グローバル輸出で稼ぐというのは、自国の繁栄を他国の犠牲の上に作るエゴむき出し政策です!
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今日は「グローバル輸出で稼ぐというのは、自国の繁栄を他国の犠牲の上に作るエゴむき出し政策です!」と題して論説したく、下記の順で論説します。
1.デフレ・インフレは需要過不足説である!
2.総供給曲線と総需要曲線
3.経済成長に外需を伸ばすのは重要ではない(むしろ外需を伸ばそうとすると戦争になります!)
上記の順で説明し、「経済成長するためには外需を伸ばさなければ・・・!」とする論説に反対し、むしろ外需はオマケくらいに考えるのが適当であることを理解していただたく、また各国が外需主導に励むと、最終的には戦争になる可能性が高くなるということを知っていただきたいと思います。
聞きなれない用語も出てくるかもしれませんが、なるべく平易な言葉に置き換えてご説明しますので、頑張ってついてきてください。
1.デフレ・インフレは需要過不足説である!
デフレと聞くと、皆さんはどう思うでしょうか?給料が伸び悩んでいる状況であっても、給料が伸びている状況であっても、物価が下がるのは別に悪いことではないのでは?と思われる方もいるかもしれません。何しろ、給料が伸び悩んでいる人であれば、物価が下がるというのは、それだけ家計が助かるということであって、その気持ちもわからなくはありません。給料が伸びている人の場合は、物価が下がるとなれば、その分、物を多く買ったり、サービスを多く買ったりすることができ、場合によっては貯金を殖やすこともできます。
デフレ・インフレは、物価の価格変動をいいます。学説では需要過不足説と、貨幣量説があるのですが、私は前者の立場です。
そもそも企業が儲かりやすい環境とは、どんな状況でしょうか?
それはインフレで物価が上がっている環境であれば、儲かりやすい状況といえます。物価が上がれば企業は儲かりやすいのです。だから物価が上がれば企業は潤い、労働者を雇用します。即ち物価水準が定まれば、必然的に雇用量が決まるということにもなります。
では、物価の上げ下げを決める要素とは何でしょうか?
消費者が節約して物を買わなくなることが社会全体で続くとモノの値段が下がり始めます。即ち物価とは需要と供給のバランスでき増します。もし、供給過剰というモノ余りかつ需要も冷え切っているとなれば、モノの値段が下がり続けてデフレとなります。
2.総供給曲線と総需要曲線
ここからはグラフを使って、総供給曲線と総需要曲線についてご説明します。
下記グラフは、総供給曲線と総需要曲線のイメージと定義であり、それらを組み合わせたグラフも掲載しております。
<総供給関数をグラフにしたもの>
総供給曲線とは、企業がNだけ人を雇用して、Φ個モノを売ったら(Φ回サービスを売ったら)、Z売り上げるということで、社会がモノを売る力(サービスを売る力)を意味します。
<総需要曲線をグラフにしたもの>
総需要曲線とは、企業が労働者に給料をNまでなら払えると思い、消費者はモノにfまでなら出せるということで、社会が喜んでお金を使おうとする気分を意味します。
総供給曲線と総需要曲線を合わせると下記のグラフになります。
<総供給曲線と総需要曲線を合わせたグラフ>
上記グラブの通り、総供給曲線と総需要曲線の交点で物価水準と雇用量が決定されることが導き出せます。仮に今不況だったとして失業者が多いという状況において、完全雇用を目指すとした場合、完全雇用が達成するまで雇用量Nを増加(右へシフト)させるためには、総需要曲線を上にシフトする必要があります。
<総需要曲線を上にシフトしたシミュレーション>
よく「セイの法則」「アダムスミスの国富論」でいわれるのは、供給が需要を生み出すとする論説です。物を作れば、それ自体が需要となるという考え方なのですが、私はこの考えは支持しません。上記のグラフの通り、需要が供給を生み出すのです。総需要曲線を上にシフトすると、労働雇用量はN1→N2と右にシフトします。それと同時に物価水準も上昇してインフレになります。この需要のことを「有効需要」というのですが、有効需要が増大すれば、失業問題が解決します。
それに加え、労働規制でかつてのように正社員しか認めず、期間限定雇用である契約社員、派遣社員という制度を規制すれば、安定した正社員の雇用が増える形での完全雇用となります。
今の安倍政権について、マスコミは失業率が低下しているということをアベノミクスの成果とする言説がよくみられます。とはいえ、失業率が低下しているのはアベノミクスとは関係ありません。単に日本の人口構造である高齢化社会によって生産年齢人口が減少しているという環境であることが理由であることにすぎません。
いわばアベノミクスなどやらなくても失業率は低下します。雇用の数字でいえば、雇用の質が問題です。「有効需要」を増大して、労働雇用量を増やしたとしても、規制緩和で期間限定の従業員の採用を認めてしまえば、雇用が安定せず賃金も伸び悩みますし、雇用の期間打ち切りを恐れて、消費を増やすことはできず、消費は伸び悩むことになります。
3.経済成長に外需を伸ばすのは重要ではない(むしろ外需を伸ばそうとすると戦争になります!)
