任・解任を決める「指名委員会」や役員報酬を決める「報酬委員会」はなく、双方を提案したり決めたりするのは「取締役会議長」とされていた。日産における取締役会議長はゴーン会長本人だ。今回不記載が明らかになった株価連動型インセンティブ受領権についても、ゴーン会長が実質的に決定権を握っていたとみられる。

     これまでは欧米に比べ日本全体の役員報酬レベルが低く抑えられていたために、株主からの厳しい視線にさらされず、報酬の決め方に厳格さを欠いた面もある。だが、役員報酬の水準が徐々に世界標準に近づく中、決め方についても透明性を高めようとする企業が増え、ゴーン会長に権限が集中する日産の「異形」ぶりが突出し始めた。

     取締役会の監督機能を強めるはずの社外取締役についても、18年にようやく3人に増員されたが、17年までは1人。社外取締役が2人未満の企業は当時の日経平均株価採用225社の中で日産ただ1社だった。

     株主も問題視しており17年の株主総会でのゴーン会長の取締役再任に対する賛成比率は75%と低かった。ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパンの小口俊朗代表は「強力な権限を持った経営者に対しガバナンスが機能不全だった」と語る。

     今後の捜査の焦点は、私的な目的での投資金支出と、会社経費の不正使用という2つの行為の解明だ。

     

    次々と高級住宅

     

     1つは、4カ国4物件に上るとみられる自宅の無償提供だ。オランダに設立した子会社を通じブラジル・リオデジャネイロの高級マンションやレバノン・ベイルートの高級住宅を次々に取得。購入費など総額20億円超を日産側が負担する一方、ゴーン会長は賃料を支払わず事実上の自宅の無償提供を受けていた。

     会社のカネを不正流用した場合、会社法の特別背任罪や横領罪の適用が一般的とされる。特別背任罪の適用には会社に損害を与える意図があったことを立証する必要があり、立件のハードルは高い。

     今回の不正の舞台はオランダなど海外数カ国に及び、司法権の及ばない海外での捜査は難航も予想される。ゴーン会長は海外で税務申告しているとされ、今後海外の税務当局が調査を進める可能性もある。

     長年にわたり世界の自動車業界をけん引してきたカリスマ経営者の逮捕は世界に衝撃を与え、国際的な関心も高い。検察当局には、国境をまたぐ企業グループ内で続いてきた巨額の裏報酬や不正流用の実態解明が期待されている。』

     

     

     既にご承知の通り、上記はカルロス・ゴーン氏が2009年から受け取った年間10億円前後の報酬を巡る記事ですが、今回の事件が明るみになって以降、いろんな論説・言説が出ています。

     その中の一つとして「高報酬批判をかわすために(虚偽記載した)」という言説があり、日本経済新聞の記事でも「なぜゴーン会長は過少記載に手を染めたのか。個別開示の開始で、突出した高給ぶりに集まる批判を恐れた可能性が高い」との見立てを述べています。

     

     しかしながら私は”高額報酬の世間批判をかわすため”というだけでは解明できないものと考えております。

     高額報酬の世間批判をかわすために、これだけの違法行為(金融商品取引法、特別背任罪、横領罪)をする必要があるのでしょうか?

     あくまでも私見ですが、カルロス・ゴーン問題は、「永遠の旅人」「永遠の旅行者」という問題が背景にあるものとみています。

     その理由を述べ、、仮に私見が事実だとすれば、カルロス・ゴーン氏の今回の事件が絶対に許されない悪質な事件であることを改めてご認識していただきたく、順を追ってご説明いたします。

     

     

     

    1.パーマネントトラベラーの租税回避・税逃れの手口

     

     「永遠の旅人」「永遠の旅行者」は、「パーマネントトラベラー」ともいわれ、2016年4月3日にパナマ文書という機密の金融取引文書の公開で問題になった租税回避・税逃れの手口を使う富裕層らを指します。

     

     その手口についてご説明する前に、税金で課税対象を判断する方法について述べます。具体的には属人主義、属地主義の2種類です。両者の違いは、法令の効力がどのような範囲で及ぶか?その範囲の違いにあります。

