TPPを導入するならば、保護主義のための国内制度を徹底的に強化すべき!

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     今日は「TPPを導入するならば、保護主義のための国内制度を徹底的に強化すべき!」と題して論説します。

     

     下記は産経新聞の記事です。

    『産経新聞 2018/10/31 18:35 日本への経済効果7・8兆円 牛肉など安く TPP

     11カ国によるTPP11の発効により関税が段階的に引き下げられ、貿易が活発になるほか、投資などに関するルールも明確になり企業はビジネスがしやすくなる。政府の試算によれば、貿易や投資の拡大によって、日本の国内総生産(GDP)が年7兆8千億円押し上げられ、雇用は約46万人増える見通しだ。恩恵は暮らしや企業活動の広い範囲に及びそうだ。

     家計で恩恵を実感しやすいのは、輸入食品や農林水産品の値下がりだ。例えば日本に輸入される牛肉の関税率は38・5%だが、発効16年目には9%に下がる。

     発効が12月30日に決まったことで、来年1月1日には早くも発効2年目に入る。発効からの年数によって関税は段階的に引き下げられるため、発効が早まった分、「消費者にとっては海外の商品がさらに安価で手に入る」(茂木敏充経済再生担当相)。

     日本企業にとっては輸出拡大が期待される。日本の代表的な輸出品である自動車は、カナダの関税が現在の6・1%から発効5年目に撤廃される。ベトナムは現在、大型車に70%の高関税を課しているが、発効10年目には撤廃される。(後略)』

     

     

     上記の通り、TPPは今年2018/12/30に発効されることになったというニュースです。茂木経済再生担当大臣が10/31に記者会見をしました。その中で、環太平洋経済連携協定について、日本時間の12/30AM00:00に発効すると発表。世界のGDPのおよそ13%を占め、総人口で5億人を抱える自由貿易圏が誕生するとして、ポジティブに報道しています。

     また茂木経済産業相は、保護主義が強まる中、自由で公正な21世紀型のルールが確立するという強いメッセージの発信になると意義を強調しました。

     

     日本の場合、自動車などの工業製品の輸出で追い風となる一方、牛肉などの安い農産品の流入で国内農業が打撃を受ける可能性があるというより、間違いなく打撃を受けることになるでしょう。

     

     なぜならばTPPの本質は、相手国に対して、「あなたの国の需要を、うちの国の供給力で供給させて欲しい!その結果、あなたの国のその産業が倒産しても仕方がない!そのために互いに関税をかけあわず、お互いに関税をなくして自由に交易ができるようにしましょう!」というのがTPPの本質。となれば自国の産業、とりわけ日本の場合は農業が間違いなく打撃を受け、影響を受けるのは当然の帰結といえます。

     

     日本にメリットはあるのか?となれば、TPPイレブン参加国の中で、日本は最大のGDPを占めており、他国の需要を供給できるということにもならず、非常に大きなリスクを抱え込むことになるでしょう。

     

     もう一つ重要なのは、保護主義が強まる中、自由で公正な21世紀型のルールが確立するというメッセージになるという点について、保護主義が何か悪しきものであるかのごとく、自由と公正の正反対なものが保護主義であるとでも言いたいのでしょうか?

     

     これは完全に間違っています。

     

     なぜならば、保護主義ということをやる自由が主権の中に日本国の主権にあるはずです。それぞれの国の保護主義を、それぞれの国としてやっていくことで、公正なルールが初めて成立することになります。主権がない中で多国籍企業にとって自由があるのはTPPでありグローバリズムです。

     

     そのグローバル市場の中で、多国籍企業が公正に競争するためのグローバリズムとしてTPPがあるわけで、自由と公正は誰のためにあるのか?となれば、結局は他国で商売ができるような人々にとって自由で公正になっただけで、それぞれの国民の自由と公正は著しく侵害されたことになります。

     

     もし、それが侵害されないようにするということになれば、TPPを導入すると同時に、保護主義のための国内制度を徹底的に強化する必要があります。

     