先の図では景気がいい場合、政府支出を増大させて総需要曲線を上にシフトしなくても、民間需要で総需要曲線が上にシフトします。
GDPは下記で構成されます。
GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出
※純輸出=輸出−輸入
税収=名目GDP×税率×税収弾性値
上記数式の通り、貿易も重要なGDP構成要素と思いがちです。とはいえ、貿易を各国が伸ばそうとすると、最終的には戦争になる可能性があります。
経済学で平和を実現するとまでは言えませんが、戦争の原因のひとつを解消するには、各国が内需シフト(内需主導の経済へシフト)することが必要です。
皆さんに少し考えていただきたいのですが、日本が海外貿易によって経済成長して繁栄を勝ち取ろうとした場合、自国のモノを外国にどんどん買ってもらうことが必要です。他国にモノをたくさん買ってもらえれば、その他国からお金がどんどん入ってきます。その結果、お金の供給量が増えて利子率が下がり、民間投資が促進され、国内の有効需要が増大して好況となります。
これはいいことづくめのように見えるでしょうし、仮にも自国のモノを安い海外製品から守るために輸入を制限すれば完璧です。
しかしながら逆の立場になって考えた場合、自国のモノは外国に輸出しても高関税で外国でなかなか売れず、国内には安い海外製品が出回り、お金がどんどん外国に吸い取られるとなれば、日本国内の有効需要が低下して物価も下がって不況になります。
何がいいたいかと言えば、一国の貿易黒字は、他国の貿易赤字になるということです。
<貿易黒字国と貿易赤字国>
貿易黒字国の黒字額がほどほどならまだいいのですが、貿易黒字額がとてつもなく巨大となれば、それは自国の不況を海外に輸出していることと同じです。
上記のグラフの通り、仮にも日本が輸出で多額の黒字を稼ごうとした場合、多額の輸出で物価水準を引き上がって好景気になった分、貿易赤字国は多額の輸入で物価水準を引き下げられて大不況になります。
日本は大不況を海外に輸出するという国家でいいのでしょうか?競争の結果だから仕方がない、自己責任というのがグローバリズムの発想ですが、いわばこれは自国の繁栄を他国の犠牲の上に作るというエゴむき出しの政策であるともいえるのです。
第二次世界大戦は、まさに各国が自国の市場を守るため、さらに拡大するために殺し合いました。愚かな戦争を二度と起こしてはいけないとするならば、各国は輸出を伸ばすのではなく、自国で有効需要を増大させて自国の経済を改善することに注力するべきでしょう。
というわけで今日は「グローバル輸出で稼ぐというのは、自国の繁栄を他国の犠牲の上に作るエゴむき出し政策です!」と題して論説しました。
本題では輸出を増やすよりも自国の需要を増大させることが大事である旨を論じたわけですが、人口減少する日本は輸出で伸ばすしか食っていけないという間違った言説があります。これは戦争になる可能性があるから間違っているというのではなく、経済成長とは人口の増減とは相関関係がないのです。
確かに日本のGDPの6割は個人消費であるため、人口減少はGDPに影響が及ぶようにみえます。とはいえ、日本は災害大国で資源がない国であるため、防波堤防潮堤地震対策や、火山噴火予測やゲリラ豪雨予測ができるようになるための科学技術など、政府支出の需要が無限に無尽蔵にあるのです。
仮にそうした需要を無視したとして、無駄な需要を創出したとしても、それはそれで不況の場合は、政府が仕事を創出することで雇用や賃金が改善に向かいます。エジプトのファラオがピラミッドを作ったことなども、大変な無駄だったかもしれません。ですが、エジプト文明でナイル川が増水する時期には、働くことができないため、その間、ピラミッドを作る仕事を創出したと考えることもできます。
今回取り上げた理論は、いわゆるケインズ経済学なのですが、デフレ脱却に苦しむ今の日本を救うにはピッタリの経済理論ではないかと私は思うのです。
- 2018.12.04 Tuesday
- 日本経済(経済理論)
- 00:27
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- by 杉っ子