KYBの免振・制振装置の検査データ改ざん問題

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    JUGEMテーマ:経営

     

     今日は「KYBの免振・制振装置の検査データ改ざん問題」と題して論説します。

     

     KYB(証券コード:7242)がどういう会社か?みてみましょう。

     

    『東洋経済新聞社 会社四季報 2018/10/31号

    【特色】1948年設立の油圧部品メーカー。 自動車用ショックアブソーバと 建設機械用シリンダー、 ポンプが中心。 バイク用や鉄道用、 防衛省の航 空機用の油圧機器も製造。 自動車用ショックアブソーバは国内シェア6割。 筆頭株主のトヨタ自動車が主取引先だが、 内外でカー用品店を通じた市 販も。 建設機械用油圧機器ではパワーショベル用シリンダで高シェア。 ミ キサー車製造も。 国内は岐阜県に主力工場。 中国、 北米、 スペイン、 チェコ、 タイ、 メキシコなどで生産。』

     

    <最新業績情報>

    (出典:日興コーディアル証券)

     

     

     上記の通り、KYBという会社は、自動車用のショックアブソーバー、建設機械用シリンダーなど、交通インフラをはじめとする機械や防衛省用の航空機用の油圧機器まで手掛けているという点で、日本にとって存在が不可欠な会社であるといえます。何しろ自動車用のショックアブソーバーは国内シェア6割です。

     

     そのKYBで、免振・制振装置の検査データに改ざんがあったというこの事件は、大変残念なことと思います。

     

     2018/10/16付の適時開示情報において、KYB社とその子会社が製造した免振・制振装置に、検査データの改ざんがあり、国交省の基準や顧客の性能基準に合わない製品を出荷していたと発表しました。

     

     不適合の疑いがあるものとして、マンション、病院、庁舎など、全国47都道府県の建物およそ1,000件で使われているとのこと。国交省によれば、震度7程度の地震でも倒壊する恐れはなく、安全性に問題はないとしていますが、仮に揺れが大きくなったり、取り付けている部品が少し壊れたりする可能性もあり得るため、決して安心できるものではないでしょう。

     

     東洋ゴム工業の免振ゴムでも事件が発生しましたが、「またか!」と思われた方も多いかと思います。もちろん改ざんというカテゴリーで考えれば、日産自動車、神戸製鋼、日本ガイシなどもありました。

     

     少し話し戻しますが、そもそも多くの建物において、免振・制振装置を付けることはありません。とはいえ、この建物は絶対に倒壊してはいけないということで、敢えて追加の費用を払って免振・制振装置を付けていくという経緯があります。

     そのため、それが基準に満たしてなかったとなれば、何のために装置を付けたのか?ということになるわけです。

     

     KYBによれば、2000年3月〜2018年9月までに製造されたもので、具体的には「オイルダンバー」「免振・制振の油圧」に改ざんの疑いがあったとのこと。2000年3月となれば、実に18年間も・・・ということになります。

     

     この免振・制振装置を付ければということで、病院などの建物の揺れが少ないという安心を生むはずなのに、18年間も裏切られ続けてきたというのは、大変ショックな話です。

     

     KYBのこの事件で一ついえることがあるとすれば、たとえ基準を満たさなかったとしても、技術者側に一定の最低限のモラルがあれば、「基準は厳しいから少し基準に満たなくても、この程度なら大丈夫であろう!」という職人的な感覚があってこうした事件になったのか、そもそも「そんなの関係ねー!やっちゃえ!」と職人的な感覚なしでこうした事件になったのか?データ改ざんのランクがどの程度なのか?ということです。

     

     もちろんコンプライアンス基準が厳しすぎるから大丈夫だろうということでやったとしても、コンプライアンス上は法令違反ということになりますが、改ざんのランクがどの程度なのか?は個人的に気になるところです。

     

     また、大地震がきたときに倒壊するか否か?も重要ですが、改ざんの手口は、性能検査で適正なデータが出ない場合に、検査員がデータに不適正な係数を加えて、適正な数値になるよう操作していました。なぜそんなことをしたのか?といえば、納期を意識して書き換えたという証言があります。

     

     製造したダンパーは販売前に検査し、そこで国の基準と顧客が求める性能を満たさなかった場合は、バンパーをもう一回分解して調整して改めて検査するということを繰り返します。これには5時間程度かかってしまうため、納期に間に合わないというケースが想定されます。そこで時間を省くために改ざんを行ったという証言があるのです。

     

     今回の改ざんのランクが、多少改ざんしたが大丈夫なレベルなのか?データに加えた不適正な係数とやらば、「まぁぶっちゃけ大丈夫な係数!」なのか「トンデモ係数!」なのかによって、対応がかなり変わることになるでしょう。

     

     今日この瞬間に大地震がきたときに倒壊するか否か?でいえば、係数がどの程度の係数なのか?は非常に大事です。コンプライアンス的も法律的にもアウトだったとしても、職人からみて「ぶっちゃけ大丈夫係数」であれば倒壊しないだろうということであれば、まだましといえるからです。

     

     とはいえ、早く速やかに取り換えしなければなりません。なぜならば、免振制振は普通の建築物には付けません。大体は耐震が必須と考えられる病院や庁舎などの重要な建築物につけるものだからです。

     例えば、スカイツリーが大地震でポキッと折れるようなことがあれば、大災害となって大変なことになります。決して笑い事ではなく、これはダメです。

     

     

     というわけで今日は「KYBの免振・制振装置の検査データ改ざん問題」について取り上げました。

     免振・制振装置は、消防署などの災害発生時に危険となるようなところにも入れています。本当ならば、建築の耐震技術の専門家らが、「コンプライアンス上、法令上は基準未達だが、この程度の係数であれば大丈夫!」といってくれれば少し安心できます。

     KYBは東証1部上場企業であり、ショックアブソーバーは日本国内で6割のシェアで世界でも2割が搭載されているといわれています。もちろん免振・制振装置もトップクラスです。

     証言では納期が原因ということでありますが、納期が遅れてもある意味仕方ない話であり、納期の遅れを恐れて装置を入れ直すとなれば、それぞれの建物でオフィスの人がいったん外に出なければいけないということも想定されます。

     たった5時間をケチったことでとんでもない損害が発生することになることが予想され、今回の事件が経営や社会にどのような影響を与えるのか?気になるところです。

     

    〜関連記事〜

    日産自動車の無資格従業員の新車検査問題と神戸製鋼の品質データ改ざん問題


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