電力サービス、空港サービスなど、大災害時にサービスを維持するために赤字になっても復旧作業できるのは、どういう場合か?

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     今日は「電力サービス、空港サービスなど、大災害時にサービスを維持するために赤字になっても復旧作業できるのは、どういう場合か?」と題して論説します。

     

    1.発送電分離とは?

    2.できない理由を並べる関西国際空港の運営会社「関西エアポート」に官邸が激怒!

     

     上記の2つの小題に分け、2020年4月から始まる発送電分離と、コンセッション方式で民営化された関西エアポートについて、取り上げたいと思います。

     

     

     

    1.発送電分離とは?

     

     そもそも発送電分離とは何か?ご存知でしょうか?

     

     発送電分離とは、発電会社と送電会社を分離させるということで、今の電力会社、例えば東京電力や北海道電力などの電力会社から発電所を切り離して別会社にし、送電会社は発電所を持たせないというルールのことをいいます。

     

     重要なことは「発電所を持ってはいけない」という法律になっているという点、即ち法的に発電会社と送電会社を分離しているということが重要な点です。また適正な競争関係を確保するためという理由で、取締役の兼業禁止等の行為規制も課せられています。

     

     この発送電分離によって、2020年4月以降、電力会社は「発電所を持たない」ということになります。

     発電部門と送電部門が、それぞれ別会社になった場合、台風や大地震で停電した際に、速やかに復旧できるのでしょうか?という問題があります。

     

     私は3.11のとき、福島県いわき市に住んでいました。福島県といえば福島原発事故が起きたわけですが、福島県いわき市は3.11のときに震度6弱、4.11にも震度6弱が発生しました。3.11のときは小名浜で10メートルの津波が来て亡くなった人々がいましたが、4.11のときも土砂崩れが発生して亡くなった人がいました。そんな経験もした私ではありますが、記憶ベースでは、停電があったか?記憶が定かでないくらいであり、停電については北海道胆振地震による全域ブラックアウトほどの印象は薄いです。むしろ水道が何回も断水したという記憶があり、風呂場に水を何回も貯めたりといった記憶はあります。それとて、復旧はスピーディーでした。東北では、断水の記憶はあっても停電の記憶はないくらい電力サービスは強靭だったといえるかもしれません。

     

     電力の話に戻しますが、仮にも発電会社と送電会社が別々に存在しているという状態で、発電会社が倒れてしまった場合、送電会社は真剣に復旧活動をしてくれるのでしょうか?

     

     残念ながら復旧活動はスピーディーにはできなくなるでしょう。なぜならば、今は電力会社が発電会社と送電会社の両方をもって経営しているため、電力がギリギリで安定的に供給して需要に応じている状況です。復旧がスピーディーなのは、発電所から配電盤まで一つの会社で統合されているため、コントロールしやすく、電力マンがプライドを持って復旧作業をすることが可能です。要は電力会社の社内で何とかしているというわけなのですが、発送電分離が始まりますと社内で何とかなるというレベルではなくなります。何しろ、電力会社が発電会社と送電会社に分離されてしまうからです。

     

     これは原発再稼働問題と同様に、大変な問題です。そして2年後の2020年4月ということで、もう間もなく始まる状況であり、差し迫っているといえるでしょう。

     

     

    2.できない理由を並べる関西国際空港の運営会社「関西エアポート」に官邸が激怒!

     

     台風21号で関西国際空港が浸水したのは記憶に新しいかと思います。空港の島と本州を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突して往来不能となり、3000人近い人々が孤立した事件です。

     

     関西国際空港はコンセッション方式で、商流で一番上の事業の部分を民間企業が運営しています。民間は利益追求の株式会社組織であるため、あのような被害が発生したら、撤退を選択する可能性も十分にあり得ます。「頑張って連絡橋を復旧したとしても、それって利益になるの?」といわれたら、かなり困る話になることは容易かと思います。

     

     参考までに、関西国際空港の民営化で運営権を受託したのは、フランス系の外資企業でヴァンシ・エアポート・ジャパン社とオリックスです。

     

     外資系企業のヴァンシ・エアポート・ジャパン社は、災害発生時であっても日本の空港サービスを維持するために、赤字になってもお金をたくさんつぎ込んで頑張って復旧作業をするのでしょうか?普通に考えたら株式会社の立場であれば、損切撤退です。オリックスだって、日本企業とはいえ、損切撤退の選択肢があり得ます。

     

     台風21号では、こうしたコンセッション方式やらPFIで「水道法改正」などの公部門を民営化させることにおける問題点が一気に噴出したといえるでしょう。

     

     関西国際空港の大災害時における孤立状態は、以前から想定されていましたが、予算がないということで放置されていたものです。(関連記事「想定されていた関西国際空港の被害」)

     

     事故当時直後は、政府が一日も早い暫定再開を求めたものの、ヴァンシ・エアポート・ジャパン社とオリックスの合弁会社の関西エアポートからは、スピーディーな暫定再開ができない理由ばかりが述べられたとのこと。当時、オリックス出身の山谷佳之社長は大量輸送できる鉄道の早期回復が必要と主張しましたが、鉄道の再開は早くて1か月以上はかかるとみられていました。実際は2週間程度で再開したものの、できない理由しか並べない政府がしびれを切らし、政府主導で早期復旧させたのです。

     

     関西国際空港はインバウンドを担うインフラとなっていたこともあり、アベノミクスの成果に影響を与えかねないという懸念が政府主導となった理由です。

     

     

     というわけで今日は「電力サービス、空港サービスなど、大災害時にサービスを維持するために赤字になっても復旧作業できるのは、どういう場合か?」と題して論説しました。

     政府主導で早期回復となるならば、そもそも関西国際空港の運営を民間にやらせる必要はあったのでしょうか?関西国際空港のコンセッション方式も電力サービスの発送電分離も、災害がない、非常事態がないということを前提にしたものとしか言いようがありません。もし、災害がない、非常事態がないという前提に立つならば、ビジネスとして成り立つともいえますが、日本は世界屈指の自然災害大国です。

     よくある論説に「民間の血を入れたらよくなる」という論説がありますが、そもそも「公務員がダメ!民間人は正しい!」というのは正しくありません。単に緊縮財政で予算が削減されて公務員が何もできないところに、民間企業や外資系企業が「私たちならば、〇〇なこともできますよ!」と営業しに来ただけの話。商業力だけの話であり、大災害時に赤字を覚悟で資金を投じてでもスピーディーな復旧ができるか?となれば、株式会社組織の利益追求では困難なのです。

     竹中平蔵氏らが推奨したPFIやコンセッション方式は、まさにそこが盲点でした。と同時に「公務員がダメ!民間人が正しい!」という論調も緊縮財政の結果であって正しくないことを、多くの人々に気付いて欲しいと私は思うのです。

     

     

    〜関連記事〜

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