「中国は経済成長すれば、やがて中国人民が豊かになって民主化する」という言説と「沖縄はもともと中国の領土だ」という言説の真偽

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     今日は中国の民主化の可能性と琉球王国について論じたいと思います。

     

     よくある言説で「中国は経済成長すれば、中国人民が豊かになって、民主化する!」という言説がありました。また中国人の中には「沖縄はもともと中国の領土だ」と考える人もいるようです。私は、この言説について真っ向から反対し、絶対に民主主義にならないということ、琉球王国が中国の領土だと断定することはできないことを断言したく、下記の順で論説させていただきます。

     

    1.封建制度を経験している国とそうではない国

    2.中国が民主主義に移行する可能性について

    3.琉球王国が中国領土であった可能性は極めて低い

     

     

     

    1.封建制度を経験している国とそうではない国

     

     世界には次の2種類の国しかありません。

    <封建領主国(封建制度を経験している国)>

     封建制度を経験し、議会制民主主義と資本主義を発展させた西洋と日本とその後継国が該当します。米国は英国の後継国であり、カナダもオーストラリアも同様です。西側先進諸国は100%封建制度を経験しています。

     米国は封建制度の経験はありませんが、英国内で進化した議会制民主主義を受け入れた人々が米国に渡りました。そういう意味で米国は英国の後継国といえます。

     欧州では中世において封建制度を経験しています。

     

    <独裁帝国(封建制度を経験していない国)>

     言論統制し、多民族、多言語、多宗教国家であることが特徴的です。それを皇帝という絶対権力者がいて、その皇帝が独裁政治をやります。

     そうしないと国家としてまとめられないからなのですが、そうした歴史を積み重ねてきた国が独裁帝国です。

     

     

     いま、米中貿易戦争と呼ばれるものは、民主国家と独裁帝国国家の対立であるといえます。日米共同声明では、日米欧VS中国という構図であることが読み取れますが、まさに民主国家と独裁帝国国家の対立です。この2軸の対立が軸となっていると考えた場合、米中貿易戦争というのは、あくまでも米国が仕掛けた手段であって、数年で終わるような話にはならないでしょう。

     

     帝国国家は、今まで民主主義を経験していないというより、経験できませんでした。なぜならば、封建制度で権力が分散すると、もともと国王が持っていた絶対権限は、各封建領主に分散していくことになります。封建とは、そういうことです。

     

     鎌倉時代の鎌倉武士はその典型で、源頼朝が絶対権力を持っていたわけではありません。御家人も権力を持っていました。そうした人々が力をもって議会が生まれ、議会が民主主義になったという歴史を辿りました。

     

    明治維新になってから日本が瞬く間に議会制民主主義になったのは、封建制度を経験しているため、ある意味で当たり前でした。

     

     

     

    2.中国が民主主義に移行する可能性について

     

     では、封建制度を経験していない中国は、標題にもある通り、経済成長すれば、人々が豊かになり、果たして民主主義になるでしょうか?

     

     封建制度を経験していない中国は民主主義になることはないでしょう。中国は過去何十年もの間、経済成長すれば中国人民が豊かになって民主化するとする言説が今も存続するのですが、歴史的に封建制度を経験できなかった中国が民主主義になることはあり得ません。

     

     常に皇帝の絶対権力の下で、人民が虐げられるという国家でないと存続ができません。ただし皇帝は倒れることがあります。病死だけでなく殺されるということもあり得ます。そうすると民主化するのか?といえば、民主化するのではなく、殺した人が皇帝になります。このことを易姓革命と呼んでいます。

     

     易姓革命とは中国古来の政治思想で、「天子は天命によってその地位を与えられて天下を治めるが、もし天命に背くならば、天はその地位を奪い、他姓の有徳者を天子とする」という思想で、この易姓革命をずっと繰り返してきたのが中国です。

     

     「中国は経済成長すれば、やがて中国人民が豊かになって民主化する」という言説は、初めから民主主義=いい仕組みという結論があり、必ず中国にとってもいい仕組みになるはずということで、経済的に豊かになったら民主化するというように、後からシナリオができた可能性が高いのでは?と思います。

     

     また中国共産党は、西側諸国と決定的な違いがあります。中国という国家の上に中国共産党があるのです。

     

     習近平国家主席は、国家主席である以上に、中国共産党の総書記でもあるわけですが、中国の場合は中国共産党の方が国家より上ですので、総書記という地位の方が偉いのです。

     

     例えばナチスドイツは、ドイツ民族と国家社会主義ドイツ労働者党が一体化しましたが、一党独裁といえども、ドイツ国家の上にナチスがあるという構図ではありませんでした。あくまでもナチスは同一民族の一体化という位置づけです。