     牛肉などの安い農産品の流入されることになったとなれば、日本の農家を今と同じ水準に保障することが必要です。

     

    <諸外国の穀物自給率(%)の推移(1961年〜2013年)>

    (出典:農水省のホームページの資料から)

     

     

    (出典:経済評論家三橋貴明氏のブログ)

     

     

     上記資料は、いずれも日本の食料自給率が相対的に低いことと、農家に対する支援が欧米とははるかに比べ物にならないくらい支援がされていないということを言いたいために取り上げた資料です。

     

     食料自給率が100%超となっている米国をはじめ、他の欧州国では、多くの補助金を出しています。海外はそのくらい補助金を出したうえで、競争するにもかかわらず、日本の農家だけが国からの補助が他国と相対的に少なく、日本の農家は著しく不利益を被ることになるでしょう。

     

     これを解決するとすれば、TPPで関税はゼロになったとしても、補助金は山ほど出ます!という制度強化が必要です。上記資料の通り、日本は食料自給率が先進国の中でも低く、補助金は欧米が40%〜60%であるところ、日本は27%でしかありません。補助金でこれだけの差があれば、日本の農業は著しく不利な状況が現在進行形で続いているといえます。

     

     例えば街中のスーパーでも、日本産の牛肉は高く、アメリカンビーフやオーストラリア産のビーフは安いです。もし、日本の畜産農家が作る牛肉に対して、日本の政府が補助金を出してスーパーでも安く売ることができれば、価格対抗できて日本産の牛肉が売れやすくなります。そうすれば、日本の畜産農家も牛肉を頑張って数多く生産しようとするでしょう。

     

     食料安全保障の強化を考えるのであれば、むしろ農家の人々には余るくらい農産物を作ってもらい、それを政府が高値で買い取るべきです。その高値で買い取るということによって、日本の農家の所得が安定し、一生懸命数多く供給することに専念できます。余った農産品は、仮想敵国中国や韓国にダンピングして売れば、彼らの胃袋を日本がつかむこととなり、外交カードとなり得ます。

     

     農産物の価格の話に戻しますと、逆に市場価格で売買となれば、豊作のときは捨てることもあります。不作のときは市場に売るものが少ないため、農家の収入は伸び悩みます。農家の収入を安定させるためには、政府が農作物を高く買い取る、補助金を出す、こうした政策に尽きます。

     

     牛肉の場合、TPPによってオーストラリアやニュージーランドから安い牛肉がより入ってくることになることが予想されます。当然、市場価格では日本の牛肉も価格は下がる方向に働きます。どう考えてもTPPで関税が下がれば、畜産農家に対する影響は大きくなることは当然の帰結です。

     

     だからといって、農家に単にお金を配布するのは、よろしくありません。余ってもいいので作ってもらった農産品を政府が高値で買い取る、これに尽きます。お金とモノの対価こそGDP3面等価の原則により、「農家による農産物の生産=政府による農産物への支出=農家の所得」となり、GDP成長と税収増につながるからです。

     

     

     

     というわけで今日は今年2018/12/30に発効予定のTPPについて取り上げました。

     標題の「TPPを導入するならば、保護主義のための国内制度を徹底的に強化すべき!」ということが私の結論であることは、ご理解いただけたのではないでしょうか?

     もし欧米と同程度の農業保護政策をしなければ、ただでさえ低い食料自給率がもっと下がり、食料安全保障が弱体化することが目に見えているからです。

     それとも、そうした状態で食料が安定供給されなくなったとして、お金がある人が自由に高値で買い、お金がない人は飢えて死ぬしかない、それも自己責任なので仕方ないというのでしょうか?これでは、まるでジンバブエなどの発展途上国と同じです。

     むしろ欧米は農家に対する手厚い保護をしており、欧米と比較して日本の農家は保護されていないということを日本人は知るべきであると私は思うのであります。

     

     

    〜関連記事〜

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