中国の公平でないグローバリズムに強硬な姿勢をとる米国と、製造2025をビジネスチャンスと考えるアホな国

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     今日は米中貿易戦争について取り上げたく、「中国の公平でないグローバリズムに強硬な姿勢をとる米国と、製造2025をビジネスチャンスと考えるアホな国」と題して論説します。

     

     米中貿易戦争は、どう終着するのか?日本への影響はどうなるのか?これは読者の皆さんも大変気になることでしょう。

     

     米国がここまで中国に対して強硬な態度をとる理由の一つに、ピーター・ナヴァロ氏の影響があげられると考えられます。

     

     ピーター・ナヴァロ氏は、2017/01/20にドナルド・トランプ大統領から指名を受け、ホワイトハウス国家通商会議ディレクターという役職です。このナヴァロ氏は、中国について猛烈に批判しています。

     ナヴァロ氏は、具体的には中国共産党政府主導の中国経済と、市場主導の米国経済とでは、全くモデルが異なるとしています。

     

     中国は2001年12月にWTOに加盟しましたが、ナヴァロ氏は、中国はWTOに加盟したものの、経済開放が進まない状態で今日に至ったと指摘。2015年時点で、世界の自動車の3割、船舶の4割、テレビの6割、コンピュータの8割を生産して、世界の製造業を支配するに至ったとし、人工知能(AI)やロボット工学でも脅威になりつつある中国の知的財産権問題などの不公正な貿易慣行に対して、米国として早急に強硬に対処すべきであると主張してきました。

     

     そして、ナヴァロ氏は、2018年4月16日のウォール・ストリート・ジャーナル紙で、「中国の比較優位は偽物」とする寄稿文が掲載されました。

     

     「比較優位」というのは経済用語の一つであり、イギリスの経済学者のデビット・リカード氏が提唱した「比較優位論」というのがあります。

     比較優位論は端的にいえば、関税障壁をなくして自由貿易を推進すれば、自由な交易によって双方で生産が増えて、両国とも豊かになれるというものです。以前、私も「比較優位論」を取り上げたことがありますので、詳細は、「「リカードの比較優位論」の欺瞞と国際貿易(池上彰の間違った解説!)」をご参照ください。

     

     なぜナヴァロ氏は「中国の比較優位は偽物」即ち、中国が礼讃する自由貿易が偽物であると主張したのか?その理由として下記を指摘しています。

     

    ●知的財産権の侵害

    ●国内市場へのアクセスを交換条件とした外国企業に対する技術移転強要

    ●高い関税障壁(例えば自動車関税は米国の10倍です。)

    ●外国に厄介な事業免許要件や出資比率規制を課す

    ●国有企業や政府が資金支援する企業に土地や資本を助成する

    ●国内企業に対する無数の輸出補助金や寛大な税制優遇措置

    ●為替介入による為替レート調整

    ●政府系ファンドの活用

     

     これら列挙されたことは、おおよそグローバリズムとは相反し、むしろ自国保護の政策です。中国はグローバリズムを礼讃している一方で、不公正に自国を保護してきたのが実態といえます。

     

     トランプ大統領がなぜ米中貿易戦争を仕掛けたのか?それは、ナヴァロ氏が主張する中国アンフェアなグローバリズム批判の考えに基づき、中国に強硬な対策として米中貿易戦争に打って出たと考えることができるでしょう。

     

     米国が関税を引き上げる一方、中国は内需主導の経済成長へシフトしようとし、中国製造2025といった新たな政策を打ち出して、国力増強によって外需依存を引き下げようとしています。

     その一つは鉄道投資について今年8/14、中国共産党政府が毎年6〜7兆円程度(日本の新幹線投資は毎年750億円程度)の投資額を1兆円積み増すと、日本経済新聞が報じました。

     

     その後、9/27に日米首脳会談が行われ、日米共同声明を出しています。その内容は下記の通りです。

     

    <2018年9月27日に行われた日米共同声明の全文>

    (出典:外務省ホームページ)

     

     上記の赤枠で囲った6項がポイントです。「日米両国は、第三国の非市場志向型の政策や慣行から・・・」というくだりにある”第三国”がどこの国を指すのか?ご理解できるでしょう。もちろん中国です。

     