     

     一つ目の属人主義は米国で採用されている方法です。これは人に着目して法令の効力を判断する方法であり、国であれば、その国籍を有する者、自治体であれば、その住民を対象とするという考え方です。

     

     米国では、アメリカ人や米国の永住権を持っている人、アメリカで90日以上の短期の観光以外のビザで入国した人など、これらの人々へは米国で納税する義務を与えるという考え方になります。

     

     そして海外、例えば日本に住んでいて米国に永住権を持つ人は、日本で適正な税金を払っていれば、米国では基本的にほとんど払わなくてOKとなります。

     

     もしあまりにも高額な場合は、差額納税といって差額を米国に払わなければならない可能性もあるのですが、ほとんどのケースでは、その国で払っていれば米国で払う必要がないとする考え方が、米国で採用されている属人主義です。

     

     法令の効力が人に属するため、その人が世界中どこに住んでいても、米国の納税義務者である限り、米国に納税してくださいというのが基本で、海外で納税した場合も申告だけはしてくださいということで申告を義務付けています。この方法だと、ほとんど税逃れはできないでしょう。ある意味、課税方法として属人主義をとることは正しいかもしれません。

     

     二つ目の属地主義は欧州や日本で採用されている方法で、住んでいる国に税金を払いなさいというのが属地主義、居住地主義というものです。

     

     どこに住んでいるのか?住んでいる国に税金を払ってくださいというのが属地主義で、住んでいる国に税金を払えばいいのですが、ここに租税回避・税逃れの手口の抜け穴があります。

     

     例えば、2つの国に住んでいる人がいたとして、2つの国に税金を払わなければならないとなった場合、2つの国に税金を払わなければならないのでしょうか?

     

     この場合は、租税条約で片方の国に税金を払えばいいという整理になっており、2つの国に税金を納める必要はありません。

     

     欧州の場合、属地主義を採り入れている他に、183日ルールというものがあります。これは183日超滞在した国に税金を払ってくださいというルールで、逆に183日以下の場合は税金を払わなくてよいというルールです。

     

     パーマネントトラベラーと呼ばれる人々は、この制度を悪用します。具体的には、いくつもの国に家を持ち、それらの家を点々と回るのです。

     

     特に欧州はシュンゲン協定締結国間では、国境を自由にまたいで移動することが可能です。日本でいえば、東京都内の人が埼玉県、栃木県、福島県と県境を越えることができるのと同じように、シュンゲン協定締結国間では国境を自由に超えることができるのです。

     

     こうしたパーマネントトラベラーの税逃れを防ぐためには、米国の属人主義をとらない限り捕捉することは困難であるといえるでしょう。

     

     そして日本には183日ルールがなく、国税庁が居住実態に即して総合的に判断します。国税庁の判断基準となる居住実態というのは、主たる活動拠点があること、主たる住居等があること、これが日本をメインとしていると判断できる場合は、日本での納税義務を持つとされています。

     

     

     

    2.ルノーの報酬額と日産自動車の報酬額の比較

     

     ゴーン容疑者の場合、ルノーの報酬は2015年度で約700万ユーロ(約9億円)、2018年6月には約740万ユーロ(約9億5000万円)の報酬が株主総会で承認されました。

     

     

    <2016年度決算資料におけるカルロス・ゴーン氏の役員報酬>

    (出典:2016年度の日産自動車の有価証券報告書から引用)

     

     

    <2017年度決算資料におけるカルロス・ゴーン氏の役員報酬>

    (出典:2017年度の日産自動車の有価証券報告書から引用)

     

     

     上記は日産自動車の有価証券報告書から引用したものですが、2016年度(2017年の株主総会)10億9800万円、2017年度(2018年の株主総会)7億3800万円となっています。

     

     もし、これが本当は2016年度20億円、2017年度15億円が正しい報酬だったとなれば、どうなるでしょうか?