     

     ところが、中国共産党は明らかに中華人民共和国の上に立ちます。ということは中華人民共和国以外の国家も、中国共産党の下に入れてしまうことになるのです。

     

     例えば、モンゴル、朝鮮半島、東南アジア、中央アジア(キルギス、カザフスタンなど)は、中国の属国ではなく、中国共産党の支配下に入る形で冊封体制が復活するという可能性があります。

     

     というより中華帝国の冊封体制復活を習近平は狙っているのでは?とも考えられます。冊封体制とは、中国皇帝を頂点とし、周辺諸国の支配者との間に君臣関係を結ぶ国際秩序のことをいうのですが、この根底は中国の中華思想です。中華思想とは、中国が長い間、高度な文明を築いてきた広大な国家であるとし、天命を受けて中国に君臨する皇帝を頂点として、その他周辺諸国の中国文明を教化しているという考え方です。

     

     室町時代の足利義満は明と交易したかったのですが、中国は冊封体制に入らない限り交易できないとしたため、足利義満は日本国王ということで明と交易しました。こうした冊封体制における中国との交易のことを朝貢貿易とも呼びます。この朝貢貿易は、ヨーロッパの産業革命後に、欧州諸国が交易の自由を中国に認めさせるべく、不平等条約を締結してアヘン戦争になるまで続きます。

     

     

    3.琉球王国が中国領土であった可能性は極めて低い

     

     中国が領土問題を主張する際、琉球王国が大秦帝国の冊封体制に入っていたため、中国の領土だと主張する言説があります。これについては2点あげて完全否定します。

     

     まず1点目、日本が清と交易したいため、琉球に出島という役割で清と交易をしたということです。長崎がオランダとの交易で出島になったのと同様に、清と交易するために冊封体制に入ったということ。

     

     2点目は、琉球王国は人種的にアイヌと近いと言われています。日本本土は、もともとの縄文人と大陸から渡来してきた弥生人が入ってきて交流してしまいましたが、琉球王国はアイヌに近いという言説があります。これは血液型で免疫グロブリンGの標識遺伝子の分布が、琉球王国とアイヌが似ているというものです。

     

    <免疫グロブリンG(Gm)の標識遺伝子の分布>

    (出典:丸地三郎氏の「DNAから導きだされる日本人の起源」の資料から抜粋)

     

     上記資料の通り、日本列島と中国大陸で比較した場合、日本列島は「ab3st(円グラフの黄色い部分)」の割合が多く「afb1b3(円グラフの赤い部分)」の割合が少ないのですが、中国大陸は「afb1b3(円グラフの赤い部分)」の割合が多く「ab3st(円グラフの黄色い部分)」の割合が少ないです。

     

     また「琉球王国と北海道のアイヌ」と「日本列島の本州から九州にかけて」で比較した場合、琉球王国とアイヌは分布がほぼ等しいことがわかるとともに、本州から九州にかけては「afb1b3(円グラフの赤い部分)」の割合がやや多めになっています。

     

     何がいいたいかと言えば、琉球王国はもともと中国大陸のものではないということです。この2点をもって、中国が主張する琉球王国がかつて中国の領土だったとする説は、デタラメであると主張したいと思います。

     

     

     というわけで今日は中国の民主化の可能性と琉球王国について述べました。

     私たちが理解すべきことは、中国という国は、中国共産党が中国という国家の上にあるということが重要です。冊封体制の延長で、モンゴル、朝鮮半島に限らず、一帯一路、中国製造2025によって、東南アジア諸国、中央アジア諸国、アフリカ諸国にまで触手を伸ばし、軍事拠点を築こうとしています。スリランカのハンバントタ港にしろ、ギリシャのピレウス港にしろ、領土を増やしているわけではなく、租借しているだけです。

     そうやって支配下にある属国を増やしているだけであって、領土拡大をしているわけではないと主張する可能性は大きいのは、冊封体制というものが根底にあるから。その冊封体制の裏には中華思想が働いているということ。

     その中国の価値観と、西側諸国の民主主義国の国民主権、自由平等、民主主義という価値観は、全く相いれないということが理解できるかと思います。こうした目で米中貿易戦争をみた場合、これが数年で終わるものとは思えず、第三次世界大戦などの戦争にまで発展する可能性ですらあり得ると思われます。これを回避するためには、中国の力を抑制するため、日本がデフレ脱却と軍事力強化を図り、日中の軍事バランスを均衡させる必要があるものと私は思うのです。


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