     さすがに名指しで中国とはせず、”第三国”という表現にしています。さらに注目すべきは、「知的財産の収奪」「強制的技術移転」「貿易歪曲的な産業補助金」「国有企業によって創り出される歪曲化」「過剰生産を含む不公正な貿易慣行」に対処するとしており、対処すべき5つの課題は、すべてナヴァロ氏の寄稿文で取り上げたものと一致します。

     

     そしてこうした課題に対して、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業すると締めています。

     

     要は米国は不公正なグローバリズムを続ける中国に対して、日本と欧州を巻き込んで一緒になってつぶしにかかるというのが目的であり、その内容が日米共同声明でうたわれているといえるでしょう。

     

     中国は2001年にWTOに加盟して以来、17年間もの間、不公正なグローバリズムで経済成長し、軍事力を強化させてきただけでなく、知的財産権を守らなかったりしてきました。それだけでなく、中国製品はどんどん輸出する一方、他国の製品は買わずに関税で守る。中国は日本や米国の土地は買えるが、日本と米国は中国の土地を買えない。中国で仕事をしたいなら技術供与しなさい。これが不公正なグローバリズムの概要です。

     

     これに対して米国が限界に達し、怒り心頭に達したと考えられるでしょう。中国は、中国製造2025という軍事力強化に結び付く製造力強化を宣言し、一帯一路のように帝国主義的なインフラ整備を進めていますが、こうした動きについて、米国は軍事目的と断定して攻撃し始めたのです。

     

     マスコミが米中貿易戦争を取り上げるときは、関税の部分だけを報道することがよくあるのですが、これまで知的財産権をどれだけ侵害したか?は、マスコミはほとんど報じていません。

     

     AIIBも流れが完全に変わりました。欧州でさえもAIIBから手を引き始めているのです。なぜそうした動きになったかといえば、AIIBから出てきた案件は、すべて中国企業が受注します。

     

     2018/08/20付のみずほ銀行のシンクタンク、みずほ総合研究所のレポートによれば、中国と経済関係を強化してきたドイツ政府は、中国企業によるドイツ企業の買収が自国の安全保障を危険に晒すとの警戒感を強めるようになり、外国企業によるドイツ企業買収の審査制度が強化されたそうです。

     

    <ドイツの対中直接投資残高>

    (出典:みずほリポートから引用)

     

     上記グラフは、中国からドイツへの投資、ドイツから中国への直接投資残高の推移です。中国→ドイツの直接投資は、2011年頃から急速に急増し、2016年度で50億ユーロを超えています。50億ユーロは現在の日本円換算で約6兆5000億円です。こうした数字を把握した上での審査制度の強化だ考えれば、ドイツですら対中警戒状況に入っているといえるでしょう。

     

     そんな中で「アホな国」があります。「今こそ!ビジネスチャンス!」と意気込んだ大企業などの要職幹部700人ほどが、2018/10/26に北京市で、経済プロジェクトで52もの覚書を交わしました。

     

     2018/09/27の日米首脳会談での日米共同声明の中身をみれば、「対中国規制が必要!」と声を上げるべきなのですが、「今だけ、カネだけ、自分たちの代だけ」という経団連企業の幹部たちは、なんと中国の企業や政府関係機関や経済団体と協力覚書を52件も締結したのでした。

     

     

     というわけで「アホな国」は日本といいたいわけですが、理由がわかるでしょうか?ナヴァロ氏の中国批判を考えれば、普通に「対中国規制が必要!」となるべきところ、真逆のことをやっているからです。

     この52の協力覚書の締結を、トランプ政権がどのように思うか?

     9/27に共同声明を出した後の10/26に経済協力の覚書締結をしたとなれば、トランプ政権は、日本が中国の不正なグローバリズムに手を貸しているということで、しっぺ返しをするのでは?と危惧しています。

     例えば二国間協定で、コメの関税をゼロにしろとか、無茶苦茶に言ってくる可能性が十分にあり得ます。だから経団連の企業幹部が52もの協力覚書を締結したという行為は、米国の怒りを買う可能性がある愚弄した行為というだけでなく、仮想敵国中国に対して技術供与を含めて敵に塩を送る行為でもあり、愚かなことだと私は思うのです。

     

     

    〜関連記事〜

    「リカードの比較優位論」の欺瞞と国際貿易(池上彰の間違った解説!)

    悔しいですが、あまりにも正しすぎる中国の鉄道建設を中心とした内需拡大政策

    中国のAIIBと一帯一路に手を貸す銀行・企業は、中国の侵略に手を貸すのと同じです!


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