     皆様もご理解の通り、ルノーの報酬額よりも日産自動車の報酬額の方が多くなります。

     

     ところが有価証券報告書に、実際にもらっている報酬ではなく、半額の10憶9800万円、7億3800万円と虚偽の記載をすることで、ルノーの報酬の方が多くなり、主たる所得はルノーからもらっているという主張(=言い訳)ができるようになるのです。

     

     また不動産について、日産自動車は訴訟する方針である旨が報じられていますが、ゴーン容疑者は自分で自己資金で住居を購入せず、日産自動車に住居を購入させて無償で使っていたとされています。

     

     国税庁の判断基準の主たる居住地の判断について、日本に不動産を保有していること、日本国内で賃貸借契約を締結して居住実態が確認できることというのが要件の一つになっているのですが、日産自動車に住居を購入させて無料で借りている限り、ゴーン容疑者の不動産保有でもなければ賃貸借契約の当事者にも該当せず、居住実態の判断基準に該当しない可能性があるのです。

     

     

     

    3.ゴーン容疑者の今後はどうなるのか?

     

     上述はあくまでも私見ではありますが、合理的に考えた場合、「所得はフランスの方が多い」「住まいは日本にはない」というのが建前となれば、短期居住者扱いとなって、日本に納税義務はないと判断されていた可能性は高いでしょう。

     

     実際に2011年3月期〜2015年3月期(2011年〜2015年の株主総会での承認額)の約49億8700万円でなく、50億を加算して正しく有価証券報告書に記載した場合、ゴーン容疑者の所得は、フランスよりも日本の方が多いということとなって、主たる生活、主たる所得の源泉は、日本であると判断される可能性が高いでしょう。

     

     仮に有価証券報告書の虚偽記載を目をつぶったとしても、ゴーン容疑者が自己資金で日本国内で住居を購入していたり、不動産の賃貸借契約をしていた場合も、日本に居住実態があると判断された可能性が高いでしょう。

     

     これまで報道された内容から考えられるところ、ゴーン容疑者は日本に全く税金を払っていなかった可能性も無きにしも非ずであるといえます。

     

     もし、ゴーン容疑者がパーマネントトラベラーをやっていて、日本に1円も払っていなかった場合、どうなるでしょうか?

     

     まず所得総額の約50%相当に対して、過去7年間遡って所得税がかかります。そこに最大35%の特別重加算税がかかります。特別重加算税とは、過少申告に至った手法などが悪質と判断された場合に加算されるのですが、ゴーン容疑者の場合は課される可能性が指摘されています。

     

     さらに、その所得税の脱税行為であるパーマネントトラベラーをいつからやっていたか?という判断の年限によりますが、税の延滞税として14.6%が加算されます。

     

     その他にも、日産自動車から世界4か国で借りた不動産、ブラジルのリオのヨットクラブの会員権600万円相当、姉に払っていた年間1,130万円のコンサルティング料、母親の住居費、こうしたものを民事で損害賠償請求されて敗訴した場合、ゴーン容疑者は財産をすべて失うかもしれません。

     

     

     

     というわけで今日は日産自動車のカルロス・ゴーン事件について取り上げました。

     ゴーン容疑者が何のために役員報酬を虚偽記載をしたのか?あくまでも私見とはいえ、十分に考えられる動機があることは理解できたのではないでしょうか?

     グローバリストと呼ばれる人たちの正体は、ゴーン容疑者のような人たちです。各国の法律の都合がいいところをとって搾取するわけですが、日本だけでなくレバノンなどの他国に住居を日産自動車に購入させ、183日ルールを悪用して国を転々としていくという手法で税逃れをするというのは、絶対に許されるべきことではないです。

     と同時に自動車分野で高技術を持つ日本企業を代表する日産自動車をここまで食い物にしてきて、コストカッターということで従業員の処遇の低下、取引先に対する厳しいコストダウン指示をしてきたゴーン氏に対しては、厳しく処罰していただきたいと思います。

     

     

    〜関連記事〜

    日産自動車のカルロス・ゴーン問題の先にあるものとは?


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